「メールや資料を書いても、なかなか相手に伝わらない」
「もっと文章力を高めたい」
などと悩んでいませんか?
ビジネスシーンで文章を書く機会は多いものの、思うように伝わらず悩んでいる方は少なくありません。文章力は才能ではなく、正しい方法でトレーニングすれば誰でも向上できるスキルです。
この記事では、以下の内容を解説します。
- 文章力とは何か、その定義
- 文章力が高い人・低い人の特徴
- 今日から実践できる文章力向上のテクニック
この記事を読むことで、明日から使える実践的な文章術が身につき、上司や顧客から「分かりやすい」と評価されるようになります。最後まで読んで、文章力向上の第一歩を踏み出してください。
目次
そもそも文章力とは?
文章力とは、自分の考えや情報を、読み手に正確かつ分かりやすく伝える能力を指します。
ビジネスシーンにおける文章力は、単に文法的に正しい文章を書く能力だけではありません。読み手が求める情報を的確に提供し、理解しやすい形で届けるスキル全体を含みます。
具体的には、以下の要素で構成されます。
- 論理的な構成力
- 適切な語彙選択
- 読みやすさへの配慮
- 相手の立場に立った表現
例えば、同じ内容を伝える場合でも、相手が上司なのか顧客なのかによって、表現や構成を変える必要があります。読み手に応じて最適な形で情報を届けられるのが、真の文章力です。
文章力が高い人の特徴
文章力が高い人には、共通する特徴があります。ここでは、主な3つの特徴を解説します。
内容が整理されている
文章力が高い人は、伝えたい情報を論理的に整理してから書き始めます。
結論を先に述べ、その理由や具体例を順序立てて説明するため、読み手はストレスなく内容を理解できます。PREP法やSDS法といった文章の型を活用し、構成を明確にしているのです。
例えば、提案書であれば「結論→課題→解決策→期待される効果」という流れで書きます。読み手が「何を伝えたいのか」をすぐに把握できる構成になっています。
「読みづらさ」を無くしている
文章力が高い人は、読み手の負担を最小限にする工夫を欠かしません。
専門用語を使う場合は必ず補足説明を加え、一文を適切な長さに保ちます。また、読点を適切な位置に配置することで、文章のリズムを整えています。
冗長な表現を避け、シンプルで明快な言葉を選ぶのも特徴です。「〜することが可能です」ではなく「〜できます」と書くなど、無駄を削ぎ落とした文章を心がけています。
内容に面白さがある
単に情報を並べるだけでなく、読み手の興味を引く要素を盛り込んでいます。
具体的なエピソードや数字を用いることで、抽象的な説明に説得力を持たせられます。また、読み手が「自分ごと」として捉えられるよう、身近な例や比喩を使うと効果的です。
例えば、営業報告書で「売上が向上しました」と書くより、「前月比120%を達成し、目標を大きく上回りました」と書く方が、成果が伝わりやすくなります。
文章力が低い人の特徴
文章力が低い人にも、いくつかの共通点があります。自分の文章と照らし合わせてみてください。
一文が長い
文章力が低い人の代表的な特徴は、一文に複数の情報を詰め込みすぎる点です。
一文が長くなると、主語と述語の関係が曖昧になり、読み手は何度も読み返さなければ意味を理解できません。結果として、伝えたいメッセージがぼやけてしまいます。
例えば「新商品は、従来の製品と比較して価格が20%安く、機能も充実しており、デザインも洗練されているため、幅広い層に支持されると考えられます」という文は、情報が多すぎます。この場合は「新商品は従来製品より20%安く設定しました。機能とデザインも向上しています。幅広い層に支持されるでしょう」と分割する方が読みやすくなります。
主語と述語がねじれている
主語と述語の対応が適切でない文章も、文章力が低い人の特徴です。
「この提案の目的は、業務効率を改善したいからです」という文では、主語「目的」と述語「改善したい」が対応していません。正しくは「この提案の目的は、業務効率の改善です」となります。
主語と述語のねじれは、書き手自身が内容を整理できていない証拠でもあります。読み手を混乱させる原因になるため、注意が必要です。
一文一義ではない
一文に複数の主張や情報を盛り込むと、読み手は何が重要なのか判断できません。
「売上は増加しましたが、コストも上昇し、利益率は低下したものの、新規顧客は獲得できました」という文では、情報が多すぎて焦点が定まりません。一文には一つの内容に絞るのが原則です。
「売上は増加しました。ただし、コスト上昇により利益率は低下しています。一方で、新規顧客の獲得には成功しました」と分けることで、各情報が明確になります。
文章力を高めるテクニック5選
文章力は、以下の5つのテクニックを実践することで着実に向上します。
文章の型を覚える
PREP法やSDS法といった文章の型を身につけることが、文章力向上の近道です。
PREP法は「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の順で書く方法で、説得力のある文章を作れます。SDS法は「要点(Summary)→詳細(Details)→要点(Summary)」の構成で、報告書などに適しています。
例えば、上司への報告メールでは、
「今月の営業成績は目標達成しました(結論)。新規開拓に注力した結果です(理由)。具体的には、先月比で新規商談が30%増加しました(具体例)。来月も同様の方針で進めます(結論)」
と書けば、分かりやすくなります。
多くの文章に触れる
質の高い文章を数多く読むことで、自然と表現の引き出しが増えます。
ビジネス書、新聞記事、優れたブログなど、分野を問わず良質な文章に触れる習慣をつけましょう。読みながら「なぜこの文章は分かりやすいのか」「どのような構成になっているか」を意識すると、学びが深まります。
通勤時間の10分間でも、ビジネス記事を読む習慣をつければ、3ヶ月後には確実に変化が現れます。
アウトプットする
読むだけでなく、実際に書く経験を積むことが上達の鍵です。
SNSでの発信、ブログ執筆、業務メールなど、日常的に文章を書く機会を増やしましょう。書いた文章を見直し、改善点を見つける習慣も大切です。
例えば、Xで140文字以内に要点をまとめる練習をすると、簡潔に伝える力が身につきます。短い文章でも、繰り返し書くことで確実にスキルが向上します。
「誰に」「何を」を意識する
文章を書く前に、読み手と目的を明確にする習慣をつけましょう。
「誰に」は読み手のレベルや立場、「何を」は伝えたい核心的なメッセージを指します。読み手に応じて表現や詳細度を調整することで、伝わる文章になります。
上司向けの報告書なら結論重視、顧客向けの提案書なら丁寧な説明を加えるなど、状況に応じた書き分けが必要です。
必ず読み返す
書き終えた文章は、必ず読み返して推敲する習慣をつけましょう。
一度書いた文章には、誤字脱字や論理の飛躍、不自然な表現が含まれているものです。時間を置いてから読み返すと、客観的に問題点を見つけやすくなります。
送信前の5分間を推敲に充てるだけで、文章の質は大きく向上します。特に、声に出して読むと、リズムの悪さや分かりにくい部分に気づけます。
文章力はトレーニングで高められる
文章力は、正しい方法で継続的にトレーニングすれば、誰でも向上できるスキルです。
生まれ持った才能ではなく、型を覚え、実践を重ねることで着実に成長します。まずは、紹介した5つのテクニックから一つを選び、今日から実践してみてください。
例えば、明日のメールから「誰に」「何を」を意識するだけでも、文章の質は変わります。小さな改善の積み重ねが、3ヶ月後、半年後の大きな成長につながります。
なお、さらに文章力を高めたい方には、『文体のひみつ なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?』という書籍がおすすめです。「心に残る文章」の秘密である「文体」について深堀りすることで、「人の心を動かす言葉」の技術を身につけられます。
わかりやすい文章からさらにレベルアップして、人の心に残る素敵な文章作りにチャレンジしたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。



