小さい要求からお願いすると、本命の大きな要求がスムーズに通るというテクニックがあります。ダミーとなる小さな要求はいくつか用意しておくとよいでしょう。
この記事では、着実に大きな成果を得ることが可能になる交渉術を、対人関係の全技術を凝縮した「頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術」よりご紹介します。ぜひ最後まで読んで、高価なものを販売したいときや、意中の人をデートに誘いたいときなどに活用してみてください。
目次
大きな要求をスムーズに通すフット・イン・ザ・ドア・テクニック
小さな要求から本来の大きな要求につなげる方法を見ていきましょう。
小さな要求からはじめる「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」
通したい要求や提案が相手にはハードルが高いかもと感じるときは、小さな提案や要求から先に提示するとよいでしょう。
いったん小さな提案や要求を飲み込んでしまうと、そのあとの大きな要求や提案を承諾しやすくなるからです。
小さい要求や提案は、本命の大きな要求や提案と関係がなくても大丈夫。たとえば、「署名だけでもお願いできませんか」と提案すると、「これくらいなら」と相手も飲んでくれるでしょう。そのあと、「実はこの活動にご支援いただける方法があるのですが……」などの大きな要求をしても承諾してくれやすくなります。
この手法を「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」といいます。小さい要求からお願いすることで大きな要求をスムーズに通せるのです。
小さな要求はいくつか用意しておくとよい
フット・イン・ザ・ドア・テクニックを使いこなすには、あなたが通したい大きな要求にかわるダミーの小さな要求を複数個用意しておくこと。
新規事業のサービスをお客さんに購入してもらいたいなら、「アンケートにこたえてもらっていいですか?」「少しだけヒアリングに付き合ってもらえませんか?」「無料のセミナーに参加してみませんか?」などがあります。
そのあと、「モニターとしてお試しいただけませんか?」「期間限定で特別価格でご案内しているのですが、ご検討いただけませんか?」などと要求を少しずつ大きくしていくのです。
物販などの商品があれば、「試着・使用→レンタル→購買」の順番で要求を小出しにしていきましょう。レンタルのフェーズでは「保有効果」も作用します。保有効果とは、自分が現在所有しているものに高い価値を感じて手放すことに強い抵抗を持ってしまう心理作用のこと。これにより成約率は飛躍的に高まるでしょう。
効果が期待できないケースとは
フット・イン・ザ・ドア・テクニックの効果がない場合が2つあります。
- 小さな要求のあとの大きな要求が大きすぎる
- 最初の小さな要求が小さすぎる
最初の小さな要求のあとの大きな要求が大きすぎる場合を見てみましょう。
自動車を売りたいとします。最初の小さな要求が「このパンフレットをご覧いただいてもよろしいですか?」で、次の要求が「この300万の車種を購入いただくのはどうでしょうか?」では大きすぎです。間に試乗などを挟むとよいでしょう。
最初の小さな要求が小さすぎる場合。
意中の人をご飯に誘いたいのに、「消しゴム貸してくれない?」からはじめるのは要求が離れすぎです。社食やコンビニなどに誘う程度にはしたいですね。
フット・イン・ザ・ドア・テクニックで不利益を被らないために
フット・イン・ザ・ドア・テクニックの原理と身を守る方法を説明します。
要求が通りやすくなる理由
フット・イン・ザ・ドア・テクニックが有効なのは、はじめの小さな要求を受け入れることで、「もともとそれをしたいと思っていた」と自己解釈するためだといわれています。
また、「受け入れた」という状態を無意識のうちに保とうとする「一貫性の原理」という心理も作用していると考えられます。「最初の要求を飲んだから、その後の要求も飲まないと」と思ってしまうのです。
フット・イン・ザ・ドア・テクニックから身を守るために
フット・イン・ザ・ドア・テクニックの怖いところは、相手のお願い事がエスカレートしてしまうこと。
似た種類の大きな要請を承諾しやすくなるだけでなく、最初の小さな要求とほとんど関連しない大きな要求まで受諾しやすくなるのです。相手の要求やお願い事が自分にとって些細だと感じる場合でも注意が必要となるでしょう。
小さな要求を受け入れてしまい、その直後に大きな要求をされたら、いったん持ち帰らせてほしいと伝えましょう。
1回目の小さな要求から時間が経っているのなら、あえて受け入れ態勢を取り、こちらからも相手の要求を上回る大きな要求を提案します。これにより相手から断ってくる場合もありますし、そうでなくてもあなただけが不利益を被ることは避けられるでしょう。
相手へのお願い事が準備できなければ、「それ、貸しにしておきます」と笑顔で返すだけでも効果があります。
まとめ
最初にダミーの小さな要求を飲んでもらうことで、そのあとに提案する本命の大きな要求を承諾してもらいやすくなります。少しずつ要求を大きくしていくとよいでしょう。
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