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ワンオペ育児を乗り越えるために!パートナーへの働きかけや育児のコツ

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家事や育児の負担がひとりに偏ってしまう「ワンオペ育児」。ワンオペ育児がつらいと感じ、「なんとかこの状況を改善したい」と思っていても、考える時間さえないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、ワンオペ育児を楽にするコツを紹介しています。家庭によって事情が違いますし、育児に正解はありません。すべては当てはまらないかもしれませんが、ひとつでも負担を減らせるヒントを見つけてみてください。

この記事は書籍『 5万組を子育て支援して見つけた しない育児 』の関連コラムです。

ワンオペ育児の意味と定義

「ワンオペ」という言葉の意味と、ワンオペ育児とはどのような状況のことをいっているのかを説明します。

「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」を省略したもの

「ワンオペ」は「ワンオペレーション」を略したものです。ワンオペレーションとは飲食店などの営業を1人の従業員がすべての作業をおこなうことをいいます。ブラック企業、全ての業務をひとりでこなす過酷な労働状況が社会問題になったことがありました。ここから、ひとりで家事や育児を行うことを「ワンオペ育児」と言うようになったのです。

この「ワンオペ育児」という言葉は、2017年にユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされています。未婚の人が親の介護を1人で担う「ワンオペ介護」も話題となりました。

どこからがワンオペ?おもに1人で家事や育児を担っている状態をさす

どこからワンオペ育児であるといえるのかという明確なラインはありません。ひとりで家事や育児をし、負担に感じているならワンオペ育児の可能性が高いでしょう。

ひとり親である、パートナーが長期間不在である場合はもちろんですが、パートナーがいても非協力的な場合などはワンオペ育児になってしまいがちです。仕事を持つ女性も増えているなか、依然として家事や育児の負担のほどんどは女性がになっています。

ワンオペ育児になる原因

ワンオペ育児になってしまう原因は家庭によりさまざま。以下に当てはまるものがあれば、ワンオペ育児の可能性が高くなります。

パートナーが単身赴任などで不在

パートナーが単身赴任の場合、必然的に家事や育児をひとりで担うことになります。海外などの遠方だと、休日でも帰ってくることは難しいでしょう。赴任先についていくことができれば負担も軽減できるかもしれませんが、知らない土地での子育ては別の大変さがあるかもしれません。

また、共働きの場合は会社を辞める選択が難しいこともあるでしょう。さまざまな理由により単身赴任を選ばざるを得ない状況になり、ワンオペ育児になってしまうのです。

パートナーの仕事が休みであっても、協力をお願いできない状況はつらいものがあります。子どもに何かあってもすべてママの責任になってしまうので、プレッシャーも感じてしまうでしょう。

パートナーの仕事が忙しく、家事や育児に参加できない

パートナーの仕事が忙しくて家事や育児に参加できない場合も、1人に負担がかかっていきます。朝が早くて帰りも遅いとなると、協力をお願いするのも難しくなってしまうでしょう。共働きであっても、どちらかに家事や育児の負担が偏ってしまいます。

パートナーの仕事が大変そうだと感じ、子育てて大変なことや辛いことを相談できなくなってしまうことも。とくに専業主婦だと働いていないと言う引け目から言い出しにくいこともあるでしょう。すると、パートナーがいるにもかかわらずワンオペ状態になってしまいます。

家事や育児に対する意識の違い

自分も含めて家族や周りの人が、家事や育児は女性がするものという意識が強いと、ワンオペ育児になってしまいがち。とくに専業主婦の場合、家事や育児をするのは当然と思われやすく、辛さを訴えるのは甘えだと言われてしまう場合も。

働いていても、子どもが熱を出したら母親が仕事を休むべきだとなってしまいます。働いているかどうかにかかわらず、ひとりで家事や育児を行っていたらワンオペ育児だといえます。

パートナーの母親が家事や育児をすべて担っていた場合は、できて当然だと思っているかもしれません。一昔前は、祖父母との同居や地域のサポートがあり、助けてもらうこともあれば相談もできたでしょう。しかし、核家族化(夫婦とその未婚の子どものみで形成される家族)が進んでいる今は、完全にひとりで行わなければならないことが多い傾向です。

また、女性が仕事を持っていても関係なく、家事や育児は母親がするべきだと思われている場合もあります。

ひとり親である

離婚や死別などでひとり親になってしまったことにより、ワンオペ育児になる場合もあります。パートナーがいれば協力を求めることもできますが、ひとり親にはその選択肢がありません。また、生活のために働かなければならない人も多く、ひとりで仕事と子育てを両立するのはとても大変。ワンオペ育児と仕事で体力的・精神的に疲れ切ってしまうこともあるでしょう。

実家が遠いなど、頼れる人がいない

パートナーに頼ることができない状況でも、両親など子育てを手伝ってくれる人がいればある程度の負担を軽減することができます。一時的に預かってもらえたり、幼稚園や保育園の送迎をお願いできたりすれば負担も軽くなるでしょう。

しかし、気軽に頼れる人がいないと完全にひとりで担うことになり、ワンオペ育児になる原因になってしまいます。孤独を感じながら、不安や悩みをすべて抱えてしまうことにもなります。

ワンオペ育児の辛さ

ワンオペ育児の辛さは経験してみなければわからないもの。子育ては思い通りにはいかないことが大半です。発達には個人差があり、子どもにも個性があるので、試行錯誤しながら向き合っていかなければなりません。辛いと感じる状況は人によってさまざまですが、ここでは、多くの人が辛いと感じているケースをみていきましょう。

睡眠不足になりやすく疲れが溜まる

子育てしていると、ゆっくり眠ることができなくなります。3時間起きの授乳や夜泣きなどまとまった睡眠時間がとれません。出産での疲労が回復する間もなく、赤ちゃんのお世話が始まり、ゆっくり眠ることができない生活が始まるのです。

睡眠不足が続くと、日々の疲れが取れずに蓄積していき免疫力の低下にもつながります。ワンオペ育児ではゆっくり休むことさえ難しいのに、頻繁に体調を崩していては、ますます悪循環に陥ってしまいます。

また、自分では気づかないうちに集中力や判断力が低下。昼間でも睡魔に襲われることがあり、車の運転などには危険がともないます。メンタルにも悪影響を及ぼし、不安感やイライラを引き起こす原因にもなります。人は眠ることでストレスを解消できるといわれていますが、慢性的な睡眠不足になるとストレスも増加してしまうのです。

相談したり頼ったりできる人がいない

コミュニケーションの取れない子どもとずっと一緒にいるのは想像以上に疲れます。大人との会話がないと、ストレスがたまっていきます。不安や悩みを相談するのはもちろんのこと、子どもの成長をいっしょに喜べる相手は必要です。

近年は核家族が増え、地域とのつながりも薄くなっています。相談できない、子どもの成長を一緒に喜べる人がいないという状況は孤独を感じてしまいます

不安に思うことがあっても相談できる人がいないと、ひとりですべて抱え込むことになるでしょう。とくに新米ママは初めての子育てで不安なことばかり。あふれる情報を前にして、どうしたらいいのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。

体調不良などで、ひとりでは対応できないような状態でもなんとかしなければなりません。困ったときに気がるに頼れる人がいないのは心身ともに疲れてしまいます

自分の時間がつくれない

子育てに休みはありません。ワンオペ育児で家事や子育てに追われていると、自分の時間を思うようにつくることができなくなります。食事は立ったまま、お風呂に入ってもゆっくりできず、トイレの扉の前でも子どもが待っています。子どもが眠ったら溜まった家事を片付けなければなりません。

時間ができたらやりたいと思っていたことも毎日の忙しさから忘れていきがちで、ついには「やりたい」と思うこともなくなります。自分だけの時間を持って自分の気持ちを満たせていないとストレスが溜まり、自分が何を好きだったのか、何をしたいのかがわからなくなることもあるのです。ついには生きている意味まで見失ってしまう可能性もあるでしょう。

子どもが小さいうちは、まとまった時間をつくるためには誰かの協力が必要不可決。ワンオペ育児ではそれが叶いません。

体調不良でも休めない

ワンオペ育児の場合、自分が体調不良になってもゆっくりと休養をとることはできません。熱があっても子どものお世話は続きます。しんどいなか、子どもの食事やお風呂のことを考えなければなりません。嘔吐下痢など処理が必要な感染症に親子で同時にかかってしまうと大変なことになります。

多少の熱なら通常通り家事や育児をこなすことになるでしょう。日ごろの睡眠不足による疲れやだるさ、抱っこによる肩こりや腰痛、女性であればホルモンバランスの乱れなど、体に不調を感じても誤魔化しながら頑張るしかありません。慢性的な睡眠不足により、体力の回復が遅く、不調を抱えながら育児をしている人も多いでしょう。

自分の病院に行くことも困難であるため、万が一大きな病気が隠れていても気づかず、発見が遅くなってしまう可能性があります。慢性的に不調を感じているので、育児の疲れなのか、病気によるものなのかの判断も自分では難しいでしょう。

育児ノイローゼにつながることもある

ワンオペ育児では、睡眠不足による精神的な不調や孤独な環境が続くことになり、育児ノイローゼにつながる可能性があります。とくに女性は出産後のホルモンバランスの乱れによって自律神経が乱れやすく、精神的な不調が起こりやすいといわれています。

一生懸命に子育てをしている真面目な人ほどストレスを感じやすく、ひとりで抱え込むことで追い詰められてしまうのです。辛くても「辛い」と言えず、多くの不安やプレッシャーを抱えたまま休む暇もない状況は、徐々に心を蝕んでしまいます。

育児ノイローゼになると不安やイライラが続き、子育てに対して無気力になってしまいます。治療が必要な病気ですが、自分では自覚がない場合もみられます。完治するには時間がかかる場合もあるため、そうなる前にケアをすることが大切です。

ワンオペ育児は対策できる?男性の育児参加率について

近年は育児に積極的に参加する男性あ増えており、育児休業も以前より取得しやすくなっています。ここでは、男性の育児参加についての現状をみていきましょう。

男性の育児参加率

総務省から発表されている「令和3年社会生活基本調査」によると、6歳未満の子どもを持つ世帯の2021年の夫の育児時間は5年前と比べて16分増加し、1時間5分となっています。一方で妻は9分増えて3時間54分

家事時間は夫が13分増加して30分、妻は9分減って2時間58分です。

育児時間 2016年:49分
2021年:1時間5分
2016年:3時間45分
2021年:3時間54分
家事時間 2016年:17分
2021年:30分
2016年:3時間7分
2021年:2時間58分

「令和3年社会生活基本調査」(総務省)より

男性の家事や育児への参加率は増加傾向にはありますが、女性と比べると大きく差が出ていることがわかります。

育児休業は男性も取得できる

男性が仕事の都合で家事や育児に参加できないのであれば、育児休業を取得するという方法があります。育児休業は男女問わず使える制度で、2021年に「育児・介護休業法」が改正され、2022年から育児休業が取得しやすくなりました。

育児休業は産休後から子どもが1歳になるまで取得でき、分割して2回取得することもできます。一定の要件を満たせば最長2歳までの延長が可能です。

新たに創設された「産後パパ育休」では、出産後8週間以内に4週間までの休業を育児休業とは別に2回に分けて取得できます。また、企業に対して男性の育児休業取得促進が義務化されました。男性の育児休業の取得に対するハードルが低くなることが期待されています。

子育ては大変ですが、子どもの成長を見られて感慨深いものもあります。育児に参加したくてもできないと思っていた人は、育児休業の取得を検討してみるとよいでしょう。

育児休業の取得率は男女差が大きい

厚生労働省が発表した「令和4年度雇用均等基本調査」によると、令和4年度の男性の育児休業の取得率は、前年度から3.16%増えて17.13%でした。年々増加傾向にあるものの、女性の取得率80.2%と比べると大きく差があるのが現状です。

令和4年度 17.13% 80.2%
令和3年度 13.97% 85.1%
令和2年度 12.65% 81.6%

令和4年度雇用均等基本調査(厚生労働省)より

法改正されたことで男性が育児休業を取得しやすい環境が整いつつあります。企業に対し、育児休業の取得を理由とする解雇や降格などの不利益な取扱いを禁止することや、育児休業に関するハラスメント防止対策の義務付けがされました。

こういった制度も利用すればパートナーと協力し合うことが可能に。休業して家事や育児に向き合うことができれば、大変さがわかり、男女関係なく平等に家事や育児に取り組めるようになるかもしれません。子どもを育ててその成長を見守っていくのは幸せなこと。夫婦で協力して楽しく子育てができるようになるとよいですね。

ワンオペ育児をパートナーに協力してもらうコツ

パートナーが家事や育児に参加しないのは、「どうしたらいいのかわからない」からかもしれません。パートナーが育児に参加してくれれば……と思っている人も多いはず。ここでは、パートナーに協力してもらうためのコツを紹介します。

マニュアルやタスクの見える化で参加しやすくする

家事や子育てを毎日こなしている側からすれば「見たらわかるでしょ」と思ってしまいがちですが、やっていない側からすれば、「さっぱりわからない」ものです。少し大変かもしれませんが、子育てマニュアルを作っておくとパートナーも子育てに参加しやすくなります。

抱っこの仕方・オムツの替え方・ミルクの作り方や飲ませ方・泣いた時の対応方法などのお世話のやり方をマニュアルにしておくと、パートナーの育児参加をためらわせていたハードルが低くなります。自分でもできるとわかり、成功体験を重ねることで率先して育児に参加するようになるかもしれません。そのうちに子育てスキルが上がっていくでしょう。

また、離乳食の進め方・定期検診や予防接種のスケジュールなどをタスクとして見えるようにしておくことで、子育てのタスクの多さを知ってもらいやすくなります。「定期検診はどうだった?」など子育への関心を持ってくれるようになるかもしれません。

子どもがパパを好きになるように仕向ける

子どもがパパになついていたら、お世話をお願いしやすくなります。「大好き!」と言って子どもが駆け寄ってきたら、喜んで相手をしてくれることでしょう。日ごろから、パパの話を子どもに聞かせたり、子どもが好きな遊びをパパと一緒にしてもらったりして、お世話以外にも子どもと接点をもてるようにします。

パパがいないところでも、「パパが〇〇ちゃんのこと大好きって言ってたよ!」「パパすごいね!」「パパって、かっこいいよね!」などと言って、子どものパパに対する印象をよくしておきましょう

ただ、抱っこをしてもらうだけでもパパっ子になることがあります。ママは家事もしなければならず、ゆっくり抱っこしてあげる時間が取れないかもしれませんが、パパなら長い時間抱っこをお願いできるかもしれません。抱っこをしてくれるパパの仕事の帰りを心待ちにするようになる可能性もあります。

子どもがパパのことを好きになると、パパも子育てに喜びを感じ、積極的に参加してくれるようになるはずです。

パパと子どもを残して出かける

あえてパパと子どもだけを残して出かけて、お世話をせざるを得ない状況を作ってみましょう。パパと子どもだけにするのが心配なら、最初のうちは何かあればすぐに駆けつけられる距離に出かけるようにするといいかもしれません。実際に子どもだけと一緒の時間を体験してみると、子育ての大変さがわかり、その後も協力してくれるようになるでしょう。

パパが子育てに慣れていなければ、子どももパパのやり方に慣れていません。ママでも最初は苦戦したはず。初めは大変かもしれませんが、そのうちお互いに慣れていきます。危険がなければ手を出さないようにし、パパを信じて任せることが大切です。

何度か経験すると、パパにも自信がついてきます。パパが問題なく子どもと一緒に留守番できるようになれば、ママも気楽に自分の時間を楽しめるようになるでしょう。

できているから大丈夫だと思われているのかも?ママが頑張りすぎないこと

家事や育児を一生懸命頑張ってヘトヘト。本当は助けて欲しいのに、パパからしたら「ちゃんとできているから手伝わなくても大丈夫だ」と思ってしまっているかもしれません。

ママが無理に頑張らずに、「できない」と伝えてみましょう。態度で大変アピールをしても気付いてはもらえません。言葉で伝えることが大切です。お互いの認識の違いを知れば、イライラすることも減っていきます。

パパにお願いすると、時間がかかったり、理想通りにできなかったりすることもあるでしょう。オムツが歪んでいる、洗濯物がシワシワのまま干されているなど、ちょっと違うなと思う場面もあります。しかし、任せたのならグッと堪えて手を出さないようにしましょう。

「自分がやった方が早い」「こんなんじゃダメ」と言わず、やってくれたことに対して感謝することが大切。気になった点はさりげなく伝えるようにするとパパの意欲を損なわずにすみます。徐々に修正していけばよいと思いましょう。

すべてを完璧にやろうとせず、パパのやり方も取り入れながら、自分たちがよいと思える子育ての方法を見つけていけるといいですね。

ワンオペ育児を乗り越えるには

ワンオペ育児で辛いと感じているなら、少しでも状況を改善できるようにしてい句必要があるでしょう。自分の思い描く理想があるかもしれませんが、全てを完璧にこなすのがよい親だとは限りません。ひとりで頑張りすぎず、頼れるものには頼ってみるのも方法のひとつです。

家族やパートナーと話し合う

家族やパートナーと話し合うことで解決できることがあるかもしれません。子育てに対する認識が違ってしまっていると孤立してしまいがちです。感情をぶつけるのではなく、具体的に説明するとよいでしょう。家事や育児を経験していない人に「言わなくてもわかる」は通用しません。ラクにできていると思われているかもしれないのです。

大変なことや困っていること、「いつ」「何を」やってもらいたいと思っているのかを伝える必要があります。睡眠不足なので次の休みの日は眠らせてほしい、食事を作っている間にお風呂に入れてほしい、買い物に行く間は子どもをみていてほしいなど、具体的にわかりやすく伝えるようにしましょう。

また、家事や育児を「手伝って」いるととらえる場合、ワンオペ育児は解決しません。やらされている感があると、お互いに不満を持ちやすくなります。自主的に家事や育児に関わってもらうことが大切なので、お願いするときも「手伝って」という言い方は避けた方がよいでしょう。まるごと任せるようにすると、主体的な行動につながっていくはずです。

有料サービスを利用する

一時保育、ベビーシッター、家事代行などの有料サービスを利用するのもよいでしょう。自治体にも一時保育を利用できるサービスがあります。自分が住んでいる地域にはどのようなサービスがあるかを調べておくとよいでしょう。何かあったときにお願いできるサービスがあると知っておくだけでも安心できます

有料でお願いするのは気が引けるかもしれませんが、それにより気持ちに余裕ができれば辛さも和らぎます。限界を超えてしまうくらいなら、ときにはプロの手を借りて気分転換することも選択のひとつです。

専業主婦の場合、有料で子どもを預けることに抵抗があるかもしれませんが、子どもと離れる時間は必要なので堂々と利用してしまいましょう。一時保育で預かってくれた保育士さんからプロのアドバイスをもらえることもあるかもしれません。

子どもを連れていると買い物も一苦労ですから、食材や日用品などを配達してもらうだけでも疲れ方が違います。水回りの掃除をプロにお願いすればピカピカになり、気持ちまでスッキリできるでしょう。

利用できるものは、どんどん利用するべきです。辛さに耐えながらも子どもや家族に愛情を注ぐ母親像に美学を求めてはいけません。自分のことは自分が大切にしてあげましょう。

時短家電を取り入れる

時短家電を取り入れて、家事の負担を減らすことも可能です。たとえば、全自動洗濯乾燥機なら毎日の洗濯が楽になります。子どもは汚したり汗をかいたりして、服を着替えることが多く、洗濯物が増えてしまいがち。天気や花粉を気にすることなく乾燥までできるので、家事の負担が減るでしょう。

ロボット掃除機や食器洗い乾燥機も家事をラクにしてくれるアイテム。かなりの時間が節約できます。ミルクを作るのにはすぐにお湯が沸かせる電気ケトル、離乳食をつくるのにはすり潰す手間がなくなるフードプロセッサーやブレンダーが重宝するでしょう。

材料を入れて放置しておくだけで料理ができてしまう電気圧力鍋は、食事の調理時間を大幅に減らしてくれるので人気が高まっています。簡単に作れるので、家事に慣れてないパパでも作ることができるでしょう。

家事の負担を減らせる便利なアイテムは頼れる味方になります。自分が苦手だと思う家事を任せることができれば、体力的にも精神的にもラクになるでしょう。やりたくないことを手放すとストレスから解放されます。

完璧主義をやめる

ワンオペ育児をしていると心身ともに大きな負担がかかってきます。完璧にしようと思えば思うほど追い詰められてしまいます。育児に完璧はなく、完璧な親もいません。疲れていたり、時間がなかったりしたら適度に手抜きをしてもよいのです。

食事をお惣菜やレトルトにしたり、散らかったリビングの片付けは後回しにしたり。疲れて動けないくらいならお風呂だって1日くらい入らなくてもなんとかなります。家事も育児も完璧にこなしているように見える人は、実はほどよく手を抜くことができる人。ひとりでできることには限界があります。完璧にするために心をすり減らすくらいなら、適当でもゆとりを持って子どもと接したほうがよいのです。

また、できなかったことではなく、できたことに目を向ける意識を持ちましょう。できたことを積み上げて行くと、「今日も頑張った」と思えるようになります。

そして、休む時間にも価値があると考えることです。「のんびりしてしまったな」と反省するのではなく、「のんびりすることができた」と自分を褒めましょう。たまには部屋が散らかっていても、洗濯物が溜まっていても気にしないこと。完璧にしなくても親子が1日元気に過ごすことができたらOKなのです。

相談できる相手をつくる

育児の悩みを誰かに話すだけでも気持ちがラクになります。パートナー・両親や家族・気軽に話せるママ友などがいれば相談するようにしましょう。地域の子育てサークルに参加してみる、子育て支援センターや育児相談を利用するのもいいですね。近年ではSNSで交流したり情報を得たりする人も増えているようです。

同じ年頃の子を持つ親同士なら、共感できることがあったり、自分だけじゃないと安心できたり。子育ての先輩なら、思いもよらないアドバイスがもらえることもあるでしょう。

身近な人にも知られたくないような気軽に話せる内容でないのなら、専門家に相談することも可能です。悩みの解決策が見つかってスッキリできることもあるでしょう。市区町村では子育てに関する相談窓口があります。相談に乗ってもらい、必要なら専門機関を紹介してくれることもあります。

ワンオペ育児は孤立しがちで、誰かに頼ることが難しくなってしまいます。些細なことでも、悩みや不安な気持ちをひとりで抱え込まないようにすることが大切です。

自分の時間をもつ

子育てをしていると子ども中心の生活になってしまい、自分のことは後回しになりがちです。自分の気持ちを無視し続けているとストレスが溜まり、イライラして子どもにも優しくできなくなります。自分のやりたいことだけをやれるような自分の時間を持つことで気持ちがリフレッシュできるはず。すると、家事も子育ても頑張ろうという気力が湧いてきます。

ワンオペ育児では自分の時間など無理だと思うかもしれませんが、時間の使い方を見直したり、早起きして朝時間をつくったり、時短家電や託児サービスなども検討たりして、自分の時間を確保する工夫をしてみましょう。自分の時間が作れると思うと、自然と家事を効率的にこなせるようになることもあります。

自分の時間は、自分のためだけに使うことも大切です。やりたいことや趣味などに集中しましょう。家事や子どものことを考えないようにすることがポイントです。

スマホを見ながらダラダラ過ごすのも悪くありません。だたし、なんとなくスマホを見続けていたら時間が過ぎていたというのではなく、「この時間はスマホを見てダラダラする!」と決め、有意義にダラダラしましょう。

しなくてもいいことを手放す

現代は子育てに関する情報があふれています。「これをすべき」と言われているものをすべて実践していくのは不可能でしょう。あれもこれもと欲張って自滅し、うまくいかないことに思い悩むくらいなら、手放してしまった方がラクです。育児で絶対にしなければならないことは、実はそれほど多くはありません。

手放してみたらうまくいったというケースもあります。自分がやらなければならないと思っていたことが、パートナーがやってもなんら問題がなく、あっさりと解決してしまった。子どものためにと習い事にかけずり回っても、成長したらあまり意味がなかったなと思えることもあるでしょう。

ワンオペ育児で大変な人ほど、しなくてもいいことは手放すことを心がけるとよいでしょう。本当に大切なことを手放さないために、しなくてもいいことを手放すのは手抜きにはなりません。育児に正解はありませんし、大切なのはママが笑顔でいることなのです。

手放すとラクになる!しなくてもいいこと具体例10選

ワンオペ育児の負担を少しでも軽くするために、しなくてもいいことは手放すとよいでしょう。しかし、何を手放したらいいのかわからない人もいるかもしれません。ここでは、手放していいことと、そのかわりに意識したいことを具体的に説明していきます。

1.テレビやスマホを見せないのではなく、柔軟に使ってもよい

テレビやスマホを子どもに見せてはいけないという考え方もありますが、極端に見せ過ぎなければ大丈夫です。ママが夕食の準備をしている間だけテレビをつける、静かに座っていなければならないときにスマホを見せるくらいなら、人格や愛着形成に影響はないでしょう。

テレビもスマホもママが息抜きできるように、要領よく使うことがポイント。家事や育児に追われていると、ゆっくりできる時間がとれないことがほとんど。たとえば授乳中、一息ついてスマホを眺めたり、子どもと一緒に知育アプリを楽しんだりするのもいいのではないでしょうか。

ただ、中毒にならないようにバランスは大切。四六時中テレビやスマホがないとダメになってしまったり、子どもが話しかけているのにママがスマホに夢中で空返事になってしまったりするようなら対策が必要かもしれません。

2.授乳中のカフェインやアルコールもたまになら楽しめる

妊娠中や授乳中はカフェインやアルコールを控えるほうがよいとされています。妊娠中はもちろんですが、母乳にもカフェインやアルコールが移行してしまうからです。

ママが摂取したカフェインのうち、1%程度が3時間後に母乳に移行します。母乳から赤ちゃんの体に入ったカフェインは3日程度で排出されるそう。これをどう捉えるかは人それぞれですが、よほど大量に摂取するのでなければ大きな影響はないと考えてよいかもしれません。

アルコールの場合、摂取後30分〜90分程度で母乳中のアルコール濃度がピークになり、そこから2時間半〜7時間半程度で完全に体内から消えると言われています。つまり、飲酒の直前に授乳をし、2時間半〜7時間の間をとった3時間半あければ問題ないという計算になります。

お酒の量は、体重50kgの女性であれば350mlのピール1本、またはグラスワイン1本程度は許容範囲です。アルコール濃度の高いものは避けた方がよいでしょう。

いずれも、母乳に全く影響がないとはいえませんが、ママが大好きなコーヒーやビールを我慢してストレスを溜めるくらいなら、少し制限を緩めてもいいのではないでしょうか。

3.食べ物の好き嫌いは個性だと割り切る

食べ物に好き嫌いがある子どもは多いもの。とくに野菜を食べてくれないと悩むママは少なくありません。栄養面を心配して小さく刻んだり練り込んだりと時間をかけて工夫しても、食べてくれないとガックリきてしまいます。無理に食べさせようとしても食べてくれることはなく、イライラするばかり。子どもが食事の時間を嫌な気持ちになるものと思ってしまうと大変です。

子どもの好き嫌いは個性ととらえ、嫌いなものを無理に食べさせるのを諦めてしまうのも手です。他の食材が食べられていれば栄養面での心配はないことがほとんど。成長していくうちに食べられるようになっていきます。

小学校にあがって、給食が食べられなかったらどうしようと悩む人がいるかもしれませんが、給食のおかげで食べられるようになる子もいます。「苦手だけど食べてみよう!」と自分で思えるようになるまでには時間がかかります。食べられないのはママの責任ではありませんから、気長に待ちましょう

小さいうちは、野菜はお供え物だという気持ちで食卓に並べます。ある日突然、パクッと食べていたりもするので、食べなくてもみんなと同じように添えてあげるとよいでしょう。

4.トイレトレーニングは子どもの意思を優先するとラク

トイレトレーニングは2歳の夏が適しているという意見があります。2歳になるとしっかり歩けるようになり、意思表示もできるようになってくることと、夏は薄着で着替えがしやすく洗濯も乾きやすいという理由からきているようです。

しかし、これはあくまでも目安。成長には個人差があるので、「この時期に必ずオムツを外さなければならない」というわけではありません。トレーニング=訓練ととらえ、早くから初めてしまうと失敗も多くなります。失敗が続くと子どもにもママにも非常にストレスとなるでしょう。

子どもが自分から「パンツはく!」と言い出したら、すんなりとはずすことができるはずです。ママが神経を尖らせて一生懸命になっても失敗ばかりだったのに、あきらめてトレーニングをやめたらあっという間に外れたという話もよく聞きます。

オムツは必ず外れます。少しばかりオムツ卒業が遅くなっても子どもの人生に影響はありません。子どもの意思を尊重すると、大きな苦労なく外れていくでしょう。お友達が外れているのをみても焦らないことです。

5.イヤイヤ期は通過点!しつけの問題ではない

2歳頃になると、突如「イヤ!」が繰り返されるようになります。このイヤイヤ期は、子どもにとっては「選択」の練習をしている時期だといわれています。人は毎日、多くの選択をして生きています。水を飲むかお茶を飲むか、パンにするかご飯にするかなど、さまざま選択をしていますが、2歳頃の子どもには、この選択をする能力がありません。

お茶を飲むというのであげると「違う」、片付けると「ダメ!」、再びあげてもやっぱり違ってお茶をこぼし、今度はこぼれたことに「イヤー!」と大暴れ。本人は、飲みたいけど飲みたくない、お茶がいいけどお茶じゃない、というように「決められない」のです。何か違うけれど何が違うのかがわからない状態です。イヤイヤ期は選択ができるようになるための練習期間。親がしつけをすればなんとかできる問題ではないのです。そういう時期だと思って気長につき合いましょう。

イヤイヤ期には一緒に買い物に行くだけでも体力と精神力が試されます。どこにも出かけたくないと思うこともあるでしょう。走り回って大騒ぎする子どもと親に、周りにいる人たちから白い目を向けられているような気持ちになりますが、大半の人は心の中で応援しています。

イヤイヤ期は親であればほとんどの人が経験していること。当時を思い出して微笑ましくみている場合もあるでしょう。必要以上に恐縮することなく、イヤイヤ期を乗り切っていきましょう。

6.離乳食はマニュアル通りでなくても大丈夫

離乳食は最初の大きな関門だといえるかもしれません。10倍がゆからはじまり、量や硬さを調節しながら栄養も考えて作り、毎日決まった時間に食べさせます。素直に食べてくれればいいのですが、口に入れるのを拒否することも。なかなか離乳食が進まない子もいます。マニュアル通りに進まないと焦りを感じて、頭の中は次の離乳食のことでいっぱいになってしまうでしょう。

離乳食は生後5〜6ヶ月から始めるとされていますが、少しくらい遅れても大丈夫です。この頃に始めなければならないのではなく、この時期なら内臓の機能が整いますよということ。開始が7〜8ヶ月ごろになってしまっても問題ないでしょう。また、10倍がゆ・7倍がゆ・5倍がゆなど順を追って作らなくても、「おかゆ」ならOK!くらいの気持ちで問題ありません

子どもが複数いる家庭では、ひとりめはきちんと離乳症を与えたけれど、ふたりめ以降は適当で、いつの間にか普通の食事を食べていたなんてことも。それでも成長に差はありませんから、それほど神経質にならなくてもよいはずなのです。

授乳と並行し、「食事ごっこ」くらいの気持ちで慣れさせていきまししょう。食べてくれなくてあたりまえだと思えばイライラしないですし、マニュアル通りに進まないのが育児。行きつ戻りつしながら1歳半頃までかけてのんびり進めていけばよいのです。

ただ、アレルギーを持っていると危険なこともあるので、その点は注意してあげましょう。

7.手づくりだけが愛情ではない!無理しないことが大切

通園グッズやおやつなど、手作りをするべきという考え方は今も残っているようです。手作りこそママの愛情だと思う人がいるかもしれません。手作りが好きで得意な人はよいですが、時間がなかったり苦手だったりすると負担になってしまいます。

しかし、子どもが望んでいるのは、手作り品ではなくママの笑顔。子どもたちと向き合う時間を削ってまで手作りをする必要はありません。ベビーフードやレトルト食品を使っても大丈夫。通園グッズも既製品で構わないのです。手作りだけが愛情ではありません。

もちろん、「手作りするのが大好き!」という人はどんどん作ってあげましょう。子どものために何かを作る時間は幸せを感じられることでしょう。作ることでママが笑顔になっていたら、子どもも喜ぶはずです。

要は、やりたくないことは無理にせず、やりたいことをやっている姿を子どもにみせることが大切だということ。手作りは無理なくできる範囲で楽しめるといいですね。

8.早期教育や習い事は子どもにも親にも負担のない程度に

まだ歩けない頃から始められる習い事も多くあります。時間にも経済的にも余裕があるならよいですが、無理に習わせる必要はそれほどないかもしれません。嫌がっているのに無理やり連れて行くのは、エネルギーの無駄遣いになってしまう可能性が高いでしょう。ある程度成長して、子どもが自分の意思で「やりたい」と言ったときからでも遅くはありません

たくさんの習い事を掛け持ちするよりも、ひとつに絞った方が集中できて身につく場合もあります。とくに兄弟姉妹がいれば経済的・時間的制約も増えてしまうので、子どもの意思を尊重しながら厳選するとよいでしょう。

小さいうちから始める場合や、住んでいる環境によっては送迎が必要になってきます。それほど時間はかからないと思っていても、時間が制約され、毎週続くと大変さを感じるようになることも。無理なく続けられるかどうかもじっくり検討しましょう。

近年はオンラインでできる習い事も増えてきています。家でできれば、送迎の必要がないので負担も軽くできるでしょう。家の近くでは見つからないような習い事も可能です。気になる習い事があれば、探してみるとよいでしょう。

9.子どもの不登校で親ができるのは見守ることだけ

子どもが不登校になったら、育て方や環境が悪かったのかと自分を責めてしまいがち。しかし、不登校にはさまざまな原因があり、親だからといってすぐに解決することは難しいものです。

部屋にこもり、昼夜逆転した生活を送る子どもの姿に親は心配でたまらなくなりますが、このとき子どもは社会から距離を置いて自分の命を守っているのだと考えましょう。学校に行けなくなるくらいまで必死に頑張って、限界になってしまった状態です。親も辛いですが、子どもも苦しんでいるはずです。子どもの気持ちを受け入れて、ありのままの子どもの存在を認めてあげることが大切。

安心して過ごせる家で心身ともに休ませてあげることを優先しましょう。回復したら「学校に行きたい」という欲求が出てくると考えられます。難しい問題ではありますが、親は特別なことをしなくても、見守ってあげるだけでよいのです。

10.フル稼働で働き続けるのではなく、休むことも大切

家事や育児は365日24時間フル稼働です。休んでいる暇はないと感じるかもしれませんが、休むことは義務だと思い、家族に対しても仕事に対しても「休みます」と言う勇気を持ちましょう。育児中であっても、子どもから離れて自分の時間を楽しんだり、ぐっすり眠ったりする時間を失ってはいけません。

頑張りすぎるといつか壊れます。ママが倒れてしまったら、子どもはどうなるのでしょう。そんなことにならないように、気持ちにゆとりを持てるように、しっかりと休むことが大切です。

休むことに罪悪感を持ってはいけません。繰り返しますが、休むことは義務だと思うべきです。しっかり休んで思いっきりリフレッシュし、スッキリした気持ちでまた育児や仕事に向き合っていきましょう。

ワンオペだからこそ笑顔になれる育児を

家事や育児をひとりで行なうワンオペ育児。思い通りにいかないことばかりで、いろいろなものを我慢しながら頑張っていることと思います。そんなママたちに、少しでもラクに、笑顔でいられるコツを紹介しました。子育てに正解はありません。ママや子どもが笑顔でいられることがいちばん大切なのです。

12人産んだ助産師HISAKO著の『5万組を子育て支援して見つけた しない育児』には、子育てに奮闘しているママが自分らしく笑っていられる方法がぎゅっと詰まっています。

「しなくていいこと」と「そのかわりにするならこっち」が項目別に紹介されており、「これ、無理にしなくてよかったんだ!」とわかることで心が軽くなっていくでしょう。疲れたなと思ったときに元気をもらえる1冊です。

この記事は書籍『 5万組を子育て支援して見つけた しない育児 』の関連コラムです。