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お金はどう増えるの?世に出回る仕組みを解説

東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった!
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まだお金の存在がなかった時代は、モノとモノを交換していました。しかし、効率が悪いため徐々にお金に価値が出始めて、紙幣や硬貨が使われるようなったのです。

では、どのようにお金は増えていったのでしょうか。今回は誰にでも経済を分かりやすいように、日本を100人の島に例えて解説した書籍、『東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』から、内容を一部抜粋してご紹介します。
私たちがいつも使っているお金がどのように増えて、世の中に出回るのかなどについて解説していきます。

お金は政府から発行されている

100人の島では、住民たちに出回ってるお金の「エン」を、毎年政府に❝税❞として払わないと逮捕されてしまうというルールがあります。しかし最初から島の住民は、誰1人としてお金を持っていませんでした。

誰もお金を持っていない状態なので、「まず政府がエンを作って、住民に行き渡らせる」ところからはじめなければ、税を払うためのエンが島に存在していなかったのです。

そこで政府は、最初にお金を配るため住民に呼びかけをしました。

  • 公務員になったら月に20万エンあげるよ
  • 病気で働けない人には月20万エンあげるよ
  • 学校と防波堤を作ってくれた人には200万エンあげるよ

こうした政府のおこないによって、島の住民にお金が行き渡り、❝を支払うというルールを守れるようになったのです。

国債によってお金が増えるときもある

お金が世の中に出回る仕組みとして、政府から発行される以外にも国債によって増える仕組みがあります。

国債の債は、借金という意味です。つまり、国が借金をして発行している債券のことです。

ここでは国債によってお金が増える話を、100人の島とそっくりなニッポン島という島を例えに解説していきます。

ニッポン島でも、お金のエンが流通しています
ただ、100人の島と違うのは、政府の中にある「エン印刷係」が独立し、政府とエン印刷係が分かれているところです。

ニッポン島でエンを発行できるのはエン印刷係だけですが、政府に反抗するような形で、好き勝手にエンを発行することはできません。
「住民のルール」により、政府が親会社で、エン印刷係が子会社になっているからです。

政府は「そのうち105万エンと交換できる券(国債)」を住民に100万エンで買ってもらいます

政府は住民から受け取った100万エンを使って、公務員へ給料を支払ったり、ダムや公園を作る建築費を払ったり、年金や医療費や子育て支援などの支払いをします。

一方でエン印刷係は、約100万エンを発行して、住民が持っている「そのうち105万エンと交換できる券(国債)」を買い取ります。
こうして新たにエンが発行されて、住民の手元に100万エンが行き渡りました。

結果的にどうなったでしょう。

エン印刷係は政府から「そのうち105万エンと交換できる券(国債)」を買ったことになります。つまり、政府がエン印刷係に105万エンの借金をしていることになりました。

しかし、エン印刷係は「政府から105万エンを返してほしい」とは考えません。
なぜなら、エンを発行しようと思えばいくらでも発行できるからです。というのも、政府とエン印刷係は、2つセットで」なので、100年後に返してくれてもいいし、返してくれなくてもいいと思っています。

実際には、国債によってニッポン島にエンの量が増えた」のと同じことになります。

お金を財産だと勘違いしている?

お金は国のルールの中でしか価値がありません。人は他人よりお金や高価な宝石を持っているだけで、自分にはたくさん「財産がある」「他人より偉い」などと勘違することがあります。

国が崩壊してしまえばお金や宝石には価値が無くなってしまい、財産だったお金はただの紙切れになります。

100人の島にたくさんのお金と宝石を持っているトラがいました。
そのトラは、いつも他人に対して威張っています。
「一番金持ちのおれは、この島で一番強い」

そんなトラにネコたちがいいました。
「いや、きみは島で一番ではないよ。一番強いのは国だよ。きみが財産を所有できているのは、国がルールでそれを許してくれているからさ」

トラは笑いながら言いました。
「国が無くなっても、おれは宝石100個と1億エンを持っているから大丈夫さ」

トラはお金や宝石があれば、国が無くなっても財産を持ち続けられると勘違いしているのです。

ある日、100人の島に革命が起こり、国が無くなりました。
国が無くなり「所有」というルールがなくなったので、ネコたちはトラの家から全ての宝石を奪っていったのです。

トラはあわてて叫びます。
「その家も宝石もわたしのものだぞ!この権利書を見ろ!公務員を呼べ!裁判を起こすぞ」

ネコたちは言います。
「国が消えたから、ルールも消えたよ。公務員はもういないし、その権利書は紙切れさ」

トラは全ての財産を失ってしまいました。
国がルールで守ってくれていたから財産を所有できているだけだったのです。

まとめ

お金が増える仕組みは、まず政府がお金を発行します。そして公務員や国の施設を作った人に円を配るなどして、国民にお金を流通させます。または国債を発行しすることで、お金を流通させることも可能です。

また、お金自体を財産と勘違いしてはいけません。国家が「暴力の独占」を元に、社会秩序をもたらしているから、「所有」という秩序があるだけです。
大切なのはお金でも宝石でもなく、人としての人間性に価値があるということでしょう。

東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!』では、今回ご紹介した内容の他に、「国や政府の役割」「景気と物価」などのとっつきにくいお金の話を、シンプルに分かりやすく解説しています。興味がある方は、ぜひ本書をご覧ください。


東大生が日本を100人の島に例えたら 面白いほど経済がわかった! ムギタロー(著)、井上智洋、望月慎(監修)

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