新刊のコラム

日本のビジネスが世界より10年遅れている理由

#新刊のコラム

世界のビジネス一等地、ニューヨークのビジネスパーソンに愛読されている「ニューヨーク・タイムズ誌」で紹介された本の中から、まだ日本語訳されていない「原書」を中心に著者が衝撃を受けた50冊をまとめた新刊『逆襲のビジネス教室』よりご紹介します。

日本とアメリカの大きな違い

私たちの暮らしはいまや、オンラインでもリアルでも、どんどん「便利に」「快適に」なっていますが、そのほとんどは海外で作られた「ビジネス」だと言えます。
Amazon・Netflix・Instagram・Google・イケア・H&M・スターバックス……例を挙げればキリがありません。それらのビジネスが、私たちの生活の大半を支配しています。

「常識の範囲内で」成果を出す日本

日本という国は、国民に「最適解を出す」教育を施し、「最適解を出す」仕事に集中させることにより、大きな経済成長をとげてきました。
ところがその弊害として、その周囲の批判を必要以上に怖がったり、他人の挑戦を妬むような人が増えてしまったのです。それだけではなく、そんな自分たちの習性を“自覚できない人”があふれてしまいました。

非常識さに「鈍感」なアメリカ

アメリカは違います。特に多様性の都市・ニューヨークという場所は、誰かの失敗や非常識さに対してあまりにも「鈍感」です。これは「性格や国民性の違い」といった理由では片付けられないでしょう。人種、文化、宗教が入り混じり、あらゆる価値観が回遊しているため、おそらく現実問題として、常識をコントロールすることなんてできないのです。

優秀な人材選びにクレイジーなNetflix

『NO Rules Rules and Netflix and the Culture of Reinvention』 リード・ヘイスティングス/ エリン・メイヤー(著)より

「量」より「質」にこだわる

2001年、NETFLIXはインターネットバブルが弾けたとき、社員の3分の1をレイオフ(一時解雇)しました。すると、残された人たちは、なぜか驚くほど生き生きと楽しそうに働きはじめたのだそうです。社員のモチべーションを高める上で、最も重要なのは「能力密度(talent density)を高めること」だと気づいたのだそうです。

この価値観に基づいて人事を行い、ネットフリックスは急成長をとげました。「レイオフ前は120名だった。レイオフ後には上から優秀な80人だけを残した。会社全体としての能力は減ったが、一人当たりで見ると能力は高まった。つまり、能力の密度が高まった(※1)のだそうです。

上も下もなく、全員に原則を守らせる。

またネットフリックスには、組織としての鉄の掟があります。この掟の前では、今日入社したばかりの人でも、マネージャーでも、創業者でも平等に扱われるのだそうです。 「私たちは、家族ではなく、プロスポーツチームだ。プロスポーツチームは次のことが求められる。

・すぐれたパフォーマンス。すべてのポジションに最適な人材を配置すること。
・全員が勝つこと。勝つための、フィードバックを集める。
・全力を尽くしても並の結果しか出せないなら、喜んで、別のプレイヤーに譲る。
・個人プレイだけではなく、人と働くことが得意でもなければならない。自分のエゴよりもチームを優先させられる人であること」 (※2)

プロスポーツプレイヤーは「そのポジションで期待されているパフォーマンス」を満たせなければ、給料を減らされるか、 そのポジションを奪われ、他のプレイヤーに取って代わられるだけです。 その厳しい原則を、経営者自身にも適用しているのがネットフリックスのすごいところ。上も下もなく、すべての階層に適用される絶対ルールがあるからこそ、スタッフたちのモチべーションも高く保たれるのでしょう。一人ひとりに「自分がやらなければ」という強い意識を持たせたい。アメリカと日本との差について、とかく技術力や発想力が注目されがちですが、その差を埋めるには、実は「組織をいかにシンプル化できるか」にかかっているのかもしれません。