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なりたい自分になれる! 人生を豊かにする新時代の目標設定術/安藤美玖(@miku427x)

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今年の年始に立てた目標は実現できましたか? まさか、覚えてすらいない? 目標を実現できないのは「達成できる目標設定の仕組み」を知らないから。数々の夢を叶えてきた安藤さんから目標設定の方法論を学び、夢に近づく第一歩を踏み出しましょう!

なぜ目標設定をするの?

「目標設定」という言葉を聞くと、「達成しなければならない」と思ったり、堅苦しいイメージを持ったりする人も多いかもしれませんね。でも、私にとって目標設定とは、自分をさらにハッピーにしてくれるものです。誰かにいわれてするものではなく、自分の人生の意味を見つけ、人生を豊かにしてくれます。

なぜ、目標設定をすることが大切なのか、まずはデータ目線で見てみましょう。アメリカの目標設定に関する調査によると、目標や計画をきっちり紙に書いている人が3%、人生の目標についてしっかりした考えを持っている人が10%、お金に関する目標しかない人が60%。残りの27%は目標がなく、将来のこともほとんど考えていない人でした。

この人たちがどのような状況にいるかというと、目標を紙に書いている人は「かなりの成功を収めている」。人生の目標について考えを持っている人は「まあまあ順調な人生を送っている」。お金に関する目標しかない人は「いわゆる『つましい生活』を送っている」。目標がなく、将来のことも考えていない人は「公的支援などの施しを受けて生活している」という結果になりました。

また、ハーバード大学の研究チームが、1979年に学生に対して行った調査では、目標を持っていない人が84%、目標は持っているが紙には書いていない人が13%、目標を持っていて紙に書いている人が3%。10年後、目標を持っていない人や紙に書いていない人に比べて、目標を紙に書いている人の年収は10倍になっていたという結果が出ています。

こうしたデータから見ても、目標設定の大切さ、特に紙に書くことが大事だということがわかっていただけたのではないかと思います。

目標設定のゴール

ところで、目標設定のゴールは“目標達成”なのでしょうか? 実は、達成にゴールを置いてしまうと、達成した先に大きな喜びがなかったり、思ったより満たされなかったりすることがあります。みなさんも経験があるのではないでしょうか。

大切なことは、「どう目標を達成するか」ではなく「何を目標に設定するか」。それによって幸福度も変わってきます。

ポジティブ心理学の創設者であるマーティン・セリグマン博士が、幸福感には3つのタイプがあると発表しています。

時間的にも幸福度的にも低いのが「Pleasure(プレジャー)」、喜びの追求です。たとえばおいしいものを食べる、欲しかった洋服を手にいれる、というのは一時的な幸福ですよね。

「Engagement(エンゲージメント)」は夢中の追求で、少し幸福度が上がります。ゲームやドラマに熱中して「気づいたら1時間が過ぎていた」というのは、誰もが経験があると思います。

そして、持続度も幸福度もいちばん高いのが「Meaning(ミーニング)」、意味の追求です。自分の使命や本当にやりたいことを追求していくことが、幸せに値する—とポジティブ心理学ではいわれています。

つまり、目標設定のゴールは、目標を達成することではなくて、目標設定を通して、目標に向かって何かに取り組むことで、自分の人生の意味を見つけ、毎日を豊かに生きていくこと。こう考えるとワクワクしませんか? 目標設定は「人生の意味を見つけ、毎日を豊かにする相棒」と私は呼んでいます。

目標設定で大切な3つのポイント

目標を立てたあと、「どのようにやるか」=Howばかりを考えてしまう人が多いと思いますが、最初は考えなくても大丈夫です。

脳には“RAS(Reticular Activating System)”という機能があります。得たい結果を手に入れるために必要な情報を、脳が勝手に集めてきてくれるのです。たとえば、「赤のワンピースが欲しい」と思ったら、街中でも雑誌でもやたら目につくようになった—というような経験はありませんか。「欲しい」「行きたい」とイメージすることで、情報が勝手に集まってくれるのです。

明確にゴール設定がされると、脳内でRASが発火し、無意識にゴールへ向かうことだけが起きてくる、という状態に入ります。ですから、まずは明確なゴールを立てることに注力することが大切です。

①「What」何がしたいかを思い描く

何がしたいのかを思い描くのは大事です。たとえば、会社で「今年の目標は?」と聞かれて、「なんとなくこうしなきゃな…」「これくらいの数字出せばいいかな…」みたいな感じで答えたことはありませんか。周りからの「こうしなければ」=Have toで目標設定してしまうことは多いと思います。

でも、そうではなく、自分の感情に素直に、心から思うこと「こうしたい」=Want toを大切にして設定することが大事です。「しなければならない」で決めた目標は、自分ではなく“誰か”が決めたゴールにしかすぎません。そのゴールを達成したところで、自分の人生の意味を見出すのは難しいでしょう。

そして、本当の幸せは「精神的(内的)な目標」から得られます。裕福になりたい、有名になりたい、痩せてキレイになりたい、といった「外的な目標」だと、常に未達成の不安を抱え、達成したところで幸福度が上がらないという調査結果があります。ですので、自己成長したい、親密な人間関係を築きたい、社会に貢献したいといった「内的な目標」も意識して立てるとよいと思います。

②「Why」なぜやるのかを明確にする

そして「Why」=なぜやるのかを明確にしましょう。Whyと向き合い続けることで本当にやりたいことがわかり、「したい」で生きる自分になれます。

たとえば、「やりたくないけど、しなくちゃいけないから掃除しよう」「上司にいわれたからここまで報告しよう」などというのは他人軸ですね。一方、「○○したい」というのは自律的、内発的動機付けになります。

「しなくちゃな」ということを繰り返し考えていくと、自分の「すべきこと」「したくないこと」、「したいこと」が見えてきます。「やりたいことが見つかりません」という人は、Whyを問い続けていくことで、自分のやりたいことが自律的に、自分軸で選べるようになります。

③「When」いつやるのかを決める

効果的に期限を設定するための3つの方法があります。
まずは①現実的であること。レベルが高すぎて現実的ではない目標は、「無理、怖い」と脳が判断し、RASが発火せず情報が集まってきません。

短めであること。つい「1か月だと不安だから半年にしよう」とやりがちですが、期限が短いほうがRASが発火しやすく、いい結果が出やすい傾向にあります。

そして③すぐに実行できること。大きい目標を描いて来月から、来週から…と先延ばしにするのではなく、アクションステップを区切った上で、今日できることから始めるのが大切です。おぼつかなくてもいいから、まずは1歩を踏み出しましょう。

夢は、達成するまでの期限を決めないと、夢のままで終わってしまいます。期限は前進するための原動力になるもの。うまくいかなかったら何回決め直してもいいので、まずは設定して、やってみましょう。