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会社でYouTubeをやるなら、これだけは押さえておけ!/MEGWIN

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YouTubeが始まる前から動画配信『MEGWIN TV』をスタートし、今では登録者100万人の人気YouTuberとして活躍するMEGWIN(メグウィン)。動画制作会社まで設立した彼が、企業チャンネルを運用する際に絶対に押さえるべきポイントや収入につなげる方法を伝授します!

プロローグ ~自己紹介~

お笑い芸人から動画配信の道へ

僕はもともと病院勤務の臨床工学技士。でも、競馬が大好きで馬主になりたかったので、稼げそうなお笑い芸人に転身しました。動画をつくり始めたのは、ネタの合間の着替えている時間になにか動画を流そうと思い立ったのがきっかけ。
実際にやり始めてみると動画のほうがウケて、じゃあ全部動画でやってやるよ!ということで、2005年にインターネット放送局『MEGWIN TV』を開局したんです。

当時はまだブログが浸透し始めたくらいの頃。YouTubeもまだ始まっておらず、親には「ペテン師!」と言われて勘当されました(笑)。でも「とりあえず死ぬまでやろう」「おじいちゃんになったときに人生を振り返ることができたらおもしろいんじゃないか」と思い、毎日動画をつくっては投稿していました。

2年くらい経つと動画ブームがやってきて、動画投稿がお金になるように。ダイエット動画の企画をおもしろがってくれたタニタの社長からは、一緒に会社をやりませんかと言われて、株式会社MEGWIN TVも設立しました。おそらく、世界でこんなに動画歴が長いのは僕くらいだし、YouTube本もいち早く発売している。その実体験とリサーチデータをもとに、会社でYouTubeを始める際に絶対に必要なポイントをお伝えしていきたいと思います。

【1】 知っておきたいYouTube

YouTubeってなんだろう?

■1分間に全世界合わせて[300時間]の動画がアップされる
1年前に調べたときは100時間だったので、すごい増加率です。これは、自分の動画が見られない確率が高いということ。どんなに渾身の作品でも、再生されるのは奇跡に近いんです。

■月間ユニークユーザー数は[15億人]
ちなみに中国やインドの人口は13~14億人程度。YouTubeは世界を相手に戦える可能性を秘めています。

■検索エンジンとして世界で[第2位]
1位は言わずと知れたGoogleですが、その次がYouTube。つまり、検索されるワード選びが重要になります。

■日本は世界で[5番目]に視聴されている国
日本語がメインなのに、けっこう視聴されていますよね。日本は世界でも珍しく母国語で行ける国なんです。

【2】YouTubeとテレビの違い

テレビのほうが勝っている?

YouTubeの特徴をテレビと比較してみましょう。以前、テレ東で半年ほどレギュラー番組をやっていたことがあって、しかもそのスポンサーがうちのアカウントを管理している事務所だったので、テレビの世界もなんとなくわかります。

まず、テレビの特徴はこんな感じ。

・コンプライアンスが強い
・クオリティが高い
・スポーツに強い
・時報が正確
・ネットがなくても見れる
・インフラが整っている
・有名人が出演
・映像のプロフェッショナル集団

この中で、YouTubeのほうが勝っているといえるものはどれでしょうか。僕は、「コンプライアンスが高い」と「時報が正確」以外は全部勝てる、もしくはすでに勝っているのでは?と思います。

たとえばクオリティ。映像の質でいえば、テレビのロケで使われている機材より僕の機材のほうが最新で高価だったりします。内容の質でいえば、YouTubeでは登録者10万人以上のチャンネルが800を超えました。いろんなベクトルがありますが、テレビのほうがクオリティが高いとは一概にはいえないんじゃないかと思います。

CMを流すときの違い

じゃあ、CMを流そうとなった場合、YouTubeとテレビではなにが違うのでしょうか。

YouTubeのCMは、見た人数や、見た人の年代・性別などがはっきりわかります。見てほしいターゲット層にちゃんと届いているか、効果測定ができるんですね。一方、テレビCMは視聴者数も属性もふわっとしていて、ターゲット層が見ているかどうかはわかりません。

また、YouTubeのCMはインフォマーシャル。以前、大手旅行会社から依頼されたCMは、僕が「0円旅」をするという5分間のものでした。視聴者も「見ていて楽しい」と言ってくれて、ネット上からそのまま実際の購買にも繋げられるわけです。テレビでは、視聴者が求めているとは限らない内容のCMが約15秒×数回流れる、という感じですよね。

CMを流すチャンネルを大勢のYouTuberから選べるのも、YouTubeのメリット。平均再生数もだいたい確保できます。僕らのチャンネルも、平均再生数20万回程度をだいたいいつもクリアしています。テレビのスポットCMだと、キー局・地方局・ケーブルテレビくらいからしか選べませんし、視聴率が伸びるかは番組の企画次第で決まってしまいます。

【3】YouTuberチャンネルと企業チャンネルの違い

YouTubeでの「売り物」は?

いよいよ、本題の「企業チャンネル」とはなにかに迫っていきたいと思います。YouTuberチャンネルと企業チャンネルの大きな違いは、YouTubeでの「売り物」が異なる点。

僕らYouTuberの売り物は、主に「再生数」。再生数をお金にしています。たまにライブをやったりTシャツを販売したりもしますが、ほとんどはYouTubeからの収益。

一方、商品を扱う企業の場合、売り物は「商品」です。たとえばある中古バイク店の場合、YouTubeからの収益は1割ほどで、あとはバイク販売やメンテナンスによる収益。動画をきっかけに商品を購入してもらうという方法です。

マッサージ店などの場合は、売り物は「サービス」になります。あるマッサージ師は、施術の動画をYouTubeにアップして集客に繋げ、ほぼ毎日予約でいっぱいだそうです。

企業チャンネルで必要なこと

僕らのような「再生数を売る」チャンネルと、「商品・サービスを売る」チャンネルとの違いを、次の10項目で比較していきましょう。

■再生数
YouTuberチャンネルでは当然必要になりますが、企業チャンネルでは「多いに越したことない」くらい。

■ターゲット
再生数を稼ぐためには幅広く狙う必要がありますが、企業チャンネルでは商品やサービスによってターゲットを絞ります。

■更新頻度
YouTuberは毎日更新。企業チャンネルは週2回以上がベターです。

■ネタ
旬なことは検索されやすいので、再生数アップに繋がります。企業チャンネルの場合は、扱う商品やサービスの中で旬なことを動画にするのがベスト。たとえばテニスラケットメーカーなら、新入部員が入る時期に関連した動画をアップするなど。

■公開までのスピード
YouTuberはこれが本業なので早くて当然ですが、企業でも制作や公開のサイクルに慣れてしまえば早いです。

■コンプライアンス
YouTube内でもコンプラはないようであります。僕らは、YouTubeとMEGWIN TV両方のルールに則っています。たとえばMEGWIN TVでは政治的なことはやりません。以前、たまたまテーブルに国旗を敷いていたら、「MEGWIN国旗敷いてる」というコメントが速攻来たりして、やっぱり敏感な人が多いカテゴリなんですよ。企業チャンネルでも商品・サービスによっては意識が必要です。

■デジャブ感
これは、動画を見た人がその場所に行った瞬間、「ここ動画で見たとこだ!」と感じるかどうか。「いつも見ている場所に来た!」という感動や、「初めて来たような気がしない」という安心感を視聴者に与えることができます。とくにお店を営んでいる方に重要な項目です。

■YouTuberとのコラボ
僕らはお金を取り合いにくいので簡単にできますが、企業チャンネルでも意外とできます。僕も、方向性が合う企業やお店の動画には出演したりしています。

■専門知識
YouTuberはなにに対してもほぼド素人。一方で企業には、商品やサービスに関する専門知識があるので、それを活かさない手はありません。

■予算
予算がある点も企業チャンネルのメリット。MEGWIN TVは会社なので制作費がありますが、個人のYouTuberはない場合が多いです。

【4】企業チャンネル動画制作の基本

自分が好きな動画は作るな!

この4サイクルを続けるのがYouTuberの仕事。企業チャンネルでも同様です。

でもこれより最初にやるべきことは、最終的な目標を決めること。再生数をどうお金にするかを決めるということです。

コスメメーカーなら、メイク動画をアップすることで商品販売に繋げる。ゲーム会社なら、ゲーム攻略法を紹介することでゲームのダウンロードに繋げる。ほかにも、商品やサービスの認知度向上、自社サイトへの誘導などが挙げられます。

そしてもうひとつ重要なのが、自分が好きな動画は作るな!ということ。顧客となりうる人が必要とする動画をつくらなければ意味がありません。

『ポケモンGO』がリリースされたとき、僕らは『ポケモンGO』チャンネルをやっていました。これで世界一をとる!と意気込んで、朝の山手線を何周もしてポケモンを捕まえたり(笑)。初期から本気でやっていたので僕らのアカウントはトップレベルで、動画の再生数も40万回を突破。その期間だけでかなり稼いだし、ゲームCMのオファーもたくさん来ました。

つまり、このときは『ポケモンGO』の動画が世の中で必要とされていたということ。いつものコメディ動画も保険として密かにアップしていたんですが、再生数は8万とかでした。隣で同じ発信者がどんなにおもしろいことをやっていても、必要とされていないものはまったく見られないんですよね。

企業が見てほしいものをつくっても、お客さんは見にこない。「この商品・サービスはこんなにあなたの役に立ちます」「あなたの世界がもっと変わります」ということをいかに伝えるかが大事なんです。

企画・撮影・編集・アップの4サイクル

■1. 企画
押さえるべきポイントは、「商品を紹介する」「季節感が出るネタを作る」「ユーザーエンゲージメントを高める」の3つ。

季節感というのは、今流行っているワードを取り入れるということ。なぜなら検索される確率が高くなるから。たとえばある中古バイク店は、東京に雪が降った日に、格安スパイクをつけたバイクで雪の上を走ってみるという動画をアップしていました。これはバイクやスパイクを売るためではなく、新規のバイク好きのお客さんを集客するという目的です。

ユーザーエンゲージメントの向上とは、ユーザーとの「結びつき」や「共感」を高めるということ。この中古バイク店は、バイクの知識を活かして「エンストしない半クラッチの方法」など、免許合格のコツを教える動画をアップ。それを検索する人は全国各地にいっぱいいるので、全国からバイクの発注がかかるようになったそうです。

このバイク店では、オーナー自らが納車しに行くというYouTuber特有のサービスをやっているので、彼が来てくれるなら買うというお客さんも多いんでしょうね。しかも、納車後の空のトラックを有効活用するために、バイクを売ってくれる人を募ったところ、ファンからレアなバイクを売ってもらえるというサイクルもできたとか。

■2. 撮影
撮影はスマホで十分だし、出演する人も素人で大丈夫。今をときめくYouTuberも最初はみんな素人です。10回くらいやるとだいぶ慣れてきますよ。

■3. 編集
これも慣れればある程度のレベルまで行けます。ただ、YouTubeには編集トレンドがあるので、ほかの動画を日々リサーチしておくことが大切。

たとえばサムネイル。検索されるかどうかはタイトルで、そこからクリックされるかどうかはサムネイルで決まります。なので、目を引く画像と文字を効果的に使い、「なにが始まるんだろう」という期待感を持たせることが大事。僕も、8年前の動画のサムネイルは文字なしでしたが、最近のものには動画の内容がわかるキャッチーな文字を大きく入れています。とくに「ドッキリ」などは再生数が伸びやすいので、誇張して入れたりしています。

また、動画の時間のトレンドも時代とともに変わってきています。昔は1~2分の短い動画のほうが見られていました。なぜならパケット料金がかかるから。実際、月末になると再生数が減っていました。でも、パケット定額プランや無料Wi-Fiが浸透している今は、複数の動画をザッピングするより、1本を長く楽しみたいというユーザーが増えています。

いらない部分はどんどんカットすべきですが、おもしろくてターゲットに合った動画であれば何分でもいいと思います。

■4. アップ
再生数は、先ほどお話しした「タイトル」と「サムネイル」、そしてターゲットの目につきやすいかどうかの「投稿時間」で決まります。以上の4サイクルを毎回繰り返す努力が、YouTube運営には必要です。

でも、いちばん大事なことは…

この前、Fischer’s(フィッシャーズ)という20代前半のYouTuberグループとコラボして、忘れかけていた大事なことに気づかされました。

彼らは、「このネタ絶対伸びないだろ!」というネタを平気でやるんですよ。トランポリンの上にスーパーボールを敷いてジャンプしたらキレイ!とかね(笑)。それは本当にスベったんですけど、「いいんです、僕らはこれでここまでやってきたので!」と、口には出さないけどそういう堂々とした態度で楽しそうに動画を作るんです。

なにが言いたいかというと、「動画制作を心から楽しもう!」ということ。本人が心から楽しんでいるか、やらされているか、視聴者はすぐに気づきます。楽しんでいないと気づいたら、すぐに見るのをやめてしまいます。企業チャンネルでは、「時間がないから8本まとめ撮りしましょう」みたいなことが起こりやすい。最初のうちはまだいいけど、後半の動画は全然ダメ。楽しむ余裕がなくなってくるんです。MEGWIN TVでは、1日2本以上は撮影しないと決めています。

【5】制作会社に依頼する際の注意点

YouTube動画は、再生数が伸びないと意味がない!

動画を制作会社につくってもらうのもひとつの手。ただし、YouTube動画の経験が少ない制作会社だと、次のようなミスが起こりやすいので要注意です。

MEGWIN TVでは、YouTube動画5000本以上の制作実績を活かして、動画編集・配信代行サービス『see go!(シーゴー)』を運営しています。撮影自体はお客さんにやってもらうため、月8本までの動画制作が5万円というリーズナブルなサービスです。

質疑応答

Q. 動画のトレンド情報はどこから得ていますか?

ほかの動画のリサーチに加えて、自分の動画の分析もよくします。1本の動画がどこまで見られているかがわかる「視聴維持率」などは参考になりますね。あとは、今から流行りそうなことをいろんなパターンで出してみて、トライ&エラーでウケるかどうかを探っていくのも大事です。

Q. 『see go!』では、中小企業のゼロからの集客や演技指導サービスは行っていますか?

ゼロからの集客はなかなか難しいので、社員や知り合いの力をフル活用してある程度の集客をしてもらうようにはしています。演技指導は、動画制作後に簡単なアドバイスをすることはありますね。でも、台本を見てしゃべって、見てしゃべってを繰り返して編集すれば、たいていは大丈夫。最初から5分しゃべるのは大変なので、1~2分から始めて慣れてもらう場合もあります。

Q. 著作権や肖像権など、気をつけることはありますか?

YouTubeのサイトにボーダーラインが書いてあるので、チェックするようにしてください。店舗など人が借りている敷地で撮影する際も、ちゃんと許可をとりましょう。

Q. 編集を効率化するコツは?

30万円くらいの高スペックのPCを使うとか、ショートカットを多用するとか、無駄な作業をできるだけ省くこと。あと、編集はやろうと思えば無限にできてしまうので、時間を決めて作業することも大事です。僕の編集時間はケースバイケースですが、台本があって決め打ちして撮ったものなら1~2時間。3カメ回くらいして、1~2時間ばーっと流しで撮ったものだと、縮めるのに3~4時間はかかりますね。ソフトはAdobeを使っています。

 

(画像提供:iStock.com/ozgurdonmaz)



MEGWIN(メグウィン)

◎チャンネル管理や動画制作までついた、YouTube運営代行サービス
「seego!」問い合わせはこちら
http://seego.jp/

株式会社MEGWINTV
代表取締役社長 関根剣
株式会社タニタの出資により2011年6月に株式会社MEGWINTVを設立。引き続きYouTubeで動画の配信を行っている。
現在は株式会社タニタ 谷田千里社長、株式会社MEGWINTV関根剣社長を筆頭にその他多数の従業員と一緒に会社を運営している。

経歴▼
株式会社ブレイカー(動画制作、YouTubeMCNのチーフイノベイター)
株式会社ビットスター(アドバイザー)

イベント▼
ゲームショウ2016(ダービースタリオンマスターズ) 
Google・YouTube(アンバサダー)など

テレビ▼
TBS「好きか嫌いか言う時間」 
テレビ東京「エンタX(レギュラー出演)」

雑誌掲載▼
宝島社の男性ファッション誌 Smart

単行本出版▼
MEGWIN-関根剣 (著)
YouTubeで小さく稼ぐ(1万部)

講師実績▼
よしもと興業 松竹芸能 大阪YouTubeの集い 麻布大学 坪井塾 YouTubeなど

YouTube登録者数100万人の自社チャンネル運営をはじめ、新事業『動画配信代行サービスseego』の事業立ち上げや、現在はTV『エンタX』のレギュラー出演など、幅広く活躍している。

 

 


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