最高のハチミツを手に入れる人が必ずやっている一流の選択

ミツバチは“仕入れる”か、“捕まえる”のか。仕入れれば、大量のハチミツがほぼ確実に手に入る。しかし根津近辺を飛び回る、天然ものの捕獲も捨てがたい。どちらを選択すべきか。もう春だ。迷う時間は残されていない。

編集部の橋本圭右です。
ハチの記事です。

舞台となる予定の屋上

はじめに断っておきますが、
こんなことをやってる場合じゃないって
わかっているんです。編集者は本を作るべきだ。
他の社員に言われなくてもわかってる。

わかりながら、みつばちのことを考えている。
街を歩けば、視線が自然とみつばちを探すのだ。はちみつ味を口の中に感じていたい。片思いに近い。

みつばちに会いたい。

気持ちはつのるばかりだ。みんなにもつのってほしいです。お互いにつのればつのるほど、きっとぼくらが起こすであろう奇跡の感動をともに分かち合えるはずだから。

というわけで、

養蜂について調べはじめたら、いきなり選択を迫られました。

それは

セイヨウミツバチにするか?

ニホンミツバチにするか?

というもの。

これはCAさんが尋ねる「ビーフ?orチキン?」とは次元が違う。タカラ人生ゲームの「ビジネスコースor専門職コース」くらい重大な分岐点だ。
一度選択したら後戻りができない。慎重に選ばざるをえない。

では、この2種類の違いはなんなのか。

まず、セイヨウミツバチ。
セイヨウミツバチは、明治時代に日本に持ち込まれてきた外来種で、人間が管理しやすく、ハチミツがたくさん取れるように品種改良されたハチということらしい。

なんで持ち込まれてきたかといえば、それば、もちろん「ハチミツを集める能力が高い」からです。そして世界中のプロ養蜂家はほぼ全員、セイヨウミツバチを飼育していると言います。

いきなりぐらっときました。
「プロをめざすならセイヨウミツバチ」

ふと、プロを視野に入れていたドカベンが、高校野球時代から金属バットではなく木製バットを使っていたというエピソードを思い出しました。

一方、
にほんみつばちは、鹿とか狸とか若布とか甲虫とかと同じ日本の在来種で、収穫能力が低く、セイヨウミツバチの5〜10分の1程度くらいしかないと言います。

また飼育するためには野生の群れを捕まえなければいけない。

しかも住んでいる場所が気に入らないと

すぐに引っ越す癖がある。

どれどれそろそろハチミツを採ってきてくれたかにゃあとニタニタヒタヒタ顔で巣箱をのぞいてみたら、なんと! 家賃踏み倒して一家で夜逃げしやがったか! なんて事態がざらに起こるわけです。

だから、にほんみつばちでは商売は成り立たないらしい。

べつに商売をしたかったわけじゃないけれど、

商売になっちゃったりしたらすごいよね? という期待は、原宿の路上でスカウトされて芸能界デビューしちゃったり? くらいはあった。

で、結果からいうと、ぼくはにほんみつばちを選ぶことにした。

なんで?

それは

野生だから。

野生の代表格・ライオン

にほんみつばちは、いま、ここで生きている。
日本の気候にあってるのだ。

対するセイヨウミツバチはどうかというと、野生ではまったく生きられない。なぜならば日本という国には、故郷の欧米には存在しない、めっちゃんこ強いオオスズメバチがいるから。

世界最強とも言われるオオスズメバチは、巣箱に侵入してミツバチ一家を惨殺した挙げ句、幼虫とかはちみつを奪っていく極悪非道の武闘派集団だと言われる。
つかまったハチはすべて肉団子にされて食べられます。つまりセイヨウミツバチにとってのオオスズメバチ襲来は、ラスボスが団体で襲ってきて全体攻撃が二回攻撃みたいな無理ゲーなので、1000%全滅させられる。

またセイヨウミツバチは日本固有の病気やダニに弱いので、
薬とか抗生物質をあたえ続ける必要がある。
日本で暮らすセイヨウバチは、人間に管理されないと生きていけない。

一方、にほんみつばちは基本、野生。
いったん飼われたとしても、いつでも野生に戻ることができる。

メイドインジャパンの野生だからこそ、

日本固有の病気やダニに強いのはもちろん、

日本固有のスズメバチと戦うスキルも持っている。

格下スズメバチのキイロスズメバチくらいだったら、威嚇だけで追い返してしまうこともある。

蜂界最強のオオスズメバチには、威嚇は通用しないけど、にほんみつばちの賃貸アパートに土足でドカドカ入ってこようものなら…

と、これはご存知の方も多いかと思いますが、
にほんみつばちの頭脳は、チームプレイで戦い抜くすごい知恵を備えているのです。

ニホンミツバチの攻撃行動(熱殺蜂球形成)における脳の活動を解明 – プレスリリース – 東京大学 大学院理学系研究科・理学部

“熱殺蜂球”という技を使う。
数百匹のにほんみつばちでオオスズメバチを包みこみ、羽を震わせて46度くらいまで一気に発熱。中にいるオオスズメバチを蒸し殺すのである。

さらにオオスズメバチは襲撃の場面で、フェロモンを出して「仲間を呼ぶ」というコマンドを使うが、にほんみつばちは「かじり行動」といって、大勢で力を合わせてそのコマンドを無効化するのだ。

すごいだろう? にほんみつばち!

野生のたくましさ、知恵、勇気。

よくない?

セイヨウミツバチには「野良バチ」が存在しないけど、ペットのようにショップから購入することもできる。購入すればいいので確実にはじめられるのは魅力でもある。
でもなんか違う気がするんだ。
そこには、あまり内容もよくわからないまま、海外でベストセラーになってるからっていう理由だけで版権を買い付けてくるような微妙さがある。

その一方で、にほんみつばちは野生しかいない。
飼うためには、「野生の群れを捕まえる」しかない。そこにポケモン的なロマンを感じられませんか。しかも捕まえるためのアイテムは「ルアー」っていうんだよ。ポケモンGOと完全一致じゃないか。

巣なるものを用意して、そこに入ってもらえるように、チャンスをうかがうっていう感じも、まるでドラゴンボールの魔封波みたいかっこいい。

あと、なによりも心を動かされたのは

セイヨウミツバチと違って、そこそこ放置しても大丈夫だから、素人でもズボラでも飼いやすいということ。

↑本当の理由はこれ。

にほんみつばちに決めた。

というわけでとりあえず手に入れたのがこれ。

中をあけると

「大きな木箱」と「教則本」と「教則DVD」。

あとは「ミツロウ」と「ルアー」。←これがどんなアイテムかは今度説明します。

すぐに思いました。

(なにこれ?)

ぺらぺらと教則本をめくると、こんなことが書いてある。

捕まえられるチャンスは4月上旬から約1ヵ月くらいしかない。

と。

捕まえられる確率は、初心者はよくて10%くらい。1年で捕獲できる確率は低く、何年もかかることがある。

とも。

他にも

・ご近所の反発がよくある
・フンがよごすこともある
・何千匹も飛び回ることがある
・届け出が必要
・自分の身を守れ

など不安要素がたくさん書かれている。

え?

うそでしょ。

あと一週間で、これらの問題を全部クリアしないといけないのか。

なんだか急に、

暗雲が立ち込めてまいりました。

ハチは本当にきてくれるのだろうか

これからいったいどこへ向かうのか

どんな壁にぶつかり、どういうオチになるのか

先行きがまるで読めない、

たいへんに心配な企画が、

ついにはじまってしまいました。

【現時点での心配点】
・ハチはきてくれるのか。
・近隣への説明。容認してもらえるものか。
・ハチがきちゃったらきちゃったで、制御できるのか。
・じつは虫が得意じゃない。
・この連載の一体なにが面白いのか。今後はだれも読んでくれないんじゃないか。

【参考】
・京都ニホンミツバチ週末養蜂の会
・『銀座ミツバチ物語―美味しい景観づくりのススメ』(田中淳夫:著)時事通信出版局
・『我が家にミツバチがやって来た―ゼロから始めるニホンミツバチ養蜂家への道』(久志富士男:著)高文研

※上記の本やHPを参考にさせていただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。