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筋トレ村×海外で好きに生きる!金なしセミリタイア入門/パクチーオオハラ(@pakuti_ohara)

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貯金100万円でセミリタイア生活を開始したパクチーオオハラさん。島根県の山奥に筋トレ村を創設。YouTubeを主な収入源としながら田舎と海外で自由な生活を送る「金なしセミリタイア生活」のリアルを語ります。

20代で金なしセミリタイア

田舎暮らし×海外旅行生活

僕は普段、島根県の山奥にある家賃が月2500円の古民家で生活しています。明日から数か月はまた旅行で、モロッコに渡りアフリカ各地を周ろうかなと思っています。家の維持費がほぼかからないので、生活費を横に移す感じで10万から15万円あれば海外旅行に行けるという生活を送っています。

今後は引き続き山奥の古民家生活をしつつ、その拠点を増やして五島列島あたりにもう1軒物件を借りてもいいかなと思っています。空き家バンクというところで探していますが、月1万~1万5000円、高くても3万円くらいであれば、いい物件が見つかりそうです。そんなふうに自分のやりたいことを、お金をかけずにやっています。

トレーナーとしてのキャリア

この生活をする前はフリーランスのパーソナルトレーナーを1年半くらいやっていました。その前は、不動産業界で1年3か月ほどアパートの飛び込み営業をしていました。僕がセミリタイアについて発信するきっかけになったのは、この会社があまりにもきつすぎて辞めてしまったからです。今後どうしようかという状況になり、大学生のころボディビルを4年間やっていて筋トレについては他の人よりも詳しかったので、トレーナーの仕事をやり始めました。

ですが、トレーナーも1年半くらいで辞めました。トレーナーの仕事は先が見えないと感じたからです。トレーナーとしてのスキルを徐々に上げていくことはできますが、トレーナーとしてのキャリアを続けても僕ができるのはせいぜい35歳から40歳くらいまで。教わる側もフレッシュな若いトレーナーに教えてもらいたいと思う人が大半だと思いますし、よっぽどスキルがあれば50歳でも60歳でも働けますが、その競争で勝てる感じでもなさそうだと思いました。なので、今のうちに新しいことをやっておきたいと考えたのです。最終的にトレーナーに戻ることになるかもしれませんが、40歳くらいまでならいつでも復帰できるので、そのうちに新しいことをやっておけば、いろいろな可能性を増やすことができると思っています。

筋トレ村を創設

トレーナーを辞めた当初はYouTubeができると思って、新しいことに挑戦しようと福岡に移り住みました。けれど当初YouTubeは伸びてくれなくて、オンライントレーナーやTシャツの販売などをやってなんとか食いつなぎました。1年ほどたったころに、ネットだけでなんとか生きることができるという状況になったので、元々やりたいと思っていた「筋トレ村」を始めました。インドに旅行に行ったときに筋トレ村の存在を知って、日本でこんな村をつくるとおもしろそうだと構想していたことを一昨年の4月に始めました。

移り住むにあたって気をつけたのはランニングコスト・維持費をなるべく減らすということです。だいたい、家賃が月1万5000円から3万円以内の物件を探しました。

結果的に昨年の7月くらいに「筋トレ村」のコンテンツでYouTubeが一気に伸びたのですが、それができなくても1年くらいは「筋トレ村」の状況で張れる状態にはしておきました。当てる確率を上げるためにはやっぱりどれだけ張り続けられるかというのは大事です。景品のガラガラも回せる回数が多ければ多いほど当たる確率は上がります。短期勝負ではなく長期でも張り続けられる状況で始めたのが僕の筋トレ村作りでした。

セミリタイア生活を始めるには

生活費を落とす

こういった生活に憧れるという人は多いですが、なかなか踏み切れないものです。その理由には、生活の収入と支出のバランス将来の不安が挙げられます。今回はそれをお話ししていこうと思います。

収入と支出のバランスについては、結局やはり生活費をどれだけ落とせるかが鍵だと思います。収入を上げることも方法としてありますが、とりあえず一番やりやすいのは生活費を落とすことです。

家賃が現在月6万円かかっているとして、東京だとそれより安い家賃が月2、3万円の物件はなかなかないのでシェアハウスに住むとか。シェアハウスでも月に5万円くらいはしますが、水道代・光熱費込みであればだいぶ安いです。なおかつ入居費・退去費はシェアハウスであればかからないので、自分の身が拘束されにくい。家賃はやはり生活費のなかで一番大きいので、家賃をどれだけ少なくできるか、入居費用も20万円くらいかかるのでどれだけ少なくできるのかは重要です。

雑費を見直す

次に、雑費です。僕が会社員のころ一番お金を使っていたところです。東京に住んでいるときはなんとなくご飯を食べに行ったり、コンビニでおにぎりを買ったりしていました。毎月20万円くらいクレジットカードの請求が来ていましたが、何に使ったかを細かく覚えていませんでした。ようは使わないようにするのが大事なので、誘惑のない状況に身を置くのが一番お金を使いにくいと思います。山奥というと極端ですが、近くのコンビニに行くまでに車で30分くらいかかる場所ならほぼ金を使わないで済みます。

記憶に残ることに投資

生活費について僕が気をつけているのは、お金はなるべく記憶に残ることにしか使わないということです。最近の趣味は料理と狩猟なのですが、その料理と狩猟に関しても、自分が作れる食事のレパートリーを増やすたびに何かを作ったという記憶に残って、カード明細を見てもこの時これで使ったなと分かります。そういうものではないと、なんとなく無駄に浪費していることになるので、浪費にならないように、なるべく記憶に残ることや、自己投資、自分の経験を増やすことにお金を使うことを心がけています

セミリタイア生活と仕事

スキルと希少性

今の僕が仕事をやるかどうかの基準は、面白いか、あとはスキルが貯まるものかどうか、そして希少性があるかどうかです。今回イベントでお話しするのも初めてのことだったので、なんか面白そうだし自分の経験として貯まるものがあると思ってトライしました。初めてなので緊張しましたが、これもひとつの経験になると思っています。

発信力を身につける

特別なスキルを持っていなくても、何かしらの発信力を持っていると自分を売り込むことになって、自分がその他の人たちの選択肢のひとつに入るので、発信力については、僕は身につけて良かったと思うことのひとつです。経済的にきつい部分がありましたが、結局やはり発信力を少しずつ作っていたおかげで、オンライントレーナーでお客さんが取れたりとか、Tシャツが売れたりとか、このようなトークイベントで皆さんを呼ぶことができました。最初は目標100人からなどでいいので少しずつやっていれば、そのうちハマるものがあれば増えていきます。発信力は今の仕事を辞めなくても伸ばしていくことができるので、何かしらでつけることがおすすめです。

月20万VS 月40万

月収20万円と40万円どっちがいいかという話ですが、額面だけ見るとやっぱり40万円なのですが、その働き方にもよると思っています。僕はフリーランスのトレーナーをやっていたときは最高月収が50万円くらいでした。そのときは朝9時から夜8時くらいまで働いていました。実際の拘束時間はもう少し短かったですが、移動の時間とかを考えるとそれくらい働いていた計算です。50万円あってもどうしようもなくて、もう少しなんかゆっくりしたいなという気持ちが勝っていました。

経費についても、月収40万円で働いたとしても都内なら家賃が月6万円くらいかかってしまいます。忙しいと食事は外食となりがちですし、稼いでいても経費がそれだけかさんでいます。一方、月収20万円でも、リモートワークで田舎の家賃が2、3万円のところに住めれば、在宅で自炊もでき一食2,300円くらい済ませることができます。実際に仕事をするうえでかかる食品とか雑費とか、ストレス解消で使ってしまう娯楽費などの経費についても含めて収入を考えた方がいいと思います。

あと、仕事選ぶうえでは、貯まるスキルがどれだけあるのかということを気にしながらやったほうがいいです。何かしら他で転用のできるようなスキルをつけておかないと、その他大勢に紛れてしまいます。

暇を作り可能性を広げる

暇を作ることも大事なことです。月収20円でも暇が作れるのであれば、プラスアルファ副業ができたり、新しいスキルを身につける時間を持てたりします。暇がないとそれができません。月収40万円でMAX働いて、他のことができないよりも、月収20万円でも他の時間でなにか新しいことができる方が、可能性としてはプラスです。ある程度の余白は残しておいた方が、副業が逆にメインへとシフトするなど可能性が広がります。なので、暇を作るというのは大事だと思います。通勤も1日2時間くらいかかり、家に帰るとくたくたな生活ではYouTubeやTwitterで発信する気になんかなれません。

すごく体力がある人なら別ですが、自分の体力の余白を作っておくといいと思います。両方とも頑張ることができる人もいますが、実際にみんながみんなできるわけではありません。ある程度、自分の限られたエネルギーの中でできることをやる。エネルギーがなければ、エネルギーが貯まるように無駄なことを省くのも手です。通勤の時間を減らすために、引っ越すとか。初期費用こそかかりますが、そういった無駄を少しずつ無くしていくのが大事だと思います。

好きを仕事にするべきか

好きなことを仕事にとよく言われますが、いきなりそういうことをしなくていいと僕は思います。今、現状で苦痛に感じることを少しずつ減らしていくだけでもいいと思います。

いきなり好きなことをやるのではなくて、スモールステップでいい。文章を書いて働きたいなら、いきなり自分の書きたい文章を書くとかではなくて最初はタイピングの副業から始めるとか。とりあえず、文章で書く経験をしてみるとか、とりあえずリモートで稼ぐ経験をしてみると、また見えてくる景色が違ってくると思います。いきなりその最上級の「好きを仕事に」みたいなことはしなくていいと思います。

好きなことだけで生きていくっていうのもなかなか難しいので、本当にやりたくないことを排除して、好きなことと、ちょっと面倒くさいことを織り交ぜながら生きていくというのがやはり現実的だと思います。

セミリタイア生活と不安

不安との付き合い方

セミリタイア生活を始めるときに、誰しも漠然とした不安があると思います。僕がおすすめなのは、その不安の種をとりあえず全部自分で書きだすこと。そうして漠然としたものを明確にして、次にその不安に対する対策を考えていきます。「エクスプレッシブ・ライティング」とか「ゼロ秒思考」とか言われるものです。不安を全部書き出して対策を立てると、同じ不安で悩みにくくなるのでおすすめです。有名なYoutuberの方たちもやっているそうで、これはほぼ必須かなと思います。

ですが、不安を完全になくすことは多分できません。諦めた方がいいです。不安を書き出して、全部消そうとしても結局不安はつきないものです。「不安は完全には消えないものだ」と受け入れるだけでも、気が楽になるかなと思います。

仕事をしていてもうまくいかないことはいろいろ出てくるので、いくら対策をたてても不安なことはあります。でもその不安はやっぱり必要だったりするので、その不安も料理の苦味みたいなものと捉えて、雑味として必要なものとして考えるといいのではないかと思います。

自分の弱みと強み

自分の強み弱みに関しては、だいたい仕事で失敗することが僕の弱みだと思っています。僕はよく寝坊するので、時間通りにどこかに行くとかが苦手です。対人というかお客さんと相対して仕事をするのもあまり好きではありません。

逆に僕の強みは、一人でいきなり山奥に住みだすとか海外に行くとか、よく分からないような飯を食うことができること。自分としては普通にできるのでこれを強みとは思ってなかったのですが、コメントでも「それができてすごいですね」とか「孤独で寂しくないんですか」と言われることがよくあり、客観的に見た強みなのかなと考えて「じゃあこれを活かせるものは何かな」というふうに考えるようにはしています。孤独に強いことも強みかなと思います。山奥に住み始めて2ヶ月間くらい誰とも喋らずに、ずっと山奥にいましたが、それでも寂しいということは全然ありませんでした。

街歩きの延長で海外へ

海外へ行くと価値観が変わるとかもよく言われますが、僕は特に変わらないです。よく「インドの子供たちは今の幸せを感じながら生きている」のように自分で自分の見たい景色にちょっと転換してしまっている人たちもいますが、実際みんな同じ人間だよねと。差別されるところではされましたし、明るいところもみんなあるしという感じです。日本のなかにもいくらでも世界の縮図のようなところはあるので、別にそこは海外に行かなくても学べることだと思っています。

僕は下町の景色とかガヤガヤした人の様子を見るのが好きで、総武線の亀戸から一駅ずつ降りて、1時間くらい街を歩いて自分の家に帰るという街歩きを、結構楽しくやっていました。その延長として海外にも行っている感じです。

動画配信の土台とトッピング

もし、海外動画をやりたいなら、トルコが好きならトルコの動画をまずはたくさん見てみるといいと思います。発信する内容は、ある程度ウケる・ウケないが決まっていると思っています。例えば、旅の動画であれば「トルコのカッパドキア行ってみた」みたいなのは全然ウケない。

基本的に、トルコに興味がない人も見られるとか、ヨーロッパに興味がない人でも見られるというメインの土台というのがあるのです。シフォンケーキに例えた方がいて、ウケる動画とは土台が同じままでトッピングだけが変わっているイメージです。

例えば、海外動画ならヨーロッパとかアフリカなど「どこに行くか」は上のトッピングで、下の土台は「一人旅」とか「薬物」とか「エロ」「ハラハラ感」「挑戦感」といった、誰でも興味があるもの。それが土台にないと、トルコに興味のない人だったら興味が湧かないということです。なので、下の土台は何かをまず決めた方がいいと思います。

実際に始めなくても、その動画をどういう構成要素で発信しているか見てみると面白いです。「グルメ」も下の土台ですね。僕がよく見ていた「しげ旅」さんという方の海外動画は、海外のいろんなところをおっさんが一人で飲み歩くというもの。「飲み歩き動画」であればいろんなYouTubeの人が出していますが、彼はトッピングの部分を「海外」にして、「飲み歩き」を土台にして発信をしている。なので、YouTubeで発信するなら土台をどうするか考えるといいと思います。

僕が次に村に戻るのは、おそらく今年の7、8、9月くらいの予定です。筋トレ村の来村者はその頃また募集させていただきます。今日はありがとうございました。

(画像提供:iStock.com/AscentXmedia)


パクチーオオハラ さんのイベント動画が視聴できます。
https://note.com/sanctuary_event/n/nfb184fa9a0a8



パクチー大原
早稲田大学スポーツ科学部卒。不動産の営業職やフリーランスのトレーナー経験を得て、2021年4月に島根県の山奥で筋トレ村を創設。また同時期に貯金100万円でセミリタイア生活を開始。現在はYouTubeを主な収入源とし、田舎と海外でのセミリタイア生活を送っている。

YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC4MN7RAV-KCWzb2-yiUkFAA
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