0円ストロング生活の始め方

廃材/自然資材でゼロ円!DIY暮らしのススメ【自給自足家族・実録レポート】

#連載エッセイ
#0円ストロング生活の始め方

面倒くさいは禁句!何でもアリな自給自足で毎日がエンタメ。青森の片田舎で笑っちゃうくらい自由に暮らす田村家のリアルを紹介します。

ストローングッ!
いよいよ5回目のエッセイ、ただ「強い」っていう意味を持つ、この珍妙なあいさつにも慣れてきましたでしょ?
今日もまずはあいさつから強くなっていきましょう!
ストローングッ!(再)

現代になり、変わりつつある三拍子。

生きる上で必要なもの三拍子と言えば「衣食住」。
だけど今の世の中、モノ余りの時代。ブランドや新品へのこだわりを持たなければ衣類なんてものは友達から貰ったり、古着屋さんのワゴンやフリーマーケットを漁れば小銭で買えたりしてしまう。
服っていうのはよほどハードな着こなしをしなければそうそう着れなくなることはない。僕なんて穴が空いた服も作業着として利用しているし、古着屋さんで100円で買った「オクラホマ」というロゴが入った真っ赤なスウェットをかれこれ15年以上も着続けている(笑)。
現代では衣食住の「衣」はさほど重要ではなくなり(主にコスト面において)、むしろ電気やガスといったような「エネルギー」に置き換わっているかもしれない。
つまりは現代で生きるための三拍子は「エ食住」。(エネルギーに対するうまい和訳が無く…こんな表記になっちゃいました)
※ 我が家のインフラ関係については過去記事をどうぞ。
燃料0円のストロング調理!ロケットコンロを教えるゾ!
電気料金の値上がりも関係ナシ!ストロングな電気のオフグリッド!
ストロングに水を自給!我が家の湧水利用!【自給自足家族・実録レポート】
それに対して食べものは日々必要となるもの。食は命そのものを支える大事なものだ。
※ 食に関しても前回にフォーカスしたのであとは割愛。
物価高もなんのその!家庭菜園で0円食卓!【自給自足家族・実録レポート】
そして、食の次に大事になってくるのが「住まい」である。
どんな屈強なタフガイでも、またどんなミニマリストでも、さすがに雨風を凌ぐ空間がなければ心安らかに眠りにつくことはできないだろう。また、守るべき家族ができればそれに応じた生活空間を確保せねばいけない。
食べもの同様、住まいもまた、時代が変わっても生きていく上で必要なものだ。

暮らしの拠点=住まいの今

さて、この住まいというものだけど、実は衣類並みに現代では余っていて、且つ社会問題にまで発展している。いわゆる空き家問題である。
日本の空き家数はなんと約850万戸にも及ぶといわれ、全国住宅の15%近くまで迫りつつある(平成30年総務省統計局の調べをもとにザックリ数値を表記)。
なんでそんなに空き家が増えているか?
それは… 家はすでに持っているんだけど、高気密高断熱とかの利便性やデザインのカッコ良さを求めて新しいのを買っちゃうから(しかも大半は長いローンを組んじゃってね)。まさに余りまくる衣類と同じ現象だ。すでにあるのに新しいのを買っちゃう。
ただ、衣類と大きく違うのはそのサイズもさることながら、簡単に捨てることなんてできやしないってこと。
コンクリート、木材、金属、鉱物由来の断熱材や塗料、不燃ボード… 様々な材質で構成されるその建物は当然ながらゴミ袋に入れてポイッと出せる代物ものじゃない。解体工事の費用は一般的な住宅で200〜300万円と言われているから、物件を処分するにもお財布にとって大きな痛手だ。
もう一つの理由としては、親が建てた家にその子が住むことなく、就職や結婚を機によその土地に移住してそこにマイホームを建ててしまうから。親が亡くなってしまえば長年住んだ家がそっくりそのまま空き家になってしまうわけだ。もはや資産価値も利用用途もほとんどない物件を相続・管理する羽目になり、先述の通り、その費用を考えれば処分するのにも躊躇ってしまう。世代を越えた祖父母や親と同居しない核家族生活が主流となった現代ではこういった連鎖がずっと続いていくように思う。
そんな中古物件… 処分するにも莫大なお金がかかるし、かといってデザイン性ゼロで暮らしのテンションが全く上がってこない築40〜50年あたりの古い家に暮らすなんて考えられないわ!っていう大半の一般ピーポー(poeple)が取る選択は…不動産などを介した「売却」、もしくは我関せずと「放置」である。
僕の住む田舎町の住宅地でもしばしば家の窓に「売家」の看板がずっと貼られていたり、ただただ庭が荒れ果てていく物悲しい家を見かけたりする。
もはやお手上げ… この日本は空き家で埋め尽くされていくのか?
いやいや、そんな社会の困った現状に対してもストロングに! 豊かに! クリエイティブに! しかも限りなくゼロ円で対処しちゃおうじゃないか!

廃材や自然資材に注目!

世間の一般常識としては、家や小屋を建てたり、リフォームしたりするときは結構な出費を覚悟して専門業者さんに依頼するだろう。
だが、そこをストロングに自分でやっちゃえば? 時間や労力はかかるだろうけど人件費はゼロだ。
必要となる材料はどうだろう?
価格高騰により、ベニヤ板なんて数年前の2倍以上の値段! さすがに材料の大きな出費は避けられないようにも思う。
だけどそこも限りなくゼロ円に。世の中にはわざわざコストをかけて焼却処分される建築廃材(加工時の端材や家屋解体で出てくるもの)があって、業者さんや施主さんの了承を得ればタダでもらうことができる。もちろん、運搬するための車両ガソリン代やお世話になる人への差し入れ、施工・加工の際の工夫や清掃作業が生じるが、タダに勝るものはない。僕は以前、発注ミスで余りまくった新品ピカピカの木材を大量に頂戴したこともある☆
自然そのままのものを利用するのもイイ。伐採した庭木や雑木林に落ちているイイ感じの枝、海辺に落ちている流木なんかドアの取手にすると唯一無二。ステキング(素敵な王様)な味わいになる。自分で創意工夫して作ったものはこの上なく愛着が湧くもの。そんなことを家のいたるところに繰り返し施工していれば、なんの変哲もない中古物件がアラ不思議、ちょっとしたカフェやアート空間みたいに。アナタだけのサグラダ・ファミリアにしちゃおう!

子どもも参加してもイイ。

ヤンチャなお子さんがいるご家庭だと、お家の壁に穴を開けちゃうこともあるだろうけど、そんなこともお構いなし。廃材利用でローコストに一緒に修理しても楽しそうだ。
親が何か作っていれば見様見真似でやりたくなっちゃう。一緒に何か作って、それが生活の一部としてカタチになるのはきっとスゴく楽しい。
自ずとお子さんもいろんな物を作れるようになって、大人もビックリ!なんてことにもなっちゃうかもね!
僕はいつか子どもが「自分の部屋が欲しい!」なんて言い出したら、一緒に子ども部屋ならぬ「子ども小屋」を作るつもりだ(笑)。

建築廃材でそっくりそのまま小屋づくり!

お庭の空きスペースに新しくガレージを作りたい!っていう骨太のDIY志向の人は家の解体で出た建築廃材に注目!
うまく活用すればその構造体(太い角材で組まれた骨組み)を活用して、そっくりそのまま復元する感じで小屋がアッという間に建ってしまう。(業者さんが丁寧に壊してくれた場合に限るけど)
重機でボッキリ折られたような再利用が難しい部材は他の廃材で新たに作り直せばいい。我が家の場合、建築にまわせない部分はストーブやロケットコンロの薪燃料に活用され、その灰まで畑の土壌改良に利用される。
もちろん、仕口(しぐち)や継手(つぎて)、番付(ばんづけ)など日本建築の基本をある程度は学ぶ必要はあるし、いざ建て始める前に建築の法律や自治体の条例などのチェックも大事だけど、それさえ把握してしまえばあとは行動に移すだけ。何を隠そう、我が家の敷地に建っている建物すべてがそういった建築廃材を活用したもの。廃材を見ながら見様見真似で加工した仕口や継手も今となってはセミプロ並みに作ることができるようになった。なんなら使っている電動丸ノコや鑿(のみ)や鉋(かんな)も引退した大工さんからの貰い物だったりする(笑)。
かつての大工さんが刻んだ仕事や道具を引き継いで、時空を超えて再現コラボレーションするのは素人ながら何棟作っても感慨深いものがある。
軸組工法の日本建築は難しいなぁ…って人には、西洋由来のパネル工法(ツーバイフォー工法)もあるのでそういった別の工法に挑戦してみるのもイイ。電動工具などの使い方も含め、インターネットで調べれば色々出てくるはずだ。
そんなこんなでうちの敷地内にはかれこれ毎年1〜2棟ずつ何かしらの建物が廃材で出来上がり、廃屋ならぬ廃材屋が立ち並んでいる。
周囲からはスゴイなと羨望の眼差しやお言葉をもらうけど、誰もが最初はズブの素人。首を傾げながたノコギリを使ったり、釘打ちに何度も失敗しながら成長していく。まずはその手を動かしてみること。DIYは大人になっても自分の成長を感じることができるし、出来上がるまでに流した汗がそのまま愛着へと変わっていくのがイイ。面倒臭さの先にある光景はなかなかに絶景だ。
それが日々暮らす空間にどんどん反映されていくわけだから最高だ☆

まとめ。

廃材は本来コストをかけてゴミになるはずのもの。ご縁さえあればタダでもらうことができる。僕なんかは常日頃、周囲に声がけをして「廃材くれくれ」キャンペーンをゆるく展開している。
自然の素材もまた田舎ではゲットし放題。街中じゃ落ちていないようなカタチの良い枝やリースに活用できそうなツタがぶら下がっている。僕らが生きる地球ってものは、自然という見返りなしの無料のギフトを提供してくれている。(建築廃材で出る木材も元々は森で生きていた樹木だね)それに少々手間をかけることで価値をつけて経済に取り込んだのはニンゲン社会独特の在り方。そのサイクルの中で必ず出てくるゴミという名のゼロ円の廃材資源。お財布的な旨みもあるけど、ゼロ円ゆえに惜しみなく、失敗を恐れずに思い切って使うことができるのも大きな強み。どんなプロ職人さんも高価な材料を扱うときは神経をすり減らす。多くのお金を得るために抱えるプレッシャーも相応だ。だけど、こちとら良くも悪くも素人。その点、ストレスフリーにあたかも芸術家のように大胆に創作できちゃう。幼いお子さんがいる家庭も安心。壁に思いっきり落書きされても全然ショックじゃない。むしろ、家族の思い出が刻まれてこれまた愛着倍増だ。そのうちお子さんもDIYに目覚めて、家族みんなで協力して何でも作れるようになっちゃうかもね〜☆
資産価値ゼロの中古物件だろうと、グイグイに自前リフォームして楽しく暮らしちゃおう! それはきっと空き家問題の解決にもつながっているはず。
うーん、ゼロ円って本当にストロング!




田村余一(Tamura Yoichi)
1977年、青森県南部町生まれ。大学卒業後まともに就職することもなく、フリーターをしながら現代社会への不安と失望を加速させる。20代半ば、富士山で冒険死を試みるも見事に失敗し、おどるような人生を選択。以来ちょっとオカしいくらいのポジティブ思考で独自の人生をクリエイトし始める。伴侶の田村ゆにと電気・ガス・水道を契約しない生活を構築し、持続的DIY農生活を実践しながら、これまでの人生経験の集大成とも言える、地域の「御用聞屋」を開業。デジタルとアナログを混ぜ合わせつつ、一人で百の仕事をこなす現代版「百姓」を目指す。廃材建築家、イベント企画/演出、映像作家、デザイナー、イラストレーター、ナレーター、舞踏家などなど……スキルはムダなくらい多岐にわたる。2023年4月からムラづくりプロジェクト「コミューン」を始め、自給自足生活をムラビトと一緒に共有している。

うちみる(自給自足家族生活オフィシャルWEBサイト)
http://uchimill.naturebounds.com/

うちみるコミューン(自給自足のムラづくりInstagram)
https://instagram.com/uchimill_commune

うちみる動画チャンネル(YouTube)
https://www.youtube.com/@uchi-mill4828

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