0円ストロング生活の始め方

0円食材がパワーUP!菌が導く発酵の話

#連載エッセイ
#0円ストロング生活の始め方

都会を出て田舎で0円生活はじめました。青森の0円家族、田村家の自給自足な日常を嫁目線でお届けします。

みなさん、こんにちは。

青森で家族三人、自給自足生活をしています「都会を出て田舎で0円生活はじめました」もう一人の著者の田村ゆにです。

今月はコラムの締め切りと同時に、毎年恒例となっている手作りお味噌の仕込み期限も迫っていました。

仕事ではないので期限と言っても自分で決めたことだけど、春になって仕込むとカビや虫が大変になる話も聞いたのでやっぱりタイムリミットはあるもので。

寒い時期に農作業がない青森では、調味料づくりが四季に沿った暮らしを楽しむ行事のように思います。

お陰様で、今年も1年分のお味噌の仕込みを終えられてホッと一安心です。

食の土台となるお味噌の蓄えがあることは、いざという時のための食糧の備蓄にもつながります。

災害があった時に「非常事態だから普段の生活と違って当然」という事も受け入れる必要はあると思います。

ただ、「災害があっても当たり前の暮らしが送れること」が強い暮らしであり防災と言えるのではないでしょうか。(もちろん被災状況によります。)

災害対策のために電気・ガス・水道を契約せず、自給自足の暮らしをしているわけではありません。

ただ結果的に、この先何が起こるかわからない未来への備えにつながるヒントが、この暮らしに散りばめられているのかもしれませんね。

この記事は書籍『 都会を出て田舎で0円生活はじめました 』の関連コラムです。

お味噌は日本の発酵食品

当たり前のことなんですが、お味噌は発酵食品です。

煮た大豆を潰して、米麹と塩を混ぜて半年保管するとそれらが発酵して熟成され、お味噌が出来上がります。

作り方は意外なほどに簡単で、日本人には身近な発酵食品です。

流行りの腸活や発酵食品というと、ヨーグルトや乳酸菌のようなイメージもありますが1日に1杯のお味噌汁を飲むことは、日本人として一番身近な発酵食品の摂り入れ方のように思います。

(ただし、昔ながらの発酵を経た生きたお味噌に限ります。)

発酵させるのは難しい。と、思われがちですが、半分は人の力で、半分は自然界の菌が働いてくれていると考えると人間の仕事は半分です。

自然と共に生きるというのは、そんな菌の働きを身近に感じ、菌との結びつきを取り戻す事とも言い換えられるのではないでしょうか。

目には見えないけど確実に存在する身近な菌を感じるようになると、暮らしはもっと豊かさを増すでしょう。

見えないことで、本当にいるのか・いないのか半信半疑なところから始まります。

実際に最初のお味噌作りでは、結果的にほとんどがカビで「お味噌っぽい何か。」に、しかならなくて、それでも最初に仕込んだ状態と明らかに違うことやカビの発生から菌の存在を感じることができました。

年々お味噌作りを繰り返すことでお味噌がおいしくなったのは、単に自分のスキルが上がったことの他に、菌との協働を取り戻せたこともあるように思います。

買ってきた発酵食品もいいけど、自分でお味噌を作ることは、最も手軽で取り入れやすい身近な菌と繋がる方法です。

また、材料に使うお米や豆はスーパーで買うのが当たり前の時代ではありますが、昔から日本のどこかで誰かが種を守って繋いできた品種というのも各地に存在しています。

今一度そんな地域で生きてきた種たちにも目を向けて(お米も大豆も種なので)、その土地のものを食べて生きることから自給自足を始めてみてはいかがでしょうか。

手作りの味は、菌の味

どんなに機械化が進んでも、人が美味しいと思う食事には必ず人の手が加わっていると考えています。

レトルト食品も便利で美味しいけど、ホッと安心する味って誰かの手作りであったり家庭の味に戻りませんか?

人は菌と共生しているという話をご存知でしょうか。

人間は約40兆個の細胞で作られていて、それと同時に体の表面や腸内細菌をはじめとする体内にはその数よりも多い40〜100兆個もの常在菌がいるそうなのです。

人の細胞よりも菌の方が多いなんて、人が生きているのか菌の集合体が生きているのか(笑)なんだか不思議です。

そう考えると食べる時も、自分に栄養を与えているのと同時に、人と共存している菌に食事を与えて彼らの仲間を増やすお手伝いをしている感覚にもなってきます。

ところで菌の活動においてよく言われる【発酵と腐敗】について、私が知っている限りで大きな違いは2つあります。

①発酵は人にとって都合のいい活動のことで、腐敗はその逆であること。

②発酵はエネルギーを生み出すもので、腐敗はエネルギーを消費する活動であること。

そう考えると、人の体で発酵を促すことは人間がより健康的で活発に生きられる事と繋がるような気がします。

発酵食品を食べることは、なんとなく良いイメージがありますよね。

それは共生する菌がより元気になり、ついでに人間もその動きにあやかれるからだろうと思います。

逆に腐敗を起こす食べ物や食べ方は、それらを消化するエネルギーを奪われるので気力が低下したり疲れやすくなったりと、それもまた菌の活動に左右された人の素直な反応なのでしょう。

人が一人では生きていけないというのは、社会での人と人との繋がりにおいての意味だけでなく、菌の世界でもそう感じざるを得ません。

食べる時に、食材はもちろんカロリーやどんな栄養が入っているのかを気にしても、そこには表現しきれない無数の菌の存在も加わります。

もしかしたら美味しさというのは、人と共存する菌の働きなのかもしれませんね。

発酵食品は手作りすることでより、その人に合った食べ物に置き換わります。

その土地で育った作物がもつ菌や、人と家に棲む菌を取り込んで発酵させることで、素材の単なる掛け合わせだけじゃない、旨味と栄養価がUPした唯一無二な発酵食品として出来上がるのです。

手作りすることで見える世界がミクロにも広がっていくと、まだまだこの暮らしは果てしなくて、だからこそ生きているうちに沢山を経験したくて終わりのない冒険は尽きません。

自給自足は単に自分を満足させることではなく、より多くの他の存在を巻き込んでみんなで豊かな循環を巻き起こす。

そんなムーブメントの火付け役に、一人一人がなることなのかもしれません。

まとめ

今回の動画では、わが家の基本調味料である8種類を徹底解説しています。

一般的な調味料の「さしすせそ」のうち、砂糖としょう油についてはまだ自給できていません。

しょう油については、今年リベンジしたいと考えていて、砂糖(甘味)については現在「麦芽糖」のためにライ麦を栽培中です。

今年いよいよ、まとめて収穫できるか?!という段階なので、お楽しみに♪

▽そんなまだまだ発展途上の台所事情ですが、今回の動画も合わせてご覧ください▽




田村ゆに(Tamura Yunii)
1987年北海道札幌市生まれ。高校卒業後に歌手を目指して上京。アルバイトをしながらの歌手活動中に着物の魅力にハマり、365日着物生活をはじめる。29歳になる年にSNSで発見した田村余一の「お嫁さん募集」へエントリー。その年の秋に青森へ移住し田舎暮らしを始め、2017年に入籍。オフグリッド生活や畑作業をスタートする。2018年第一子を出産。現在は子育てや畑作業の傍でインスタグラムを中心に暮らしの知恵や野菜の知識をシェアして活動している。


たむらゆに(Instagram)
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この記事は書籍『 都会を出て田舎で0円生活はじめました 』の関連コラムです。