0円ストロング生活の始め方

ストロングに水を自給!我が家の湧水利用!【自給自足家族・実録レポート】

#連載エッセイ
#0円ストロング生活の始め方

面倒くさいは禁句!何でもアリな自給自足で毎日がエンタメ。青森の片田舎で笑っちゃうくらい自由に暮らす田村家のリアルを紹介します。

今日も元気に…「ストローングッ!」
こんな暑い真夏でもご唱和ありがとうございます。

毎年のことながらこの日本の夏。
梅雨はジメジメ…雨が多くて水害も発生しやすくなる。
読者のみなさまのご無事をお祈りしております。
水の力はかなりストロング。
前回の太陽パワー同様、この地球を循環し続ける無料のエナジー。
どう考えてもこれを利用しない手はない。
というわけで今回の0円ストロング生活のテーマは…

生命の源、YES、水。

青い惑星、地球。
その青さとはまさに水である。
海で蒸発した水は雲になり、陸に雨を降らせ、河川を流れてまた海へと戻る。
う〜ん、太古から壮大なスケールで循環し続ける水。
水はありとあらゆる動植物が必要とし、命そのものと言ってもいいほど。
この水があるおかげで我々人間もこれまで生きながらえてきた。
川の水を引いたり、井戸を掘ったり、水道を通したり、それをさらに浄水したり…
時代の変化とともに様々な方法で水を得てきた。
ときには水を得るために人間同士で争うことも。
それほどに水は重要!
もちろん、ストロング生活においても水は最重要課題。
今回は我が家の「水」についてご紹介いたしましょう。

そもそも、水がないのに自給自足生活をスタート?!

さて、今でこそ水道を契約しない生活をなんとか実現している我が家ではあるけど、
当初この場所での水利用としては、小屋の屋根から落ちてくる雨水をバケツに溜めて使う程度のものだった。
綺麗な水とは程遠く、葉っぱや虫などの異物も混入するし、せいぜい汚れた手や道具を洗ったり、育苗の水やりをしたりという感じだった。
当然、それだけでは足りず、近所にある実家の水道水をキャンプ用のタンクに汲んできてなんとか乗り切る日々。
今思うとなんとも情けない思い出だ。
まぁ、自給自足生活を始めるにあたり、贅沢に土地の選定からやることができたなら、そりゃ山の水がコンコンと湧き出るナイスなロケーションを選ぶだろうし、そうした方が絶対安心で楽チンさ。
だけど、僕にはそんな土地をゲットできる資金がなかったから、わがままなんて言ってられない。
実家所有の空き地を利用するほかに手段がなかったってワケ。
当時は水の重要性もあまり考えていなかったなぁ、ハハハ。

嫁、ひとり土をストロングに掘り始める。

ある日、嫁さんが「ここの畑は水はけが悪いから溝を掘ることにします」と言い出した。
人一倍、食べ物作りに関心があった嫁さん。
畑にとって水は大事ではあるけど、多すぎると地温が上がりにくく、根腐れも起こりやすい。
これでは野菜をうまく育てることができないと感じたようだ。
単純に、水は高いところから低いところに落ちていくという原理。
畑の耕作面よりも低く溝を掘ることで、水は緩やかにその溝に落ちる。
ほほぅ、と感心してその日ボクは能天気にも趣味の登山トレッキングに出かけた。
・・・
ボクが夕方前に帰ってきてみると、なんと!
畑の脇に何やらチョロチョロと泥水が流れている。
何事かとその先の方を見やると、嫁さんが泥だらけの姿で一心不乱にスコップで土を掘っている。
その溝はとても深く、嫁さんの肩から上がやっと見えるほど。
聞けば、スコップで掘り進めていったら次第にぬかるみはじめ、そのまま続けていって振り返ると小さな川が出来ていたという。
ボクはまるでおとぎ話を聞くように目をパチクリ、パチクリ。
それにしても1日で湧水を掘り出すなんて…
なんというストロングな嫁さんなんだ…!

水が、出た!

さて、こうしてウカウカしていても仕方がない。
放っておけば水はどんどん何処かへ流れていってしまう。
とりあえずその辺にストックしておいた廃材を組み合わせた突貫工事で貯水槽を作った。
その日に思い立って土を掘り、日が暮れる前には貯水槽に水を貯めれるなんて!
夫婦二人で小躍りして喜んだなぁ。
はじめはドロドロの泥水だった水も翌朝には澄んだ綺麗な水になっていた。
あとで知ったことだけど、実はこの土地、昔は田んぼだったそうな。
そこがいつしか林になって、それをボクらが開拓。
元々、水が集まる場所だったため、水はけも悪かったというワケ。
ひょっとしたら嫁さんは何かに導かれて、かつての田んぼの水路を復元するかのように土を掘っていったのかもしれない。

水質検査をしてみよう!

美しく透き通って見える水。
しかし、ミクロの世界で見ればどうだろう。
有害なものは含まれていないだろうか?

水質検査の専門業者さんに依頼すると高額な料金になってしまうので、
まずは簡易検査キットをインターネットショッピングで2,000円ほどで購入してみた。
なんだか理科の実験を思い出し、ワクワクしちゃいながらもレッツ・検査!
我が家の湧き水は果たしてどんな水なんだろうか?!

「亜硝酸態窒素」

この値が高いと近くの川や池が汚れている可能性があるんだけど、こちらはかなり低めの数値。
※ 色が濃く出るほど数値は高くなり危険度が増します

「硝酸態窒素」

ありゃ、なんだかこの数値は高いぞ。
この値が高いと、ここから高い場所(上流)が汚れている可能性があるらしい。
硝酸態窒素を多く含んだものを食べたり、飲んだりすると発ガンリスクが上がるという説も聞いたことがあるし、消化器官が未熟な乳幼児が飲用すると体調を崩す可能性があるとのこと。
農業肥料の成分にもなっている窒素。
我が家からすぐ近くの丘では農業も盛んにおこなわれているから、そういった影響もあるかもしれない。

「りん酸」

これが高いようだと、肥料や有機物の汚染が自然界の分解を上回っている状況みたいだけど、こちらは大丈夫みたい。

「アンモニウム態窒素」

生活排水や田畑からの肥料分の流入があるとこの数値は上がるらしいけど、うん、大丈夫なようだ。

「COD(化学的酸素要求量)」

水中の有機物量の指標。これが高いと水中の酸素が不足していて生態系バランスが崩れている状態。
本来の自然浄化ができていない状況を表すみたいだけど、ちょっと不安な数値を示していた。
農業用水には十分らしいけど、飲むにはチョット…っていう感じ。

簡易検査を見るに、うちの水は「飲用にはしないほうが良い」という結果に。
う〜ん、これは残念!
うちの嫁さんがストロングに掘り当てた、古の田んぼの水路(?)を流れる水は、時代の変化なのだろうか、飲まない方がいい水であった。
ちなみにこの検査では他の重要要素、細菌類や重金属系の検出はできない。
この簡易検査をしっかりクリアしたら追加で検査する予定だったけどね。
(水質検査の費用は我が家にとって結構なお値段なので…)

我が家の湧水利用の現状

そんなわけでして、うちではこの湧き水を飲用以外にふんだんに利用。
洗濯や食器洗い、苗の水やり、子どもの水浴びなど、水道代を気にすることなく幅広く使っている。
(お風呂はまだ作ってなくて、地元の温泉に通ってます)
あの日の突貫工事から年々アップグレードを重ね、簡易濾過装置を自作したり、水タンクを廃材で新調したり… 我が家なりに細々と進化させているつもりだ。
(その模様は記事最後に埋め込んだ動画で見てみてね)
え? 飲み水はどうしてるかって?

幸いにも町の外れに、一年を通してコンコンと湧き出る名水があって、そこに車で出かけて1ヶ月分(120リットルくらい)を汲んできてます。
これがまた真夏に常温保存していても腐ることがないほどのピュアウォーターぶり。
ありがたや、ありがたや〜!

まとめ

曲がりなりにも水道を契約せず、ゼロ円の水を利用している我が家。
(湧き水を汲みに行くためのエネルギーコストはあるけど)
水道メーターは無いし、それをチェックしにくる人も来ない。
地中深くに埋められた配管もない。
もちろん取水タンクの管理や水汲みに行く手間はあるけど、このなんともシンプルでムキ出しな生活デザインが気に入っている。
今後は雨水も効率良く集水利用したり、精度の高い濾過装置を作ったりしていきたいと考えている。
水は生活するためには不可欠な存在。
インフラに頼るのもいいけど、それ以外の水の確保もできればそれはかなりストロングなことだ。
命を支えてくれるこの水のことをもっと知って、未来の子どもたちもたくさん利用できるように頑張りますー!




田村余一(Tamura Yoichi)
1977年、青森県南部町生まれ。大学卒業後まともに就職することもなく、フリーターをしながら現代社会への不安と失望を加速させる。20代半ば、富士山で冒険死を試みるも見事に失敗し、おどるような人生を選択。以来ちょっとオカしいくらいのポジティブ思考で独自の人生をクリエイトし始める。伴侶の田村ゆにと電気・ガス・水道を契約しない生活を構築し、持続的DIY農生活を実践しながら、これまでの人生経験の集大成とも言える、地域の「御用聞屋」を開業。デジタルとアナログを混ぜ合わせつつ、一人で百の仕事をこなす現代版「百姓」を目指す。廃材建築家、イベント企画/演出、映像作家、デザイナー、イラストレーター、ナレーター、舞踏家などなど……スキルはムダなくらい多岐にわたる。2023年4月からムラづくりプロジェクト「コミューン」を始め、自給自足生活をムラビトと一緒に共有している。

うちみる(自給自足家族生活オフィシャルWEBサイト)
http://uchimill.naturebounds.com/

うちみるコミューン(自給自足のムラづくりInstagram)
https://instagram.com/uchimill_commune

うちみる動画チャンネル(YouTube)
https://www.youtube.com/@uchi-mill4828

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