面倒くさいは禁句!何でもアリな自給自足で毎日がエンタメ。青森の片田舎で笑っちゃうくらい自由に暮らす田村家のリアルを紹介します。
目次
原始と科学の融合! それがロケットコンロ!
やぁ、良い子のみんな! ロケットコンロを知ってるかい? 使い倒しているかい?
ロケットコンロとはご家庭のガスコンロが、ある日突然カウントダウンを始めて宇宙に飛び立ってしまう大事件なんかじゃない。
ガスを契約せずとも立派に煮炊きができちゃう、キャンプ要素もちょっと含んだ木質燃料を使ったとっても効率的なファイヤー装置のことなんだ。
まぁ説明するよりも先にまぁ見てやってやってくださいよ。
This is it!
ふふふ、重ねたオイル缶と一斗缶にゴミが詰まってるようにしか見えないでしょう。そうです、見た目はただの廃材です。
実際、コストはほとんどかかってません。
これが一体どんな構造になっているかというと… こんなふうになってます。
This is it!(2度も失礼)
(著書から抜粋)
実はオイル缶と一斗缶の中には煙突と断熱材が入っているわけでして、構造自体は至ってシンプル。
購入したのは断熱材にしているバーミキュライトのみで大体2,000円くらいかかっている。
バーミキュライトはホームセンターの園芸用品で購入できる、火山岩を細かく砕いた土壌改良材。
その他の材料は全て廃材を利用して0円です。「こんなのが調理コンロになるのかよ!」っていうツッコミ、お待ちしておりました。それがなるんです、なるんです。
(著書から抜粋)
…お分かりいただけただろうか?(心霊画像ではありません)
焚き口で薪を燃やすことで煙突効果が発生。炎は勢いよく燃焼筒を駆け上がり、内部で2次燃焼。
本来は煙になるものまで燃やしてしまうので、ほとんど煙も出さずに高温の熱が煙突の先に溢れ出す。
その勢いたるや、まさにロケット!ゴォーッという音が煙突内に響く。
炎の通り道が断熱されていることで放熱ロスを防ぎ、火力が一点に集中する。
煮物はもちろん、炒め物や天ぷら料理も可能。
オイル缶や一斗缶がストーブ状態にならないので、夏場もまぁまぁ涼やかに調理ができる。
太古から使われてきた原始の炎を、現代の素材で包み込んで断熱することで科学のチカラが加わる。これぞ現代の炎、ナウ!
記事の最後には動画も載せてますのでゼヒご覧あれ。
ロケットコンロを使うために知っておくべきこと
さて、ここまで読んでくれた諸君はロケットコンロがいかにステキング(素敵の王様)な装置なのか、きっと理解してくれたであろう。← 偉そう
だがしかし、どんな素晴らしい装置でも特性を理解していなかったり、使い方を間違えちゃったりしたら大変だ。
なにせ取り扱うのは火。マッチ一本、火事の元です。
ここからはロケットコンロのメリット、デメリットをご紹介します。
ロケットコンロのメリット
あくまで我が家の場合だけど、なんと言っても燃料(ランニングコスト)がタダであることだろう。
うちでは木質燃料を主に以下の3ルートからゼロ円で入手する。
・建築廃材(知り合いの業者さん/※御用聞きシゴト)
・庭木などの伐採木(自宅の敷地から/知り合いの業者さん/御用聞きシゴト)
・自宅周辺の林道に落ちている木の枝(お散歩やお掃除ついでに)
※御用聞きシゴト=ボクがやってる地域の便利屋さん。
ねぇ、そこの奥さん!
毎日の煮炊きの燃料がタダ、タダなのよ!
んもぅ、いくらでもお料理できちゃうわよ〜!
…といった具合にお料理が大好き、お財布事情にシビアな奥さんにはもうこりゃ堪らない。
また、薪といっても大きなものは全く必要なく、小指の太さくらいの枝で全然OK。
田舎ならその辺に落ちているし、そんなもの誰も欲しがらないから競合相手もいない。
タダで入手できるエネルギーの大バーゲンなのに誰も殺到することなく、道端で拾い放題だ。
御用聞きシゴトで庭木などを引き取るときなんて、むしろお金を頂いた上に燃料までゲットできるから最強パターン。
お財布的に良い事尽くめなのである。
ロケットコンロのデメリット
一方でもちろんデメリットもある。
大きく4つ。
① 薪づくりが大変
いくらその辺で拾えたり、廃材を使えたりしてもロケットコンロに適したサイズってものがあるわけで、切ったり割ったりする作業が多少なりとも発生する。
コンロの内部は直径10cmほどの煙突だから、まずそこに入らないことにはどーにもならない。
普段、スイッチひとつでボッと炎が出るガスコンロを使っている人からすれば薪づくりは恐ろしく遠回りに感じるだろう。
② 煙の発生
いかに燃焼効率が良いロケットコンロともいえども、最初の焚き付け(アイドリング)のときはどうしても目に見える煙が出る。
また、油分(ヤニ)の多い松の木を燃やせば結構な割合でモクモクと煙が上がり、たちまち鍋の様子が見えなくなってしまう。
さらに調理をするナベの底や側面もススで真っ黒け。
真っ白なオナベもたった1日でモノクロのツートンカラーになる。
そのため、我が家では室内ではなく、半屋外の屋根付きウッドデッキで使用している。
③ 料理中はとにかく忙しい
燃える薪の火力調整というのはなかなかに熟練のワザが要る。
薪の種類、太さ、長さ、本数をうまく調整して弱火から強火までを実現させるわけで、五感をフルに活かした経験則がものを言う。
火力調整だけに集中できるならまだしも、野菜を切ったり、味付けをしたり、調理と並行しながらそれをおこなう。
我が家では2基のロケットコンロを並べたツインバーナー式。時短のため、2つの料理を同時進行させるもんだから調理中のウッドデッキは戦場だ。
うちの嫁さんが千手観音に見えるときがある。
④ 定期的な修理交換が必要
ロケットコンロも物体である以上、いつか必ずどこかにガタがきていずれは壊れる。
特にモーレツな高温にさらされる焚き口と燃焼筒の中間あたりは、時期がくれば煙突の金属に穴が開き、断熱材のバーミキュライトが漏れ出してくる。
そうなってきたら該当箇所のパーツ交換が必要になる。
一度全て分解しなければならないのでちょいと骨が折れる作業となる。
まとめ
まぁどんなものも一長一短があるもの。このロケットコンロ、特に使用環境には大きく左右されることにはなるけど、その特性を活かしていければこれほど良い自給自足アイテムはない。
毎日火を見る生活はなんだか安心する。
火を使って生活してきた人類の歴史は数十万年にも及ぶらしい。
そりゃDNAにも刻まれてるよね。
なんというか、そんな歴史の火を絶やしたくないって感覚もちょっとだけあったりなかったり。
さぁ、今日も薪集めてくるとするかぁ。
田村余一(Tamura Yoichi) 1977年、青森県南部町生まれ。大学卒業後まともに就職することもなく、フリーターをしながら現代社会への不安と失望を加速させる。20代半ば、富士山で冒険死を試みるも見事に失敗し、おどるような人生を選択。以来ちょっとオカしいくらいのポジティブ思考で独自の人生をクリエイトし始める。伴侶の田村ゆにと電気・ガス・水道を契約しない生活を構築し、持続的DIY農生活を実践しながら、これまでの人生経験の集大成とも言える、地域の「御用聞屋」を開業。デジタルとアナログを混ぜ合わせつつ、一人で百の仕事をこなす現代版「百姓」を目指す。廃材建築家、イベント企画/演出、映像作家、デザイナー、イラストレーター、ナレーター、舞踏家などなど……スキルはムダなくらい多岐にわたる。2023年4月からムラづくりプロジェクト「コミューン」を始め、自給自足生活をムラビトと一緒に共有している。 うちみる(自給自足家族生活オフィシャルWEBサイト) http://uchimill.naturebounds.com/ うちみるコミューン(自給自足のムラづくりInstagram) https://instagram.com/uchimill_commune うちみる動画チャンネル(YouTube) https://www.youtube.com/@uchi-mill4828