テーマパークといえば、アトラクションに並んで人気なのが「ショーやパレードのエンターテイメント」。東京ディズニーリゾート(以下、TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)ともに、それぞれ個性的なキャラクターをはじめとした、明るく賑やかで楽しいエンターテイメントで賑わっています。
しかし、同じエンタメでも、パークによってその個性に大きな違いも見受けられます。今回は、そんなショーやパレードの2つのパークの魅力と、ショーやパレードを楽しむために、課金エリアがあるのか、どのくらい待てばいいのか、立ち見か座り見かなど、知っておきたい情報について語ってみたいと思います。
目次
ショーやパレードの数は?規模はどう違うの?
個性ある多くのエンターテイメントが特徴の両パーク。アトラクション好きの方も多いですが、好きなショーやパレードのためだけに1日費やすファンの方も多く存在します。
そんななか、気になる両パークのショーやパレードの「エンターテイメントの数」について。
単純に1日のショーとしてスケジュールに掲載されているプログラムを比較すると、TDRの両パークでは2023年夏時期のプログラムとしては、ランドとシーでそれぞれ約6個(有料及び抽選のものも含む)、USJでは約18個あります。
ただ、USJではキャラクターグリーティングもショーの扱いであり、さらに大小様々な形があるため、単純に数だけで比較することは意味がないといって良いでしょう。
メインとなるエンターテイメントでは、TDRのディズニーランドでは「パレード」や近年はあまり開催されていませんが、シンデレラ城の前に設置されたステージでの「キャッスルショー」があります。また、ディズニーシーでは、海の上や周辺ステージで開催される「ハーバーショー」などがメインとして存在します。
対して、USJでは現在はパーク内の通路を利用した『NO LIMIT! パレード』が行われているほか、専用シアターとして、巨大な半屋外ステージ「ウォーターワールド」があり、こちらの座席数は定員3,220名。
ランドで『ミッキーのマジカルミュージックワールド』が公演されている屋内シアター「ファンタジーランド・フォレストシアター」やシーで『ビッグバンドビート~ア・スペシャルトリート~』が公演されている屋内シアター「ブロードウェイ・ミュージックシアター」の定員は約1,500名。
「ウォーターワールド」では2倍の大きさを誇っているため、定員を満たして入れなくなるということがほぼありません。
こちらでは本物のスタントマンや水や火、派手な爆音や火薬、さらには巨大な装置や特殊効果を使ったショーが行われており、単純にショーの派手さや規模で比較すると、USJのほうが派手で規模が大きいといえるかもしれません。
抽選がないUSJのエンターテイメント
2つのパークのエンターテイメントの大きな違いとして挙げられるのが、ショーなどの「抽選」。
多くのゲストが訪れるパークでは、全ての方が平等に全てのショーを見るのは非常に難しい部分があります。
そんななか、TDRでは、特定のショーでは「抽選」が行われ、「抽選(エントリー)に当たらないと絶対に見られないショー」が近年増えてきています。
対して、USJは基本的に抽選のショーというものは存在せず、「シンプルに早い者勝ち」の状況になっています。
筆者の印象としては、両パークとも質の高いエンターテイメントが行われているのは同じですが、ショー等に対し、全体的にTDRは「キャラクター人気にあわせて非常に早い時間から待つ人が多い」のに対し、USJでは「それほど長時間から待つ方は多くはいない」という印象があります。
このショーの抽選ですが、TDRでは「当選さえすれば、待ち時間もほぼ無く、ゆったりゆっくりと見られる」というメリットがありますが、反面、「ハズレてしまうと全く見ることができない」というデメリットもあります。
それなりの入園料を払っているのにゲストによって満足度に差異が生じてしまうのは賛否が分かれる部分だと思います。
シアター自体のキャパや人気度によって変わってくるので一概にはいえませんが、USJのように基本的には早い者勝ちではありますが、「長時間待ってでも見たい」というゲストの想いを考慮してほしい! とファンとしては思ってしまいます。
小規模ショーも見応えバツグンなUSJ
ショーが開催されるステージとしては、TDRのランドでは「ショーベース」「ファンタジーランド・フォレストシアター」「シアターオーリンズ」など、シーでは「ブロードウェイ・ミュージックシアター」「ドックサイドステージ」「ハンガーステージ」などの専用シアター(劇場)で行われるステージショーがあります。(※休止中のものも含む)
USJでは『ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー』のシアター(定員902名)や、『シング・オン・ツアー』のシアター(定員502名)とこちらの中規模シアター定員としては、TDRよりやや少な目な印象があります。
そんななか、TDRに比べてUSJは比較的小さめなステージでシンプルに行われるショーが多いことが挙げられると思います。例えば言葉に表してしまえばシンプルですが、外国人シンガーが軽快なポップで、生歌とダンスを披露する『パワー・オブ・ポップ:トレンディング』や、ラテンのダンスを楽しむ『フィエスタ・ラティーナ』など。
また、登場するエンターテイナーによって、ダンスやパフォーマンスが変化する『バブル・ビート・ブロック』など、TDRではまだ完全再開しない生歌などもパフォーマンスとして行われています。
また、期間限定ではありますが、ハリーポッターエリア(ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター)では、関連作品等に登場する魔法生物と演者が登場し、ゲストとのふれあいを行うミニショーが行われています。
こうした両パークのショースケジュールを比較してみると、TDRと比較して、USJは「小規模でもクオリティの高いショーがたくさんある」といった印象を受けます。
アトモスショーが減ってきたTDR
TDRでもパーク内の各エリアで突発的に行われるミニショー(アトモスショー)がこれまで多く開催されてきました。これは当日のショープログラムに掲載されていないミニショーで、パーク内で突発的にはじまる、サプライズ要素的なプログラムでもありました。
しかし、近年はそうしたアトモスショーの数が減ってしまったのが残念です。以前は各テーマランド(ランド)や、テーマポート(シー)に応じた様々なショーがあり、ゲストを楽しませてくれました。
これまで数多くありましたが、例えば、ランドでは男女5人組のアカペラコーラスグループが、ボイスパーカッションを交えてディズニーの曲を歌う『オーパス・ファイブ』。
シーではS.S.コロンビア号のキッチンから来たシェフがフライパンや鍋、ドラム缶を叩きながら演奏し、時々ドナルドダックも共演することがあった『キッチンビート』など、人気だったミニショーもほとんど終了してしまいました。
それに代わって、近年はエンターテイナーではなく、キャストさんが行うゲストとのふれあいが増えています。
パークを盛り上げてくれるキャストさんとのふれあいも良いのですが、こうしたエンターテイメントもこれから復活してくれると良いですね。
どのくらい待つの?USJもレジャーシートOK?
両パークの違いがよくわかるのは、「パレードの観覧方法の違い」。TDRでは、シンデレラ城を中心にした園内のパレードルート沿いに早くからシートを敷いて待っている方が多くいます。
対して現在行われているUSJの『NO LIMIT! パレード』でも、もちろん早くから待たれている方はいるのですが、大きな違いは、USJの場合、「全員が立ち見」ということ。
座って待つのにレジャーシートはOKですが、開始前には例え最前列でも全て立ち見となります。
もちろん、パレードの中身や今後の展開などで変わる事はあると思いますが、特に現在はパレード中にゲストがパレードルートに参加して、一緒に踊る、というゲスト参加のシーンがあるため、逆に座っていると危険……という理由もあると思います。
反面、TDRでは過去にそうしたゲスト参加のパレードもありましたが、基本的には座り見で、静かにパレードを鑑賞する、という形が主流になっています。こんなところも大きな違いですね。
USJにも課金ショーエリアはあるの?
近年増えてきている、入場料の他に、さらに課金をして楽しむという形。TDRでは主に「ディズニー・プレミアアクセス」という制度があります。
対して、USJでも『NO LIMIT! パレード』に有料鑑賞エリアが設けられ、秋のハロウィーンのショーでも同様に有料席が設置されることが明らかになっています。
いうまでもなく、有料席は待ち時間が少なく、快適に観覧できる場所が用意されています。そのショー自体がよく観られるという以外にも、それを待つ時間を有効に使えるという意味では非常にいい選択肢だと思います。
もちろん、ここで課金をしなくても、どちらのパークでもショー等を楽しむことができます。
しかし、何かと忙しい現代人にとっては、「お金で時間を買う」という新しい感覚は、今後より一層浸透していくのかもしれませんね。
キャラクターがどのくらい出てくるの?
続いては、ショーやパレードに登場するそれぞれのキャラクターについてですが、TDRの場合はいうまでもなく、やはりミッキーマウスの人気が突出しているという部分があります。
連載記事の二回目、こちらの記事でも触れましたが、少し大袈裟にいうと、「ミッキーさえ出ていれば、大抵のエンターテイメントが成立してしまう」という位の大きな存在ともいえます。
対して、USJの『NO LIMIT! パレード』では、本来のUSJのキャラクターである、セサミストリートのキャラクター以外にも、本来は「サンリオ」のキャラクターであるハローキティーや、任天堂のキャラクターのスーパーマリオ、ポケモン、映画『SING』のキャラクターや、スヌーピー……など、非常に多岐にわたります。
このように、運営会社や映画配給会社の垣根を越えた非常にたくさんのキャラクターが登場しています。
こうした部分は両パークの大きな個性の違いといえます。「世界中の誰もが知る物語やキャラクターが中心となったTDR」に対して、「個性的なキャラクターがたくさん存在するUSJ」というところの違いが興味深いですよね。
「ダンサーの個性」が光るUSJ
また、両パークのエンターティナーの大きな違いとして、USJではキャラクター以外に「ダンサーの個性も重視されている」といった部分を感じます。
TDRのエンターテイメントにおけるダンサーは、「その物語などを補完するキャラクター」というイメージがありますが、USJのダンサーは、「ダンサー個々の個性」が非常に強く出ている印象があります。
例えばTDRのダンサーは被り物をしたり、お面をかぶったりして登場する場合も多く、あくまで「その世界観を保つダンサー」という位置づけですが、USJではダンサーの髪型やアドリブ的な動きも比較的自由だなと感じることも多く、「ダンサー個々の人気」も非常に高い気がします。
また、TDRでは、「ダンサー個別の名前」を出したり、呼んだりすることは、「暗黙の了解としてタブー」な扱いといった印象がありますが、USJでは積極的にダンサー個人の名前がSNSなどUPされたりと、その個性も重視されているという印象があります。
もちろんどちらのパークも非常に魅力的なダンサーさんが多いですが、こうした部分も双方の大きな違いを感じます。
キャラ人気の強いTDR、エンタメ性が高いUSJ
ご紹介してきたように、これまでの連載記事でも触れていますが、やはり「ミッキーを中心としたキャラクターが強いTDR」に対して、「幅広く垣根を越えた様々なキャラクターが登場するUSJ」といった部分でそのエンタメ性に大きな違いがあると感じます。
また、TDRでは「ディズニーの映画の世界観」を非常に大切にするため、言い換えれば、「その演出やこだわりはその世界観を保つことが優先」といった部分があると思います。
対して、USJでももちろんその傾向はありますが、「ショー的要素」が高く、例えば、前述したように、『NO LIMIT! パレード』でゲストが参加する場面があったり、派手な紙吹雪が何度も吹き出され盛り上がります。また、同パレードでは、「バブルワンド」といって、シャボン玉が吹き出す、パレード用のグッズが販売されており、「ゲストもキャラもダンサーも一緒に盛り上がる」という大きな大きな違いがあります。
「ディズニーの世界観が再現されたエンターテイメントやパレードを楽しむTDR」に対して、純粋に「ショーやパレードはゲストも一緒になって楽しむ」というところに、両パークの方向性の違いを感じます。
もちろん、これらはそれぞれのパークの特徴であり、真似をする必要はないですし、それぞれの楽しみ方があります。
どちらも魅力的なこだわりを持ったエンターテイメントがたくさん開催されており、両パークそれぞれを知ることで、さらにそれぞれのこだわりやその深さを一層楽しめるようになると思います。また、ショーやパレードを楽しむために、課金エリアがあるのか、どのくらい待てばいいのか、立ち見か座り見かなど、知っておきたいことも。
何かと比較されやすい両パークですが、「どっちの方がいい!」ということではなく、それぞれの良さや個性を知ることで、さらに双方のパークの良さを知り、それぞれを楽しめるように感じていただければ幸いです。
(画像提供:iStock.com/Vladimir Sukhachev/Circle Creative Studio/xraybravo/klebercordeiro/DisobeyArt/:Westbury/DanielBendjy/RnDmS/Marek Bubenik/Joaquin Ossorio-Castillo)
みっこ 約18年間、東京ディズニーリゾートに通う「Dヲタ」。 東京ディズニーリゾートについての裏技や雑学を紹介しているブログ「TDRな生活」で、合計約4500記事、約18年間更新し続けている。ショーやパレードの鑑賞よりも、パークの細かな雑学や物語が大好物。普段は普通の社会人。WEBライターとしても活躍。TV番組への情報提供や、雑誌・週刊誌のディズニー系情報の執筆や取材同行、攻略系ブログ「TDRハック」の執筆にも参加。 著書に『ディズニーに行く前に知っておくと得する66の知識』(文響社)、『ディズニーの待ち時間を劇的に減らす方法』『ディズニーがもっと楽しくなる魔法のトリビア』(KKベストセラーズ)『ひとりディズニー50の楽しみ方』(サンクチュアリ出版)など。