東京ディズニーリゾートに10数年通っているDヲタが語る、東京ディズニーリゾート(以下、TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)の違い、そしてそれぞれの楽しさについての連載記事の2回目。
今回は、それぞれのテーマパークのアトラクションの特徴や、楽しみ方について。同じテーマパークという括りではありますが、筆者も驚きの違いがたくさんありました!
目次
スリル満点のUSJ、誰もが楽しめるTDR
TDRもUSJも、やはりアトラクション! という方が多いのではないでしょうか。ショーやパレードの楽しさももちろんですが、やはりアトラクションを楽しみたいですよね。
前回、「2つのパークの大きな違い」として、アトラクションのスリルや怖さの振り切り具合について触れましたが、「USJの方がひとつ飛び抜けた感」があります。スリル感だけではなく、炎や水、案内や演じるクルーの表現や動きなども、より突き詰めた感があるように感じます。
対して、TDRのアトラクションは、例えばコースター系のスリルやスピードでは「怖さを感じる手前で終わる」くらいに調整されており、一般的に絶叫系が苦手な人はもちろん、万人が楽しめるようになっていると感じます。
また、TDRではアトラクションの待機列に置かれている細かなプロップス(小物)も、設定当時の時代の本物を使っていたり、それぞれのアトラクションには細かなバックグラウンドストーリーがあったりなど、スリルだけでなく没入感も味わえます。また、誘導してくれるキャストもしっかり丁寧に確実に……といった印象を受けます。
対してUSJは、そうした物語よりも、「アトラクション自体のスリルや興奮を味うこと」に重点を置いている、といえるかもしれません。
これも「よりスリルを求めるUSJ」と「物語と世界観を保つTDR」といった、それぞれのパークの個性が出ている感じがします。
やり過ぎのUSJではTDRよりもずぶ濡れになる?
お伝えした通り「より多くの方が楽しめるTDR」に対し、「エンターテイメント性を突き詰めたUSJ」。
わかりやすい例でいうと、例えばディズニーランドの「スプラッシュ・マウンテン」は丸太のボートに乗って、落差約16mの滝つぼにダイブして「それなりに濡れる」ことで有名です。
対して、USJの「ジュラシックパーク・ザ・ライド」も同じようにボートで水面に落下するライドですが、約25mもの急流を滑り落ちるため、座席によっては「えげつない量で濡れる」程のアトラクションです。こちらは入り口で雨カッパを売っているほど。冬場には、座席によっては着ているコートがタオルのように絞れるほど濡れることもあります。
同じく、USJのボートライドの「ジョーズ」でも、進行方向左側の後ろの座席の一部では、下半身がずぶ濡れになることがあったり、コースタータイプのアトラクションある、「ザ・フライング・ダイナソー」はコース全長1,124m、ファーストドロップの落下高度は37.8mと、登場時フライングコースターとしては世界最大で、大きな高低差が生み出す「G」は、TDRのアトラクションでは感じることのできないスリルと激しさです。
このアトラクションは、絶叫が苦手な人はもちろん、得意な人でもギョッとすることでしょう。私も何度か乗りましたが、全然慣れません……。
ただ、その分、USJでは利用可能な身長制限が高めに設定されているので注意が必要です。
《USJで身長制限が高いアトラクション》
132㎝以上…ザ・フライング・ダイナソー
ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド
ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド ~バックドロップ~
122cm以上…ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー
《TDRで身長制限が高いアトラクション》
117cm以上…インディ・ジョーンズ®・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮
レイジングスピリッツ
センター・オブ・ジ・アース
比較して、TDRはアトラクションの身長制限も低めに設定されており、お子さんや身長が低めの方でも多くのゲストが楽しめるようになっている事がわかります。
こうしたアトラクションの特徴も両パークらしい個性が出ている気がします。
TDRに慣れた方がUSJに行く時、特に小さなお子さんがいる場合は、事前にしっかり調べてから行く方が良いでしょう。
「楽しむ時間」は「買う時代」へ
こうした両パークの人気アトラクションですが、どちらも難点は長い待ち時間。
そんな中、TDRでは2022年5月から、有料で待ち時間が短縮できる「ディズニー・プレミアアクセス」が登場しました。(アトラクションは1,500~2,000円)
これまでは、無料で先着順でファストパスを取得できましたが、実質廃止(現在、正式な廃止とはなっていませんが、看板等が撤去されています)となり、人気アトラクションやショーを中心に有料でチケットが販売されています。
こちらの有料アトラクションチケットに関しては、歴史の長いTDRよりも、USJの方が先輩。こちらも「ユニバーサル・エクスプレス・パス」と言う名で、様々なセット券として販売されています。(USJでも2004年9月までは無料でした。)
これらの有料アトラクションチケットについては、「高い入園料を払っているのに、また更に買わないと楽しめないの?」など、導入当初はどちらのパークも批判的な考え方もありました。
しかし、逆に言うと「長い待ち時間をお金で解決できる」という方法は、ゲストにとって「選択肢が増える」形であり、有効に使えば更にパークを楽しめる事にもなります。
近年では「時間をお金で買う」という感覚は当たり前になってきている部分もあり、余裕があれば積極的に使う事で更に時間を有効に使えるのでおすすめです。
有料アトラクションチケットのメリット&デメリット
有料アトラクションチケットの先輩であるUSJ。
「ユニバーサル・エクスプレス・パス」は対象アトラクションが様々な種類に分かれており、4つセットや7つセット、その他にも平日限定でショーの観覧と食事がセットになったチケットなど、期間限定なども含め、数多くの種類のチケットが販売されています。(値段にかなり幅があり、同じ内容のパスでも日にちによって価格が変動します)
メリットとしては、事前に購入ができ、乗車時間も指定することができるので、入園する前から、「その日のスケジュールが決めやすい」という点が挙げられます。
反面、デメリットとしては、「購入したら変更やキャンセルが基本的にできない」ということ。急遽予定が変更になったとしても、そのチケットは無駄になるしかない……という点があります。
そしてTDRの「ディズニー・プレミアアクセス」。こちらは逆に当日入園してからチケットを購入するため、混雑時は入園しないとどの時間帯が購入できるか、そもそも余っているかがわからない、少しゆっくり入園したら、既に販売終了している事もある、というデメリットがあります。
逆にメリットとしては、当日の天候状況や体調、予定に併せて自分が入園してから購入できるので、直前の予定変更の場合や、臨機応変なプランが立てやすいともいえます。
TDRもUSJも、どちらもメリットとデメリットが存在する有料アトラクションチケット。
こうした2つのパークのメリットとデメリットを合わせ、例えば「事前購入可能で、なおかつ当日も空き枠があれば、時間の変更も可能」といった仕組みになれば理想的ですね。
イベントごとに変化するUSJのアトラクションや施設
多くの個性的なアトラクションがある両パークですが、双方の特徴として挙げられるのが、「時期や期間限定で変化する要素がある」こと。
わかりやすいのは、TDRの人気アトラクション、999人のゴーストが住むお化け屋敷風ライドの「ホーンテッド・マンション」はハロウィーンからクリスマスの時期にかけて、映画『ティム・バートンのナイトメアー・ビフォアクリスマス』のジャック・スケリントンなどが登場する「ホリデーナイトメアーバージョン」になる事は多くの方がご存知ですよね。
また、春のキャンパスデーシーズンには、エレベーターで急上昇・急降下する「タワー・オブ・テラー」の落下パターンが変化するスペシャルバージョンになることも恒例になりつつあります。
こうした「同じアトラクション」でも、そのパターンや中身を変えることで、ゲストが新鮮に楽しむことができます。
そしてそんな変化がまた独特なのが、USJ。屋内のコースターアトラクションである「スペース・ファンタジー・ザ・ライド」は期間限定で、3Dゴーグルを活用した「XRライド」として大きく変化します。
これまでもエヴァンゲリオンやファイナルファンタジー、ルパン三世、進撃の巨人、鬼滅の刃、ドラえもんなど、関連会社の垣根を超えたコラボを実現できるのはTDRには無いメリットといえます。
他にも人気ジェットコースターの「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」では、アトラクション体験中に耳元のスピーカーから流れる音楽を一人ひとり選ぶことができ、一部の曲がコラボイベントの度に入れ替わります。
例えば「名探偵コナン」や「呪術廻戦」の登場キャラクターの本物の声優を使ったここだけのオリジナル物語やBGMを楽しめるなど、アトラクション自体は変わらないものの、毎回新たなパターンで楽しめる要素もあります。
また、さらにUSJではその時期だけのアトラクションが開催できる屋内施設やスペース(パレスシアター、ステージ22等)があり、貸切イベントでパーティが行われたり、ハロウィーンの時は、2022年は「レジェンド・オブ・フィアー」という、いわゆる「お化け屋敷)」になったりします。そのため、「期間限定のアトラクションの幅が広い」という特徴があります。
TDRの世界観が表現されたショーやパレードも良いですが、USJの様に、今後の可能性や幅広く対応できるようになっている所は興味深いですよね。
アトラクションの傾向を知ればもっとラクに楽しめる
両パークとも人気のアトラクションがたくさんありますが、それぞれのアトラクションの傾向というものがあります。
どうしても混雑するアトラクションですが、その混雑の流れや傾向を把握することで、さらに楽しむことができる事も……!
例えば、ディズニーランドでは、現在は「美女と野獣“魔法のものがたり”」、シーでは「ソアリン:ファンタスティック・フライト」が突出した一番人気を誇っています。
そのため、これを有料チケットであるプレミアアクセスを購入し、多くの人が集中する時間帯にその間に他の人気アトラクションに乗る方が、全体的な効率が非常に良くなります。
同様に、USJでは現在はまだ「スーパー・ニンテンドー・ワールド」への入場が一番人気で、コラボ中の「ドラえもん XRライド~」も長い待ち時間になるのは確実です。
こちらも先程同様にエクスプレスバスを事前に購入し、その間に他の人気のジェットコースター系の「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」や、「ザ・フライング・ダイナソー」などをクリアすることで、同様に時間を有効に使うことができます。
よく言われる、「何も調べずに考えずに行っても楽しめる」ですが、確かにそれはありますし、「初見の感動」と言うのもあると思います。
ただ、現代は情報社会とも言える時代。やはり、よりパークを楽しむためには、どちらのパークでも「事前の情報収集」や「その傾向を把握しておく」というのは非常に大切なことだと思います。
ちなみに、公式サイトの待ち時間表示の傾向としては、TDRでは待ち列の調査カードをキャストがゲストにランダムに渡して、こまめに待ち時間チェックを行っているため、その「待ち時間はかなり正確」で、誤差はほとんどないといってもいいと思います。
対して、USJは、待ち時間が「TDRの正確さに比べるとアバウトな部分」があり、表示されている時間よりも短めに体験できることが多くあります。
もちろん、混雑状況などにより変化はありますが、こうした公式サイトからはわからない傾向なども知っておくと、より効率的にパークを楽しめると思います。
……以上、お伝えしてきました両パークのそれぞれのアトラクションの特徴。
「世界観に忠実で万人向けのTDR」そして、「ひとつ飛び抜けたスリルや体験が味わえるUSJ」。どちらもそれぞれ個性的で魅力的なアトラクションがたくさんありますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
(画像提供:iStock.com/anton5146/kuri2000/Paul Bradbury/martin-dm/Anna Gorbacheva/xavdlp/andykazie)
みっこ 約18年間、東京ディズニーリゾートに通う「Dヲタ」。 東京ディズニーリゾートについての裏技や雑学を紹介しているブログ「TDRな生活」で、合計約4500記事、約18年間更新し続けている。ショーやパレードの鑑賞よりも、パークの細かな雑学や物語が大好物。普段は普通の社会人。WEBライターとしても活躍。TV番組への情報提供や、雑誌・週刊誌のディズニー系情報の執筆や取材同行、攻略系ブログ「TDRハック」の執筆にも参加。 著書に『ディズニーに行く前に知っておくと得する66の知識』(文響社)、『ディズニーの待ち時間を劇的に減らす方法』『ディズニーがもっと楽しくなる魔法のトリビア』(KKベストセラーズ)『ひとりディズニー50の楽しみ方』(サンクチュアリ出版)など。