東京ディズニーリゾート(以下、TDR)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)といえば、何となく「いつでも混雑している」「どうせ長い待ち時間だよね……?」と感じることも多いですよね。しかしながら、ちょっとした見方や考え方で満足感は大きく変わることも。
今回はアトラクションを効率よく乗る方法や、上手な回り方といった攻略法というよりも、「混んでいる時はこんなところで楽しめる&満足感を得られる」といった内容にスポットを当ててみました。
比較的初心者向けの内容ではありますが、参考にしてみてください。
目次
思い切って人気アトラクションはパス!?
ゴールデンウィーク、そして夏休みなどの混雑時期。ネットの情報や攻略本等でもよく見ることの多い、パークの混雑対策。
当然のことではありますが、少しでも混雑を回避しようと思ったら、基本的にはできるだけ早く行く、効率的に動くことだと思います。しかし、現実的にはなかなか早めに行けない場合もありますし、混雑時期の両パークは、それらの対策をしっかり行ったとしても、なかなかそう簡単には上手く回れません。
また、綿密に計画を立てておけば……となることも多いですが、実際は予定した通りには行かないのが混雑時期の特徴でもあります。
もちろんある程度の準備は必要ですが、結果的に無理をしてしまったり、無茶な行動に……となることも。
また、可能ならば、TDRならショーやアトラクションの課金(ディズニー・プレミアアクセス等)、USJならユニバーサル・エクスプレス・パスなどを活用するのが最善の策といえますが、予算はそんなにかけられない……という場合も多いですよね。
様々な攻略法も色々ありますが、特に慣れていない方にとっては、課金以外には現実的にできる対策ではない場合も多くあります。
そんな中、今回ご紹介するのは、人が多くても出来るだけ長時間並ばずに満足感のある滞在にするための細かな方法や、気持ち的にゆっくりゆったりパークを楽しむことができる方法など。
中でも意外と重要なのが、混雑時期は「ゆっくりできるところを知っておく」こと。混雑している時こそ、そんな所も重要です。
最大の混雑対策は「混雑している時に行かない」
混雑時の対策として、まず最初にお伝えしたいのは、「最も混雑対策に有効なのは、混雑している時に行かない」ということ。
ただ、そうはいっても、仕事やスケジュールの都合で、なかなか連休などにしかパークに行けないことも多いですよね。
そんな場合も多いですが、GWや連休、夏休み、春休み、年末年始などの長期の休みの時は、いかに効率的に回る計画を立てたり、準備をしっかり整えたとしても、多くの人が集まるパークでは必ず長い待ち時間や混雑が発生します。
また、「人が多くて混む」だけではなく、そうした混雑日の場合は、パークに慣れていない方が必然的に多くなるので、列の並び方や施設等の利用方法、食事の場所・時間等に慣れていない為、「普段よりも色々なものの待ち時間が更に長くなる」という特徴もあります。
シンプルな混雑対策としては、「できるだけ連休や長期休みなどは行かない」ということが、一番効果的な対策なのです。
混雑時に一番使える過ごし方
それでは混雑時の具体的な過ごし方はどうするのが良いのでしょうか。
これはTDRもUSJも同じことなのですが、基本的にはできるだけ早めにパークに入り、混雑するアトラクションを先に体験すること。シンプルですが、結局これが一番いい方法です。
その後に並ぶ必要のないショッピングをゆっくりしたり、散策をするというのが一番ストレスのない方法かと思います。
また、自分で時間を調整できる食事の時間は必ず早めにするという事。特にUSJはTDRと比較してレストランの数が少なく、いわゆる食事難民になりやすいので、早過ぎるくらいの時間で、お昼や夕食を取るのが効率的です。
また、現実的には待ち時間が比較的少ないシアタータイプのアトラクションを午後から夕方に持ってくると、体力的にもかなり楽になるといえるでしょう。
TDRにはない、USJの癒しスポット
そんないつも多くの人で賑わうパークですが、やはりできれば「ゆっくりじっくり座って休みたい」時もありますよね。そんな中、TDRではレストランの座席以外に、「ゆっくり座って休める場所が非常に少ない」という特徴があります。
もちろんベンチも各所にありますが、全体のゲスト数に対してかなり少ないので、いつでも気軽に座れる場所というのが非常に少ない印象があります。
対して、USJではTDRにない場所といえるのが、イベント時などにステージが設置されるエリアになる、「グラマシーパーク」。実際にニューヨーク市マンハッタン区にある公園の名を冠したスペースです。
ここは人工芝が広く敷かれており、ショー等がない時は自由に地面に座ってゆっくりすることが可能です。
屋根や日陰などはないのですが、特に時間の制限もなく、いつでも誰でもゆっくりできる場所なので、近くで買ったフードなどを持ち寄って、ここでゆっくり食べて休憩することもできます。
世界観重視のTDRは散策だけでも楽しい
景色や景観などにもこだわりを持った両パーク。特にTDRの場合はそのこだわりが顕著です。そのひとつとして、それぞれのテーマエリアの境から隣のエリアが見えにくくなっているといったこだわりがあります。
例えば、ディズニーシーののどかな漁村であるケープコッド。ここに隣接している、未来の港であるポートディスカバリーは、マップなどで見ていただければわかりますが、距離的には「すぐ隣」でかなり近い位置にあります。
しかし、その各エリアの世界観を保つために、ゲストにはあえて大きく遠回りする湾曲した道を通らせ、風景を見えなくし、音楽も各エリアの境目の橋や道などで、混ざり合わないようになっていたり……と、かなりこだわりをもって作られています。
基本的には地面の色が替わる所がエリアの境目になる事が多いのですが、例えばメディテレーニアンハーバーから、緩いスロープを下っていくとポートディスカバリーに入るのですが、ここは地面に色が明確に分かれていません。
しかし、よく見るとそれぞれのエリアの街灯が切り替わる場所があり、そんな所にもこだわりが隠れていることがわかります。
他にも意外と気がつかないのですが、音楽、照明、ゴミ箱に至るまで、「それぞれのエリア独自のもの」になっていることが多くあります。
何かと忙しないパークですが、そんな細かなところは普段はあまり見ないので、混雑時だからこそ、ゆっくり見ながら散策してみるのもいいですね。
エリアごとの境が明確ではないUSJ
個性的な世界観を持つ両パークのそれぞれのエリアですが、TDRに対して、USJは「それぞれのエリアごとの境があまり明確になっていない」という違いがあります。
もちろんその各エリアの個性的な部分は生かされていますが、TDRほどそのエリアの区分が明確になっておらず、慣れていない方にとっては、ほとんど意識することがないと思います。
逆にいうと、それがUSJの特徴でもあり、細分化された各エリアでありながらも、ひとつの大きなテーマパークの空間といえるとも思います。
これはUSJの場合は、「映画の撮影スタジオ」という意味合いがあるため、TDRとはそもそものエリアの意味と感覚が異なっているからです。
例えばUSJのパークに入り、建物がたくさん並ぶエリアにはショップがたくさん並びますが、その横に回ってみると、「あえてハリボテ感を持たせるように鉄骨がむき出し」になっていたり……といった部分を見ることができます。
そうした両パークの違いを比べてみるのも面白いかもしれません。
「作り込みの細かさ」を楽しむTDR
混雑時はあえて散策を楽しむのもおすすめな両パーク。中でも、細かなこだわりやバックグラウンドストーリー、作り込みの深さ等では、TDRの方がより細かく洗練された印象があります。
例えば、ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントは実在した1912年頃の様子が再現されたエリアです。
この時代は交通機関が「馬車」から「車」に移り変わる時代であったため、所々に「このエリアは馬車の通行を禁止する」という看板があったり、例えば「レストラン櫻」の入口前には、馬車を止めておくための大きな鉄の杭がある等、時代考証に併せた細かな部分にまでよく作り込まれている部分があります。
また、「ガス灯から電灯への移り変わり」の時代でもあるため、両方の街灯が混在していたりと、詳しい歴史や背景を知らずとも、その歴史に気軽に触れられるところもあります。
また、細かなジョークが隠れているのも特徴。例えば、動物の毛皮を使った「毛皮店」の上に「野生動物保護団体」が入っているビルなど、風刺の効いたジョークがあるのも特徴です。
「映画の世界」の中に入り込むUSJ
比較して、USJは映画のセットをモチーフにしてる所が多く、映画の「セットファサード」という名称で、建物等が映画の背景やセットとして再現されている部分などに、映画のタイトルなどが記載されたプレートを設置しています。「セットファサード」はパーク内に数え切れないほどあります。
例えば、ハリウッド・エリアにあるハンバーガーレストラン「メルズ・ドライブイン(Mel’s Drive-In)」は、1973年に製作されたアメリカ映画、「American Graffiti(アメリカン・グラフィティ)」に登場した同名の店舗が再現されています。
また、ジュラシック・パークのエリア入り口にある、「ジュラシック・パーク・ゲート」には、映画「ジュラシック・パーク」(1993年アメリカ)に登場した大きなゲートがありますが、この上にある炎は、スティーヴン・スピルバーグ監督が灯したもの……など、映画の世界の中に入り込んだような経験ができます。
この「セットファサード」を探すのも楽しみ方のひとつとしておすすめです。
USJで「映え」を楽しみ尽くす
近年のパークの楽しみ方としては、パークのコンテンツを楽しむ以外にも、「そこでの撮影などを楽しむ」というのも一般的になってきています。
両パークで、そうした撮影スポットは非常にたくさんありますが、筆者の感覚としては、TDRよりもUSJの方が、いわゆる「映えスポット」はたくさんあると感じます。
TDRでは様々な建物等が比較的「平面的に配置されていること」が多くあります。例えば、ディズニーシーのアメリカンウォーターフロントにある、マグダックス・デパートメントストアなどは様々な店舗が並んでいますが、実際は「大きなひとつの建物」になっています。
USJでも似たような形ではありますが、例えばニューヨークエリアや、サンフランシスコエリアなどは建物の裏側が路地になっており、より立体感のある建物で、奥に入り込むことができます。
また、人気エリアの「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター™」(以下、ハリポタエリア)でも、建物の裏側に回ることができるなど、かなり立体的な作りになっており、大きさも「よりリアルな建物に近い」という感覚があります。
映画のセットを意識して作られている所が多く、様々なシチュエーションで撮影することができ、「映え写真」を撮るには非常に適しているともいえます。
また、TDRに比べて、ゲストが通る道や路地が全体的に広く作られているため、ショーやパレード終了後などに圧迫感を感じることが多いTDRに比べて、USJの方が全体的に歩きやすく、開放感があるように感じます。
これは前述したように、「エリアの境目にこだわりを持っているTDR」と、「良い意味でこだわりがあまりないUSJ」の違いでもあるように感じます。
「高い体験価値」を楽しむUSJ
TDRにはない特徴のひとつとして、USJでは別売の商品を買うことで、パークの体験価値を高めることができるというものがあります。
例えばハリポタエリアの魔法の杖(マジカル・ワンド)を購入することで、同エリアで魔法が使える体験ができます。
また、同様にスーパー・ニンテンドー・ワールド™では、パワーアップバンドを手に巻くことで、スマートフォンと連携して、コインを貯めたり、マリオカートの成績等をアプリに記録できるといった特徴があります。
これらの杖やバンドはそれなりにお値段が張るものですが、あるのとないのとではかなり体験価値が変わってきます。
それを持っていることで、比較的混雑している時でもアトラクション等に長時間並ぶのに比べれば、短い時間で充実した体験を得ることができるメリットもあります。
費用をどこまでかけるか……もポイント
こうしたパスポート料金に加えて、グッズを購入することで更なる体験価値が得られるメリットは大きいものです。しかしながら、気になるのはその料金。
USJではそのエリアやアトラクションの主人公などになりきって楽しむことができますが、そのためには、それなりに費用も必要で、ハリーポッターのきちんとしたローブは園内では約16,000円、さらに杖(約5,000円)も揃えると、それだけで軽く2万円は超えてしまいます。
もちろんパーク内での満足度は高いですが、いざパークを離れれば……と考えるとなかなか難しい所でもあります。
そう考えると、「どこまで何を楽しむか」という事をある程度決めて、予算も決めておかないと……となるので注意したい所ですね。
……以上、ご紹介してきた、両パークの混雑時の過ごし方。アトラクションやショーなどをじっくり楽しみたいところですが、混雑が激しいとできることが少なくなるのも事実。
しかしながら、その分普段はあまり見ることのない、「それぞれのパークの個性的な雰囲気」をゆっくりじっくり味わう……という楽しみ方も良いのかもしれませんね。そんな混雑時期だからこその楽しみ方。ぜひ皆さんも見つけてみてくださいね。
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(画像提供:iStock.com/NicolasMcComber/Nikada/Aaron Hawkins/justhavealook/Irina Shatilova/Olena_Z/pius99/Linda Bielko/ollo/Meinzahn/YuriyVlasenko/urbazon)
みっこ 約18年間、東京ディズニーリゾートに通う「Dヲタ」。 東京ディズニーリゾートについての裏技や雑学を紹介しているブログ「TDRな生活」で、合計約4500記事、約18年間更新し続けている。ショーやパレードの鑑賞よりも、パークの細かな雑学や物語が大好物。普段は普通の社会人。WEBライターとしても活躍。TV番組への情報提供や、雑誌・週刊誌のディズニー系情報の執筆や取材同行、攻略系ブログ「TDRハック」の執筆にも参加。 著書に『ディズニーに行く前に知っておくと得する66の知識』(文響社)、『ディズニーの待ち時間を劇的に減らす方法』『ディズニーがもっと楽しくなる魔法のトリビア』(KKベストセラーズ)、『ひとりディズニー50の楽しみ方』(サンクチュアリ出版)など。