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「めんどくさい」って言いがちなイマドキ小学生の“あるある”のお悩みを、アウトプットの力で解決!

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2018年に出版され、シリーズ累計100万部超のベストセラーとなった『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑・著、サンクチュアリ出版)。日本中にアウトプットブームを巻き起こし、多くのビジネスパーソンの意識改革につながった名著です。

このたび、同書の小学生版とも言える『自分の思いを言葉にする こどもアウトプット図鑑』が誕生。小学生がリアルに抱える悩みに答える形で、「話す」「書く」「行動する」というアウトプットの大切さをわかりやすく解いていきます。

本書を企画し、30人の小学生を取材して82個の「お悩み」を集めた編集担当の吉田麻衣子さんに、「日本の子どもたちに、小学生のうちからアウトプット力をつけてほしい」という本書のねらいについてお聞きしました。

この記事は書籍『 自分の思いを言葉にする こどもアウトプット図鑑 』の関連コラムです。

子どもたちからよく聞いた「めんどくさい」という言葉

取材中、子どもたちの口からよく出てきたのが「めんどくさい」というワードだったそう。「先生に言ってもわかってもらえないからめんどくさい(から言わない)」、「泣かれるとめんどくさい(から友達に注意するのをやめる)」、「男子めんどくさい(から絡まないようにしている)」……。

吉田:「めんどくさい」という感情が、それ以上の行動、この本で言う“アウトプットする”ことをやめる理由になっているように感じました。「めんどくさい」イコール「もういいや」で、心にバリアを張っているというか。

本書によると、「読む」「聞く」はインプット、「話す」「書く」「行動する」のがアウトプット。「月に10冊の本をただ読む(=インプット)」よりも、「月に3冊読んで、そのつど感想を誰かに伝える(=アウトプット)」ほうが、学びが大きくなり、成長につながるとされています。

吉田:先日、本書の出版記念講演会で、著者の樺沢先生が子どもたちに将来の夢を聞いたんです。すると、「宇宙飛行士になりたい」と答えた子が2人いて、そのうちのひとりが「同じ夢を持っている人がいるとわかって、うれしかった」と話してくれた。これって、「めんどくさい」という気持ちを乗り越えて、恥ずかしがらずに自分の夢を発表してくれたからこそ体験できた感情ですよね。

小学生の悩みの大半が「友だち関係」

取材した小学生の中に、深刻ないじめや仲間はずれに悩んでいるような子はいなかったそう。一方で、「クラスにいるちょっと乱暴な子が苦手」「友達とケンカしちゃうと、しばらく口をきかないことがある」といった声も。友人関係の悩みは、昔と変わらず、今も小学生の心を大きく占めているようです。

吉田:親御さんに聞いても、勉強の悩みはほとんど出ず、「とにかく学校に楽しく行ってほしい」という声が圧倒的に多かったです。

そして、塾や習いごとに忙しい令和の小学生は、「いつも決まったグループで遊ぶ」よりも、「今日(空いていて)遊べる子と遊ぶ」派も多数。ある意味、合理的な考え方とも言えます。

吉田:本書にも、「仲よくなりたい子がいたら、その子の好きなものを見つけよう」とありますが、仲よくなるために大切なのは、共通点を見つける作業だと思います。そして、相手との共通点を見つけるには、まず「自分がどんな人か、自分は何が好きか」を発信しなければなりません。

「今日、空いているかどうか」というのも、いわば共通点のひとつですよね。自分のことをどんどんアウトプットして、「○曜日ならこの子、ゲームをするならこの子、公園で遊ぶならこの子」とつながっていくのが今っぽいと思います。

親子ともども最大の関心事「ゲーム&スマホ」

本書を親世代に見せると、多くの親が注目するのが「ゲームの時間をのばしたいときは?」の項目だという。時間を制限したい親と、それを突破してゲームを続けたい子どもの間で、日夜争いが繰り広げられている様子が想像できます。

吉田:本書では「『この面だけクリアしたい!』のように言うといいよ」と子どもに伝えていますが、ゲームのルールはそれぞれの家庭で違っていて、ひとくくりにできるようなものではないと思います。

あとは、「親がイライラしない」という観点でルールをつくるのもいいかもしれませんね。「子どもがずっと画面に向かっているのを見るのがイヤ」なら時間を決めればいいし、「制限時間に関する子どもとのやりとりがストレス」なのであれば、いっそ、制限をなくすのもありなのかも。

なお、出版記念講演会での樺沢氏の話によると、「ゲーム・スマホは1日2時間ぐらいまでならOK」で、それ以上続けると、思考力や集中力を司る前頭前野の働きが悪くなるそう。本書には「ゲーム依存・スマホ依存」の話もコラムとして載っているので、こうしたアプローチも高学年ぐらいのお子さんには有効かもしれません。

お気に入りの項目「うちの親、へんな気がします」

吉田さんが特に気に入っている項目が、「うちの親、へんな気がします」というお悩み。

吉田:私も子どものころ、夕飯は父がつくってくれることが多く、それが当たり前だと思っていたのですが、大きくなってから「なんでお母さんはつくっていなかったんだろう」と思うようになって。

取材した子の中には、「お父さんが、お母さんにキツい言い方をするのがいやだ」と言う子がいました。「みんなの家のパパとママは仲よしなのに」って。今の子どもは、親が思っている以上によその家との違いに敏感なのかもしれません。今5歳(保育園年中)の私の娘も、保育園のお友達と比べて「うちのママはなんで忙しいの? 夜いない日あるの?」などと言ったりしますし。

本書では、「家族の形にはいろんな種類がある」とした上で、自分の家族をいわゆる「ふつう」の形に変えようとするのではなく、「あるがままに受け入れたほうが楽になる」と子どもたちに説いています。

自己開示できる子が強い

もともと本書は、吉田さんが「今日(保育園)どうだった?」と娘さんに聞いても、「わかんない、わすれた〜」としか返ってこないことにモヤモヤしていたのがきっかけとなって企画されたそう。

吉田:赤ちゃんのときは大声で泣き、小さいころは「見て」「聞いて」って自分をアピールしまくっていたのに、「かっこ悪く思われたくない」という気持ちが出てくるのか、いつの間にか話さなくなっている。

社会人になってから特に思うのですが、自分の話を自然に伝えるのがうまい人っていますよね。相手に「自分の話ばかりしてる」と思わせることなく、ダメな部分や弱い部分もサラリと伝えてくれる人に憧れます。樺沢先生も、今回監修で入ってくださったさわ先生も、いわば「自己開示の鬼」で。聞けばなんでもオープンに答えてくださるし、さわ先生は20kgの減量に成功した様子までSNSに公開されています。

今は、昔よりも「変」「ダサい」と思われることを恐れる人が多い世の中のようにも思いますが、先生たちのように、かっこつけずになんでも言える子になってほしいですね。そのためには、子どもだけでなく親も、失敗談を話したり、弱音を吐いたりして、「かっこ悪い親」であることをもっとさらけ出していいと思います。

多様化が進んだ今、「自分は何が好きな人なのか」を明らかにしなければ、同じ好みの人と仲よくなることもできません。そして、「人気者になりたい」「友だちがムカつく」「お母さんってなんで話が通じないの?」……こうした小学生に“あるある”のお悩みの多くは、自分の思いを言葉にする=アウトプットすることが解決への足がかりとなります。子どもがひとりでただ悶々としていても、現実は何も変わらないのです。

こどもアウトプット図鑑』には、お子さんが楽しい学校生活を送り、これからを力強く生き抜くためのヒントがたくさん載っています。ぜひお手に取り、親子で読んでみてください。

<取材・文 中田千秋>

この記事は書籍『 自分の思いを言葉にする こどもアウトプット図鑑 』の関連コラムです。