感情的になって失言したり、衝動的な行動をとって後悔してしまうことはありませんか? 感情に左右されないためには、自分の心と向き合い対処する習慣を身につけることが大切です。その方法を2月8日新刊『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』よりご紹介します。
目次
アメリカで実証されたDBT治療とは
アメリカでは心療内科やカウンセリングが日本に比べてすごく身近で、カウンセリングなどで心のコンディションを整えるのはステータスの高い行為のようです。
その中でもアメリカで高い評価を得ているのが「弁証法的行動療法(DBT)」。
このDBTという心理療法は、境界性パーソナリティ障害(気持ちや行動、対人関係が不安定になりやすく、日常生活や仕事で著しい苦痛や支障を引き起こしてしまう障害)に効果があるとアメリカで科学的に実証されています。
このプログラムを受けた患者さんは、リストカットや大量服薬などの自分を傷つける行為、入院する割合、入院日数などがほかの治療法と比べて減少。治療を終えたあとの社会生活の安定度が高いという結果が出たそうです。
DBTで身につくスキル
このプログラムは一度習得すれば日常生活で活かせるようになり人生の質が向上します。
DBTで身につけていくのは、大きく分けて4種類のスキルです。
①マインドフルネススキル
「今この瞬間」に意識を集中させ、感情をコントロールしやすくするためのスキル
②対人関係保持スキル
対人関係で感情を不安定にさせないようにし、人間関係をうまく維持するためのスキル
③感情調節スキル
傷つきやすさやつらい感情を減らすためのスキル
④苦悩耐性スキル
短期間の苦悩、長期間の苦悩に耐えるためのスキル
この治療法は日本では保険適用にならないため、取り入れているクリニックはまだわずか。
この本は、そんなDBTプログラムを日常生活で実践しやすいように、わかりやすく噛み砕いた内容になっています。
「これはこれでよかった」と自分に言い聞かせる
これまでの自分を100%肯定してあげることができたら、私たちはもっとラクに生きられるのかもしれません。でも、実際はなかなか難しいですよね。
仕事でミスをしてしまい「どうしてあのとき確認しなかったんだろう」と悔やんだり、
友だちを傷つけるようなことを言ってしまい後々自分を責めたり。すでに起きてしまったことを変えるのは無理だとはわかっていても、過去に戻ってやり直したいと願ってしまうものです。
ただ、ここで必要なのは、現実と戦うことをやめて自分を解放してあげること。現実を徹底的に受け入れる「徹底的な受容」です。
起きてしまった出来事をいつまでも後悔していると、苦悩から解放されないばかりかこれから対処しなければならないことに意識が向かず、新たな問題を引き起こしてしまう可能性も。仕事でのミスを挽回するために次の策を考える、友だちを傷つけてしまったことを素直に謝るなど、現実で対処しなければならないことに専念するためにも「徹底的な受容」は大切です。
日頃から「徹底的な受容」の練習をしておくのもおすすめ。レジの行列にイライラせず
に並ぶ、ネットニュースを批判的にならないで読むなど、良し悪しを考えずに出来事をただ受け入れるくせをつけておいて、現実と戦ってしまう自分から少しずつ自由になりましょう。
悲劇のヒロインになる前に、あえて他人と比較する
大小の差はあれど、劣等感は誰もが持っているものです。みんなにチヤホヤされている
美人の友だちも、会社でバリバリ活躍していち早く出世した同期も、実は他人にはわから
ない深刻な悩みを抱えているかもしれません。
とはいえ、自分が気にしていることを刺激されるような出来事があると、つらいですよね。「やっぱり私はダメなんだ」と思い詰め、さらに自信をなくしてしまいがちです。
でも、ちょっと待ってください。
自分が劣等感を感じている部分について、自分より恵まれていない、うまくいっていないように見える人と「比較」する。これは、他人を見下すということではなく、本来必要のない劣等感をなくすためのスキルです。
摂食障害の患者さんに向けたプログラムでは、外に出て道ゆく人を観察してもらうものがあります。「自分は太っている」という思い込みを和らげるために、自分より太ってる人を数えてもらいます。現実を冷静に見つめ直すと、世の中にはいろんな体型の人がいて、自分が決して特別ではないことが理解できます。
比較することで感情モードが思考モードになり、苦しみから気をそらすことができるのです。
このように『メンタルヘルス大国アメリカで実証された 心がモヤらない練習』では、日々のモヤっとした気持ちを我慢して抑え込んだり、感情のままに吐き出したりするのではなく、自分の心をコントロールできるようになる30の行動習慣を4コママンガとともにお届けしています。
心を整え、未来をもっとラクに過ごしましょう。