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ゴールを疑う! 生き残る営業になるために必要なたった1つのこと/向井俊介@Shun_Mukai0718

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営業職が人として介在する意味

売りもの起点、困りごと起点

営業の多くの人は、売ることを目的にした活動をしてしまっています。つまり、売りもの起点で話を組み立てるセールストークです。先ほどの落とし穴の話にあった通り、商材を説明したいがために、原因を課題だと勘違いをしてしまうからです。問題を引き起こしている原因を課題だと勘違いするから、すぐに解決策として売りにいってしまう。

お客さんからしたら困っていることの原因はAだけではなく他にも沢山あります。「新規顧客が増えない」という困りごとがあったとして、その原因はプロモーションに問題があるのかプロダクトなのか、それともプロセスなのか、組織的なオペレレーションなのかといろいろあるわけです。

人として議論する

ですから、営業は人として何をするかというと、お客さんと議論をしていかないといけません。お客さんから「困りごとがあります」と言われたら「困りごとの原因はいろいろありますが、どれだと思っていますか」「こういうこともあるのではないですか」と相関関係や因果関係を洗い出して、「今、何をしてますか。今後、何をしようと思っていますか。なぜですか」と対策の確認をします。そうして出てきた「あと何をしなければいけないのか」というギャップの部分が課題なのです。それらを会社全体の困りごとから因数分解して、事実や仮説をもとに議論をしていくことが営業です。困りごとを解決するために、みなさんは手段としての売りものを持っているけれど、究極みなさんは売らなくてもいい。「自分は役に立てないので」と人に繋ぐだけでも、みなさんは困りごとの解決に一役かっています。そういう話を組み立てて進めてほしいのです。

困りごと起点です。売りもの起点ではない。ロジカルシンキングだったり知識が必要です。「こんなことが起きてますよ」「これは考えなくていいんですか」というふうに投げかけないといけないし、場合によっては「そもそもあなたたちが掲げているゴールはおかしくないですか?」「海外ではこの定義によって戦略を作ってますが、御社で考えなくていいんですかと」といった議論をしないといけません。

営業に求められる能力

信頼は信用の積み重ね

これから営業としてどんな能力が求められていくのでしょうか。営業に必要なものはスキルではありません。スキルは後からどうとでもなります。それよりも、後からどうにかするのが難しいものが大事だと言われています。要は、人としてちゃんとしていることです。人として信頼を得ていることが大切です。そのために、まずは信用と信頼の言葉の違いを正しく理解してほしいと思います。

信頼を得るためには、信用が必要です。過去の実績の積み上げという条件が付いている。その上に信頼があります。時間をかけてちょっとずつ積み上げた信用がないと、信頼は得られません。信頼関係を構築すると軽々しく口にする人はこの概念が分かっていません。

ですから、営業として、一番最初にすることは信用を得ることです。信用とは、新入社員がビジネスマナーとして学ぶような基本的なことの積み重ねです。特にIT業界はスタートアップも多く、大企業での堅いビジネスマナー研修を経ず起業している場合も多いので、勢いがあり視座も高くて社会課題に対する取り組みへの本気度も高かったりする一方で、ビジネスマナーの基本的なことが身に付いていなかったりします。普通のことなのですが、ここに例示したようなことを意識できない人が増えているので、できるだけでポイントが上がります。

意義を持つこと

そして、僕が営業として信用を得るのに一番大事だと思っているのが、意義を持つことです。「自分の意義を、自分の意志・意見として口に出せる状態」は、差別化の重要なポイントになると思います。

株式会社リンクアンドモチベーション元取締役の麻野さんは『THE TEAM~5つの法則~』という著書のなかで、3つの目標があると言っています。行動目標、成果目標、意義目標。これを営業に落とし込んだときに、行動、成果はわかりやすく目標が立ちます。忘れがちなのが意義目標です。ここを、自分の言葉で言えるようにしておくことを強くおすすめします。

意義があるとないので、何が変わるのか。

課題が顕在化されていないと、ニーズが顕在化されていないことになるので、商売に進みません。お客さんが「これが必要だ」と思わない間は商売に進みません。課題を顕在化するには議論が必要になります。議論のためには、問題を指摘しないといけない。アドバイスしないといけない。進言しないといけない。優先順位が低かったら危機感を高めないといけない。これを相手の目を見てできるようになるためには、意義が必要になります。

自分を信じないといけない。自分の会社を信じないといけない。自分のなかに意義がないと、議論ができないのです。お客さんの困りごとを解決してあげようと思えません。ですから、これからの営業には意義を持つことが求められていると思います。

(画像提供:iStock.com/tadamichi)


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向井俊介
約20年、IT業界において中小から大企業のB2Bセールス領域に従事。国内上場企業から外資上場企業、外資スタートアップの様々な企業に属し、CxO等エグゼクティブに対するビジネスも多く経験。

Gartner Japan在籍中は毎年トップセールスとして結果を出し、2014年にApp Annie Japanに入社。フィールドセールスとしてグローバルNo.1の実績を残し、マネジメントの立場においてはマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの組織や業務プロセスを改善して生産性を向上させ、グローバルNo.1のマネージャーに選ばれる。

2019年にApp Annie日本法人の代表取締役(カントリーマネージャー)に就任し、日本法人全体のビジネスを牽引。2020年7月よりウェルディレクションを創業しB2Bセールスのアドバイザーとして規模・業界を問わずセールス領域の側面からビジネスの成長に貢献している。


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