私の人生はコミュニティ作りを中心に作られています。
以前あるメディアのインタビュアーから
「嶋村さんの趣味を教えていただけますか?」という質問を受けました。
何かあっと驚くような趣味を持っているんじゃないかという意図を感じる質問だったのですが、私は
「趣味も仕事も遊びも全てコミュニティ作りですよ」
と答えました。
今回のコラムでは、このように私が
「コミュニティ作りはサイコー!」
と思う人生になったきっかけや、
【コミュニティ作りの価値】
についてお伝えさせていただきます。
目次
コミュニティを先に作ったほうが良いと思う理由
「なぜコミュニティを先に作ったほうが良いのですか?」
という質問を私は頻繁に受けます。
それに対して私はこう答えます。
「泥縄にならないためです」。
【泥縄】を調べると、事が起こってから、あわててその対策に手をつけることをあざけって言う語、と書いてあります。
私は人様をあざけるつもりは全くないのですが、物事には順番があると考えています。
下品な例えでたいへん恐縮ですが、パンツを下ろしてからウ※コをするのであって、ウ※コをしてからパンツを下ろしたら非常事態を宣言することになると思うのです。
やること一つ一つは正解ですが、順番を間違えると地獄のような状態になります。
【パンツを下ろす】→【ウ※コをする】→天国
【ウ※コをする】→【パンツを下ろす】→地獄
通常は
【起業する】→【コミュニティを作る】
が一般的ですが、これを逆にすれば良いのでは?と私は考えました。
【コミュニティを作る】→【起業する】
起業してから自分・自社のコミュニティ作りを始めるので、資金・メンタル・人材・体力面などで非常に苦しくなる。
だったら自分・自社のコミュニティ作りをしてから起業したら良いのではと思うのです。
これは起業だけでなく、他の分野でも言えることだと思います。
パーラーから学んだコミュニティの力
毎年私は、沖縄のある島に移動して仕事をしています。
以前その島では、ビーチの目の前にある小さい丘の上にパーラーがありました。
そこを運営していたのが【Mさん】という謎のおじさんでした。
Mさんのパーラーでは、面白い人たちがゾロゾロ集まり、目の前の海で獲った物を食べ、ビールや泡盛をひたすら呑み、今のところ根拠が全く無いポジティブな未来を延々語り合い、楽しんでいました。
彼らと仲良くなった私は、沖縄入りすると当たり前のようにこの島のパーラーに通い、呑み、毎回気絶していました。
そこで気付いたことが、このMさんのパーラーが不思議な文化を創っていたことです。
店主のMさんが海にタコなどを獲りに行って、パーラーにいないことがよくありました。
たまにMさんがお店にいても、よく爆睡している。
Mさんが真っ先に酔っ払い寝てしまうことも多々あります。
そんなとき、お客さんがキッチンに行き、自分で料理を作り、食べる。
冷蔵庫などからお客さんが勝手にお酒を出し、注ぎ、呑む。
自分で食材を持ってきて自分で調理をして、なぜか代金を支払って帰る。
お客さんが自分で飲食代金を計算し、レジを開け、代金を支払い、お釣りも自分で取る。
盗み放題だが誰も何も盗らない。
お客さんが自主的にスタッフをやる。
掃除もし、料理も作る。
お店の売り上げをアップさせるための戦略会議を開く。
それでいて、ギャラをもらうどころか、飲食の代金を支払って帰る。
そうなのです。
Mさんのパーラーは
【お店(Mさん)と、我々お客さん】
ではなく、
【私たちのパーラー】
【私たちのコミュニティ】
だったのです。
これは強い、非常に強いと感じました。
パーラーが無くなっても困らない人は多いと思いますが、
【私たちのパーラー】
が無くなるとコミュニティメンバーは非常に困るのです。
数年前の流行り病のとき、Mさんのお店はどうなったのかというと、逆に繁盛しました。
「俺たちのパーラーを潰してはならない!」
「私たちのコミュニティを逆にでかくしてやる!」
「今こそ私たちのパーラーを皆に教えてあげないと!」
など、コミュニティメンバーがパーラーに殺到したからです。
1秒でも早く、1円でも安く、お客様は神様である、と苦労に苦労を重ねてきたにも関わらず、非常事態になるとお客様にそっぽを向かれた経営者の方は、この話が信じられないかもしれません。
実際にそういった経営者の方から私は相談を受けることがあります。
「お客さんは薄情なもんだな」
「あれだけお客さんに尽くしてきたのに、いざとなったら誰も助けてくれない」
などなど、似たような相談内容は挙げればキリがありません。
小心者の私はそんな時、目の前の経営者の方に小さく控えめに提案するのです。
「コミュニティを先に作れば良いと思うのですが……」
このように人生を劇的に変化させる可能性があるのが、コミュニティ作りなのです。
ただし、コミュニティのイメージは、各々が自己実現するための【フィットネスクラブ】のようなもので、何より本人の努力が必要です。
たまに私のコミュニティに、楽して儲かる、すぐに儲かる、などと勘違いして入ってくる方がいらっしゃいます。
しかし私は、そんな話はどこにもないと思っています。
最低でも三年間は、自分にとって効果のあるコミュニティに身を置き、学ぶ人を決めたら、単純・素直・即実行・わかりやすく振り切ってやることが大事だと私は思います。
(画像提供:iStock.com/Giuseppe Lombardo/JackF)
嶋村 吉洋(しまむら・よしひろ) 10代で起業し、実業家、投資家、映画プロデューサーなどさまざまな分野で多角的に活躍し、現在は投資家として、テレビ東京・朝日放送・オリコンなどの大株主となり、ソーシャルビジネスコミュニティ【ワクセル】を発足。 1,400名に及ぶコラボレーター(協力者)が参画し、100以上のプロジェクトを創出している。 著書に『となりの億万長者が17時になったらやっていること』(PHP研究所)など。 https://shimamura-yoshihiro.jp/