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3つの資本を手に入れる
私がコミュニティ作りで大切にしていることは、頑張った先に以下が手に入るような設計にすることです。
・人的資本……必要なときに労働をし、自己実現を果たせるだけの能力やスキルを持っているか
・金融資本……自由に生きるだけのお金、あるいはそれを生み出す資産を持っているか
・社会資本……互いに助け合い、刺激を与え合う人間関係のコミュニティを持っているか
なぜ上記の3つの資本を手に入れたほうが良いのかは、以下の【バケツ運びパイプライン】のお話をお読みいただくとご理解いただけると思います。
【バケツ運びパイプライン】というのは、私にとってバイブルにもなっている書籍、ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(筑摩書房)に出てくるエピソードです。
詳しくはこの本を読んでいただければ明快なのですが、簡単に紹介しましょう。
その昔、雨が降らず、水不足で困っていた村が、エドとビルの2人に問題の解決を依頼をしました。
エドのほうは、真っ先にバケツを2つ買ってきて、1マイル離れた湖から、せっせと水を運び始めました。
村の誰よりも朝早くに起き、必死になって村に作ったタンクを水で満たし続ける。つらい仕事でしたが、それでもエドは、村人がお水を買ってくれることを喜びました。
ところが、ビルのほうは、そんなことをしませんでした。
数ヶ月、村から姿を消したと思ったら、投資家たちに出資をしてもらって水道会社を立ち上げると、建設作業員たちを使って湖から村まで水を引くパイプラインを完成させたのです。
パイプラインができたら、あとは水を流すだけ。
村人は料金も安く、いつでも水を使用できるビルの会社から、こぞって水を求めるようになります。
結果、ビルがお金持ちになったのに対して、エドは一生、苦労して働き続ける生活から抜け出せません。
悔しいかな、私の周囲の会社員家庭の方々は、ほとんどがエドのような働き方をしているように私は感じました。
エドのような働き方では、人的資本・金融資本を大きくすることはもちろん、仕事以外の時間が少ないため社会資本を大きくすることも難しいかもしれません。
一方で、ビルは人的資本と金融資本を大きくすることを考えているように感じます。
また、豊かな資金と時間、また場所を移動する自由があれば社会資本を手にいれることも容易でしょう。
私は仲間と一緒に人的資本・社会資本・金融資本の3つを手に入れて、
【やりたいときに】
【やりたいことを】
【やりたい仲間と】
【やりたい場所で】
【やりたいだけ】
できるような人生をおくることができれば最高だなと考えています。
師弟関係と自己投資
時折、私のコミュニティには、
『ここに入れば魔法がかかったように楽して儲かる』と勘違いしている方が参加希望でいらっしゃいます。
また、【すぐに儲かる】と期待する方もいて、まるで宝くじの当選を夢見る人のようです。
しかし、残念ながら、私たちのコミュニティは魔法の国ではありませんし、コミュニティ作りはギャンブルではありません。
コミュニティとは、知識や経験を分かち合い、各自の地道な努力によって理想を手にする【フィットネスクラブ】のようなものだと私は考えています。
【楽して理想の身体を手に入れることができるフィットネスクラブ】
【すぐに理想の身体を手にいれることができるフィットネスクラブ】
など、この世に存在しません。
コミュニティがフィットネスクラブだとしたら、当然、本人の努力が必要です。
私の場合、コミュニティ作りで自分が仲間に言っていることを、サーフィンに応用して上手くいかせたことがあります。
私はサーフィンが大好きです。
サーフィンが経営と似ているからです。
波は自分の都合に合わせてくれず、自分が波に合わせるしかない。
マーケットの波と同じですね。
サーフィンがとても好きだけど下手な私にとって、修行でしかない波もあります。
波に巻かれ、流され、叩きつけられ、揉みくちゃにされているときに、私は謙虚さを学ぶのです笑
仕事でハワイに行った際、軽いノリでやってみたサーフィンですが、それがあまりにも面白く、もう15年以上続けています。
今ではよく宮崎を訪れ、サーフィンをやりながら仲間や取り引き先の方とミーティングをしています。
日本が寒い時期はハワイでサーフィンをします。
ハワイでのサーフィン自体が面白く、何よりサーフィンのインストラクターであるYさんがとってもステキなのです。
当時の私は、サーフィンが好きというより、Yさんに教えてもらうサーフィンが好きでした。
その後私は、Yさんのレッスンを受けるためにハワイ入りするようになりました。
しばらくYさんにお世話になってから私は聞きました。
『私はYさんの一番弟子ってことで良いですか?』
するとYさんは
『いいですよー』
と答えてくれました。
そこからYさんと私の師弟関係がスタートしました。
何事も学ぶ人を決め、体系立てて教えてもらう。
私はそれを大切にしています。
レッスン中は、Y師匠に怒られてばかりですが、それでも楽しい。
弟子入りした以上、弟子は上手くならなくてはならない。
いつまでたっても上手くならないと、Y師匠は全く気にしていませんが、師匠の顔を潰すことになると考えていたからです。
私はハワイにいる間、毎日8時間、海に入りました。
Y師匠からは
『異常だ!』
などと言われましたが、やはりこういうことは身体で覚えるのが一番だと思います。
1時間より2時間。
2時間より4時間。
4時間より8時間。
最低限の理屈やルールを知ったら、身体で覚える。
何かを上手くなりたければ、1秒でも長く、1回でも多く体験することが大事だと私は思います。
さらに私は、少しでも長くYさんのレッスンを受けるため、ホテルを変えました。
レッスンポイントまで車での移動が必要なホテルから、歩いて数分で移動できるホテルに変更です。
世の成功者は
『職住接近しなさい』
と、おっしゃることが多いですが、私の場合、
【サーフィン住接近】
なのです。
誰かに言われたからやったのではありません。
少しでも早くサーフィンが上手くなりたい私は、自分でそれを選びました。
結果、【サーフィン住接近】して非常に良かったです。
移動時間は短縮され、渋滞に巻き込まれてレッスンに遅れないか?と気になることから解放されます。
海から上がった後すぐに部屋に戻り身体を温めることができ、すぐに整った環境で仕事ができます。
私は部屋から海が丸見えの部屋を選びました。
朝起きると、部屋のテラスから海を見て、波をチェックできるからです。
ホテル内で美味しいコーヒーを買い、それを飲みながらレッスンポイントまで歩く。
動線に無駄がない。
最高です。
このホテルのこの部屋にすることで、宿泊料は上がりましたが、それ以上に得られるものがありました。
自分への良い投資だと思っています。
サーフィンの話ではありませんが、他でも動線の無駄を無くしています。
私の大阪の家・東京の家はともに、家のほぼ真下にセブンイレブンとフィットネスクラブがあります。
セブンイレブン・フィットネスクラブをこよなく愛し、頻繁に利用する私は、それが近いということが、新居を選ぶ際の重要なポイントなのです。
このように、私はいろんな点で、動線の無駄を無くしています。
無駄を無くし、仕事をする。
無駄を無くし、一見無駄に見える仲間とのアナログなコミュニケーションの時間を作る。
それが非常に機能しているように感じます。
動線の無駄を無くしつつ、一定の快適さを求めた結果、それなりの家賃を支払うことになりましたが、これも自分への良い投資だと思っています。
このように私は、今後も価値のある自分への投資は最大限行うつもりです。
私と同じように
【コミュニティは人生を良くするためのフィットネスクラブである】
と考える仲間が増えることを願いつつ、今日も現場で汗をかきます。
(画像提供:iStock.com/fizkes/bpperry/metamorworks)
嶋村 吉洋(しまむら・よしひろ) 10代で起業し、実業家、投資家、映画プロデューサーなどさまざまな分野で多角的に活躍し、現在は投資家として、サイバーエージェント・テレビ東京・朝日放送・オリコンなどの大株主となり、ソーシャルビジネスコミュニティ【ワクセル】を発足。 1,400名に及ぶコラボレーター(協力者)が参画し、100以上のプロジェクトを創出している。 著書に『となりの億万長者が17時になったらやっていること』(PHP研究所)など。 https://shimamura-yoshihiro.jp/