今も昔も、小学生のなりたい職業に上位ランキングする”マンガ家”。けど、ほとんどの人がいつしかその夢を諦めてしまう……。私(西島)自身もそうでした。
ところが、四十近くなり、なんとなく自分のこの先の人生が見え始めた頃、絵が描けなくてもマンガ業界に携わることができる方法を知ったんです。それが、マンガ原作者への道。そして、私自身はアラフォーでデビューしました。
周りを見渡してみると、私のように社会人になってから、小学生の頃の夢であるマンガ作りに携わりたいという人は意外と多いんですよね。その方法の1つがマンガ原作者になること。
ただ、なる方法は人それぞれ。そこで、毎回、ゲストをお迎えして、マンガ原作者になる方法を語っていきます。
第4回目のゲストは、マンガ原作者・小説家の夏瀬りくさんです。
夏瀬さんは小説家(別ペンネーム)としてご活躍で、今年(2024年)3月、初めてWEBTOON(縦スクロールマンガ)の原作を担当しました。
今回は、小説だけでなくマンガ原作を始めたきっかけ、WEBTOONの話を中心にお聞きしていきます。
目次
経済的なリスクを分散するために、マンガ原作の仕事をスタート
そもそも小説だけでなく、マンガ原作も書いてみようと思ったきっかけは何でしょうか。
私は十年ほど前に賞を獲って小説家としてデビューしました。けれど、巷では小説を専業にするのは難しいと言われており、なかなか会社を辞める勇気が持てませんでした。だからといって、会社勤めをしながら執筆活動を続けるのも大変です。
締め切り前、徹夜で出社したり、通勤時間を執筆時間に充てるために会社近くのビジネスホテルに連泊したりして、日々、寿命を削っている感覚がありました。
そんなときに、大好きな作家さんが立て続けにお亡くなりになったんです。作家業と会社勤めのどちらかを選ばなくては危険かもしれない、と思えてしまって……。書くことを諦めきれず、作家業を選ぶことにしたんです。
とはいえ、小説だけだと将来的に収入面で不安があります。そこで、作家としての経済的リスクを分散するために、マンガ原作など、小説以外の執筆の仕事を始めようと考えたんです。
マンガ業界は新人がデビューするための窓口が多い
夏瀬さんはどのようにして、マンガ原作デビューの道を掴んだのでしょうか。小説家としての人脈からですか。
小説関係からではありません。現在連載中のWEBTOON『暴君を身ごもる闇堕ち聖女になりました』(SORAJIMA)も、別名義で6月頃に連載開始予定のマンガも、転職者向けの求人情報サイトがご縁で得た仕事なんです。
そうなんですね。求人情報サイト、私もチェックしてみます! 夏瀬さんは、編集部への持ち込みなどはされていますか。
先日、同人誌即売会で行われているマンガ家志願者向けの出張マンガ編集部に行き、初めて持ち込みで企画書を見ていただきました。現在は、そこでご縁ができたスタジオさんの編集会議に向けて、企画書やシナリオのブラッシュアップに取り組んでいます。
出張マンガ編集部はいいですよね! 原作や小説を見てくれる編集部もありますし、私も参加しました。
出張マンガ編集部は、直接、編集さんに企画書を見てもらって、アドバイスをもらえるのが魅力ですよね。
「マンガは持ち込み文化」と言われるだけあって、新人がデビューするための窓口が、小説よりもたくさん用意されているように思います。
公式サイトで企画書や作品を募集しているレーベルさんもありますし、地方在住でも参加しやすいオンラインの出張編集部もあります。
特に、WEBTOONは日本で展開されるようになって比較的日が浅いこともあって、コンペや公募による作家募集も盛んに行われています。
積極的にチャレンジすれば、まったくの未経験者でも道が拓ける、チャンスを掴める夢のある業界だと思います。