目次
小説投稿サイトに書き続けることがWEBTOON原作を書くトレーニングに
夏瀬さんは、先月、WEBTOONで原作者デビューされたわけですが、その際、勉強したことはありますか。
私の場合、企画書や脚本の書き方、WEBTOONならではの表現方法は、スタジオの編集者さんに一から教えていただきました。スタジオさんのなかには、デビューを目指される方に向けてノウハウを発信してくださっているところもありますので、それらをチェックするのが近道だと思います。
それ以外だと、小説投稿サイトの利用経験が、WEBTOONの原作を書く上で役に立ったと感じています。
どんなふうに役立つんですか。詳しく教えてください。
WEBTOONの場合、主にサムネイル、タイトル、あらすじを見て、読者は作品を選びます。
小説投稿サイトもタイトル、あらすじがとても重要な世界です。この２つが良くないと、なかなか興味を持ってもらえないんです。
さらに、続きが読みたくなる仕組みである“引き”が強くなければ、読み続けてもらえません。これはWEBTOONにも共通することだと思うんです。
小説投稿サイトでランキング上位に入る作品を書けるようになることは、これからWEBTOON原作者を目指す方にとって、有用なトレーニングの１つになると、個人的には思います。
自分自身、ヒキの作り方など、勉強不足だと感じることがとても多く、今後も投稿サイトでの勉強を続けていきたいです。書籍化すれば印税も入りますし、最近ではインセンティブという形で、閲覧数に応じて毎月報酬をもらえるところも増えてきました。投稿小説からのコミカライズも増えていますし、マンガ原作志望者にとって、メリットの多い場所だと思います。
ランキング上位のマンガから売れている理由を探す
夏瀬さんは、企画はどのようにして練っていますか。
自由に書くと、マニアックな方面に突き進んでしまいがちなタイプなので…。
勉強のために、ランキング上位の作品を、可能な限りチェックするようにしています。創作を続けていると、好みが先鋭化しがちで、流行ジャンルや後発媒体を受け容れられず、下に見る方も少なくないです。けれど人気の作品には、必ず理由があると思うんです。だから、何が読者を惹きつけているのか、学び続けたいと思っています。
現在の流行が自分の好みにマッチするとは限りません。好きではないのに、売れているからという理由で書いても、本当に好きで書いている方の熱量には到底敵いません。
だから、私はできる限り好きの幅を広げたいと思っています。どんな作品のなかにも、どこかに自分の琴線に触れる部分があるのでは……と思い、それを探すように心がけています。
作業机。「毎朝、決まった時間に机に向かうようにしています」
確かに、流行っているジャンルだからという理由だけで参入しても“好き”がないと、なかなか企画は通らないですよね。
夏瀬さんは、今後、どのようなジャンルに挑戦したいと思っていますか。
今は西洋ファンタジーや現代モノが中心なので、いつか中華後宮や和風ファンタジーにも挑戦してみたいです。
書ける作品の幅を広げるためにも、インプットを怠らないようにしたいと思っています。
アニメや映画の新作はこまめにチェックし、小説もジャンルを問わずたくさん読むようにしています。ご飯やお風呂に入っているときなどは、オーディオブックを活用して物語を聞くようにして、インプットの量を稼いでいます。
毎日、マスターズ水泳の練習会へ。目標は『ワイキキ・ラフウォーター・スイム』出場
最後に、皆さんにお聞きしているんですが、健康維持のために取り組んでいることを教えてください。
作家として長く続けていくためには、健康と規則正しい生活が大切だと思っています。
そのため、毎日プールに行き、マスターズ水泳の練習会に参加しています。メンバーは10代後半から70代まで。サークルのような感じで楽しいです。目標は『ワイキキ・ラフウォーター・スイム』に出ることです。
規則正しい生活ができる、ポケモンスリープとストックしている映画の鑑賞券。「常に（鑑賞券が）手元にあると“締め切りをやっつけて映画行かなきゃ！”と思えるので、執筆速度を上げるのに役立っています」（夏瀬さん）
ゲスト 夏瀬りくさん（なつせ・りく） マンガ原作者、小説家 2023年よりマンガ原作の仕事を開始。 縦スクロールマンガ原作に『暴君を身ごもる闇堕ち聖女になりました』』（SORAJIMA）。６月に横読みマンガ作品連載開始。現在、縦スクロールマンガ、マンガ、小説、複数企画進行中。 X（旧Twitter）@natsuseriku 聞き手 西島ユタカ（にしじま・ゆたか） マンガ原作者 縦スクロールマンガ原作に『スクールカーストは逆転する～この美貌で復讐のターン～』（小学館）、マンガ監修に書籍『マンガで読む 学校であった怖い話 絶望教室』（池田書店）、マンガシナリオに書籍『コミック版 やってはいけない老後対策』（小学館）、マンガ原作にＷＥＢ『なにわコイン娘〜仮想通貨にツーカーになろう〜』（小学館）など多数。 X（旧Twitter）@toyoko_t
