犬との暮らしは、ときに大変でも、かけがえのない時間です。そんな日々の中で生まれた心あたたまるエピソードを『マンガ 犬が伝えたかったこと』から、一部ご紹介します。
目次
犬と通った散歩道
犬は毎日「ずっと同じ」がいい 解説/三浦健太(ドッグカウンセラー)
犬と人間との大きな違い。それは「くらべる」という行為によくあらわれます。
自分と他人、自社と他社、うちの子どもとよその子ども。どっちが得か、どっちが早いか、どっちが価値があるか。人間はなんでも「くらべる」ことが大好きです。それだけではなく朝と夜、昨日と今日、今年と来年、といった時間の比較もします。ですから同じことをくり返していると、人間の場合は飽きてきます。まったく変化のない環境に居続ければ、退屈を通りこして苦痛にもなってくるでしょう。
しかし、犬は違います。犬はそもそも「くらべる」ことをしません。その環境が快適でさえあればそれでよく、できるだけ変化しないことが望ましいのです。
同じ時間に起きる。 同じものを食べる。 同じコースを散歩する。同じように飼い主に甘える。 そんな毎日をどれだけくり返しても飽きません。
むしろあまり変化のない日々は、犬に安心感を与えます。犬は季節の移り変わりや、飼い主さんのちょっとした変化を感じられるだけで十分幸せなのです。
犬と泊まれるホテルや特別なテーマパークに連れていくことも、豪華なごちそうを用意することも、きれいな夕日を見せてあげることも必要ありません。
犬が求めているのはいつもと変わらない環境、そして飼い主さんの安定した愛情、それだけです。
「変わらぬ愛情で接する」と言葉で言うのは簡単でしょう。日々の安定した生活に飽きてしまいやすい私たち人間が、飼いはじめたころと同じような愛情を、ずっと愛犬に対して持ち続けるのは意外と難しいことかもしれません。犬がいつもそうしているように、飼い主さんも毎朝、愛犬を新鮮な気持ちで見てあげてください。
やさしい涙あふれる20の物語
『マンガ 犬が伝えたかったこと』は、長年にわたり犬と真摯に向き合い、多くの飼い主の悩みに寄り添ってきた熟練ドッグカウンセラー・三浦健太氏。そして、SNS総フォロワー90万人超を誇り、社会的テーマを温かな視点で描く漫画家・しろやぎ秋吾氏。
そんな二人のタッグによって生まれた本作は、実際にあった出来事をもとにした、犬と人との絆を描く心温まるエピソード集です。
今回紹介したものの他にも「自分の病気を家族に隠していた犬」「犬がずっと大切にしていた宝物」など、思わず胸が熱くなる20のストーリーを収録。
言葉を持たない存在だからこそ、私たちのそばで静かに伝えてくれていた。
そんな犬たちのまなざしや想いに、優しく触れることができる一冊です。