好きにこだわれ~女子ボクシング世界王者を生んだ"行動力"の流儀~

20歳、無謀な挑戦が人生を変えた——私が格闘技に出会ったハワイ留学 by Miyo Yoshida|NY在住 世界王者プロボクサー

#連載エッセイ
#好きにこだわれ~女子ボクシング世界王者を生んだ"行動力"の流儀~

初海外でいきなり格闘技留学。
全てが初めての世界で私が学んだもの。
体当たりで挑んだ先に見つけた新しい私。

はじめに/ご挨拶と自己紹介

この記事をご覧いただき、ありがとうございます。吉田実代と申します。
現在36歳、9歳の娘と共に2年前からニューヨークに移住しました。世間では“闘うシングルマザー”と呼ばれることが多いですが、私はただ、自分の人生に正直に向き合い続けてきただけです。女子ボクシングで世界2階級制覇というタイトルを手にしましたが、そこに至るまでの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
この文章を通じて、私がどのようにして「何者でもない自分」から「世界チャンピオン」へと成長していったのか、少しでも伝えられたらと思います。

人生を変える大決断 海外留学

20歳の誕生日を迎えた私は今までで1番の大決断をした。

ハワイの格闘技ジムに単身留学したのだ。

海外経験なし、いきなり20歳を機にやったこともない格闘技を始めるなんて今の言葉で言うとイカれてるのだけれど

私はこの決断は人生についてとことん真面目に生きてきた過去の自分からのギフトだと思う。

神様からのギフトと書こうとしたけれど、自分の人生を神頼みするのは性じゃないし

今までに神様なんて居ないって何回も思わされる出来事が沢山あったからだ。

でも、人として道を踏み外さない倫理観やモラルなどは神を基準に考えている。

こうして良いとこどりをしているわけである。占いもそうだが同じ様な心理で私は良い所だけをよりよくする為に解釈する。

初めての海外はそれはそれは眩しかった。

1人で飛行機に乗り、CAさんに慣れない英語でおどおどしながらドリンクを頼み

しどろもどろになりながらも何とかイミグレを通過し迎えに来ていた留学先の丹治こういちさんに会えた。

ただこれだけの事で田舎から一念発起で飛び出した20歳の小娘は嬉しかったし、なりたい自分に近づく様でミッションをクリアするたびに、ドラクエのレベルアップするメロディーが脳内を流れた。

20歳の私には全てが新鮮だった。

ハワイアンミュージックは全てを洗い流してくれる様な癒しを感じたし。

右を向いても左を向いても英語しか聞こえない。

私は映画の世界に迷い込んだみたいな気持ちでも居た。

人生初のスパーリング

そして、まだどこか夢見心地のままジムに到着すると

現地の強い女性選手といきなりスパーリングをさせられた。

言わずもがなボコボコにされた。笑

この格闘技留学を主帝する日本人の会長は

私の本気を見極めたかったのだと言った。

ハワイといえど奥地で治安も悪く

ギャルみたいな格好で格闘技経験もなく3ヶ月もジムに住み込むという私を不安視していた。

大丈夫か?この小娘は?耐えられないと思うから何か問題が起こる前に帰そう。

と言うことで初日スパーリングに至った。

まさにリアルガチンコファイトクラブだった。

ジムの大勢の観衆が好奇の目で見つめる中、私はボコボコにされながら、泣きながらも立ち向かった。

今までの不条理や誰にも言えない辛い過去、自分から逃げて悔しかった過去、全てが走馬灯の様に蘇った。

相手のパンチがその一つ一つの出来事の様に感じで必死に耐えて必死にお見舞いのカウンターパンチを繰り出した。

その時に生まれて初めて

私は生きてるって身体が全身全霊かけて私に伝えてきたのだ。武者震いの様な感覚だった。

長い3分間が終わった後、好奇の目で見ていたジムの観衆全員にGood jobと言われ

会長、留学生のリーダー丹治さんよくやったと言われ車で今までの事をありのまま全て話した。とんでもなく饒舌だったと記憶している。