失言を避けるためには、日常の言葉選びが重要です。「がんばってる?」や「かわいい」といった一見無害な言葉が、実は相手を不快にさせることも。
よかれと思って発した言葉が引き起こす失言のリスクと、それに対する適切な言葉の選び方を紹介します。
目次
「髪切った?」は意外に困る言葉
髪を切ったことに気づいてくれない夫に、「どれだけ私に興味ないの!?」と妻が幻滅する──夫婦に関する〝あるある話〟のひとつですよね。妻をガッカリさせないよう、細心の注意を払っている方もいるでしょう。
せっかくならもう一歩踏み込んで、「似合ってるね」「夏らしくさっぱりしてていいね」など、具体的にほめる言葉にするとグッと好印象です。
しかし、これはあくまでもパートナー間だけの話。他人同士の場合、「髪を切った」のはただの事実であり、返答に困る問いかけと言えます。また、あまりに変化に敏感だと、常に観察されているように感じて不気味に思う可能性も。
「切った」ことにふれるのは、ロングからショートに変わったなど、はっきりと目に見える変化のときだけにしましょう。
失言かも…… 髪切った?
言うならこっち…… 似合ってるね
「流行ってるよね」は、マウントとみなされるリスクも
ネットで下調べをし、お店にも足を運んで実物を手にとり、吟味に吟味を重ねてようやく買ったバッグ。あるいは洋服や、スニーカーでもいいでしょう。気分よく身につけて出かけた先で「あ、それ、流行ってるよね!」と言われたら、どう思うでしょうか。
自分の目で見て、自分が気に入って買ったはずなのに、誰かから「流行りに乗って選んだんだね」とカテゴライズされてしまうと、わくわくした気持ちが急にしぼんでしまうようです。
「それ、流行ってるの知ってるよ」という軽い気持ちから出た発言かもしれませんが、知らず知らずのうちに「あなたは多数派なんだね」「無個性だね」というマウントになっていることも。何か伝えたいなら、「それ、すてきだね」というシンプルなほめ言葉がいいでしょう。
失言かも… 流行ってるよね
言うならこっち… すてきですね
「大丈夫?」と聞かれても、「大丈夫」と答えるしかない
仕事がらみの会食で、緊張が続いている部下に「大丈夫?」。
寝る間を惜しんで資格試験の勉強に励む友人に「大丈夫?」。
やさしそうに思えるこの声がけですが、実は「大丈夫です」以外の回答がしづらいんです。言われた側に用意されているのは、「大丈夫です」と答え、さらにがんばるという選択肢だけ。つまり、「大丈夫?」という声がけが、相手をさらに追い詰めることにつながっているのです。
気づかうなら「大変そうだけど、どんな感じ?」と、相手の心のうちを控えめに探る聞き方がおすすめです。もっとダイレクトにやさしさを伝えるなら、緊張している部下に「ちょっと外の空気にあたってきなよ」と打開策を示す、勉強をがんばる友人にはそっと差し入れを渡すなどの具体的なアクションを。
失言かも…… 大丈夫?
言うならこっち…… 大変そうだけど、どんな感じ?
「おばさん(おじさん)だからさ!」の一言が気まずくさせる
その場で年上だと思われる人が言いがちな、「おばさん(おじさん)だからさ!」というフレーズ。言った本人はぶっちゃけてしまってラクかもしれませんが、「そんなことないですよ」待ちなのが見え見えです。
年下の側は当然反応に困りますし、その場にいる同年代以上の人を傷つけるというリスクも。場の盛り上がりにつながる確証もなく、誰もトクしない、無意味なひとこととも言えます。
年の差があるからといって、年上の側も年下の側も、必要以上に気を使い合わなくてOK。むしろ、そのギャップを楽しむ方向に持っていくと、場が盛り上がるでしょう。異世代間のトークは、同世代トークと違って新たな発見も多いもの。「ごめん知らなかった!」「今はそうなの? 教えて!」と、明るく楽しむ余裕を持ちましょう。
失言かも…… おばさん(おじさん)だからさ!
言うならこっち…… 知らなくてごめん! 教えて!
普段の会話をちょっと見直すだけで、コミュニケーションはうまくいく
失言を避けるためには、無理に気を使いすぎる必要はありませんが、相手の立場や感情を尊重する姿勢は大切です。相手がどんな言葉を求めているのか、そして何を言うことで不快にさせてしまうのかを意識し、コミュニケーションを図ることが求められます。普段の会話で使う言葉をちょっと見直すことで、よりよい関係を築けるかもしれません。今一度、言葉の力を再認識し、心地よい会話を目指してみてください。