私が著者になるまで

ブラック企業からカウンセラーに。心理学で人間関係は自衛できる!

#私が著者になるまで

『職場の人間関係 防災ガイド』を出版した藤本梨恵子さんは、10年以上デザイナーを経験するかたわら、キャリアカウンセリングや心理学を学び、現在はキャリアコンサルタントや産業カウンセラーなどの幅広い顔を持っています。

なぜキャリアカウンセリングや心理学を本格的に学ぼうと思ったのか。これまでの経歴や『職場の人間関係 防災ガイド』を出版するに至った経緯をお伺いしました。

この記事は書籍『 職場の人間関係 防災ガイド 』の関連コラムです。

心理学を学び始めたきっかけは「ブラック企業での経験」

編集 鶴田

藤本さんが今回出版した書籍『職場の人間関係 防災ガイド』では、心理学に基づいた「そもそも問題を起こらないようにする方法」を紹介しています。

藤本さんが心理学を学び始めたきっかけは、何だったのでしょうか?

私が心理学を本格的に学び始めたのは20代後半なのですが、当時働いていた職場環境が悪く、いわゆる「ブラック企業」に当てはまるような場所でした。

毎日長時間の残業が続いて、ひと月に7人とかが辞めていってしまうような会社です。

社長室からは常に怒鳴り声が聞こえていますし、私もストレスで朝起きたら前歯が欠けていることもありました(笑)

藤本さん
編集 鶴田

それは劣悪な環境ですね…。

そんな職場だと、やっぱり人間関係の悩みも多くて。

自分に攻撃がなかったとしても、周囲が揉めているだけでも、私にとっては大きなストレスだったんです。

藤本さん

また、当時はデザイナーの養成スクールでデザインを教えていて、就職の支援をしていました。

支援している学生のなかには、デザインのセンスがあっても、メンタルが弱くて結果が出ない人もたくさんいました。

自身が置かれている環境に加えて、就職活動がうまくいかずデザインの道を諦めてしまう学生を見て、なんとかしたいという気持ちが強くなったのが、心理学を学び始めたきっかけです。

藤本さん
編集 鶴田

なるほど。ご自身が人間関係で悩んでいたのと、生徒さんとなんとかしようという気持ちから、心理学の勉強を始めたんですね。

そうですね。また同じ時期に、近所で仲良くしていた友人が、新婚なのに白血病で亡くなってしまいました。友人の奥さんは妊娠しているのに、突如未亡人になってしまったんですよね。

当時は若かったので、高齢の方以外が亡くなるという場面に直面したことがなくて、どのように励ましたらいいんだろうと悩んでいました。

このような、いろいろな問題が重なって、心理学を本格的に学習するようになりました。

藤本さん

「普通の人でも本が出せる」ということをしり、出版を決意

編集 鶴田

藤本さんは心理学やキャリアカウンセリングを学び、キャリアコンサルタントやカウンセラーとして活動の幅を広げていますよね。

その状態から「本を出版しよう」と思ったきっかけは何だったのでしょうか?

当時は「自分のような普通の人が本を出せる」なんて思ってもいませんでしたが、あるとき私の友人の友人が、名古屋について発信する本を出版したんです。

「経営の学校に通っているメンバーが、課題の一環で本を出した」ということでした。

その話を聞いて「あ、こんな身近な人でも本が出せるんだな」と思ったんですよね。

藤本さん
編集 鶴田

友人の友人だと、かなり距離の近い人ですよね。

はい。そして私の友人は書店を回って出ている本の写真を撮るなど、精力的に応援活動を行っていました。

その姿を見て「私もこの人にこんな応援をされたいな…」と、勝手に思っていたんですよね(笑)

また、今後講師業をやっていくにあたって、本を出していると名刺代わりになったり、説得力が増したりするんじゃないかなと思ったのも、出版したいと思ったきっかけです。

藤本さん
編集 鶴田

もともと本を読むのは好きだったのでしょうか?

はい。先ほどお話したブラック企業に勤めていたときから、本をよく読んでいました。

ストレスやイライラを抱えたときに、ケアできる本を読んでから眠るなど、精神安定剤の代わりみたいに使っていましたね。

藤本さん
編集 鶴田

確かに本を読むことで気分が高まったり、落ち着いたりできますよね。

以前、作家の中谷彰宏さんが「本とお酒は似ている」という話をしていたことがあったんです。

お酒好きの人は、嬉しいときは乾杯するし、嫌なことがあっても一杯引っ掛けにいくみたいなことがあるとおっしゃっていて。本好きの人は、本がすべてお酒の代わりになるというお話を書かれていたのが、印象に残っています。

自分の気分や調子に合わせた本があり、そこには書いた人の人生が詰まっています。
それを1,500円前後で買えるなんて最高だなと思っているので、本を読むのはとても好きですね。

藤本さん

100社以上に企画書を送るもうまくいかず、大学の就職支援の仕事をきっかけに再チャレンジ

編集 鶴田

「出版したい」と思ってから、トントン拍子で話は進んだのでしょうか?

いえ、実は出版を決意してから100社以上の出版社に企画書を送るなどの取り組みを行ったのですが、15年くらいは出版できませんでした。

藤本さん
編集 鶴田

15年間も取り組んでいたんですね!

当時のことを思うと、私のやり方が悪かったなとは思います。「ビジネス書を出している出版社」とか「小説に強い会社」みたいなのを気にせず、とにかく企画書を送っていたので。

働きながらやっていたのですが、やはり結果が出ないと活動がおろそかになって、うまく進められませんでした。

藤本さん
編集 鶴田

それでも挫折せずに、出版へと結びつけたのはすごいです。

当時は大学で就職支援の仕事をしていて、学生が自分の行きたい企業や、難易度の高い公務員への就職に挑戦する姿を見ていました。

そこで「私が応援している学生はこんなに挑戦しているのに、自分はあまり挑戦していないな」ということに気づいたんです。

心理学には「自分がやっていないことは相手に言っても説得力がない」という大前提があるのも、挑戦しないとダメだと思うきっかけでした。

藤本さん
編集 鶴田

藤本さんの挑戦が、出版だったわけですね。

はい。自分が挑戦したいことってなんだろうと考えたときに、やっぱり出版だなと思って。

そこで改めて出版塾という場所に通って、半年間訓練しました。

出版塾のプレゼン大会でたまたまご縁をいただけて、最初の本の出版につながったというのが経緯です。

藤本さん
編集 鶴田

ありがとうございます。すごく長い時間をかけて夢を叶えたんですね。

出版塾の仲間のひとりは、何回プレゼンがダメでも諦めずにアプローチして、出版にこぎつけていました。

それを見て、やはり粘り強くというか、しつこくというか。諦めない気持ちが大事なんじゃないかなと思いましたね。

藤本さん

書籍『職場の人間関係 防災ガイド』に込めた想いとは

編集 鶴田

藤本さんが今回出版した書籍『職場の人間関係 防災ガイド』のタイトルには、どのような想いが込められているのでしょうか?

本のタイトルは、人間関係という永遠に続きそうなトラブルを、「防災」というカテゴリに入れて客観視することを意識してつけました。

例えば職場だと在籍している限りトラブルに巻き込まれそうな感じがしますが、防災という名前がつくことによって、一時的なものだと考えられるようになります。

台風のように「防災しておけば、一旦はどこかに去っていくもの」だと考えられると、それだけでも気が楽になるんじゃないかなというのが、防災という言葉を使った意図です。

藤本さん
編集 鶴田

確かに、一時的なものだと考えることで、前向きに解決策を考えられそうですね。

そうですね。防災というカテゴリに入れて客観視することで、冷静に自分や周りの状況を見れるようになって、暗い気持ちにならずに解決に向かっていくことができます。

「こうすれば予防線が張れてトラブルに巻き込まれないんだな」という、自分を守る術がわかるのが、本書のポイントです。

藤本さん
編集 鶴田

ありがとうございます。

ちなみに、人間関係や職場関係に関する本は数多く出ていますが、『職場の人間関係 防災ガイド』で他の本と差別化したポイントはありますでしょうか?

私のように心理学の勉強や、カウンセリングやコーチングの仕事をしている人だったらできそうなことを、普通の人でも簡単に日常使いできるようにしたのが、差別化のポイントです。

人間関係に関する本に書かれている解決策を見て、「距離を取る」とか「気にしない」など、困っている人ならやっていることが多いかな?と感じていました。

また「逃げろ」や「バカは相手にするな」のような言葉を使っている本もありますよね。もちろん大切だとは思うのですが、これだと読んだ後に、ちょっと気分が重くなってしまいます。

ただでさえ嫌な人との付き合いで悩んでいるのに、解決策が書かれている本を読んで気分が重くなるのはよくないなと思って。そのような面も考えて、重くならないように、簡単な解決策や防衛策を盛り込んでいます。

藤本さん
編集 鶴田

『職場の人間関係 防災ガイド』では、解決策だけでなく「なぜこの人がこのような行動をするのか」という、背景までとても細かく書かれていると感じました。

背景を細かく書いた意図は何かありますでしょうか?

背景を書くことによって、読んだあとに相手の認識を変えられるようにしたいと思ったからです。

相手の背景を知っていれば「嫌な人」から「この人はかわいそうな人なんだ」と、認識を変えられるかもしれません。

理解を深めることで、より「防災」と捉えて、行動に広がりを持たせられるといいなと思います。

藤本さん

読者へ一言

編集 鶴田

最後に、読者へメッセージをお願いします。

『職場の人間関係 防災ガイド』では、「こういう人っているよね」というあるあるから、「じゃあこういう人にはこうすればいいんだ」というアプローチ方法を理解して実践できるようになります。

さらに、いま困っている内容を解決するためだけでなく、自分が直したいと思っている部分や引っかかっている部分など、自分自身の何かを改善するのにも役立つ本です。

イラスト付きでわかりやすく解説しているのがこの本のポイントなので、ぜひ手に取ってみてください。

藤本さん

 


藤本梨恵子(ふじもと・りえこ)
ファイン・メンタルカラー研究所代表
米国NLP協会認定 NLPマスタープラクティショナー 国家資格 キャリアコンサルタント
産業カウンセラー
カラーセラピスト

愛知県生まれ。10年以上デザイナーを経験。当時月130時間を超える残業のストレ
スで前歯が折れる。この時期に友人の死も重なり、「幸せな生き方とは何か?」を考え、本格的にキャリアカウンセリングや心理学を学ぶ。

NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフルネス瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。

著書に『なぜか好かれる人がやっている 100の習慣』『なぜかうまくいく人の気遣い100の習慣』『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)、『いつもよりラクに生きられる 50の習慣』(かんき出版)がある。
この記事は書籍『 職場の人間関係 防災ガイド 』の関連コラムです。