私が著者になるまで

執筆の一番のきっかけは「もうぜんぶどうでもいいわ!!!」ってなったこと k o t o

#私が著者になるまで

枕草子、万葉集、古今和歌集、徒然草……などに綴られた古の言葉たちを、「今の私たちの感覚」に合わせて見事に“エモ訳“。
それらを時代の先端をいくイラストと組み合わせ、新しい世界観を生み出したk o t oさんは、
古典の専門家、ではないどころか、国語好きだった過去もなく、本当にごく普通の会社員だと言います。
そんなk o t oさんが、一体どんなきっかけでこの作品を手掛けるにいたったのかを探ります。

※文中の写真はすべてイメージです。

・昼はふつーに働いています

聞き手
(この本の中では「国語は興味なかった」とのことでしたが)
子どもの頃はよく本を読む方でしたか?
実は、正直……まったくなんです(笑)。
小さいときは活字が苦手で、読んでいても「頭に入ってこないなぁ」「何書いてあるのかわかんないなぁ」という感じで……。
k o t o
聞き手
ええっ、そうだったんですか!? 意外ですね! では当時はどんなものに夢中だったんですか?
テレビばっかり見てました(笑)。お笑い番組が大好きで。
だから、自分が古典に興味を持つようになったということにとっても驚いています。
k o t o
聞き手
てっきり昔から文学一筋なのかと思いきや。不思議なめぐり合わせですね。古典の授業はどんな印象だったんですか?
あまりいい思い出はないです(笑)。
テスト勉強のときに必死で単語帳を読みながら、「いま、何を勉強させられとるのだ」という気持ちでした。何を書いてるのかわからないんですもの。(笑)
……ただ、唯一、『いとエモし。』の最後に使わせてもらった「平家物語」の序文は授業で暗唱させられたのもあって、ずっと記憶には残っていたんですよね。
あと古典ではないですが、芥川龍之介の『羅生門』や中島敦の『山月記』など、教科書に載っていて強烈に記憶に残っている作品というのはいくつかあって、いまでも好きですね。
k o t o
聞き手
学生時代はどんなことをされていたんですか? 文章の接点が多かったとか?
学生生活は本当に特別なことはなく、ふつうの生活ですよ。部活したり、バイトしたり、あまりにもふつうな(笑)。
文章との接点としては、高校のときに毎朝、新聞記事を読まされて、その感想を書くという時間があったんです。
毎朝これが本当に苦痛だったんですけど、卒業するとき先生に「お前の書いたのが一番おもしろかったぞ」って言ってくれたのは覚えています。嬉しかったのもあるんですが、「え、そうだったの!?」という意外な驚きがありました。意外と人が読める文章を書けていたんだなーという驚きでした。
そのあとは、仕事でメルマガを作ったり、というようなことはしていましたけど、特別「これがしたい」というような創作意欲があったわけではありませんでした。
気まぐれにちょこちょこと書いみてはすぐに挫折する、という感じで(笑)。
k o t o
聞き手
ちなみに、日中は働かれているということですが、その合間をぬって今回は書かれたということですよね。
はい、昼はふつーに働いています。本当にふつーです(笑)。
なので、休日や夜に調べたり書いたり、ということをしていました。
もともと、誰にも見せるつもりはない、メモのようなものがあったので、それを引っ張り出しながら、新しく書きながら、という感じでしたね。
k o t o
聞き手
この本を読んでいると、まるで古都の空気、自然の情景や光や匂いまでも蘇ってくるような感じもしますが、k o t oさんはそういったゆかりのある場所で育ったんでしょうか?
そうおっしゃっていただけると嬉しいです。
私自身は、「the山の中!」で育ちました。
秘境ではないんですけど、「スタバがオープンするぞ」となったら「おおおマジか!」と町中がざわつくくらいの規模感の地方ですね。
k o t o

・本当にエモいと、ゾクゾクっと鳥肌が立つ

その意味では、自然に慣れ親しんできたと言えますけど、半分は大人になってから旅の中で見聞きした風景がヒントになっているような気がします。
k o t o
聞き手
「旅」が大きなきっかけになっているとのことですが、これまでどんな旅をされてきたんですか?
マニアックなんですけど、私、大きい岩とか樹を見に行くのが本当に好きで。
たとえば鹿児島県の姶良(あいら)市にある「蒲生の大クス」っていう、樹齢1600年のクスノキを見たときは、その存在感がすごくてなんだか無性に震えました(笑)。
そういうものを見るためだけに出かけたりします。滞在時間5分とか10分とかのことが多いんですけど(笑)。
k o t o
聞き手
パワースポット巡りや、御朱印集めに神社に行く、ということでもないんですね!? いったい何がそうさせるんでしょうね。
私にもよくわからないんですけど、感覚としては、本当にエモいと、ゾクゾクっと鳥肌が立つんですよね。
理由はわからないがとにかくすごいぞ、という。身体が先に動く感覚があります。
自然以外でも、「これ魂こもってるなぁ〜」って感じるようなもの、歌でも文章でも、食べものでも、器でも、つくられた方の命を感じるようなものに出会うと鳥肌が立ちます。
不思議とそういう場所に行くとおもしろい人に出会ったり、いろいろ教えてもらえたり。そういうものを求めているのかもしれないです。
k o t o
聞き手
では、『いとエモし。』についても聞いていきたいのですが、この本を作るにあたって、古典はかなり読まれたんですか?
そもそものきっかけを話すと、あるとき広島の厳島神社に向かう新幹線の中で、清少納言の『枕草子』の1段を見たことなんですよね。ウェブ記事か何かだったと思うんですけど。
「秋は夕暮れ。 夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし」
この文章を見たときに、夕焼けの空の中、鳥が山のほうに帰っていく……そんな情景が自然と浮かんできたんです。
「あれ、なんか言ってることがわかる気がするぞ」と。
その感覚が結構衝撃で、「もしかして古典ってすごいおもしろいんじゃない?」と。
それがきっかけで、コツコツと読みだしたら、気づけば何十冊も本を買い集めていました。
k o t o
聞き手
まさに旅から始まったわけですね。特に好きな作品はありますか?
個人的には、『風雅集』という和歌集や、中国や日本の短編物語を集めた『今昔物語』が好きです。
人気のある作品は文庫本でも出ているんですけど、マイナーだったり原典に近いものだったりになると、1冊何千円とか、何万円っていう世界になってきて。
そもそも古本屋さんにしかなかったり。
ちなみに『風雅集』は上・中・下巻であわせて5万円弱でした(笑)。
k o t o
聞き手
5万円!! かなりしびれる額ですね。
しびれる買い物でした(笑)。
でも、本当にいいんです。
心象風景がシンプルで美しくて、現代人っぽい感覚の歌が多いなぁという和歌集です。
k o t o
聞き手
ある意味、k o t oさんが現代の選者とも言えますが、約100点の古典はどういう基準でチョイスされたのでしょうか?
選者というのは恐れ多すぎる言葉で、自己認識としては、「案内係」みたいな感じです。(笑)
どういう基準でといえば、私自身がそうだったように、もともと知っていた文章が「え、そういう意味だったの!?」「うわ、エモいわぁ!」と、知るところに感動があるなと思っていて。
なので、『枕草子』や『古今和歌集』、『百人一首』のように、一度は聞いたことがある、読んだことがある、という有名なものが7割くらいで、残りは個人的に「……すごいなぁ」「これ紹介したいなぁ」と思った作品を選ばせてもらいました。
k o t o

・「言葉が花開いたときの感覚」を大切にしたかった

聞き手
イラストもご自身で選定されたとのことのですが、どれくらいの点数から選んだのでしょうか?
正確にはわからないんですけど、万単位では見たと思います(笑)。
k o t o
聞き手
万単位ですか!? いったいどんなふうに選ばれていったんですか?
最初は、『枕草子』の一段の訳に、ネットで見つけたイラストを合わせてみたんです。
『いとエモし。』の№2でお借りしたfuriさまのイラストです。
その瞬間に、「あ、これすごいかも!」と。
それで、いけるかもしれない? と思って、それぞれの和歌に合うイラストを見つけていくことになりました。
そのサンプルをいくつか作ってサンクチュアリ出版さんに見ていただいたんです。
k o t o
聞き手
そのときの原稿は、どうやってつくられたんですか?
パワーポイントでちまちまと(笑)。
完全に素人仕事なんですけど、単純にイラストと言葉がかけ合わさるだけで「清少納言がそこにいる!」っていう感覚になったんですよね。
その瞬間の、「言葉が花開いたときの感覚」をとにかく大切にしたいなと思いながらイラストは見ていきました。
k o t o
聞き手
そのサンプル原稿を持ち込まれて、今回、出版になったということなんですよね。書店さんからの反響もとても高かったそうで。
はい。本当にありがたいことに。
担当のMさんとサンクチュアリ出版の編集長に拾っていただけて、本当によかったです……涙です。
サンクチュアリ出版のみなさまにもそうですが、とにかく『いとエモし。』はイラストなしには成立しなかったことなので、許諾をいただけたイラストレーターのみなさまには感謝してもしきれません。本当に。
あと、天才的な組み方をしてただいたデザイナーさんにも、本当に。
k o t o
聞き手
どの紙面を見ても、イラストとテキストが見事にマッチしているなぁと驚くのですが、イラストはどのようなところから探したんでしょうか? もともと詳しかったとか?
イラストレーターさんに詳しいわけではまったくなかったので、終始、ただひたすら地道に検索し続けました。
たとえば最初のほうは、「夕焼け イラスト」とか「海 エモい」とか(笑)。
その中で「あ、これいい!」と思ったイラストやイラストレーターさんをリストアップしていって、手元にある訳と合わせていくというのが基本で。
その方がどれくらい有名なのかもわからないので、とにかく「めっちゃくちゃいいな!」と思ったものをピックアップさせてもらいました。
お願いしてNGが出ることももちろんあって。
その都度ブラッシュアップされていった感覚があります。
とにもかくにも、pixivさんには大変お世話になりました(笑)。
k o t o
聞き手
それは途方のない仕事ですね。「これとこれを合わせる!?」という意外性がありつつ、でも意味の通じる組み合わせや、もともとこのために描かれたの!? と思ってしまうようなイラストが多いなと感じました。相当ご苦労されましたよね?
終始、「楽しかった」ほうが大きかったです。
ただ、締め切りの問題があって、どうしても決まらないなぁというものや、なんだかはまらないなぁというものも一部あって、そこは最後の最後までねばらせてもらいました。
たとえばユーモア要素のある歌にイラストを合わせるのが意外と難しくて、No.○の小野小町と僧正遍照の歌の掛け合いがあるのですが、そこはかなり苦戦しました。
もう別の歌にしてしまおうかな……と思ったときに、意図していなかった素晴らしいイラストがぱっと出てきたりして。そんな偶然性もおもしろかったです。
最後のほうは日常の風景のすべてが「あ、この歌に使えるかも!」と見えるようになって。夢の中でもイラストを探していました。
k o t o
聞き手
まさに夢うつつの状態だったと!(笑) イラストもそうなのですが、文章も古典の作品ごとに変化をつけるなど、文体にこだわりが感じられます。超訳するにあたって、特に気をつけた点はありますか?
ありがとうございます。嬉しいです。
でも、基本的には何も考えなかった気がします。
最初に感じた歌や文章の雰囲気や感情、世界観みたいなものを、文体であらわすとこういうことかな? と、ほとんど「なんとなく」で書き溜めていきました。
同じ言葉でもひらがなだったり漢字だったり、中には句点や読点もない訳もあったりするんですけど、「最初に書いた感覚」が大事かなと思ってそのままにさせてもらいました。
k o t o

・自分を空っぽにして、野生に戻りたかった

聞き手
「最初の感覚」が大事だったと。そういう意味では、今回の本につながった過去のエピソードはあるのでしょうか?
一番のきっかけは、ヤケクソになったことでしょうね。
k o t o
聞き手
ヤケクソですか?(笑)
はい(笑)。一度、本当に「もうぜんぶどうでもいいわ!!!」ってなってしまった時期があって。
k o t o
聞き手
……聞いていいのかどうか……何かあったんですか?(笑)
いや、特別な事件や事故があったわけではなくて(笑)。
でもなんでしょう。もうぜんぶ放り投げて自由になりたい! って、突然思ったんです。
人と会話をしていても、テレビを観ていても、仕事をしていても、「あれ、いま私、なんでこんなことしてたんだっけ?」と思うことが増えて。
日常が情報過多で、ものすごく重く感じて……。
このままだと私、窮屈で、ゾンビみたいになるんじゃないかなと思って。
k o t o
なので、それまでしていたことをいろいろやめて、そのかわりに、以前にも増して旅に出ることが増えたんです。
心のおもむくままに出かけて、空っぽにして。
そしたら、四六時中観ていたテレビも見なくなって、最終的には粗大ごみに出して、家も引っ越しして、気づいたら職場にも辞表を出していて……っていうことをしてたんですが(笑)。
k o t o
聞き手
そのお話し、「あとがき」にも書かれていて驚いたエピソードですが、本当に何も決めずに会社もやめられたんですよね?
本当に「無策」でした。まわりの人たちは相当心配してましたけど(笑)。
k o t o
聞き手
それは心配しますよね(笑)。
ほんと、ごめんさないって感じです(笑)。
でもとにかく一度リセットをしたかったんですよね。
k o t o
まずは空っぽにして、あとのことはそのとき考えようと。
ちょっと野生に戻りたかったのかもしれません(笑)。
そしたら、より古典への興味がわいてきて、背景なども調べるようになったんです。たとえば、この歌はどこで歌われたものだとか、作者の人間関係とか。
そうすると、旅で行っていた場所にゆかりのある人物、作品、歌が多いな! ということに気づいて。
たとえば、平清盛が建てた厳島神社もそうですけど、奈良の三輪山、静御前が舞った鶴岡八幡宮、後鳥羽上皇が流された隠岐の島、源平合戦が起きた壇ノ浦、和泉式部の和歌が刻まれた貴船神社近くの岩……とか、そんな感じでどの作品も自分の中でつながりが生まれて。
k o t o
もっと言うと、彼らの人間関係や歴史もおもしろいくらいつながっていって、そういうことがわかっていくにつれて、「あ、私、これまとめてみたいな」と思ったんですよね。
k o t o
聞き手
ヤケクソが思わぬ展開を導いたんですね。
はい。本当に。ヤケになっていなかったらこんなふうにはなっていなかったなと(笑)。
k o t o

・まさに「いとエモし。」な体験でした

聞き手
今回、特に思い入れのあるページはありますか?
「ぜんぶ!」と言いたくなるんですけど(笑)、
本が完成したとき、No.1のページを読んだとき、自然と涙が出てきました。
室町時代に流行った民衆の歌を集めた『閑吟集』からの出典で、
「花見れば袖ぬれぬ 月見れば袖ぬれぬ なにの心ぞ」
を超訳しました。
「袖」は、古語では「魂の宿る場所」っていう意味があって、まさに「エモとはなんぞや」ということを体現しているような作品だと思っています。
k o t o
聞き手
このNo.1はイラストも神がかって素晴らしいですよね。
はい。神がかってると思っています。
詳しく話すと長くなってしまうんですが、このNo.1のイラストは、「花火、鳥居、海」の要素が入ったものにしたいと思っていたんです。
k o t o
聞き手
最初から狙ったということですか? よくそんなイラストが見つけられましたね。
ここだけは、たしかなイメージとともに探しました。
ページを開いた瞬間、花火の音が聴こえてくるような、自分の中の神さまに会いに行くような、めでたい参拝と言うんでしょうか。
そんなオープニングにできたら、この『いとエモし。』という本にとっては最高だろうなと思って。先人たちの言葉を送り出してあげたいなと、そんな願いを込めて、花火、鳥居、加えて、できたら海にしたいなと。
……なんですけど、おっしゃるようにまずこの条件に合うイラストを探すのに何日もかかかって(笑)。
探して探して探して、必死の思いで今回お借りしたイラストにたどりついたんですが……でもそれが、あやしげな海外サイトだったんです(笑)。
k o t o
聞き手
あやしげ?
はい。Pinterestみたいなきちんとしたサイトではなく、海賊感満載のアングラなサイトだったんです。
なので、引用元が一切書かれていなくて、画像だけポツンと出てきて。どこの誰の作品かまったくわからなかったんですよ。
その画像をもとにさらに何日も探したんですけど、何の手がかりもなくて。
k o t o
聞き手
もう探偵みたいですね。
画像探偵です(笑)。家の物件探しに近い感覚でしたね。
でも、いよいよ締め切りまで本当に時間もないし、もうお手上げ〜! っていうときに、ふと別の箇所で作品をお借りしていたKupeさんのポートフォリオを眺めていて……。
そしたら、このイラストがそのポートフォリオの中に「あった!!!!!!!」んですよ。
「これじゃん!!!!!!!」。だったんですよ。
k o t o
聞き手
どれだけ探してもなかったのに!
そうなんですよ。あのときの感動は、もう生涯忘れられない気がします(笑)。深夜に一人で歓喜の声を出してしまいました(笑)。
なんと言っても、このイラストは厳島神社の花火大会を描いたものだと思うんですけれど、私、古典にはまったのがこの厳島神社へ行く道中だったんです。
k o t o
聞き手
そうでした! その道中に『枕草子』に出会ってという話でしたね。
はい。たぶんそういうこともあいまって、言葉にできない感情があふれてきて、自然と涙が出てきました。まさに「いとエモし。」な体験でした。
どのページにも同じような話があって、いくらでも話せてしまえそうなのでこのあたりにしておきますが(笑)。
素晴らしいイラストの許可をくださったKupeさんには、ここでもあらためて感謝を申し上げます。
k o t o

・許されるなら、和歌や作品をもっと紹介したい

聞き手
『いとエモし。』は、どんな人に読んでもらいたいですか?
シンプルに、この本を「いい」と思ってくださる方のもとに届いたらいいなと思っています。
気に入ってくださる方に出会ってもらえたらなと。
小学生でも、ご高齢の方でも、「エモ」という概念がわからなくても、「なんかよくわかんないけど、いいよね」と、何か感じ入ってくださる方のもとに羽ばたいてくれたらいいなと。それ以上のことはありません。
k o t o
聞き手
今後、こんな作品を書いていきたい、という展望はありますか?
人生なりゆきですので、いまのところは何も。(笑)
ただ、許されるのであれば、もっと紹介したいなぁという和歌や作品もたくさんありますし、別の方向性としては、自分なりに物語を再解釈して書いてみようかなという思いもあります。
k o t o
聞き手
物語を再解釈とは、具体的に言うと?
たとえば、芥川龍之介の『羅生門』は、『今昔物語』にある話から書かれているんですけど、そういう形で、昔の作品をベースに自分なりに書く、リライトするようなイメージでしょうか。なんだか神秘的な魅力があるんですよね。
あと、個人的に好きな『山月記』も、再解釈というほどのものでもないですが、原文のリズム感を大切にしたまま、自分が中学生でも内容がわかる、くらいの表現でアレンジする、ということを趣味でやっていたんです。
だいぶ前に書いたものなのでこっ恥ずかしいのですが、購入者特典としてこの2本は紹介させてもらっています。
『大鏡』など、挑戦してみたい古典作品があるので、もちろん本という形でなくとも、時間や機会を見つけてやれたらいいなと、薄ぼんやり考えているところです。
k o t o
聞き手
ぜひ読んでみたいですね! 私も購入者特典、ゲットしたいと思います(笑)。ありがとうございました!

聞き手:松本幸樹

(画像提供:iStock.com/linhkn/Elico-Gaia/kanzilyou/turk_stock_photographer/cherrybeans/estherpoon/vichie81)

k o t o
夜だけ作家。
昼間は会社員、夜は作家、休日は旅人。心の赴くままに、夜な夜な創作活動を行っている。
旅中に出会った『枕草子』がきっかけとなり、古典作品や文学作品を独自解釈した短編、中編を書き綴るようになる。心の動き(エモ)に重きを置いた作風が持ち味。 趣味は、日本各地の自然や土地を見に行くこと。

いとエモし。 超訳 日本の美しい文学 k o t o

いとエモし。 超訳 日本の美しい文学

k o t o
定価:1,480円(税込1,628円)

 

枕草子、万葉集、古今和歌集、徒然草……などに綴られた古の言葉たちを、「いまを生きる私たちの感覚」に合わせて“エモ訳“した上で、超美麗なイラストによって視覚化した新感覚エッセイ。