コンプレックスでご飯を食べる方法

軸があるのは大事だが、自分の意見に固執してはいけない

#連載エッセイ
#コンプレックスでご飯を食べる方法

自分は恵まれていることに気づいた

27歳までの自分は、いじめやパワハラなどの不遇に遭ってきました。ですが、それを表に出せる環境は誰にでもあるものではありません。子どもの時代の将来の夢は、5人に1人しか叶えられないと言われています。私の夢は書籍を出したりテレビに出たりすることでしたが、それも31歳で叶えることができました。

その事実を考え直してみると、自分は割と幸せな境遇にあると思えたのです。

思い返せば、今まで口うるさく発信してきた出来事も、自分の境遇を思えば、そこまで悪く思う必要がなかった気がします。

「大卒者のいない家庭から大学に行った」のは、自分”だけ”が頑張ったのではなくて「親族の進学の可能性を奪った可能性がある」こと。

「一度大学に行っているのに再度大学を受験する意思を伝えて母親と険悪になった」のも、実力行使で止められなかっただけありがたかったこと。

メディアの力を借りて地元でのネガティブな経験を話しているのに、親族や学校関係者でそれを止める者がいなかったこと。

改めて、自分はとても恵まれた立場にいることに気づいたのです。

心境の変化を迎えた私は、発信のスタンスを変更しました。

「自分の努力や実力で人生を切り開いた」を「自分は運が良かった」と伝えるようにしたのです。

今思えば、新自由主義の世の中を批判している自分が、「努力すれば報われる」という価値観を内面化して、実力主義に陥っていたのはひどい自家撞着でした。

そのように発信のスタンスを変更することで以前よりも批判も落ち着き、自分自身の心も穏やかに日常生活を送れるようになりました。

過去の自分を捨てて、常に勉強・吸収・成長を続けていくスタンスはとても大事だと思いましたし、それはこれからも自分の人生の軸であり続けると思います。

最後になりましたが、これからも私は、自分が恵まれた境遇やご縁のおかげで人生を立て直せたということを忘れずに、弱い立場の人たちのために何ができるかを、ずっと考え続けていきたいと思っています。


濱井正吾

兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。「9浪はまい」のニックネームでX(旧Twitter)やYoutube、テレビ出演などを行っている。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学し、卒業。 在学中から仮面浪人として受験勉強を4年間続ける。大学卒業後、証券会社に契約社員として就職したが10日で自主退職し、同月中に配置薬会社に再就職。昼は会社、夜は予備校という生活に。同社退職後は受験勉強に専念し、9浪で早稲田大学に一般受験で合格し、2018年に教育学部国語国文学科入学、2022年卒業。現在はフリーの教育ジャーナリストとして、各媒体に記事を寄稿している。

X:https://x.com/hamaishogo1111
Instagram:https://www.instagram.com/hamai_shogo/
YouTube:https://m.youtube.com/channel/UCm_LRgu9qb4cHza89sOBfdw