あなたは本音で生きていますか? 心の奥底に、本当の願望を眠らせていませんか? 強迫性障害をわずか10カ月で克服した経験を持つぜんさんが、「日本版引き寄せの法則」ともいえる「予祝」の考え方をもとに、本音と向き合い、夢を叶える方法を教えます。
目次
たった10カ月で強迫性障害を克服
就職氷河期、派遣として働き始めた25年前
僕は今46歳。25年前、大学卒業時は不況のどまんなかで、いわゆる就職氷河期でした。僕は今でいう派遣業、当時は業務請負という呼び方でしたが、なんとか内定をもらって神奈川県で働くことになりました。
派遣先として籍を置くことになったのは、誰もが知っている大手企業。同じ派遣元から4人か5人で行っていたのですが、僕はその中でも一番の下っ端でした。ある機械の開発をするための実験データを集めたり、化学薬品を入れたりするのが僕らの仕事です。
その薬品というのが強アルカリ性で、皮膚につくと染み込んでしまいます。みなさん、危険物を扱うときは防護服を着て、ゴーグルをつけて、エプロンや手袋を着用して、というイメージがあるでしょうが、当時はまだ安全対策が徹底されていなくて。それに、言葉は悪いけど、派遣は「下に見られていた」時代。社員は防護服を着ているけれど、予算がないので、派遣は簡単なエプロンだけつけて薬品や廃水を運んでいました。さすがに素手ではありませんでしたが。
そして、危険な薬品を運ぶとき、みなさんは蓋のついた密閉容器を思い浮かべると思います。でも、僕らが使っていたのは家庭用のプラバケツ。これになみなみと液体を入れて、チャプチャプさせながら両手で運び、流す……この作業、すごく怖いんです。仕事が終わって手を洗うんですが、それでも「どこかについてるんじゃないか?」と不安になる。知らず知らずのうちに、手洗いをめっちゃするようになって。石けんを使って洗っても、水道を止めるときに蛇口を触ったのが気になってもう1度洗うんです。長い時は15分。休憩時間まるまる、手がふやけるぐらい洗い続けたときに、「これはまずい、なんかおかしいな」と感じました。
新人なので「休ませてください」とも言えないし、医務室にも行きづらい。「おかしいな」と思いながら3カ月くらい経ったある日。Excelでデータ入力をする仕事があったのですが、ミスをしたくなかった僕は、「ここでミスしたら家族に不幸が起こる」と自分を洗脳したのです。そんな状態の人間がミスしないわけがないですよね。案の定、ミスした瞬間にドバーっと冷や汗が出てきて。今思うと、ここが強迫性障害を発症した瞬間でした。
いつもは残業するのですが、その日は定時で帰りました。そして、何をしたかというと、“禊”。冷水シャワーを30分ぐらい浴び、家族に対して「あんなことを言ってごめんなさい」と懺悔し続けたのです。12月だったのですが、寒さを感じないぐらいワーっとなっちゃってて。その光景は今でも鮮明に覚えています。
医者に言われた言葉に発奮し、「絶対に治してみせる」と決意
ハッと我に帰ると急に寒くなり、震えが止まらなくなりました。そして、この日を境に生活がぐちゃぐちゃになりました。強迫性障害というのは、簡単にいうと、心配性や神経症が激しくなったもの。通勤のために家を出て「あれ、鍵閉めたっけな?」と戻り、再度出発したら今度は「ガス止めたっけ?」「電気消したっけ?」。当時の僕は自転車通勤だったのですが、20分の道のりを、10分行っては戻ってくるというのを繰り返していました。遅刻も何回もしました。
「これはいかんな」と思いつつも、当時は強迫性障害なんて知らないし、ケアの仕方もわからない。そこで、当時ようやく普及し始めていたインターネットを使って神奈川県内の精神病院を検索し、海老名の心療内科を受診することにしました。
診察が終わり、先生から言われた言葉が今でも記憶に残っています。「この病気は強迫性障害です。ポピュラーなものなので気にしなくていいですよ」。「あんたは医者だから同じような症状を毎日見ているだろうけど、こっちは勇気を振り絞って来たのに!!」とショックでした。「ポピュラーな病気ってなんやねん、苦しんでる人に言う言葉か」と。
負けん気が強い僕は、その言葉でカチンときてしまって。「絶対に治してやる。俺がこんな病気で一生終わるわけない」と思い込んだんです。今思えば、予祝の考え方で言うとこれが最初の本音でしたね。先生の言葉が、逆にいい発奮剤にもなったわけです。
病院に行くと薬をもらいます。このときもおそらく抗うつ剤だと思うのですが、7日か10日分くらい処方されました。でも、「薬を飲むと余計に悪くなる」という情報が頭にあった僕は、直感で、その日のうちに薬を全部捨てました。症状が現れたときに「飲む薬がない」となる可能性もあるわけで、正直怖かったです。
このとき薬を飲まなかったからこそ、僕は今ここにいるとも言えます。確かにそこから2〜3日間は苦しかったけど、1週間くらいすると慣れてくる。そして、会社の同僚でもあった親友が隣の部屋に住んでいたので、毎週末、一緒にカラオケに行ったり、飲みに行ったり、合コンしたり(笑)していました。
僕はもともと飲むのが大好きでしたし、そうやって遊んでいると、病気にフォーカスしなくなるんですね。10カ月くらい経った頃でしょうか、ふと気がつくと病気が気にならなくなったんです。最初は理由がわからなかったけれど、遊びまくることでとにかく克服することができた。強迫性障害を完全になくすことはできないけれど、仮に今、25年前のあの状態になっても、短期間で戻ってこられる自信や知識が今の僕にはあります。
夢を叶える方法=予祝との出会い
予祝の考え方を知り、蘇る25年前の記憶
5年前、講演家の鴨頭(嘉人)さんに出会った僕は、“見えない世界”にどっぷりハマっていきます。そして、さまざまな講演の中に「予祝」「大嶋啓介」というワードが頻繁に出てくることに気づき、調べるようになりました。4年前、これが私と予祝の出会いです。
予祝とは、日本に昔からある夢を叶える方法のこと。大嶋啓介さんは、その予祝を広めている講演家です。そこで、25年前に強迫性障害を克服したときの記憶が蘇りました。「あのときの僕がやっていたのは予祝だったのではないか」と。
僕は、「大嶋啓介さんに会いたい」と思い始めたのですが、「今年中に会えるな」と思ったのが2018年8月頃。人間の脳は面白いもので、強く意識したものを現実にする性質があります。その年の12月、大嶋さんが本当に宮崎へやって来ることになり、僕は、「運が良ければ懇親会でしゃべれるかな」と期待してセミナーの運営ボランティアに応募しました。すると懇親会で、あろうことか僕の目の前に座ってくれたのです。
僕が夢をノートに書き、そのほとんどが叶っているという話をすると、大嶋さんは興味を持ってくれて「予祝講師にならない?」と声をかけてくださりました。舞い上がった僕は「はい、なります」と即答(笑)。実は、そのときの僕は無職だったのですが、どうにか費用を工面して講座に通い、予祝講師となることができました。とにかく必死で、お金のなかったあの頃、どうやって生活していたのかよく覚えていません。
お客さんたった1人のセミナーが、予祝講師としての原点
しかし、せっかく講師になった僕ですが、まだまだ無名の僕が宮崎でセミナーを開いても、人が集まるわけがありません。でも、縁あって「手伝ってあげる」という女性が現れ、なんとか開催にこぎつけました。7月の、無謀にも平日の真っ昼間。最悪、その手伝いの女性と1対1でもいいと思っていたのですが、なんと、お客さんが1人来てくれたのです。
僕と手伝いの女性、そしてお客さん1人――これが、僕の講師としての最初のセミナーだったのですが、そのときの気持ちは「すごく楽しかった」。このときのお客さんは、今ではとても大切なパートナーとなっていて、今日このセミナーにも大分から来てくれています。
自分の本音と向き合うことで、環境がどんどん変わっていく
日本では、奥ゆかしさや謙虚さが美徳とされ、自分の本音を隠す傾向にあります。でも、夢を実現したり、何か成し遂げたりするためには、本音と向き合わないと行動できません。僕がツイッターをやっている表向きの理由は「予祝を広めたい」ですが、「影響力を持ちたい」というのが本音。
そして、もっと言うと……これを言うと軽蔑されるかもしれませんが、影響力を手に入れたら女性からモテますよね(笑)。僕も、フォロワーが1万5000人を超えたあたりから、それを如実に感じるようになりました。アカウントを見せると「フォロワー2万人?すごいね」と言われて、自己肯定感爆上がり、みたいな。
本音に向き合うとキツいです。逆に、逃げ続けていたらめちゃくちゃ楽だと思います。最近の男性はやさしいと言われますが、弱くなっているだけ。僕は見た目はおっとりしていて、ほんわかしているように見られますが、中身はめちゃめちゃエロい(笑)。これは隠しようがありません。以前は隠しながらしゃべっていましたが、違和感だらけでした。講演会をやる理由も、「宮崎を盛り上げたいから」とか言っていますが、本音は「モテたいから」。
本音に向き合うようになってからは、環境がどんどん変わってきたし、何よりも楽しいです。本音を素直に出すことで、地元に仲間が増えた。本音をしゃべっているから本音をしゃべる人しか寄って来ないし、逆にちょっと油断すると仲間からは見透かされます。
僕は今日、自分の気持ちを包み隠さず全力でしゃべっています。だから、みなさんも怖がらずに本音に向き合ってほしいです。そうすれば必ず未来は開けます。
のえりかさんとの対談「本音で生き、夢を実現しよう」
のえりか: 私は3回うつになったことがあるのですが、ぜんさんと同じように、薬は「なんか違うな」とわかっていたので、飲まないで克服しました。知識は大切ですよね。あとは、考え方。できるだけ楽しいことを考えて、自分を解放するのも大事だと思います。
ぜん:そう、みなさんいちばん苦労するのは自分を許し、解放すること。そういった本がたくさん出てるけど、本によってやり方が全然違うので、戸惑う人は多いと思います。当然、僕がやったことをそのままやってもできる人とできない人がいますから、自分の本音に正直になってもらえば、おのずと答えが出るんじゃないでしょうか。
のえりか:ぜんさんが病気を克服された体験を聞くと、自分が弱っているときに楽しいことをしようと考えられたのが素晴らしいですよね。
ぜん:ただ単に飲むのが好きなだけ(笑)。当時、家の近くに赤提灯の店があったんです。飲み放題で3000円とかで、毎週のように行ってました。あとは友達の存在も大きかったですね。
のえりか:ところで、お話の中に出てきた「夢を書いていたノート」とは?
ぜん:2017年にナポレオン・ヒルのセミナーに行ったら、そこでアファメーションの話があって。「夢を叶えている人は、みんなノートに書いてます」と。当時の僕は夢の叶え方がわからなかったので、とりあえず書いてみようと、文房具屋さんでノートを買って始めました。30個から40個ぐらいは書いたんじゃないかな? 今もまだ達成途中です。
のえりか:「しました」って書くのがポイントですよね。
ぜん:完了形で書くことは意識しましたね。たとえば「ダイエットしたい」ではなく「痩せました」と書く。「ダイエットしたい」だと、「したい」状態が続くので叶いません。これは、予祝の考え方にも通じるものがあります。
他にも、夢を叶えるための手段はいっぱいありますから、ぜひいろいろと試してみてほしいですね。当時の僕はたまたまノートがうまくいきましたが、実は、今はもう書いていないんです。というのも、もっといい方法を思いついたから。それは妄想。これなら四六時中できます。モテてる自分をめっちゃ妄想したり、講演会をやってみたいと思っている空間の写真を見たり。人間って面白いもので、インプットする情報が多ければ多いほどリアルになっていきます。自分でイメージしたことは叶うんです。
僕は予祝と出会い、潜在意識の操作や書き換え方を知って実践するようになりましたが、みんな能力は持っているんです。自分の思うようにいかないのは、本音に蓋をしているから。日本だとどうしても建前で生きることが多いですが、とにかく本音に向かうことが大切です。
のえりか:予祝講師として、さまざまなことを実現してきたと聞いていますが。
ぜん:脳の仕組みや潜在能力の使い方を教えてあげることで、これまでいろんな方の夢実現のお手伝いをしてきましたが、中でも印象に残っているのは、引きこもりの息子さんに悩んでいた女性から「息子が高校受験に成功しました!」と報告を受けたことです。これまでは自分の夢を叶えてきましたが、人の夢を手伝うのってめちゃめちゃ楽しいですね。与えると、何倍にもなって返ってきます。人の夢を叶えることで、自分の夢が叶う感覚ですね。
のえりか:人に喜んでもらえるのがいちばんうれしいですよね。私は塾を経営しているのですが、勉強云々よりも、根底の考え方のほうが大事だと感じます。親御さんに叱られたりして自信をなくしているのを、まずは解きほぐしてあげて、「やればできる」と思ってもらうことが重要です。
ぜん:先ほど紹介した、この会場に来てくれている大分の友人が始めた「勢いで講演やって何が悪い!!」、通称「勢い講演会」は、神戸、大阪、北九州、宮崎、鹿児島、滋賀と、全国に広まりつつあります。講演家ではなく素人さんにしゃべってもらおうというコンセプトの会なのですが、ぜひ、子どもさんにもしゃべってほしいですね。両親やおじいちゃん、おばあちゃんにも見てもらう文化祭のようなものにしていきたい。子どもがしゃべる姿を見れば、何かを感じるはずです。そして、お子さんに限らず、どんなに引っ込み思案な人も、登壇すると変わります。チャンスがあったら、ぜひ行動を起こしてほしいですね。世界が変わりますよ。
(画像提供:iStock.com/CoffeeAndMilk)
ぜん(登壇者・Twitterアカウント@zen_LifeHack) 予祝講師。Twitterフォロワー2万人越え。今から25年前に、予祝を使って強迫性障害を10ヶ月で克服した経験を持つ。また、ここ数年で「潜在意識」の使い方を学び、次々と目標を叶えている。予祝の魅力を広めるために、各種セミナーやコンテンツを使って発信中。「運がいい」と心から思い込んでおり、実際にメチャクチャ運がいい。 のえりか(司会&対談・Twitterアカウント@shiningerikafo1) 株式会社E-Style代表8期目。学習塾・マネーアカデミー・幸せマインドセミナーなど複数事業経営。年間500人以上のコンサル実施。TV朝日お願いランキング「教え方のうまい家庭教師ランキング」で1位。全ての事業の軸は人間教育。モットーは「教育で目の前の人を幸せに」関わる人に喜んでもらい成長してもらうことが私の趣味。