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うつの回復法はステージによって違う 当事者がおすすめする方法

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「うつの回復法」については、ネットにさまざまな情報があふれていますが、自分がどの回復過程にいるのかによってやるべきことは変わります。書籍「うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと」から一部抜粋してご紹介します。

こんにちは。うつ病歴9年目の「デラさん」です。20代でブラック企業に勤めたことをきっかけにうつを発症し、これまでいろいろなことがありました。この世界に絶望して、でも死ぬ勇気を持つことすらできない。消去法で生きることしかできなかった。

それでも9年かけて試行錯誤しながら自分なりにいいと思ったことをいろいろやってみて、ようやく今はTwitterで発信したり、本を書けるほどまでに回復できました。
その過程で感じたことは、「うつからの回復」と一言で言っても、自分がどのステージにいるのかによって、やるべきことが全然変わる、ということです。

たとえばメンタルには「朝散歩や運動がいい」とよく言われますが、うつのどん底にいる人にとっては、トイレに行くのでさえ至難の技。とてもではないけど散歩なんてできないというのが現実です。もし、うつの友人やパートナーによかれと思ってアドバイスする際にも、その辺りを注意しないとかえって本人を追い詰めかねません
もちろん、ある程度回復してきた人にとっては運動も効果があると思いますが、まずは自分の状態を見極めることが大切。

昔のボクのように「希望が見えなくてつらい」という人に向けて「回復への地図」を用意しましたので、まずはこれを見て、自分に今必要なのはどれなのかをチェックしてみてください。

①体の疲労度はオーバーヒート寸前で「ひたすら休むことが大事なレスト期間」
②調子がいいと悪い日にムラがある「リハビリ期間」
③本を読んで理解できるくらいには回復している「思考のトライ&エラー期間」

上の図の通り、ボクは1〜3までのフェーズを循環することによって回復してきました。イメージとしては「一方通行」ではなく、グルグルする感じです。このステップを目印にして状態を上げています。

詳しくは、こちらの記事もぜひあわせてご覧ください。
フォロワー1万人のうつ病当事者が語る「回復までの3つの過程」
https://sanctuarybooks.jp/webmag/20220411-8535.html

回復までの具体的なステップ 一部をご紹介!

では、具体的にボクが取り組んでみて、効果を感じた回復法を書籍より抜粋してご紹介します。あくまで、個人の感覚ですので、自身に合うと思うものを取り入れてみてください。

マインド編〜うつ病前の自分に戻ろうとしない〜

「うつ病になる前の自分に戻りたい」と思い生きていたら、5回も再発してしまいました。
考えるべきことは元に戻ることではなくて「どうすれば今の自分が生きやすいか」でした。
常識・プライド・責任感は捨てて新しい自分をつくり上げていきましょう。

思考編〜何も考えない時間をつくる〜

なるべく余計なことは考えないために、下記のようなことを実践しました。

・狂ったように踊る
・永遠に数字を数える
・ただ連打するだけのアプリを入れる
・ラジオ風にひとりごとを言い続ける
・テトリスなどの単純なゲームをやる

何も考えない時間を過ごし、自分を責める機会を減らしましょう。

生活習慣編〜朝散歩はできなくていい〜

「太陽を浴びてセロトニンの分泌を増やすと心が安定し、回復ができます。だから早起きして散歩を習慣にしましょう」という説があります。この説に対するボクの意見は「それができる奴はうつ病になんねーわ。それにうつ病を患ってしまったボクらにはかなりハードルが高いわ」です。

「朝型=正しい」という思い込みは捨てて、歩きたければ好きな時間に歩けばいいと思います。ストレスがかからない散歩は、朝の太陽から得られるセロトニン以上の効果があるはず。

人間関係編〜ひとりごとを言う〜

満たされない思いは即発散してパンクを未然に防ぐことが重要。そのためにおすすめなのが、ひとりごとを言って、自分のなかにあるモヤモヤをとにかく外に出すこと。吐き出したいことがあれば、ひとりでブツブツ言って即時吐き出す。溜め込まないためにはスピード感も重要です。紙に自分の気持ちを「書く」という方法もありますが、「言う」気軽さには勝てません。

仕事編〜言われた仕事だけをやる〜

「仕事を頑張りたい」「みんなの役に立ちたい」という気持ちは封印してください。仕事をテストにたとえて言うと、全教科100点を狙おうとするのではなく意識的に30点の教科をつくってください。100点を目指そうとすると仕事の間ずっと神経を使い続けることになり、疲労が蓄積されていきます。その解決策としておすすめなのが「頼まれたことだけをシンプルにやること」「致命的なミスはしない人」「言えばやってくれる人」あたりのポジションを狙うと疲れにくく、生きやすくなります。

まとめ

うつ病になって9年。昔はトイレに行くときもハイハイで移動する。まるで海外旅行に行くのか? というくらいの大冒険。そんな悪い状態だった私ですが、今ではフリーター。それなりに働くことができるようになりました。

元の自分には戻れないとあきらめたら、少しでも楽しく生きるための方法を考えられるようになってきました。現時点でボクが持っているノウハウは、本にすべて詰め込みました。つらくて苦しいと感じているあなたに「少しでも心が軽くなった」と言っていただけたら、いつ死んでもいいくらいうれしいことです。

(画像提供:iStock.com/TarikVision )


うつ病で20代全部詰んでたボクが回復するまでにやったこと デラさん

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