「必ず達成するぞ!」と一度自分が決めたことでも、日によってモチベーションが上がらなかったり気分に左右されたりで、結局挫折してしまい自己嫌悪…なんて人は多いのではないでしょうか。そんな気まぐれな「やる気」との向き合い方を4月24日新刊『やる気のスイッチ』よりご紹介します。
目次
できる人は「やる気は続かない」ことを知っている
やる気は自分の中にあるものなのに、なかなか自由にコントロールさせてもらえない。それは誰だって同じです。
いいことがあると、やる気が出る。悪いことがあると、やる気をなくす。外で起きていることに、反応している。何もしないで放っておけば、やる気は「あなたのまわりでおこった出来事」に左右されます。
でも、つねにエネルギッシュで大きなことをどんどん成し遂げていく人は「自分の心との付き合い方」をよく知っています。
今まで日常にあったものに対して、意識を変えて接してみましょう。
「一歩先」に慣らすと、遠くに行ける
なぜ昨日のあのやる気は、今日まで続いてくれないのか?
前の晩は興奮しすぎて寝られないほどだったのに、翌日になると、そんなやる気はどこ吹く風……。
私はずっとそんな自分に失望し、ダメなやつだと自分を責めていました。しかしあるとき、それは自分だけではなく、誰にでもあてはまる現象だと知って安心しました。人の無意識には、ある性質があります。もっと若いころにその性質を知っていれば、自分を傷つけずに済んだのに、と思います。暑ければ、汗を出して体温を下げようとする。寒ければ、筋肉を震わせて体温を上げようとする。それをホメオスタシス(恒常性)と言うのですが、人には「つねに同じ状態でいよう」とする性質があります。感情も同じで、ガーンと盛り上がればドーンと落ちます。これもホメオスタシスの仕業。身体や心の生理現象として、元に戻ろうとしているのです。誰かに恋をする。好きで好きでたまらない。5分連絡がこないだけでも苦しい。しかしある日突然、その気持ちがぱったりと途絶える。結婚前もそう。この人でいいのかと急に不安になる。本当にこの人を愛しているのか、自信がなくなってくる。盛り上がりすぎた気持ちが、一気に盛り下がろうとするのは、まさにホメオスタシスの仕業です。だから変化は「ゆっくり、ゆっくり」がいい。新しいものにちょっとずつ慣らし、十分に馴染んでから次へ。それが結果として、一番早く変化することができます。高所トレーニングがまさにそう。急に山の高い所に登ると、高山病にかかってしまうから、「酸素が薄い場所」が自分の身体にとって「当たり前」になるまで、身体をゆっくり、ゆっくり、高所に馴染ませていく。心も同じで、急激な心の変化は振り戻るから、興奮して、やる気が盛り上がったときほど「落ち着け、落ち着け」と自分をなだめてほしいです。盛り上がれば、それだけ盛り下がる。それはやる気がなくなっているわけではなく、「今は落ちているときなんだ」と自覚できれば、また盛り上がるときまで、自分を責めたり途中で投げ出さずに済むでしょう。
テンションを上げてはいけない
少し感覚的な話です。「がんばる」というと、がむしゃらにやってしまう。
「全力で」というと、力ずくでやってしまう。大事なのは「気持ちをこめてやる」という心の状態です。やる気の正体は「集中」であって「興奮」ではありません。「集中」と「興奮」はよく似ていますが、全然違います。「全身全霊」と「一生懸命」の違いでもあります。「全身全霊のときのみ神意が働く」という言葉がありますが、集中していると、自分の力以上の見えない力が働くのです。
興奮してテンションを上げるのではなく、集中して、「テンション高めの平常心」をキープする。筆を持った書道家のように、心は静かに澄んだままで。
どんなに忙しいときでも、静寂を感じている人が、結果的に一番仕事が早いのです。
不要な「マイルール」に気づく
あなたはコンセンサスリアリティ(合意上の現実)の中にいます。
テーブルの上に足を乗せてはいけない。食事中に立ち歩いてはいけない。列に横入りしてはいけない。人を仲間はずれにしてはいけない・・・など。コンセンサスリアリティとはこんな風に、子供のころから教わってきたルールによって作り上げられた現実。この中にいると見えないものが見え、見えているものが見えなくなってしまいます。
たとえばこういう場面を想像してみてください。
砂場で遊んでいる子供が2人いて、「こっちから向こうが海ね!」「落ちたら3秒でサメ
に食われる〜。この石は地雷ね。踏んだら爆発するぞ〜!」とキャッキャ言いながら楽しんでいる。そこにもう一人、なにも事情を知らない子供がやってくる。はたから見ればただの砂場です。でも足を踏み入れた瞬間・・・「あ、そこ海だよ! 早くこっちへ!」「え?」 「サメが来るよ!」「え?」と言われて、戸惑いながらも、駆け足で逃げ出すかもしれません。
この瞬間、その子は合意したことになります。つまり砂場の中で、新しい現実を見はじめたというわけです。子供たちの取り決め。それによって作られる現実。
それを発展させていったものが、大人の現実=社会だとも言えます。
目の前の現実は、言わば「みんなとの約束によって見せられた現実」。
だから「絶対できない、なれない」と思ったら、それはあなたが知らないうちに「絶対できない、なれない」と刷り込まれ、そのような現実を「見せられている」だけかもしれません。でもそれはただの思い込み。
決してあなたの行動が制限されているわけではないのです。
やる気と上手に付き合っていくには
今回ご紹介した『やる気のスイッチ』は一流の経営コンサルタント、アスリート、ビジネスコーチなどから学び取った「理論的メソッド」を、一般生活(仕事、受験、スポーツ)でも応用できるようにわかりやすく解説した人気のビジネス書です。あなたなりの「やる気との上手な付き合い方」を見つけていってくださいね。