企画さん…企画さん……
企画さん、どーこだ…ここか!
ん? ちがったか…
誰と、どこで、なにをしていても、
ずーっと
頭のどこかで「本の企画」のことを考えている。
どこかに転がってるんじゃないか、
これだってどうにかすれば形にできるんじゃないか、
ああ先に出されちゃった! 私も同じこと考えてたのに!
…これが書籍編集者。
私たち編集者は企画の亡者です。
はじめて会ったあなたとの会話は、
編集者の目には「企画」に見えています。
気をつけて。
あなたの知らないうちに、
どこかで勝手に企画にされているかもしれません。
こんな私たちですが、企画をください。
↓ここから受け付けています↓
↑渾身の企画、待ってます☆↑
編集長の橋本圭右です。
これで
本記事で言いたいことは終わり
なのですが、
サンクチュアリ出版のような小さい出版社に
企画を送ってくださる素敵な方々のために、
少しだけ偉そうにお伝えしたいことがあります。
企画を考えたり、
企画書を作成したりするのって、
けっこうな時間とエネルギーを費やしますよね。
ちょっとした思いつきであっても
文字にしてまとめるのは、なかなか大変な作業です。
だからこそできるだけ、
「企画を成立させる確率」
を上げていただきたい。
私ときたら、
出版セミナーとか作家発掘プロジェクト
といった企画書のプロが集まるセミナーに
参加した経験がほぼないので、
どういう企画がよくて、
どういう企画がよくないのか
という判断基準が全然あやふやなのですが、
たとえば、こういった企画は
どれだけ我が社が新企画を渇望している時期であっても、
なかなかお通しすることができません(TдT)
という例をご紹介しておきます。
■1 普通すぎる
このパターンが一番多いです。コミュニケーション術、営業術、手帳術、片付け術、瞑想術、貯金術、育児術……など、内容自体はどこも悪くなくても、すでに売れている類書が何冊も(あるいは売れている1冊が)発売されている企画。にもかかわらず、わざわざ読者がその本を手に取りたくなる根拠はなにか? も、あわせて教えてほしいです。
■2 再現が難しすぎる
投資で億稼ぐとか、短期間で英語ペラペラになるとか、ほにゃららだけでダイエット、といったほとんどの人が再現できないノウハウ本は、生真面目なサンクチュアリ出版には扱いづらい企画です。どんな人でも真似できて、かつ「新鮮な効果」を感じられるような内容を好みます。
■3 なぜあなたが?
持ち込みには「幸せのつかみ方」や「やりたいことの見つけ方」といった人生指南系も多くみられますが、ご自身が苦難にあっていて、そこから抜け出せたからという、実証例が“自分だけ”というものがほとんど。とすると、よっぽどのキャッチーな経験をお持ちじゃない限り、読みたいという気持ちが湧いてこない?
■4 なぜうちの出版社に?
家族の思い出として残したいエッセイや、◯◯を許すな的な政治思想、昭和のよもやま話、旅先で書きなぐった詩、地元の郷土資料、魂のアート作品集、海外での素敵な暮らしぶりなど……サンクチュアリ出版はたぶん出しません。そういう本には価値がないわけではありません。ただ、もっと出すのにふさわしい出版社があるはずだから。
■5 どういう本かまったくわからない
「若い人の人生を180度変えるような本です。文字は少なめで、イラスト多めで、ところどころに図解が入る」みたいなイメージだけの企画書は困ります(実在します)。それから「人生なにもいいことがなかった凡人の本。私のような人は大勢いるからきっと共感する人は多いはず」みたいな、自分が本を出してただ救われたい系も多いですが、残念ながら私たち出版社には救えません。
とまあ…
いろいろ偉そうに、一方的に、
勝手なことを申し上げましたが、
こういうことだから、いつも嫌な顔をされるんですね。
企画がほしいですとか言っておきながら、
結局のところ、高望みばっかりしやがる。
食えない奴だな!
なんて俺につっかかったって、仕方ないぜ。
読者のために、一緒に本を作ろうってんだろ?
企画を高望みして、なにが悪い。
なんて。どうした私。
まあ…
そもそも持ち込み企画を
なかなか成立させられない責任は、
企画通過に関する情報をあんまりオープンにしてこなかった
私たち出版社側にもあるのではないか?
という反省もありまして。
そこで、
こんなひながたを公開させていただくことにしました。
note初公開。企画書のフォーマット
これはわりと最近作った
サンクチュアリ出版の
企画書フォーマットです。
これらの項目に答えるように
本の企画を考えていただけたら、
まったくのゼロの状態からはじめるより、
よっぽど出版にこぎつける確率は高いでしょう。
(もちろん「サンクチュアリ出版の場合に限って」の話)
これ、
自分でいうのもかっこ悪いんですが、
この企画書フォーマットって、
いわばラーメン屋の自家製スープのようなものであって、
本来であれば社外秘にしておきたいものなのです。
でも、あえて公開しました。
これもある種のオープンソースでしょうか。
こうやって、
専門外の方でも理解しやすいように
「同じものさし」を共有することによって、
もっと本の企画というものが活性化するかもしれない。
異業種✕出版社
の意思疎通がはかりやすくなるかもしれない。
また、
私たちが見たこともないような
とんでもない発想の企画と出会えるかもしれない。
というワクワク感もあって。
というわけで、
私たちが土下座してでも
取りに行きたくなるような、
みなさまの超スゴイ企画をお待ちしております。
ではまた!