私が著者になるまで

ビートたけし氏に憧れて上京 。「男気ジャンケン」など人気企画を生み出す笑いのヒットメーカーへ マッコイ斉藤

#私が著者になるまで

山形県の農業高校から、コネ・経験・学歴なしでテレビ業界に飛び込んだマッコイ斉藤氏。エリート達と真っ向勝負をしながら、日本中の誰もが知る歴史と伝統あるゴールデン番組の総合演出へ登り詰めました。

彼がどのようなストーリーを経て、今の地位へたどり着いたのか。生い立ちやマインドを綴った書籍『非エリートの勝負学』についてお話しを伺いました。

マッコイ斉藤さんの経歴:ビートたけしさんに憧れて高卒コネ無しで田舎から上京

聞き手

マッコイ斉藤さんはどのような流れで、テレビ業界に就職することになったのでしょうか?

僕はとにかくビートたけしさんが大好きで。「お笑い」にすごく強い憧れがあったんですよね。『天才・たけし元気が出るテレビ!!』みたいな、くだらないお笑いが大好きで毎日見ていました。

山形県の実家では農業をしていたのですが、農業はやりたくないし、地元のどこかに就職する自分も想像できませんでした。

でも「笑いなら一旗揚げられるかもしれない」という根拠のない自信があったので、家族にはコックになるって嘘をついて、東京行きを許してもらったんです。

マッコイ斉藤
聞き手

最初は特にコネや経験も無い状態で、とりあえず上京したんですね。

はい。上京してからしばらくは中華料理屋などで働いていたんですが、ある日雑誌を見ていたら「『元気が出るテレビ!!』制作スタッフ募集」って書いてあったんですよ。

それでもうこれしかないと思って。すぐに中華料理屋を辞めて、募集先に電話して…という形で、IVSテレビ制作という会社に入社しました。

マッコイ斉藤

聞き手

すごい偶然ですね!

入社してすぐたけしさんに会えたんですか?

入社したはいいものの、配属されたのは、タレントグッズを扱っている事業部だったんです。テレビ制作ができるって完全に勘違いしてて、我慢できたのは1年くらいでした。

そこで「たけしさんと仕事がしたいので辞めます」と会社に伝えたら、大家さんという女性の取締役が「じゃあ明日からそこのスタッフになれば」と言ってくれたんです。

マッコイ斉藤
聞き手

取締役の方が目をかけてくださったんですね。

非常にかわいがっていただきました。翌日にはADとして『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の制作部屋にいました。大家さんのお陰で、ADとしてのスタートを切ることができたので本当に感謝しています。

憧れのたけしさんに会える仕事に就けたこと、とても名誉に思っていました。

マッコイ斉藤
聞き手

そこから、ディレクターにはどれくらいの期間でなったんですか?

AD歴4年の25歳にして、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』のディレクターに抜擢されました。

自分が作ったVTRでたけしさんが笑っているのはとても幸せでした。しかし、だんだん調子に乗ってしまい……。

素行が悪すぎると問題になって、降格を告げられました。「ふざけんなよ!」とその場でブチ切れて、自分の中で絶好調の時期だったんですけど、25歳で会社を辞めました。

マッコイ斉藤

お笑い芸人と切磋琢磨しながら深夜のカリスマと呼ばれる存在へ

聞き手

憧れのたけしさんと一緒に仕事ができてディレクターにもなったのに、いきなりゼロになってしまったんですね。辛くなかったですか?

辛かったですが、唯一の救いは極楽とんぼの加藤や、おぎやはぎの矢作など同い年の連中でした。

まったく売れてないのにとても明るくて、ライブとかお笑いについて語ってるんです。とても輝いて見えたんです。

「こいつらいいな。仕事もないのに前に進んでるな。」と思い、どんどん活躍していく姿を見ていると、自分も頑張ろうと励まされました。

マッコイ斉藤
聞き手

そこでの縁は、次の仕事に繋がっていたりするのですか?

もちろん繋がっています。

極楽とんぼの深夜番組の総合演出になったり、売れていない芸人が売れていく様子を見たりしていました。

プライベートで遊んでいた芸人さんと、笑いについて真剣にぶつかり合い、磨きあっていました。「笑いのスパーリング」を何年もできたことは、自分にとって大きかったですね。

マッコイ斉藤
聞き手

いまも活躍されている芸人さんと、切磋琢磨しながら技術を磨いていたんですね。

番組の企画はどのように考えていたんですか?

番組の企画は遊びの中からしか生まれません。

例えばゴールデン番組の企画である「買うシリーズ」は、プライベートである芸人と遊んでいたとき、80万するバッグを指して僕に「お前これ買ったら?」と放った一言から生まれました。

ヒットした企画の8割は遊びからきています。テレビの仕事の本質は、間違いなく遊びにありますね。

マッコイ斉藤
聞き手

何気ないプライベートの一言から、人気企画が生まれるのはすごいですね。

ちなみにマッコイさんは色々な人と交流を持ったと思いますが、そのなかで面白い人の特徴はどんなものですか?

人見知りなやつは面白いですね。あと人に媚びないやつ。

新番組を作るとき制作側がうけると思って企画したものでも、芸人側がまったく面白いと思わないことは多々あるんですよ。でも、ほとんどの人は演者に折れて自分の笑いを貫きません。

ただ、本当に面白い番組を作る人は、折れずに演者と戦うんです。そんな人が面白いし、かっこいいと思います。

マッコイ斉藤

迷ったときは占いにヒントをもらいながら自分の直感を大切に

聞き手

マッコイさんは成功するために、ゲン担ぎとか、毎日やっていることはありますか?

感謝を忘れないためにも、ご先祖様にお水をあげて毎日手を合わせています。お伊勢さんにも年に1回は行っていますね。

たけしさんと仕事ができるって、「自分だけの力だけじゃない。神様やご先祖様が導いてくれている」としか思えません。

『成功者はなぜ神社に行くのか』という本を読んだとき、自分とほぼ同じ考えが書いてあって、神社には行った方がいいな、お伊勢さんにも年に1回は行った方がいいなと思うようになりました。

マッコイ斉藤
聞き手

なるほど。ブレイクされる前のゲッターズ飯田さんを常に遊びに一緒に連れて行っていた時期があるというお話を聞いたのですが、占いも信じることはあるのでしょうか?

全部は信用しませんが、いいことは聞くようにしていますね。

自分の直感は信じて、ライブの開催日・引越し先・番組のタイトルなどまずは自分で探したり、決めたりします。全部は委ねず、「選んだなかでどれがいい?」と占い師に聞くようにはしています。

マッコイ斉藤
聞き手

別の角度の意見を聞いて参考にするというような感じでしょうか。

そうですね。ただ、あくまでも占いはヒントなので、あとは自分がどう結果を出すか。最終的には自分の決断を信じて行動しています。

マッコイ斉藤

マッコイ斉藤流ヒットの法則は「1行理論」

聞き手

ヒットの法則、知りたい人たくさんいると思います。どのようなことを考えて、ヒット企画を生み出し続けているのでしょうか?

僕は「1行理論」という法則を意識しています。

マッコイ斉藤
聞き手

詳しく教えてください!

視聴率の高い番組は、パっと見ただけで内容が分かるんです。1行で伝わらない企画はヒットしません。

例えば『行列のできる法律相談所』は法律のことを面白く紹介していたり、『笑点』は面白いことを言えば座布団をもらえたり。
最近の『Breaking Down』も1分間ケンカをする。見やすく作られていますよね。

マッコイ斉藤
聞き手

確かに、内容がすごくわかりやすいですね。

企画を考える側としては、シンプルな企画は怖いんです。面白い要素を詰め込みたくなりますが、そうすると結局何を伝えたいのか分かりません。

手堅く数字を稼げても、視聴者には響かないんですよね。

マッコイ斉藤
聞き手

なるほど!新しい企画を考えるときに「1行理論」は使えそうです。

マッコイ斉藤さんの今後のプラン

聞き手
マッコイさんは制作会社の社長で、フリーのディレクターでもありますが、今後のプランはどのように立てていますか?

自分の好きな番組を流せる、「29TV」という動画配信サービスを作りました。

30年以上やってきたディレクター業の集大成として、応援してくれた人に感謝の気持ちを込め、今まで挑戦してきたお笑いを見せられるプラットフォームに挑戦しています。

マッコイ斉藤
聞き手

サブスクで配信していくのでしょうか?

サブスクでお金をもらい、最高に笑える番組でお返しをしていこうと思っています。シンプルでとてもいいですよね。

フリーのディレクターはどれだけ才能があっても、使い捨てにされやすいんです。優秀な若いディレクター達が、将来どうしようと悩んだとき、マッコイのやり方があったと気付いてもらえたらいいんです。

このプラットフォームを成功させ、今の若い子達の新しいフォーマットになればと思っています。

マッコイ斉藤

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