絵本の読み聞かせには、親子のコミュニケーションになる、子供の記憶力が向上するなどのメリットがあります。読み聞かせは、親子でやり取りをしながらおこなう、親も楽しんで絵本を楽しむなどを意識すると効果的です。絵本を子供に読み聞かせるときのコツや、年齢別に読み聞かせに適した絵本の選び方などについて解説します。絵本を読み聞かせるときの参考にしてください。
目次
絵本を読み聞かせするメリットや効果
絵本を読み聞かせると、親子にどのようなメリットがあるのでしょうか?
感情が豊かになる
読み聞かせのメリットのひとつは、想像力や空想力が育まれて感情が豊かになることです。読み聞かせをすると、喜怒哀楽をつかさどる部分である大脳辺縁が活発に動きます。子供は、絵本の物語を通してさまざまな疑似体験をします。想像力が高まることで、登場人物の気持ちを想像する、周りの人の気持ちを汲み取る力の習得にもつながります。
親子のコミュニケーションにつながる
絵本の読み聞かせは、親子のコミュニケーションの形成にも影響します。読み聞かせで肌のぬくもりを感じられるため、親子の関係が深まります。物語に触れるなかで感情を共有することは、親子の親密な関係の基盤となるでしょう。絵本の読み聞かせには子守歌と同等の効果があり、親が本を読む声に子供が安心感や心地よさを抱くと考えられています。
※参考:奈良教育大学 幼児の心情理解に及ぼす絵本の読み聞かせの効果
語彙力が増える
読み聞かせには、子供の語彙力が増加する効果もあります。読み聞かせでは、子供が一人で絵本を読むときには得られない単語や表現などの獲得が可能です。語彙力が増えると、自分の気持ちを言語化できて、他人とのトラブルの減少にもつながります。読み聞かせには、語彙力が増えるだけではなく、文章の理解力も向上する効果があることがわかっています。
※参考:奈良教育大学 幼児の心情理解に及ぼす絵本の読み聞かせの効果
記憶力が向上する
読み聞かせには、記憶力が向上する効果もあります。複数の情報が入ることで記憶をつかさどる海馬の能力が高まります。読み聞かせのなかで子供が獲得するのが、「文字」「声」「絵」の3つの情報です。人の脳には、複数の情報を網羅することで、より強力に記憶をとどめておく仕組みがあります。複数の情報を一度に取り込む読み聞かせは、記憶力向上につながります。
親のストレス解消になる
読み聞かせには、親のストレスを軽減させる効果もあります。読み聞かせをすると、親の脳では前頭前野が活発に働くことが判明しています。前頭前野は、欲求の抑制、論理的思考やコミュニケーションなどをつかさどる部分です。前頭前野の働きにより、感情がコントロールされます。読み聞かせで子供の気持ちや行動が落ち着いたことも、親のストレスが減少する理由のひとつです。
子どものトラブルが減少する
絵本の読み聞かせは、子供のトラブルの抑制にも効果的です。読み聞かせで子供の言語発達が進むと、聞く力がそなわり、問題行動が減少します。子供のペースで読み聞かせられるため、子供が話に集中できることもメリットです。読み聞かせで子供の聞く力がそなわると、子供の不安な気持ちの解消にもつながります。
将来の成績が上がる
絵本の読み聞かせは、将来の成績にも影響を及ぼします。文部科学省の平成25年の学力調査で、幼児期の読み聞かせの経験が、子供の学力向上につながることが判明しました。社会的、経済的な状況にかかわらず、幼児期に読み聞かせを受けていた子供は学力が高い傾向にあります。語彙力が向上することで、問題文を正しく理解できるため、正答率が上がると考えられています。
絵本を読み聞かせる時期
絵本の読み聞かせは、いつからはじめるかの明確な決まりはありません。見る力や聞く力が発達して、色や音を判別できる3ヵ月から5か月ごろまでに、絵本の読み聞かせを開始する親が多いようです。子供は10か月ごろになると、絵本を見ながら親の話に耳を傾けられます。
文部科学省の調査では、読み聞かせをおこなっていた時期は6歳までが25.3%、小学生低学年までが22%という結果が得られました。回答者の半数近くが6歳から小学校低学年までは読み聞かせをおこなっています。