堀田秀吾 私が著者になるまで

バンドマンが大学教授に転身!? 明治大学の人気先生が教える「考えすぎない考え方」とは?

#私が著者になるまで

明治大学法学部の人気教授であり、ベストセラー作家でもある堀田秀吾先生。法学、言語学、心理学、脳科学、社会学などさまざまな分野を融合させた独自の研究は、学術の世界でも実社会でも大きな評価を受けています。しかし、実はそのキャリアはいきあたりばったりだったそうで…? 精力的に挑戦し続ける堀田先生にその秘密をインタビューしてみました。

<聞き手・松本逸作>

聞き手

堀田先生は明治大学で先生をされてますが、もともと研究者になりたかったわけではないとお聞きしたんですが…?

はいそうなんです。もともとはバンドを組んでいて、プロを目指していました(笑)。

堀田
聞き手

ええっ!? バンドマンだったんですか? それがどうして研究の道へ?

実は、高校生のときに芸能事務所にスカウトされて、2年くらいはデビューを目指してがんばっていたんですけど、がんばるほどにまわりのレベルの高さがわかって、自分の実力と才能のなさを痛感したんです。それで、将来的なことを考えて普通に大学に行って就職することを選びました。

堀田
聞き手

そんな過去が! でも、どうしてまた法学の道を選んだんですか?

話すと長くなるんですが、もともと英語の教員になろうと思って、留学でもして箔をつけておこうかなと考えたんです。で、どうせ留学するならステップアップで大学院の修士課程に行こうかなと思いました。

堀田
聞き手

ステップアップという考え方が、もうロックですよね。

成り上がりですね(笑)。ところが、留学先の入学オリエンテーションの初日に間違って「博士課程」に入ってしまっていたことに気づいたんです。

堀田
聞き手

ええ!? 修士じゃなくて、その上の博士に!? うっかりすぎませんか!?

そうなんです。うっかりすぎるんです(笑)。ただ、当時は日本で文系の博士持ちは珍しかったので、がんばって博士号をとって帰れれば大学の教員になれる確率が高いと聞いて、そのまま博士課程に進んだんです。

堀田
聞き手

もちろん簡単ではなかったんですよね?

いかんせんレベルが違うので文字どおり必死でした(笑)。必死すぎたせいか、もう細かい記憶を失っているんですが、どうにかこうにか博士までとることができて、日本に帰って初めて教員を勤めたのが立命館大学でした。

堀田
聞き手

記憶を失うくらい必死だったと…。立命館では何を教えていたんですか?

法学部の教養科目の教員をしました。

堀田
聞き手

あ、そこで法学が出てるくんですか! 留学中も法学は勉強されてたんですか?

いえ、まったく(笑)。私の専門は言語学だったんです。ただ、せっかく法学部という環境にいるのだからということで、法学と言語学を組み合わせた分野をやってみようと思ったんです。教員をしながらロースクールに通いました。それで、気がついたら「法学部以外に就職できそうにない専門家」になってしまったというわけです…(笑)。

堀田
聞き手

まったくのゼロからのスタートとは…本当にロックですね。
でも、それが今ご専門の「法言語学」なんですね?

そうです。法の世界というのは、実は「ことば」がとても大きな役割を持っています。たとえば裁判はことばをつかって主張を戦わせますし、名誉毀損や脅迫のようにことばを使うこと自体が犯罪行為になったりもします。そういった法におけることばを分析する分野です。

堀田
聞き手

言われてみれば…法律自体が言葉で定義されていますものね。具体的にはどんな分析をされてるんですか?

たとえば、弁護士さんや警察などに依頼されて、実際の事件に分析を提供することもあります。文書の書き手を特定したり、会話音声の資料の編集の有無を判定したり、特定の発言をめぐって犯罪行為として成立するかを調べたり。ことばの探偵みたいなことをします。

堀田
聞き手

おお、まさに探偵! だから先生は心理学や脳科学にも詳しいんですね。

研究していくうちに関連する分野が広がっていったので、必然的に扱う領域も増えていきました。ことばの分析には心理学もITの知識も必要ですし、脳波実験をすることもあります。

堀田
聞き手

なるほど…それぞれの環境で必要なものを吸収して、融合していったと…。
そんな先生が今回出版された『「考えすぎない」人の考え方』は、どうして「考えすぎない」をテーマにされたんですか?

お伝えしたように、僕はうっかりミスも非常に多いですし、基本的に人生が行き当たりばったりなんです(笑)。ただ、それって必ずしも悪いわけではない気がしていて、時には深く考えない行動がいい結果につながることもあります。
実際、世界中のさまざまな研究分野で、人は「たくさん考える」よりも「考えすぎない」ほうが思考や判断にいい影響があるという報告が出ているんです。

堀田
聞き手

「考えないほうがいい影響がある」ですか! たしかに先生のキャリアを聞くとまさに!なお話しですね

最近は特に「不安で考えすぎてしまう人」が多いように思います。考えることに時間とエネルギーを費やしすぎて、大事な一歩が踏み出せないし、妙な判断に行き着くし、疲れてしまうし…。
では、どうしたら考えずに済むか? これを世界中の研究をもとに1冊にまとめたらおもしろいかなと思って書かせてもらった本になります。

堀田
聞き手

では先生、最後に「考えすぎない」ことの一番の方法ってなんでしょう?

僕自身に関していえば、あまり深く考えずに置かれた環境でとりあえず全力でとりかかってみることでしょうか。そうすると、自分の知らなかった新しい景色っていうのが見えてくる瞬間があるんです。全力でやったことならあきらめもつきますし、何にしても得られるものがあると思うんです。

堀田
聞き手

考えずに動くことで、得られるものがあるというわけですね。さっそく読んでみます!!!


<略歴>
堀田秀吾(ほった・しゅうご)
明治大学教授。言語学博士。熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了。言葉とコミュニケーションをテーマに、言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を融合した研究を展開。「学びとエンターテインメントの融合」をライフワークとし、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書を多数執筆。雑誌・WEBなどにも多数連載を持つ。テレビ番組「ワイド! スクランブル」の元レギュラー・コメンテーター、「世界一受けたい授業」などにも出演するなど、多岐にわたる活動を展開している。主な著書に『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、共著に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

撮影・大川美帆(サンクチュアリ出版)



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