欧米では母から娘に「膣ケア」を教えるのが一般的ですが、日本の女性は自分の膣をほったらかしにしがち。いつもなんとなく調子が悪いのは、膣のゆるみや乾燥が原因かもしれません。5月に梅田蔦屋書店で開催された、『なんとなくずっと不調なんですが膣ケアで健康になれるって本当ですか?』発売記念イベントに潜入して、いま注目の「膣ケア」について探ってきました。
目次
女性が知っておくべき「膣」のアレコレ
膣プランナーの山口明美さん(右)、漫画家の若林杏樹さん(左)
「ちつ姉」こと著者の山口明美さんは、日本ではまだ少ない膣のスペシャリスト。二人目の娘さんの出産時、赤ちゃんの肩幅が広かったために会陰(膣〜肛門の間)が裂傷し、産後は激痛と尿もれに苦しんだそう。
そんななか、骨盤底筋を鍛えるトレーニングの存在を知って実践してみたところ、尿もれ解消どころか半年で26kg減量。肌のシミもなくなり、いまではノーファンデ歴12年だといいます。
「膣ケアは、膣を保湿やマッサージでお手入れすること。膣トレは、骨盤底筋を動かして鍛えること。この2つをすることで、生理痛やPMS、デリケートゾーンの悩み、肌荒れ、冷え性、産後や更年期の尿もれなどなど…あらゆる不調を解消できるんです。年齢を重ねると女性ホルモンのエストロゲンが減少して膣が乾燥し、さらに骨盤底筋も衰えて、いろんなトラブルが出てきます。だから手遅れになる前に膣ケア・膣トレを始めましょう!」(山口さん)
「生理痛もむくみも仕方ない」は誤解!
膣ケア・膣トレをマンガでわかりやすく描いた共著者の若林杏樹さんは、もともと健康や美容の知識ゼロ。生理痛は薬を飲むだけでほったらかしで、下半身はいつもむくみがち。婦人科検診にもずっと行っていなかったそう。
「『でも病院に行くほどじゃないし』『漫画家ってみんなこんな感じだし』と思っていたんですが、明美さんに出会ってびっくり。47歳でお子さんが二人いるとは思えないほどお肌も髪もピカピカで…。その秘密が膣ケア・膣トレにあると聞いて私もやってみたら、身体の調子がだんだん変わってきたんです。むくみやくすみが取れて、姿勢がよくなったりガニ股が直ったり。なにより自分自身に興味が湧くようになりました」(若林さん)
あなたは何個あてはまる? 膣のゆるみチェック
自分の膣の状態を知るには、書籍でも紹介されている「膣のゆるみチェック」がおすすめ。3つ以上あてはまれば、膣がゆるんでいる可能性があります。山口さんによれば、20代前半の女性でも多くの人が半分以上あてはまるのだとか。
□ 座っているときに自然と足が開く
□ 座っているときに両ひざをつけるのがつらい
□ 歩いているときにペタペタと音がなる
□ ヒールをよくはく
□ 姿勢が悪い
□ 下腹が出ている
□ 下半身やお腹周りに肉がついている
□ お風呂上がりに膣からお湯が出ることがある
□ 性交渉やピラティスなどの運動の後に、空気がもれてくる
□ くしゃみや咳をしたとき、尿もれする
□ 便秘ぎみ
□ 産後に膣や骨盤ケアをしていない
座ったままできる膣トレにチャレンジ!
イベントでは、椅子に座ってする膣トレをみんなで実践。呼吸しながら「肛門」「尿道」「膣」を順番に締めていく方法です。詳しくは書籍で紹介しているので参考にしてみてください。
▼ 正しい姿勢で椅子に座る
膣が真ん中にくる状態で椅子に座り、背筋を伸ばし、両肩をうしろにぐるっと回してストンと落とす。これがベストな姿勢。
▼ 肛門を締める ×10回
鼻から息を吸い、お腹を空気でパンパンに。次に息をゆっくり吐きながら、雑巾をぎゅっと絞るイメージで肛門を締めていく。右脳を使ってイメージすることがポイント。
▼ 尿道を締める ×10回
息を吸い、吐きながら尿道を締めていく。細いストローで吸い込むようなイメージで。最初は尿道と膣を区別しにくいので練習!
▼ 膣を締める ×10回
息を吸い、吐きながら膣を締めていく。ポールが頭から身体に一直線に刺さっていて、そこを子宮がのぼってくるイメージで。足が震えるくらい力んで、最後は頭から宇宙へポーン!と飛ばす。
ほかにも、書籍では紹介されていない横隔膜トレーニングを実践。みぞおちの横の骨に癒着している筋肉を、指を3〜4本ぐっと入れて剥がしていくと、呼吸時に横隔膜がよく動くようになるそうです。膣トレと一緒に横隔膜を動かすことで太りにくい身体を目指せます。
みんなのお悩みに「ちつ姉」がアドバイス
イベント最後はQ&Aタイム。事前に匿名で寄せられた質問に山口さん・若林さんが答えていきました。多かったのは生理の悩み。
【Q.生理中は情緒不安定に。どうすればいい?】
「生理期間は体温もエストロゲンの量も変化するので、ある程度は仕方ないです。無理になにかしようとせずに休むこと。腸が冷えると子宮にも影響が出るので、冷たいものは摂らないようにしましょう。血行が悪いと恐怖や不安に襲われやすいため、血行促進も大切。カエル足で四つんばいになって身体を前後にゆらゆら動かす、股関節のストレッチがおすすめです」(山口さん)
【Q.生理用品はどれがおすすめ?】
「私は月経カップ+吸水ショーツが最強! 明美さんに教えてもらって最初は抵抗がありましたが、ナプキンもタンポンもいらないので慣れればとても楽チン。カップを取り出すときに手に少し血がつくくらいで、経血の量も色もわかるから生理の状態を確認しやすいです」(若林さん)
【Q.生理中のつらさを男性にどう伝えたらいい?】
「生理中だとストレートに伝えるのがいちばん。私の本を読んでもらうのもいいと思います。10代の女の子に身体のことを知ってほしくてTikTokを始めたんですが、最近は10代の男の子たちが「彼女がいつもつらそうだから教えます!」とコメントをくれるように。察してもらうのは難しいけど、きちんと伝えれば理解してくれるはず。男性のリテラシー向上も大事ですよね」(山口さん)
人生100年時代。日本人女性の平均寿命は世界一です。健康で元気できれいな100歳を迎えるためにも、自分の身体をよく知って大切にしてあげることが必要です。
『なんとなくずっと不調なんですが膣ケアで健康になれるって本当ですか?』は、医師監修のもと、膣ケア・膣トレのノウハウをわかりやすく伝えた本。年齢や出産経験の有無に関わらず、すべての女性に必要な情報がぎゅっと凝縮されています。マンガで楽しく膣リテラシーをアップして、心身ともに絶好調の毎日を送りましょう。
この記事は、”なんとなくずっと不調なんですが膣ケアで健康になれるって本当ですか? マンガ : 若林杏樹/先生 : 山口明美(ちつ姉) の新刊コラムです。