人は、たった数冊の本に、人生の地図を描いてもらうことがある。
まだ輪郭のあいまいだった自分に、芯を与えてくれた言葉。
迷ったとき、何度でもページをめくりたくなる物語。
そんな「わたしを形づくった3冊」を、サンクチュアリ出版のイベント登壇講師が語ってくれます。
それは本の話であり、同時に「わたし」の物語でもあるのです。
目次
語り手:パントマイムアーティストSATOCO

こんにちは、パントマイムアーティストのSATOCOです。
6歳でパントマイムを始め、カナダで舞台デビューして以降、舞台や全国のイベントなどに出演しています。また、作品づくりや演出、マイム講師としても活動しています。
私の活動のテーマは「言葉を越えて想像の世界で心がつながること」。子どもから大人まで、言葉を超えて幅広い世代の方と想像力や遊び心でつながれることを、本当に嬉しく思っています。
今回は、そんな私を形づくった3冊をご紹介します。
1冊目『パパ、お月さまとって!』エリック・カール(偕成社)

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幼い頃、母が買ってくれた仕掛け絵本です。
長いはしごで月を取りに行くパパの姿に、「はしご、揺れないかな…」とドキドキしながら見入っていました。
大工である父が、はしごをのぼる姿とも重なり、絵本と現実の世界とを繋げていました。
仕掛けの楽しさや、本の枠にとらわれず自由に想像してよいことを、子どもながらに感じたり、紙の硬さや仕掛けを広げる音、夜の静けさや草の香りまで想像して楽しんでいたことを覚えています。
触れないものを触り、見えないものを見せるパントマイムの原点は、この一冊にあったのかもしれません。
大人になった今、あの絵本は想像力や思考力を育む本だったと知りました。
今は世代を超え、甥っ子や姪っ子の手の中で物語が受け継がれています。
2冊目『君はそんなに弱くない』秋元康(大和書房)

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中学・高校時代、私は目立ちたがりではありませんでしたが、クラブの部長や生徒会長など、人前に出ることが多くありました。
何かと先輩より上手くできてしまったこともあり、「出る杭は打たれる」状態でした。期待と嫉妬のはざまで心身をすり減らし、突然の激しい腹痛で入院したこともあります。
応援してくれる人がいれば、逆もある。自分を嫌う人とどう接したらいいか、誰にも相談できず、平気なふりをしながら限界だった私を救ってくれたのが、この本です。
本屋で偶然手に取り、ページをめくるたび、秋元さんがまるで私の悩みに耳を傾け、思考や行動のヒントをくれ、絡まった心をほどいてくれました。
今、芸能の世界でさまざまな人と接し、あらゆる人の前に立つ私にとって、この本との出会いは、大切な支えになっています。
3冊目『ザ・シークレット』ロンダ・バーン(角川書店)

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大学生の時に映画版を観て、心の中の謎だったピースが合わさり、腑に落ちる衝撃を受け、その勢いで本も手に入れました。
頭の中で描いた出来事や出会いが、偶然に現れることは昔からよくあり、ずっと不思議に思っていました。
この本に出会い、「思考は現実化する」という言葉に触れたとき、それは偶然ではなく、自分で引き寄せている…という考え方があることを知り、世界の見え方が変わったのです。
辛かった経験さえ、今の自分になるために必要だったのだと感じられました。
マイムは“ないものを鮮明に想像し、それが本当にあるように見せ、心を動かす芸術”。
それはまさに、日常で叶えたいことを叶える仕組みそのものであり、今も夢(想像)を現実に変える力の源です。
おわりに
それぞれの時期に「夢を抱くこと」「自分の心を大切にすること」「想像の力を信じること」を教えてくれました。
今回、執筆のために再読してみると、もうすでに私の中にこれらの考え方が根付いていることを感じました。
今読むと当時の記憶が蘇ると同時に、「当たり前のことを書いているな」とすら思えるのが不思議です。
まるで、これらの言葉が私の体の一部になっているかのようです。
あの頃の私のように悩んだり迷ったりしている人の手元に、この本たちがそっと届きますように。
寄り添い、背中を優しく押してくれる存在になったらいいなと思います。
著者の方々へ。
私の人生を豊かにしてくれたことに、心から感謝します。
最後まで読んでくれたあなたへ。
心から、ありがとう。
SATOCO(パントマイムアーティスト) 俳優として舞台・TV・映画に出演する傍ら、大学卒業後カナダへ渡り、パントマイムアーティスト・平野弥生氏に師事。 帰国後は「が〜まるちょばPJ」に参加。現在はソロアーティストとして、ストーリー仕立ての作品を創作・上演し、全国各地のイベントや舞台に多数出演中。 NHK学園や松竹エンタテインメント俳優スクール、オンラインレッスンなどで講師を務め、的確な指導と繊細な演技に定評がある。 現在は5歳から80歳まで幅広い世代にレッスンを提供。手話を取り入れたパフォーマンスや指導も行い、活動の幅を広げている。 2025年には「傘ぴょん」がSNSで世界的に話題となり、総再生回数1,000万回を突破。総フォロワー数はパントマイムアーティストとして国内最多の約8万人。 舞台とSNSの両方を通して、「見えないけれど確かにある」感情や心のつながりを伝えている。 主な出演歴: 【舞台】 ・スタジオアルタ主催「ALATA〜アラタ〜」 ・ミュージカル「陰陽師」〜平安絵巻〜(東京・中国公演) ・七つの大罪 The STAGE(東京・大阪公演) 【その他】 ・宇多田ヒカル「Laughter in the Dark Tour」パントマイム指導(映像) ・舞台「邪魚隊」マイム指導 ・Abema TV「声優と夜あそび」パントマイム講師として出演 ・大阪・関西万博 MUIK Kansaiプロジェクト内「ぼくは、いのちをつむいでく。」マイム・ステージング担当 【HP】 http://satoco719.jimdo.com 【Instagram】 https://www.instagram.com/satocotosatoco 【TikTok】 https://www.tiktok.com/@satocomime 【X:旧Twitter】 https://x.com/tocotocosatoco 【YouTube】 https://youtube.com/c/SATOCOMIME 【公式LINE】レッスン・出演情報 配信中 https://lin.ee/K35ZgC5