0円ストロング生活の始め方

庭先養鶏でストロング!

#連載エッセイ
#0円ストロング生活の始め方

都会を出て田舎で0円生活はじめました。青森の0円家族、田村家の自給自足な日常をお届けします。

ス、ス、ストローングッ! すみません、お久しぶりでちょっと緊張してしまいました。
これまで、うちの嫁さんのエッセイと動画が続いてきたわけですが、いかがだったでしょうか?
僕としては動画オープニングの第一声、「ストローング!」にまだ若干の照れが見受けられるのがちょっと気がかりであるのですが、そこを本人に指摘する勇気がありません。
つまり嫁さんに対して、僕は全然ストロングではないのです。女性は強いです。強すぎです。
さて今回と次回(最終回)は私、田村家の細〜い大黒柱である田村余一が担当させていただきますよー!
今回のテーマは…
ズバリ「庭先養鶏」!
はい、わが家の庭で元気にウロウロ歩き回っているニワトリさんのことになります。
ちょっとしたハウツーと初めてヒヨコが産まれてきたときのエピソードをご紹介します。是非、最後の補足動画までご覧ください☆
何度見ても癒されるヒヨコたちも登場しますよ!
では参りましょう、コケコッコー、もといストローングッ!

この記事は書籍『 都会を出て田舎で0円生活はじめました 』の関連コラムです。

こうしてわが家の庭先養鶏は始まった

ニワトリがやってきた!

あるとき、趣味で養鶏をしている知人(以下、養鶏センパイ<上の画像のオジさま>と呼びます)から連絡があった。卵を産まなくなったニワトリなんだけど、タダで4羽ほど譲ってくださるという。自給自足的な暮らしをしていて養鶏はちょっと憧れ。二つ返事で「欲しいです!」と言った。
早急に廃材で畳一畳分ほどの鶏小屋を建てて、受け入れる準備が整ったことを伝えると、養鶏センパイはわざわざ軽トラックでうちまで届けてくれた。なんてイイ人!
出来立てホヤホヤの鶏小屋の中に4羽を入れ、その場で養鶏センパイに飼育の仕方をご指南いただいた。
わが家に新たに加わった4羽の命たち。これからどーなるんだろー?っていうワクワク感とその責任感。よく分からないけど、「よし、これから頑張るぞ」って思った。

意図せずして始まった放し飼い

さすがに小屋から出したらヤバいでしょ。近所の団地の方に逃げていったら、マダムの悲鳴が周囲に響きそうだ…
ひとまず、狭いけど小屋で飼おうねということになったのだが、ニワトリが来て数日もしないうちのこと。小屋掃除している隙を突かれ、1羽が脱走。あわわ…冷や汗をかきながら追いかけっこが始まったのだけど、なんだか同じような場所で逃げ回るニワトリ。一向にわが家の敷地から出ようとしない。どうやら彼らのテリトリーはかなり狭い。だったらもう狭い小屋なんかに閉じ込めず、自由にわが家を闊歩していただこう。
こうしてニワトリと僕たち家族が庭先で普通にすれ違って歩く、牧歌的な暮らしが始まった。

庭先養鶏の魅力

さて、この庭先養鶏、やってみるとイイことだらけだった。

エサ代がほとんどかからない

ニワトリは雑食性。基本的に草や穀類、虫も食べる。
庭を動き回るニワトリを観察すると一日中、草をついばんだり、足の爪で地面をガリガリやって虫や植物の種を探して食べる。家庭から毎日のように出る生ゴミも大抵は食べてくれる。それだけだと心許ないので(特に冬場)、うちではお米屋さんに行って、クズ米(精米したときに出るハジキのお米)をタダで頂戴してきて、それに米ぬか(これも無料でもらえる)、魚粉と油カス(こちらはネット購入)を混ぜたものをエサにしている。

お庭のルンバになってくれる

先述の「足で地面をガリガリ」、実はこれがものすごい有益で、ニワトリにとっては単なるエサ探しでも、お庭にとってはちょっとした草むしり。
田舎暮らしで広い敷地(うちの場合は約750坪)の草管理はなかなかに大変なんだけど、ニワトリは一日中、エサを探して敷地内をくまなく歩き回って、草をついばみ、土を引っ掻いてくれる。まさに庭のルンバ。おかげで敷地内の草刈りをほとんどしなくて良くなった。

日々の有り難い収穫

ニワトリと言えばやはり卵。
メスのニワトリは生後半年ほどで、卵をほぼ毎日産み始める(冬はあまり産まないけど)。ペットの犬猫や家畜とされる牛豚は僕らと同じ哺乳動物なので卵は産んでくれないけど、ニワトリは鳥類だから卵生動物。卵を収穫できるのはなんとも嬉しいこと。
もともと卵を産まないよって言われていただいたニワトリたちも、うちで放し飼いにしていたら産むようになった。養鶏センパイに尋ねると「多分、環境がイイんだろうね〜」っていうことだった。ストレスフリーだと、ニワトリでも人間でも健康的になれるんだろう。
ときにはお肉としていただくこともある。飼育していれば不意に死んじゃうニワトリもいるし、卵を孵化させていけば個体数も増えてしまう。飼っているニワトリを食べるのは少し心苦しいけど、いざ食べるとなるとこれが正直な感覚として美味しい(わが家は比内地鶏だからなおさらかも)。ニワトリの体の大きさもちょうど良く、家族で1〜2日あれば完食できる量。大きな冷凍庫のお世話になることもない。

飼育がカンタン

聞けば人類の養鶏の歴史は6千年。そうなってくるとニワトリという生き物は野生に戻ることができず、人間に飼育されなければ生きていくことができない(同じような例で言えば絹糸の原料となるカイコガも)。それゆえに小屋さえあれば、いってらっしゃい&おかえりなさい。朝に扉を開ければお出かけして行って、夕方には自分で戻ってきて戸締りされるのを待っている。
個体としてのサイズも小さいので、小屋もコンパクトに設計できる。断熱なんかしなくても、全身がダウンジャケットなわけだから青森の真冬でもフツーに暮らしてる。
食べるものや体調にもよるけど、ウンチも小さくてコロッとしているので掃除もトングやシャベルでサラッとできる。
うちみたいに放し飼いにしていると、好きなように砂浴び(ニワトリにとってのお風呂みたいなもの)や、日向ぼっこ(太陽殺菌)をして、体調に合わせた食べ物を自分で選んでいれば病気にもほとんどかからないみたい。
飼育する際は畜産組合への届出が必要なんだけど、99羽までの飼育であれば年に一度、用紙一枚に数行記入して出すだけで済む(毎年2月に届出)。

自己増殖してくれる

ニワトリのメスは年頃であれば毎日のように卵を産んでくれる。オスがいれば有精卵にもなり得るわけで、それを孵化させればピヨピヨとヒヨコが生まれてきてくれる。暖かい時期であれば、4羽のメンドリは4個の卵を産むわけだから、一日にして4羽分の新たな生命誕生の可能性があるわけだ。これってすごい繁殖力。
「全財産を失い、一日500円だけもらえる生活になったらどうする?」という問いに、とある有名な投資家は「ニワトリを飼う」と答えている。ひょっとしたらニワトリを飼うということは誰でも始められる、低リスクの投資なのかもしれない。