人は不安を感じやすい生き物です。
生きる上で、本能的に必要不可欠な「不安」という感情。
ですが、この「不安」にばかり意識が向いていたら、何もできなくなります。
理由のわからぬ漠然とした不安もあるかと思います。
その不安を少しでも解消したい。
あなたが抱えるその、漠然とした不安を“解消するために必要なこと”を、本編を通じて見ていきましょう。
目次
①どうしようもないことと、どうしようもあることに分ける
なぜ、携帯電話は、遠く離れた人と通話できるのか。仕組みがわからなくて不安。
なぜ、飛行機は、飛ぶのか。理屈がわからなくて不安。
なぜ、この建物は、こんなに多くの人を支えられるのか不安。
理屈がわからないからといって、不安を感じていたら、何もできなくなり、しまいには家で体育座りしているしかありません(笑)
ペンシルベニア大学のボルコヴェック氏らの研究によると、人の心配事の79%は実際には起こらないそうです。
心配事が起きたとしても、残りの21%のうち16%の出来事は、事前準備で対処可能。
心配事で現実化するのは、たった5%程度であると。
いかに脳が不安に囚われているかがよくわかります。
対処できない心配事は、たった5%程度しか起こらないのです。
そもそもやることが明確であれば、漠然とした不安は感じない。
歯を磨く、お風呂に入る、出勤するなどの習慣化した過程に、いちいち不安な感情を持ち込む人はいないはずです。
自分の管理下にあることと、ないことが曖昧なものに対して、何となく不安になるのです。
結果には、①どうしようもないことと②どうしよもあることの2つがあります。
①豪雨に怒っていても、上司とのすれ違いに悩んでいても、天気や相手の性格などを変えることはできません。
このような管理下にないことには、悩まないこと。
悩んでいても、どうにもできないことなんです。
②唯一、管理下にあるのは自分の言動のみ。
不安を感じ、悩んでいる人は、この管理下にあることとないことが混合している場合が多くあります。
私も、大好きなソフトバンクホークスが負けると、凄く暗く落ち込みます。
ですが、管理下にないことに一喜一憂し、家の隅っこで体育座りしていても結果は変わってくれないんです(笑)
成功する人は自分の管理下にあること、どうしようもあることに集中している。つまりは、成功することが管理下にあるといえるのです。
②選択肢を減らす
例えば、レストランに行った際に、メニューが300種類あったらどうですか?
なかなか選べないはずです。
選択肢が多いほど、人は迷ってしまうし、疲れるし、ブレてしまいます。
松竹梅の法則に、選択肢を3つに絞るというマーケティング方法があります。
人間は選択肢が3つだと真ん中を選びやすくなり、4つ以上になると「選ばない」という選択肢をとる傾向が高まると。
私は起業する際、極力家に帰らないようにしてきました。
理由は、家に帰ると選択肢が増えて、サボってしまうからです。
テレビを見よう、お菓子を食べよう、掃除をしよう、お布団に入ろうと、余計なことに気が散ってしまいます。
やるべきことに集中するために工夫する。
受験生が自習室や図書館で勉強するのも、これが理由の1つです。
他方では、同じ家でも成功者の家はモノが少ないともいわれています。
無駄なものを置いていないので、家にいても自然とやることが絞られるわけです。
部屋の乱れは心の乱れです。
逆に部屋が整っているということは、心も整っている証拠。
そもそも、モノが多い人は不安も大きいのです。
旅行の際に、ついつい不安になり「あれがなかったらどうしよう、これがなかったらどうしよう、こういう事態のためにあれも必要かも」と色々考えているうちに持ち物が増えてしまうのです。
不安から、色々なものをまとめ買いしてしまう人も同じ傾向にあるのです。
ちなみに私は、トイレットペーパーなどの日用品のまとめ買いは効率的なので、しています。
食料品のまとめ買いは逆効果になると思い、していません。
まとめ買いは1個単位で買うよりも確かに安い。
ですが、多くの常備品があることで、もう少し飲もう食べようとする気持ちが働いてしまう。
結局、消費ペースは上がり、欲に耐えきれず、必要以上に飲食してしまうのです。
モノは少ない方が効率的です。不安や悩みも少なくなるものです。
③意識的にぼーっとする
1日を効率的に過ごしている人は、休憩時間はきちんと休憩します。
逆に非効率な人ほど、休憩時間に何か別の作業をやってしまう。
不安を感じやすい人ほど、休憩時間に休憩しないのです。
仕事と仕事の間は、脳を休めることが大切。
ぼーっとしたり、仮眠をとったり、一度電源をオフにしましょう。
休憩中だからといって、別の仕事をする、スマホを触る、という行為は逆効果です。
よく、サウナに行くと「整う」といわれていますが、これはぼーっとすることができるからです。
スマホに触れず、会話することもなく、ただぼーっとすることができるため、脳疲労が解消される。
のんびりとくつろぐという、本来の休息に繋がっていくのです。
整うとは、ぼーっとすることだと肝に銘じておきましょう。
実は、モチベーションが高すぎると人は失敗するという“面白い研究データ”を知りました。
とある問題を出題した際に、以下の条件でグループ分けをします。
①報酬なしで解答
②報酬を与えるものの、解答が遅れると報酬を減らす
③報酬を与え、なおかつ解答が早いと報酬を増やす
結果、モチベーションの高いグループ③は早く課題を終わらせようとする傾向に。
しかし同時に、間違った時には脳波が大きな動きを示したそうです。
つまり、モチベーションが高まることで気持ちが焦り、ミスが増えてしまうということ。
休息をうまく活用し、ほどよいモチベーションで仕事に取り組むことで、不安は解消されるのです。
④集中状態をつくり出す
不安を抱えている人は、常に不安で頭がいっぱいになり、他のことが手につきません。
逆に言えば、集中状態をつくり、心配事を考えなくて済む状態をつくり出せばいいのです。
人が不安を感じるのは、やることに集中できていない証拠です。
ここで私が、集中力を高めるためにやっていることを一部、ご紹介します。
・朝の集中タイムに水をたくさん飲む
脳の活性化を促す意外なアクションが、水を飲むことです。
イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の研究者らが行った実験によると、知的作業に集中する前に約500mlの水を飲んでおくと、飲まずに作業を行った場合に比べて“脳が活性化する”という結果が出ました。
そもそも水を飲む習慣がつくと、健康維持の面でも様々な利点があります。
また、簡単な筋トレを10分程度行うことも効果的で、さらに集中力が高まります。
心拍数と息が少し上がる程度の、中強度の負荷がかかる運動は、全身に血液がめぐることにより、記憶力が向上する効果まであるようです。
・昼食後は迷わず仮眠をとる
昼食後にやる気が出ないのは、そもそも人間として当然のことです。
昼食後の昼寝について、以下のような実験結果があるそうです。
①昼食後に15分の昼寝
②昼食後に45分の昼寝
③昼食後に昼寝をしない
結果として、昼寝をした①と②のグループは、30分後と3時間後ともに眠気を感じる程度が低くなり、副交感神経が優位になって、リラックスしていると。
それに対して、昼寝をしない③のグループは、眠気が強い状態が続いたそうです。
昼食後にすぐに会議や商談がある場合でも、冷たいタオルを顔にあて、目を閉じるだけでも、眠気は抑えられ、集中力を高めることができます。
・腕時計は5分早める
“仕事量は、与えられた時間の分だけ膨張する”とはパーキンソン氏が提唱した有名な法則です。
人は、時間に余裕があれば、合間でサボってしまい、与えられた時間ぴったりに終わるように、本能的に調整してしまっています。
その解決策は、自分の腕時計をいつも5分だけ早めておくことにあります。
資料を作成するにしても、会議を実施するにしても、あなたの時計に合わせて仕事をすれば、5分間前倒しできるということです。
人との待ち合わせや仕事の締め切りを考えた時にも、5分前に行動するということはとても効果的なはずです。
・SNSを見過ぎない
最後に、SNSを見過ぎないことが大切です。
もはやSNSの見過ぎは、重大な現代病といっても過言ではないでしょう。
攻撃的かつ批判的な思想を持つ要因になりかねないとの声もあります。
また、人にどう見られるかが異常に気になるようになり、無難で平均的な選択しかできなくなってしまう。
さらにはSNSの見過ぎで、体型コンプレックスが悪化するともいわれています。
これは「SNSで太る」といった話ではありません。
SNSに時間を使いすぎると、その分出歩いたり、運動したりといった時間が減るので、「体型を保つ行動」に割く時間が減り、コンプレックスが増長するということです。
※認知症のリスクを高めるSNS
「あなたはつまらない人間だ」と、あなたが仮に誰かをSNSで誹謗中傷したとします。
しかし、この発信により一番ダメージを受けているのは、実は、投稿したあなた本人なんです。
脳は主語を理解しないといわれています。
だから、「あなたはつまらない人間だ」という投稿は、脳の中では「私はつまらない人間だ」と言ったことと同じ意味になってしまうのです。
悪口や批判は結局、自分の心、そして自分の脳に有害だということです。
そもそもSNSは関心事です。
ニュース、ゴシップ、友達の近況、人の悪口、これらは全て関心事です。
興味はあっても、あなたの現実の成果に直結するものではありません。
あなたを良くするのは、関心事ではなく、管理下にある行動なのです。
いかがでしたでしょうか。
①どうしようもないことと、どうしようもあることに分ける
②選択肢を減らす
③意識的にぼーっとする
④集中状態をつくり出す
これら4つを実践することで、あなたの不安がすべて“なくなる”ことを心より願っています。
(画像提供:iStock.com/davidf/Andrii Borodai/Irina Nisiforova)
権藤優希 株式会社シーマネジメント代表取締役。 東京都内で飲食店、オーガニックショップ、講演会・ビジネストレーニング事業などを多岐にわたって展開する。 福岡県久留米市生まれ。大学卒業後、日本電気株式会社(NEC)に入社。 新人最速で大型案件を受注し、注目を集める。NECにおいてさまざまな賞を獲得した後、4年目に独立。 起業後はNEC時代のノウハウを活かし、営業の事業において、半年間で業界内世界第2位の記録をつくる。自身の経験をもとに行われている講演会は大人気で、20〜30代の若者を中心に、大きな注目を浴びている起業家。 また、オンラインサロン「ごん×櫻井のモテモテ塾」は、多くのメディアに取り上げられ、話題を集めている。 著書に『自分で決める。』『心が強い人のシンプルな法則』『「話すのが苦手、でも人に好かれたい」と思ったら読む本』『損をしない人の考え方』『あなたの弱みは一瞬で強みになる』がある。