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感情をなくす方法はある?振り回されずにうまく付き合っていく方法を紹介

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「感情に振り回されて、もう疲れた」
「いっそ感情なんてなくなってしまえば楽なのに」
怒りや悲しみ、不安といったネガティブな感情に心が支配されるのは、とても辛いことです。感情の起伏が激しいと、人間関係がうまくいかなかったり、仕事や日常生活に支障が出たりすることも少なくありません。

しかし、実際に感情をなくしてしまうと、かえって自分を見失い、心身のバランスを崩してしまう可能性もあります。では、辛い感情に飲み込まれず、穏やかな心で日々を過ごすためにはどうしたらよいのでしょうか?

必要なのは、感情をコントロールするする方法を身につけることです。この記事では、感情をなくすことのリスクや、感情をコントロールするテクニックを紹介します。最後まで読めば、自分の感情とうまく向き合っていくヒントが見つかるはずです。

この記事は書籍『 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。 』の関連コラムです。

感情をなくしたらどうなる?

もし本当に感情がなくなったら、どのような影響があるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

危険を察知できなくなる

感情をなくすと、身の回りの危険を察知する能力が低下する可能性があります。恐怖や不安といったネガティブに感じられる感情は、私たちに危険が迫っていることを知らせるための、いわば「警報装置」のような重要な役割を担っているからです。

たとえば、暗い夜道を歩いているときに感じる「なんとなく怖い」「不安だ」という感覚は、不審者や事故といった潜在的な危険から私たちを守ろうとする本能的な反応です。
ネガティブに感じられる感情は、人が安全に生きていく上で不可欠なセンサーです。それをなくしてしまうことは、自ら危険に身をさらすことになりかねません。

人間関係が破綻する可能性がある

感情がなくなると、他者との円滑な人間関係を築き、維持することが非常に困難になる可能性があります。コミュニケーションや社会的なつながりの多くが、喜び、悲しみ、怒り、共感といった感情の表現や共有、相互理解によって成り立っているからです。

もし感情表現ができなくなれば、自分の気持ちが相手に正確に伝わらず、誤解やすれ違いが生じやすくなります。友人が悲しんでいるときに慰めることができなかったり、逆に誰かが喜んでいるときに一緒に喜べなくなったりするのです。
感情をなくすことは、他者との絆を断ち切り、社会的な孤立を招く危険性が高いといえます。

意欲が低下する

感情がなくなると、何かをしよう、成し遂げようとする意欲、いわゆるモチベーションが低下してしまうと考えられます。喜び、達成感、満足感、興味、好奇心といったポジティブな感情は、目標に向かって努力したり、新しいことに挑戦したりするための原動力となっているからです。

目標を達成したときの達成感を経験するからこそ、「次も頑張ろう」「もっと上を目指したい」という更なる意欲が湧いてきます。もし感情がなければ、どれほど大きな成功を収めても何も感じず、努力する価値や意味を見いだせなくなるかもしれないのです。

自分を見失う

感情をなくしてしまうと、自分が何を好み、何を大切にし、どのような人間でありたいのかが分からなくなり、結果として「自分自身を見失う」という深刻な事態に陥る可能性があります。

人生における選択の場面でも、自分が本当に望む方向へ進むための判断基準が曖昧になってしまい、深い空虚感や混乱を招くことになりかねません。

感情は、自分という存在を理解し、自分らしい人生を歩むために不可欠な要素です。感情をなくすことは、自分自身の核となる部分を見失うことにもつながり得るのです。

感情をなくすのではなく、コントロールする方法を身につけよう

感情を完全になくすことは現実的ではありません。大切なのはコントロールする方法を身につけることです。ここでは、日常生活や仕事で実践できる代表的な感情コントロールの方法を5つご紹介します。

アンガーマネジメント

アンガーマネジメントは、とくに「怒り」の感情と上手に向き合うための心理トレーニングです。怒りの感情を完全に消し去るのではなく、怒りが発生するメカニズムを理解し、適切に対処・表現できるようになることを目指します

まず怒りを感じた瞬間に、その感情にすぐ反応するのではなく、意識的に「間」を置く練習をします。「怒りのピークは6秒」と言われており、その間、深呼吸をしたり、心の中で数を数えたりすることで衝動的な反応を抑えることができます。

また、自分がどのような状況や言葉に対して怒りを感じやすいのか、その怒りの背景にはどのような価値観や期待があるのかを客観的に分析することも重要です。これにより、怒りの根本原因を理解し、不必要な怒りを減らしたり、怒りを感じた際の建設的な対応策を考えたりすることが可能になります。

マインドフルネス

マインドフルネスは、「今、この瞬間」の経験に意識的に注意を向け、評価や判断を加えることなく、ありのままに受け入れる心の状態を目指す方法です。ネガティブな感情を引き起こしたり増幅させたりする原因となるさまざまな思考から意識的に離れることで心の平穏を保ちます。

静かな場所で座り、自分の呼吸に意識を向けてみましょう。呼吸をしているときの空気の流れやお腹の動きなどを「ただ観察」します。途中で他の考えが浮かんできても、「考えが浮かんだな」と気づき、再びそっと呼吸に意識を戻します。

これを繰り返すことで、感情的な反応に巻き込まれるのではなく、自分の感情や思考を客観的に観察する力が養われるのです。すると、感情の波に飲み込まれにくくなり、心の平穏を保ちやすくなります。

認知行動療法

認知行動療法とは、感情や行動が出来事そのものではなく、その出来事をどのように受け止め、解釈するかによって大きく影響されるという考えに基づいた心理療法のひとつです。

人はある出来事に遭遇したとき、無意識のうちに特定の思考パターン(考え方のクセ)に基づいてその状況を解釈し、それに応じた感情を抱きます。たとえば、「プレゼンで少し失敗した」という出来事に対して、「もうだめだ、自分は完全に失敗者だ」という極端な認知(考え方)をすると、強い落ち込みや不安を感じてしまいます。

認知行動療法的なアプローチでは、こうした状況と感情の間に存在する「自動思考」と呼ばれる瞬間的な考え方に気づき、その考え方が現実的でバランスの取れたものかどうかを客観的に検証し、修正していきます。自分の思考パターンに気づき、それを修正していくのです。

つまり、「少し失敗はしたが、全てがダメだったわけではない。この経験を次に活かそう」といった、より柔軟な考え方に変えることで過度な落ち込みを防ぐことができるようになっていきます。

深呼吸

手軽で即効性のある対処法として非常に有効なのが「深呼吸」です。特別な道具や場所を必要とせず、いつでもどこでも実践できるシンプルな方法です。

鼻からゆっくりと息を吸い込みながらお腹を膨らませ、次に口からゆっくりと時間をかけて息を吐き出しながらお腹をへこませます。このとき、息を吐き出すことに意識を集中すると、よりリラックス効果が高まります。

ゆっくりとした腹式呼吸を行うと、リラックス状態を司る副交感神経系が活性化されます。これにより、心拍数が落ち着いて血圧が下がり、筋肉の緊張が和らぎ、心身がリラックスした状態へと導かれます。感情が高ぶっているときに深呼吸を行うことで、感情の波を鎮める効果が期待できます。

リフレーミング

リフレーミングは、出来事や状況に対する見方・捉え方(フレーム)を意図的に変えることで、それに伴う感情を変化させる思考法です。同じ出来事であっても、それをどのような視点から捉えるかによって、私たちの感情は大きく変わります

たとえば、「コップに半分の水が入っている」という状況に対して、「もう半分しかない」と捉えるか「まだ半分もある」と捉えるかによって感じ方が変わります。リフレーミングは、ネガティブな感情を引き起こすような捉え方をしている場合に、別の視点や解釈を見つけ出し、よりポジティブな感情へと転換させることを目指します。

リフレーミングは、出来事そのものを変えることはできなくても、それに対する自分の反応(感情)を選択する力を与えてくれる思考テクニックなのです。

感情とうまく付き合う方法

感情をコントロールするだけでなく、うまく付き合っていくという視点を持つことも重要です。ここでは、感情とうまく付き合う方法を紹介します。

自分の感情を理解する

自分が今、何を感じているのか、そしてなぜそのような感情が湧き上がっているのかを把握できるようにしましょう。自分の感情を客観的に認識し、その背景にある原因や欲求を理解できれば、感情に飲み込まれることなく、適切な対応をとることが可能になります。

日々の感情の変化を記録する「感情日記」をつけたり、感じている感情に具体的な名前をつけてみる「感情のラベリング」を試みたりするとよいでしょう。自分の感情を否定したり避けたりするのではなく、好奇心を持って理解しようと努めることが大切です。

ストレスマネジメントをする

感情の波を穏やかに保ち、うまく付き合っていくためには、「日頃からストレスを効果的に管理(マネジメント)すること」が重要です。過剰なストレスは心身のバランスを大きく崩し、感情のコントロール能力を著しく低下させるからです。

ストレスマネジメントでは、十分な睡眠時間の確保、栄養バランスの取れた食事、定期的な運動といった、基本的な生活習慣を整えることが土台となります。さらに、自分にとって効果的なストレス解消法を見つけ、日常生活の中に意識的に取り入れていくことが大切です。

信頼できる人に相談する

もし、辛い気持ちを抱えきれなくなったら、信頼できる人に相談するようにしましょう。自分の内面にある複雑な感情や悩みを言葉にして誰かに話すことで、気持ちが整理され、心の負担が軽くなることもあります。

相談相手から共感的な言葉や態度で受け止めてもらえれば、孤独感を和らげ、「自分は一人ではない」という安心感も感じられます。身近な人に話しにくい内容である場合は、専門家を頼るのもよいでしょう。

感情をコントロールするには考え方を変えるのも効果的

ネガティブな感情に支配されてしまうのは辛いものです。他人を変えるのは困難ですが、自分の考え方を変えることは可能です。考え方を少し変えて、少しでも心を楽にしていきましょう。

Jam著『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』では、悩みが消えていくような心が軽くなる考え方を紹介しています。漫画とともにわかりやすく解説されているので、気負わずのんびりと読むことができます。

ぜひ手元に置いて、ネガティブな感情が広がりそうなときに読んでみてください。

この記事は書籍『 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。 』の関連コラムです。