「上司と話すとき、どうしても緊張して言いたいことが伝えられない…」
「初対面の人と話すのが苦手で、いつも会話が続かなくて困っている」
コミュニケーション能力、いわゆる「コミュ力」の不足に悩んでいる方は少なくありません。株式会社JTBの調査によれば、58%の人がコミュニケーションに苦手意識を持っているというデータもあります。
そこでこの記事では、コミュ力を高めるための方法として、以下の内容を解説します。
- そもそもコミュ力とはどのような意味なのか
- コミュ力を上げるために必要な3つの基本ステップ、
- 明日から即実践できる具体的なコミュ力向上テクニック
コミュ力は生まれつきの性格だけで決まるものではなく、正しい方法で練習すれば誰でも確実に向上できるスキルです。ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそもコミュ力(コミュニケーション能力)とは何?

まず前提として、社会人やビジネスシーンにおける「コミュ力」とは何なのか、根本的な内容について解説します。
1. コミュ力の基本要素と重要性
コミュ力とは一般的に、人との会話や意思疎通を円滑に行う能力のことを指します。単に「話すのが上手」なだけではなく、相互理解を深めるための総合的なスキルという点が重要です。
コミュ力の基本要素は主に「伝える力」「聴く力」「場を読む力」から成り立っています。伝える力は自分の考えや感情を相手に分かりやすく伝える能力、聴く力は相手の話を理解し、共感する能力、場を読む力は状況や相手の気持ちを察して適切に対応する能力です。
厚生労働省の調査によれば、企業が採用時に最も重視する能力の第1位が「コミュニケーション能力」となっています。また、コミュ力は仕事だけでなく、プライベートな人間関係においても非常に重要なため、少しずつでも身につけていくことが大切です。
2. コミュ力が高い人と低い人の特徴比較
コミュ力の高い人と低い人には、明確な違いがあります。
コミュ力が高い人は自分の考えを積極的に伝え、相手の話を遮らず最後まで聞く傾向があります。また表情やジェスチャーが豊かで、相手の名前を効果的に使いながら会話を進めます。
共通点を見つけて会話を発展させる能力にも長けていて、深読みしすぎず、必要なら確認するという柔軟さも持ち合わせています。
一方、コミュ力が低い人は自分から話しかけることが少なく、周囲の目を過剰に気にしすぎる傾向があります。相手の感情や意図を深読みしすぎたり、自分のペースで一方的に話したりすることも特徴です。会話が単調になりがちで、質問が少ないため会話が広がりにくいという課題も抱えています。
コミュ力が高くなるためには、特徴の差を埋めていかなくてはなりません。
3. 「人見知り」や「内向的」でもコミュ力は上げられる
「私は人見知りだから…」「内向的な性格だから仕方ない」と諦めている方も多いでしょう。しかしコミュ力は生まれつきの才能ではなく、誰でも練習で向上させられるスキルです。
実は、内向的な性格の方が持つ強みもあります。じっくり考える習慣があり、相手の話を丁寧に聞ける点は大きなアドバンテージです。また、一度築いた関係は深く長続きすることも特徴的です。
内向的な方は、自分のペースで少しずつコミュニケーションの機会を増やしていくことで、確実にコミュ力を向上させることができます。急激な変化を求めるのではなく、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。
【まずは確認】コミュ力を上げるために必要な3ステップ

コミュ力向上には、まずは全体像を把握することが大切です。個別のテクニックを学ぶ前に、基本的な3つのステップを理解しましょう。
1. マインドセットを築く
コミュ力向上の第一歩は、正しいマインドセットを築くことから始まります。完璧を求めすぎないこと、失敗を恐れずチャレンジする姿勢を持つことが重要です。相手も自分と同じく不安を感じていると理解し、コミュニケーションは相互理解が目的だと認識しましょう。
多くの人は「上手く話せないかも」という不安から、ついつい深い会話を避けがちです。ただし、コミュニケーションは練習によって上達していくものなので、最初は緊張しても、少しずつ慣れていくことが大切です。
2. 相手の話を「聴く」スキルを高める
コミュ力の8割は「聴く力」だと言われることもあります。相手の話を丁寧に聴けるようになると、自然と会話が弾むようになります。
効果的に「聴く」ためには、アイコンタクトを取りながら聴くことが大切です。相槌を適切に打ちながら質問をして関心を示すと、相手は話しやすくなります。先回りして結論を出さず、相手の感情に寄り添うことも忘れないでください。
「聴く」ことは単に黙って聞くことではなく、積極的に相手に関心を持ち、理解しようとする姿勢が重要です。
3. 自分の考えを「伝える」スキルを磨く
相手の話をしっかり聴いたら、次は自分の考えを伝えることです。伝え方一つで、同じ内容でも相手に与える印象は大きく変わります。
効果的に「伝える」ためには、結論から先に伝え、具体例を交えて話すことが効果的です。専門用語や難しい表現を避け、表情や声のトーンを意識しながら、相手の反応を見ながら話すことで理解度を確認できます。
伝える内容を事前に整理しておくと、スムーズに会話が進みます。また、相手の理解度を確認しながら話すことで、一方的な会話を避けられます。
即実践できるコミュ力向上テクニック7選

理論を理解したら、次は実践です。明日から即活用できる具体的なテクニックを7つ紹介します。
1. アクティブリスニングで相手の話を深く理解する
アクティブリスニングとは、相手の話を積極的に理解しようとする聴き方です。相手の話を遮らず、「なるほど」「それで?」など多様な相槌を使いながら聴きましょう。話の内容を要約して確認したり、オープンクエスチョン(自由に答えられる質問)を使って深掘りすることも効果的です。
例えば、相手が「最近忙しくて大変なんだ」と言ったとき、「そうなんだ、どんなことで忙しいの?」と質問すると、会話が広がります。単に「大変だね」で終わらせるより、相手の状況を理解しようとする姿勢が信頼関係構築につながります。
2. 効果的な質問で会話を広げる
質問は、会話を広げる最も効果的なツールです。質問の種類や内容によって会話の流れが大きく変わります。
具体的には、クローズドクエスチョン(はい/いいえで答えられる質問)とオープンクエスチョン(自由に答えられる質問)をバランスよく使うことが大切です。「なぜ」で始まる質問は圧迫感を与えることがあるので注意しながら、相手の興味がある話題について質問しましょう。相手の回答に対してさらに質問を重ねると、会話が自然と深まります。
例えば「映画は好きですか?」という質問で、相手から「はい/いいえ」を引き出します。
もし、はいと答えたら「どんな映画が好きですか?」と、オープンクエスチョンを投げましょう。いいえの場合は「どんなことが趣味なんですか?」と聞くと、話を広げられます。
このように、クローズドとオープンの質問を織り交ぜて、話を広げていくのが効果的です。
3. 相手の気持ちに寄り添う
共感力は高いコミュ力の核心です。相手の気持ちを理解し、寄り添うことで信頼関係が生まれます。
相手の感情を言葉で確認したり、類似の経験を短く共有したりすることで共感を示せます。相手の立場になって考え、批判や否定を避けることも大切です。
例えば、相手が「プレゼンで緊張してしまった」と話したとき、「それは大変でしたね。私も緊張することありますよ」と共感を示すと、相手は安心して話を続けられます。
4. 例え話を効果的に使う
難しい概念や抽象的な考えは、例え話を使うと伝わりやすくなります。相手が理解しやすいよう工夫しましょう。
相手の知識や経験に合わせた例えを選び、具体的でイメージしやすい例えを使うことが大切です。短く簡潔に伝え、必要に応じて複数の例えを用意しておくとさらに効果的です。
例えば、プロジェクト管理について説明するなら、以下のようなイメージです。
「リソースを集めて、計画し、実行して評価するという手順は、例えば料理に似ています。材料を集めて、レシピを確認して、調理して味見するという工程です。」
今回は、料理に例えましたが、他にも手芸などいろいろな例えが使えます。すぐにパッと浮かぶまでには練習が必要ですが、常に「いい例え話がないか」とイメージするようにしましょう。
5. 共通点を見つけて会話を広げる
人は自分と共通点がある人に親近感を抱きます。共通点を見つけることで、初対面でも距離が縮まります。
出身地や学校、趣味などの基本的な情報から共通点を探りましょう。「実はわたしも〇〇なんです」と共通点を示すことで会話が一気に親密になります。
共通点は、少しでも関連性があれば問題ありません。例えば「趣味でバンドをやっている」という人に対して「私の兄もバンドをやっています」のような、自分ごとではない話でも共通点として認識されます。
会話の中から共通点を探していくイメージで、相手の話を聞いてみてください。
6. 相手の名前を効果的に使う
初対面の挨拶で名前を確認し、会話の中で時々名前を入れることで関係性が深まります。「〇〇さんはどう思いますか?」と意見を求めたり、呼び方が不明な場合は「何とお呼びすればよいですか?」と確認するのも良いでしょう。
例えば「田中さん、それはいい考えですね」と名前を入れると、単に「いい考えですね」と言うよりも相手に届く言葉になります。ただし、使いすぎると不自然になるので注意しましょう。
7. 非言語コミュニケーションを味方につける
言葉だけでなく、表情やジェスチャー、姿勢などの非言語要素もコミュニケーションの重要な一部です。
自然な笑顔を心がけ、アイコンタクトを適度に取ることで信頼感が生まれます。相手に体を向けたり、腕を組むなど閉じた姿勢を避けたりすることも大切です。
具体的には、相手の話を聞くときに少し前のめりになり、うなずきながらアイコンタクトを取ると、「あなたの話をしっかり聞いていますよ」というメッセージが伝わります。
コミュニケーションのうち、55%は視覚から情報を受け取っているという法則(メラビアンの法則)もあるため、リアクション面にも意識を向けるようにしてみてください。
基礎を理解して、少しずつコミュ力を高めよう

コミュ力は一朝一夕で身につくものではありません。しかし、基本を理解し、日常的に実践することで確実に向上します。
コミュ力向上のためには、小さな成功体験を積み重ねることが何よりも大切です。失敗から学び、次に活かす姿勢を持つことで、着実に成長できます。1日1回は新しいテクニックを試してみて、相手の反応を観察し、効果があった方法を続けてみましょう。
また、コミュニケーションにおいては、「使う言葉」によって相手の印象を大きく変えられます。言葉づかいを変えていきたい方には、『なぜか感じがいい人のかわいい言い方』という本がおすすめです。本書では、話しやすい空気になる言い方のコツを、さまざまパターンを通して紹介しています。興味がある方は、ぜひ内容を確認してみてください。