ふと過去の出来事を思い出し、そのたびに怒りが込み上げてきて、やり場のない気持ちになることがあります。過去を変えることはできないのに、イライラして何も手につかなくなってしまうのです。
無意味だとわかっていても止まらない怒りをおさえるにはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では、思い出し怒りの鎮め方と、怒りに支配されないための考え方について解説します。ぜひ最後まで読んで、穏やかな気持ちで毎日を有意義に過ごすヒントを見つけてください。
目次
「思い出し怒り」が止まらない原因
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ここでは、思い出し怒りが止まらない原因について見ていきましょう。
感情を抑圧している
怒りや悲しみなどのネガティブな感情を抱いたとき、それを表に出さずに心の中に閉じ込めてしまうことがあります。抑圧された感情は少しずつ膨らんでいき、過去の出来事を思い出すという小さなきっかけで爆発し、「思い出し怒り」として噴出してしまいます。
とくに、幼少期から感情を抑えることを強いられてきた場合や、周囲の目を気にして感情を表に出せない環境にいる場合は、この傾向が強くなります。感情を適切に表現する機会が少ないことが、怒りの感情を増幅させる一因となっているのです。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人は、他人の言動を自分への攻撃や否定と捉えやすく、被害者意識を持ちやすくなります。過去の出来事を、自分を否定された経験として解釈することで、怒りを感じやすくなるのです。
また、自己肯定感が低いと、自分の感情を認めることが難しく、怒りを適切に処理する能力も低下します。そのため、怒りが解放されることなく心の中に蓄積され、過去の出来事を思い出すたびに、怒りが再燃してしまうのです。
ストレスの影響
過度のストレスは、自律神経のバランスを乱し、感情のコントロールを難しくします。ストレスを抱えていると、些細なことでイライラしやすくなり、過去の出来事を思い出すたびに、通常よりも強く怒りを感じてしまうことがあります。
また、ストレスによって睡眠不足や疲労が蓄積すると、感情のコントロールはさらに難しくなります。日常生活におけるストレスが感情を乱し、過去の怒りを呼び起こしやすくするのです。
病気の可能性
病気が「思い出し怒り」を引き起こしている可能性も否定できません。たとえば、アスペルガー症候群や発達障害の一部では、感情のコントロールが難しい、過去の出来事を強く記憶しているなどの特徴があり、それが「思い出し怒り」につながることがあります。
また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神疾患も、「思い出し怒り」の原因となる場合があります。過去のトラウマ体験がフラッシュバックのように蘇り、その際に激しい怒りを感じることがあるのです。
もし、「思い出し怒り」が日常生活に支障をきたすほど頻繁に起こる場合は、専門機関に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
止まらない「思い出し怒り」を鎮める5つの対処法
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ここからは、怒りを鎮め、穏やかな心を取り戻すための5つの対処法を紹介していきます。
- 怒りを紙に書き出す
- 運動でストレスを発散する
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
- アンガーマネジメントを実践する
- 「今、ここ」に集中する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.怒りを紙に書き出す
怒りを感じているときは、頭の中で感情が渦巻いて、何が原因で怒っているのか、どうすれば良いのかが分からなくなってしまうことがあります。そこで、自分の感情を客観的に捉え、整理するために、紙に書き出すという方法があります。
まず、怒りを感じた出来事を詳しく書き出します。次に、その出来事に対して、自分がどんな感情を抱いたのかを具体的に書き出します。このとき、言葉遣いや内容を気にせず、感じたままを正直に書くことが大切です。
書き出すことで怒りの原因が明確になり、感情を客観的に見つめ直すことができます。さらに、書き出した紙を破って捨てると、気持ちがスッキリしてきます。
2.運動でストレスを発散する
運動をすると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制され、代わりに幸福感をもたらすエンドルフィンが分泌されます。これにより、気分がリフレッシュされ、怒りの感情が和らぎます。
激しい運動である必要はなく、ウォーキングやジョギング、ストレッチなど、軽い運動でも効果があります。運動の種類よりも、継続することが大切です。怒りがおさまらないときは、少し散歩に出かけるだけでも冷静になってきます。
3.信頼できる人に話を聞いてもらう
怒りや不満を一人で抱え込んでいると、その感情は増幅し、なかなか解消されません。そこで、信頼できる友人や家族などに、自分の気持ちを打ち明けてみましょう。話を聞いてもらうことで、自分の感情を客観的に捉え直すことができます。
また、相手から共感やアドバイスをもらうことで、気持ちが楽になることもあります。ただし、話をする相手は、自分の感情を否定したり、安易な解決策を押し付けたりしない、信頼できる相手を選ぶことが重要です。
4.アンガーマネジメントを実践する
アンガーマネジメントとは、怒りの感情をコントロールするための心理トレーニングのことです。たとえば、怒りを感じたときに、深呼吸をしたり、別のものに意識を向けたりして冷静になれるようにします。
アンガーマネジメントを学ぶことで、怒りを爆発させる前に、冷静に対処するスキルを身につけることができます。書籍やセミナーなどを活用して、自分に合ったアンガーマネジメントの方法を習得し、実践してみましょう。
5.「今、ここ」に集中する
「思い出し怒り」は、過去の出来事に囚われていることで生じます。「今、ここ」に意識を集中することができれば、過去の出来事から意識を切り離し、怒りを鎮めることができます。
代表的なものには、マインドフルネス瞑想や呼吸法などがあります。瞑想や呼吸法を行うことで、自分の呼吸や体の感覚に意識を集中し、過去の出来事にとらわれずに「今」を生きることができます。
「今、ここ」に集中することで、怒りや不安に振り回されにくい、穏やかな心を保つことができるのです。
「思い出し怒り」を生まない考え方を身につける
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怒りを生まないような考え方を身につけておくことも効果的です。ここでは、心が軽くなる考え方を紹介していきます。
自分のために忘れると決める
怒りを抱えているとき、自分の中では相手と戦っているイメージですが、実際はシャドーボクシングのように自分だけが頭の中で架空の相手と戦っています。傷つけられた言葉を何度も思い出したり、相手は実際よりも嫌な人になっていたりします。
このようにして怒りを溜め込むうちに、仕返ししたくなったり、同じ目に合わせたいと思ったりし始めます。しかしそれは、嫌な相手と同じ自分になるということ。嫌な相手のために、嫌な自分になる必要はありません。
怒りを覚える相手のことは、「自分のために」忘れると決めましょう。
相手は何をしたかも覚えていない
思い出すたびに怒りが込み上げてくるような思いをしたとしても、その原因となる相手は何をしたのかさえ覚えていないものです。怒りを感じてしまうと、そのことばかり考えてしまいがちですが、相手は自分のことなどまったく気にせず、パフェでも食べているかもしれません。
自分がいつまでも過去の出来事に囚われているのに、相手は何も気にしていないのなら、怒りを感じ続けることは無意味になります。時間とエネルギーの無駄遣いになるとわかれば、怒りを手放すことができるはずです。
頭の中から追い出し続ける
過去の嫌な出来事は、ふとした瞬間に頭に浮かんでくるものです。そのたびに、嫌な感情が蘇り、怒りがこみ上げてくるかもしれません。しかし、その感情に引きずられるのではなく、意識的に頭の中から追い出すようにしてみましょう。
思い出すたびにイライラして、そのことにたくさんの時間を使うのは、人生の中の貴重な時間を食い潰しているということ。本当にもったいないのです。
「よし、追い出すぞ!」と覚悟を決めて、何度でも頭の中から追い出し続けてみましょう。繰り返し続けることで、それが当たり前になっていくはずです。
合わない人は幸せの担当が違うだけ
人間関係において、どうしても相性が合わないと感じる相手は存在します。その相手の言動に腹を立て、過去の出来事を思い出すたびに怒りがこみ上げてくることもあります。しかし、それは単に、その人とは価値観や考え方が異なるだけであり、どちらが悪いというわけではありません。
自分と合わない相手は、単に「自分の幸せ」を担当する人ではないだけであり、その人自身の幸せを否定するものではないのです。「別の誰かと幸せになってくださいね」という気持ちで離れるようにすると、気分も良く、罪悪感も感じません。
怒りを覚えるような嫌な人だからといって、不幸を願ってしまうと、いつまでも相手のその後が気になって、気持ちが離れられなくなることが少なくありません。無理に相手を変えようとしたり、相手を憎み続けたりするのではなく、「この人は、幸せの担当が違うだけ」と考えてみましょう。
思い出し怒りから解放されるには考え方を変えてみる
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思い出し怒りに支配されてしまうと、貴重な時間を無駄に使ってしまうことになります。人間ですから、嫌な気持ちになったり、ときには怒りを覚えることもあります。しかし、それを引き摺らないように、上手にコントロールできるとストレスが減り、心が楽になります。
日ごろからストレスを溜めないように、自分を守る考え方をしたいと思うなら、Jam著『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』がおすすめです。SNSや人間関係、職場、自分に対するモヤモヤや悩みを消してくれる考え方を知ることができます。
ぜひ本書を手に取って、心が楽になる考え方を身につけ、嫌な気持ちを頭から消していってください。