好きにこだわれ~女子ボクシング世界王者を生んだ"行動力"の流儀~

何者でもなかった私が、世界チャンピオンになるまで。by Miyo Yoshida|NY在住 世界王者プロボクサー

#連載エッセイ
#好きにこだわれ~女子ボクシング世界王者を生んだ"行動力"の流儀~

自問自答の日々/何者でもない自分探し

高校は通信制を選び、16歳で一人暮らしを始めました。アルバイトを掛け持ちし、昼も夜も働き続ける日々。居酒屋、バー、引越し屋、イベント運営、屋台…とにかくお金を稼ぐことで、自分の存在意義を確かめたかったのかもしれません。「働きマン」というあだ名がつくほど、仕事に明け暮れ、気づけば20歳までに600万円を貯金していました。
しかし、心は空っぽのまま。「私は何者なんだろう?」と、自問自答する日々は続きました。どんなに働いても埋まらない虚無感が、私の心に重くのしかかっていました。

暗黒時代からの脱出/運命を変えた1枚のポスター

20歳を目前に控えたある日、友人と訪れたデパートで「海外留学」のポスターが目に飛び込んできました。その瞬間、まるで時間が止まったかのようにポスターが輝いて見えました。心の中で「これだ!」と直感が叫んでいました。何の根拠もない、でも確信だけはありました。
帰宅後すぐに海外留学について調べ始め、気づけば毎晩パソコンの前で夢中になっていました。これが私の人生を大きく変えるきっかけになるとは、あのときの私も想像していなかったでしょう。

未経験からの挑戦/ハワイでの格闘技留学へ

その日から、毎日インターネットで海外留学について調べました。まず、自分を見つめ直すと、学歴なし、語学力0、海外のツテ一切なし。唯一の特技、体を動かすこと。
体を動かせて、どうせならこの歳からはじめても1番を狙えるものはないかなと、マトを絞り見つけ出したのがハワイでの格闘技留学でした。
20歳の誕生日、英語が全く話せない状態で飛行機に乗り込みました。不安もありましたが、それ以上に「ここから新しい自分が始まる」というワクワク感が勝っていました。

リアルガチンコファイト/人生初のスパーリング

ハワイに到着すると、そこは観光地とは程遠い、治安の悪い地域ワヒアワ。生活環境は過酷で、寮のトイレが詰まって道場が浸水するという最悪のスタート。しかし、最大の衝撃は初日のスパーリング。いきなりローカルの強豪選手と殴り合いをさせられ、全く歯が立たずボコボコにされました。
けれど、不思議なことにその瞬間、「ああ、私、生きてる!」と実感したのです。悔しさや痛みを超えて、今までの挫折や迷いがすべて報われた気がしました。涙が溢れ出したのは、苦しんだ過去を否定するのではなく、すべてが必要な経験だったと気づけたからでした。

おわりに/すべての経験が私を作った

何者でもなかった私が、数えきれない失敗と挫折を経て、世界チャンピオンになることができました。どんなに辛いことも、逃げ出した過去も、すべてが今の私を形作る大切なピースです。
もし、この記事を読んでいるあなたが「自分は何者なんだろう?」と迷っているなら、心配しないでください。答えはきっと、あなたの中にすでにあるはずです。私がそうだったように、自分の人生を信じて一歩踏み出してみてください。その一歩が、きっと未来を変える力になるはずです。


吉田実代 (Miyo YOSHIDA)
NY在住 世界王者プロボクサー / 9歳の娘を育てる「闘うシングルマザー」
鹿児島県鹿児島市出身 / 沖永良部島観光親善大使

主な戦績
・初代 日本女子バンタム級王者
・第6代 OPBF東洋太平洋女子バンタム級王者
・WBO女子世界スーパーフライ級王座(第5代・第7代)
・IBF女子世界バンタム級王座(第8代)

活動
・社会貢献(ゴミ拾い、募金、児童養護施設訪問 など)
・講演&ボクシングレッスン(日本サッカー協会「夢先生」、NY日本人学校 ほか)

これからの夢
・主要4団体の全ベルト制覇
・本の出版
・「Miyoフェス」開催

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