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自分を見下してくる先輩がツライ。戦わずに解決する方法とは?

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職場での人間関係の悩みは多かれ少なかれ誰しもにあるもの。「どうしてあんな態度やひどいことが言えるんだろう?」と思うような人でも、その原因や初期対応を知っていればあなたが無駄に傷つかず、最小限の被害で済ますことができます。今回は「人を見下す人の対処法」を、人間関係を防災に例えて解説した『職場の人間関係防災ガイド』よりご紹介します。

自己顕示欲 火山の噴火

 

先輩にボクが失敗すると『こんなこともできないのかよ!』ってめっちゃ大ごとみたいに怒るけど、自分が失敗すると笑って誤魔化す人がいるんですよ。人に厳しく、自分に甘くてイヤになります。
大変ですね。自分以外はみんなバカって思っている典型でしょうか?
そうなんです!一度、耐えかねて『先輩も前、間違えてましたよね?』って言ったらそれ以来、すれ違いに『お疲れ様です』って言ってもスルーされたり、態度が明らかに冷たくなったんです。まいっちゃいます。

人を見下すのは、愛されるための手段!?

このタイプは自分の実績を過大評価し、周りから称賛を得ようと、自分の有能さを常にアピールします。「自分以外は無能で何を言ってもムダ」と他人を過小評価し、自分は特別ですごい人とだけ付き合うべきと権力者や有名人との交流を自慢します。権力者と自分を同一視し、自分が優秀で成功者だと見せかけるのが目的です。でもそんなふうになってしまった裏には、ちょっと切ないストーリーがあるんです。自己顕示欲の強い人は幼い頃から、「そのままの君でOK」「生きているだけでOK」と無条件に愛された経験がないんです。「勉強ができたら」「一番になったら」など、親の期待に応えてないと見捨てられる、価値がないと感じる、条件付きの愛しかもらえませんでした。すると「愛されるため、認められるためには条件をクリアにしなければならない」と考えるようになります。だから期待に応えるために勉強やスポーツをがんばったり、兄弟姉妹のめんどうを見たり努力をして実際に結果を出してきた人も多いのが特徴です。
このような経験から、本当の自分を見せたら愛してもらえないと思いこんで、100点満点の自分を演じてしまうんです。
それが周りには、自己顕示欲の強い人と映るんです。自己顕示欲が強い人は周りの人を批判するくせに、自分は批判されたり、叱責されることに非常に弱いのも特徴です。人から指摘や反対をされると、自分の存在を否定されたように感じ、自尊心が傷つきます。それで、自己防衛のために相手に噛みついてしまうのです。第一印象は良くても、次第にメリットがある人にはいい顔をし、そうでなければ、この人には気を使う必要なしと判断し、「はぁ?」「何?」などと横柄な態度をとり始めます。

対処するには先に相手を褒める

この防災方法は、「相手がアピールしたいことを先にほめる」のが有効です。
自分を称賛し、気分を良くしてくれる相手=メリットのある人物と判断するため、あなたをバカにする確率が減ります。ただ自己愛の問題は根深く、本人も気づいていない場合が多いのです。自分で等身大の自分にOKを出し、他者承認ではなく、自己承認できるようにならなければ、根本的な解決はできません。
ある企業では社員の誕生日に必ず朝礼で「おめでとう」を伝え、お祝いします。これは「生まれてきてくれて、ありがとう」と無条件で相手を認める行為です。相手が努力している点やがんばっている点にフォーカスし、「○○さんがいてくれるだけで安心する」など、存在そのものにOKを出すことも忘れずにやっていきましょう。
こうした積み重ねで、相手が「完璧じゃなくても、欠点があっても、ありのままの自分でOK」と思えれば、根本解決に近づきます。

カッとなっても怒るのは絶対にNG

相手にバカにされた場合、怒ってしまうと泥沼の戦いになるので避けましょう。次の日からあいさつしても無視とか、会議であなたの初弁に必ずケチをつけるなどの攻撃が始まります。1日3食食べる人が朝ごはんを抜いたら、腹ペコでお昼ごはんはガツガツ食べちゃいますよね?
同様に、このタイプは、幼い頃に愛情というごはんをもらえなくて飢えてる人。だから、称賛されたい。そのために人を見下して、自分はすごいと思いたいだけ。愛情飢餓だから、しょうがないって思うと気持ちがラクになりませんか?
相手があなたを見下してきた場合、カッとなって言い返すのは厳禁。このタイプは自尊心が傷つきやすく、挫折に弱いので、自分の思い通りにならないと激昂したり、あなたを無能呼ばわりすることも。それがパワハラなどに発展したり、逆に相手が挫折から立ち直れず体調を崩すことも。「これは私の仕事ではない」「できるけど、やらない」など現実逃避をすることまであるんです。

何か注意や指導をする場合は、個人的な見解ではなく、会社のルールやデータなど客観的な指標から評価を下していることを本人にわかるように伝えることで納得してもらいやすくなります。

相手が見当違いな発言をしても、頭ごなしに「いや、そうじゃなくて……」と否定すると相手のプライドを傷つけるので「私も最初、そう思ったのですが……実は○○らしいですよ」と伝え、摩擦を避けるのが無難です。

我慢しない・戦わない・悩まない 丸く収めるには相手を知ること

今回紹介した『職場の人間関係防災ガイド』は、クセの強い、めんどくさい相手と戦うための本ではありません。
嫌な相手の不幸な子ども時代や実は本人が一番苦しんでいるという真実を知ったとき、嫌いな人から、好きな人までもいかなくても、嫌いでも好きでもない普通の人に変化することができたら、あなたは恐れをも手放し、もっと自由で幸せになれるはずです。
キャリアカウンセラーとして1万人以上の相談者の体験談聞いてきた著者の藤本梨恵子さんが、心理学をベースに人間関係のトラブルを未然に防ぐ方法を解説。また万一、トラブルに巻き込まれても、適切な初期対応を知っていれば最小限の被害で済む、まさに人間関係の防災ガイドです。
人間関係の防災の知識があれば、あなたはストレスを抱えることなく、良い関係を築くことができ、本来の仕事に力を注ぐことができます。