私が著者になるまで

ジャンクフード依存から自然食のプロに。選び方がわかれば「食」はもっと楽しくなる!/あるとむ

#私が著者になるまで

「食生活を見直したいけど、なにから始めればいいの?」

そんな方におすすめの『食の選び方大全』(サンクチュアリ出版)は、さまざまな食品の選び方を基礎からわかりやすく教えてくれる本。自然食品店での仕事をきっかけに、ジャンクフード依存&体調不良から脱した経験をもつ著者のあるとむさんは、どんな思いでこの本を書いたのでしょうか。出版の背景に迫りました!

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この記事は書籍『 食の選び方大全 』の関連コラムです。

食べものを選ぶ基準が増えれば、食はもっと楽しくなる

聞き手
待ってました!「食品の選び方」がわかる本。

日本では健康への意識が年々高まっていますが、それにともなって情報過多も進んでいますよね。結局どれを選べばいいのかわからない、私のような迷子にはとってもありがたいです。

そう言っていただけてうれしいです!
あるとむさん
聞き手
500ページ超えというボリュームに驚きましたが、カラーの漫画やイラストがたくさん載っているし、あるとむさんの文章もわかりやすくて、スラスラ読めました。
当初は「選び方」「つくり方」「考え方」の3部構成にする予定だったんですが、選び方だけでも伝えたいことがありすぎて、選び方に焦点をあてた現在の形になりました。編集前はこの1.5倍くらい原稿があったんです(笑)。
あるとむさん
聞き手
あるとむさんの知識量にびっくり! 一気に全部読まなくても、気になるところから小分けにして読める構成になっているのがいいなと思いました。「まずは『塩』の選び方から知ろう」とか、「とりあえずおすすめ商品を買ってみよう」とか、初心者でも自分のペースでトライできるので。
そこはまさに、編集の大川美帆さんと一緒にこだわったポイントです。もともと僕が構想していたのは、ふだんから自然食を選んでいる人でも知らないような情報をメインにしたマニアックな本。でも、「世間はもっと初歩の初歩を知りたい」という意見を大川さんからいただき、初心者の方に向けた内容にシフトしたんです。

原稿を書くときも、食の知識がまだなかったころの自分自身に伝えるようなイメージで、わかりやすく書くことを心がけました。

あるとむさん
聞き手
そうだったんですね。ご自身の知識を棚卸ししてみて、新たな気づきはありましたか?
パンの選び方の原稿を書いていたとき、ハッと気づかされることがありました。パンはグルテンや添加物の観点から見ると「健康によくない」といわれることが多く、SNSなどでも「パンはダメ」という発信がよくあります。僕も以前はそう考えていました。

でも、原稿を書くうえで生産者の方の声も聞きたいと思い、あるパン屋さんに行って「どんなことをイメージしてパンをつくっていらっしゃるんですか」とお聞きしてみたら、菓子パンを指しながらおっしゃったんです。「お子さんが喜んでくれる顔を想像しながらつくっています。こういうパンって毎日は食べられないから、特別な日に食べてもらいたい」って。

あるとむさん
聞き手
いい話……。
それを聞いて痛感したのは、「食べものにも役割がある」ということ。以前の僕は、食の知識があるばかりに、体にいい・悪いだけで食べものを判断してしまっていた部分がありました。でも、健康的な体をつくることだけが食べものの役割じゃない。単に良し悪しで判断して、その奥にいる生産者の方を不用意に傷つけてしまってはいけない、と気づいたんです。

もっといえば、食べものが担う役割も人によって違うし、良し悪しだってその人の体質や体調やライフスタイルによって変わってきます。0か100ではなく、いろんな食べものの選択肢を増やして、その時々に応じて自分に合うものを喜んで食べる。それがいちばん大切なことなんじゃないかと思うようになりました。

あるとむさん
聞き手
なるほど。本のなかで「これは食べちゃダメ」という表現がないことも好印象でしたが、そうした背景があったんですね。
今回、パン屋さんだけでなくさまざまな生産者の方のお話を聞く機会があり、僕自身がニュートラルな状態に引き戻された感覚でした。食べものを選ぶ基準をたくさんもつことで、食はもっと楽しくなる。そう気づいてから、お店のお客さまへの伝え方もずいぶん変わったと思います。
あるとむさん

やりたいことリストが即実現! 出版への軌跡

聞き手
『食の選び方大全』は、あるとむさんにとって初の著書ですよね。どういう経緯で出版することになったんですか?
それが、ちょっと信じられない話なんですけど……。僕、毎年お正月に、その年にやりたいことを10〜20個書き出しているんですが、2023年に書いたうちのひとつが「本を書く」だったんです。2021年はSNSの発信をがんばって、2022年はブログをたくさん書いたので、次は本を書いてみたいなと。そのときはKindleでのセルフ出版を想定していました。

そしたら、1週間もしないうちに大川さんから「本を書きませんか」とDMをいただいたんです。食の本をつくりたいと思っていたときにちょうど僕のブログを見つけて、あらゆる食品の情報を網羅していたことや、もともと僕がジャンクフード依存で初心者目線ももちあわせていたことに興味をもってくださったそうです。うれしくてすぐに「ぜひやらせてください」とお返事しました。

あるとむさん
聞き手
夢を引き寄せたんですね……!
もうびっくりしました。ちなみに、この本を書くための取材で宮崎県へ行かせていただいたんですが、じつは2022年のやりたいことリストに「宮崎に行く」と書いていて……。たしか、テレビで宮崎の地鶏が紹介されていて興味をもったんだと思いますが、あとからリストを見直したときに気づいて驚きました(笑)。
あるとむさん
聞き手
この本の野菜パートを監修された高城嘉樹さんの取材ですね。引き寄せの効果がすごすぎる(笑)。高城さんや、イラストを担当された浜竹睦子さんとは、もともとつながりがあったんですか?
高城さんは有機野菜の農園や宅配事業を手がけていらっしゃる方で、僕は存じあげていましたが直接の面識はなく、大川さん経由でオファーさせていただきました。浜竹さんも大川さんがInstagramで見つけてくれたんです。食べものをすごくリアルにおいしそうに描かれる方で、取材から原稿まで担当いただけて感謝しています。
あるとむさん
聞き手
みなさんの力が結集してできた本なんですね。実際に出版してみて、読者の方からの反響はいかがですか?
本当にたくさんのメッセージをいただいていて、とてもうれしいです。「添加物は全部ダメだと思っていたけど、添加物の種類やそれが使われる理由まで知れてよかった」といった感想もいただき、食の選択肢を提示したいという僕の思いが届いた気がしてホッとしています。

初心者の方だけでなく、有名な食の専門家の方や、食への意識が高い一般の方なども読んでくださっているようです。以前の僕のように、食べものの判断基準がシビアになりすぎて疲れてしまった方から「気が楽になった」と言っていただいたことも。じつは、そうした方に読んでいただくことも執筆中から想定していたので、お役に立ててうれしいです。

あるとむさん

食生活を変えたら、みるみる体調がよくなった

聞き手
現在は自然食のプロフェッショナルとして活動するあるとむさんですが、中学時代は毎日ハンバーガーばかり食べていたとか。
はい。家の最寄り駅にファストフード店ができて、そこが僕たちの溜まり場でした。僕は両親が共働きだったので、外食をすることが多く、親が置いていってくれるおこづかいで毎日のようにハンバーガーを食べていましたね。カップラーメンや菓子パンも子どものころから大好き。極度のジャンクフード依存だったんです。
あるとむさん
聞き手
いまとは180度違う生活だったんですね。
もともとアレルギーや便秘など体の不調がひどくて、学校もよく休んでいたんですが、食べものが原因とは思ってもいませんでした。ただ、20代で台湾に語学留学していたとき、感染症にかかってしまって……。40度の高熱が1週間続いて生死の境をさまよったあと、奇跡的に助かってなんとか日本に帰国したんです。

その後、両親のすすめで就職することになったのが、自然食品店の会社でした。研修で食について初めて教わったときは、知らないことばかりで衝撃を受けましたね。添加物のことや、農薬、化学肥料、遺伝子組み換えの問題など……。自分でも食生活を変えてみようと思って、お店の商品を食事にとり入れたり先輩からのアドバイスを実践したりしていったところ、みるみる体調がよくなったんです。

あるとむさん
聞き手
へぇ〜! そんなに変化があったんですね。
便秘は2週間くらいでよくなって、倦怠感や冷え性もだんだん解消。半年くらい経ったころには「めちゃくちゃ調子いい!」と実感するようになりました。そのうち、お店のお客さまから食事や体調の相談を受ける機会が増えてきて、もっと有益な情報をお伝えするために自分で勉強を始めたという感じです。
あるとむさん
聞き手
Xなどでも積極的に情報発信されていますが、これはいつごろ始めたんですか?
2020年からですね。会社とは別に個人でも食の大切さを伝えられたらと思って、Twitter(当時)とブログを始めたんです。コロナ禍で自宅時間が増えて、食生活を見直す人が多かったこともあって、想像以上に反響をいただきました。

SNSで発信するとき、インプレッションを獲得するためにわざと強い言葉や否定する言葉を使う人も多いんです。でも、さっき言ったように、食べものの良し悪しや役割はケースバイケース。「○○は体に悪い!」という断定的な発信を間に受けてしまうユーザーさんも多いと思うので、僕はできるだけマイルドな発信をするように心がけています。

あるとむさん

「地球環境のために食を選ぶ」という視点

聞き手
あるとむさんが自然食品店の仕事を始めたころと比べて、日本の食への意識はどう変化しましたか?
かれこれ15年くらい経ちますが、自然食というジャンルがだいぶ浸透してきたなと感じます。最近はふつうのスーパーでもオーガニック食品が並んでいたりしますしね。消費者の意識の高まりに応じて、消費者が求めるものをメーカーがきちんとキャッチしているのは、とてもいいことだと思います。
あるとむさん
聞き手
海外と比べるとどうなんでしょう?
ヨーロッパはオーガニック大国といわれるだけあって、意識がものすごく高いです。自分の健康のためだけでなく家畜や地球環境のために、家畜にやさしく環境への負荷が少ない生産方法でつくられた食品を選ぶという視点を多くの人がもっているんですよね。

その食品が「健康にいいか悪いか」という議論だと賛否両論ありますが、「環境にいいか悪いか」でいえば、答えは決まってきます。消費者の知識や感覚が深まって、食の選び方が変われば、生産者も変わっていくはずなので、日本もそうなっていくといいなと思っています。

あるとむさん
聞き手
『食の選び方大全』がそのきっかけになればいいですよね。ちなみに、あるとむさんの実際の食生活がすごく気になるんですが……どんな感じなんですか?
けっこうなんでも食べますが、大切にしているのは朝ごはんですね。一汁一菜で、ごはんとお味噌汁は欠かさないようにしています。調味料にこだわっているので、シンプルなメニューでもすごくおいしいんです。うちは子どもが3人いるんですが、妻も朝ごはんを大切にしたい考えなので、みんな朝からしっかり食べますよ。
あるとむさん
聞き手
外食をしたりは?
しますします。近所の餃子屋さんが家族みんな大好きで、月2〜3回は行きますね。ハンバーガーは食べなくなりましたが(笑)、お菓子とかも食べますし、みんなで食を楽しんでいます。
あるとむさん
聞き手
もっとストイックな食生活を想像していたので意外! こだわるところはこだわって、あとは自由に楽しむ。それなら私も真似できそうです。

やりたいことにどんどん挑戦して活躍の場を広げているあるとむさんですが、最後に今後挑戦したいことを教えてください!

思いつきでいろんなことをやりたいタイプなので、この先どうなるかはわかりませんが、僕に関わってくださった方やご縁があった方に喜んでいただける仕事をしていきたいです。お店のお客さまやSNSのフォロワーさん、2023年に始めたオンライン食養講座の生徒さん、みなさんが食を通じて少しでも幸せになってくれたら、僕もうれしいです。
あるとむさん
あるとむ
自然食品店長。食養アドバイザー。オーガニック料理ソムリエ。
幼少期からアレルギー、便秘、冷え性、花粉症、低体温などの不調に悩まされる。
極度のジャンクフード依存だったが、20代で体調を大きく崩し、健康と向き合う。
自然食の仕事をきっかけに、現代の食を取り巻く問題を知り衝撃を受ける。
本格的に食と向き合い、あらゆる食事・健康法を学び実践。
虚弱体質から脱却し、不安定だったメンタルも安定。
「食べものが心身をつくっている」と強く実感する。
現在は自然食・食養生の知恵をベースに、ブログやSNSで体と心を整える食の知恵を発信。
オンラインで食事改善のサポートもしている。
X:@arutom1031
BLOG:https://yasai-tabeyo.com/
note:https://note.com/arutom1031/
公式LINE:https://lin.ee/R7sbfkl
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この記事は書籍『 食の選び方大全 』の関連コラムです。