コーヒー豆をいざ買おうとしたとき、あまりの種類の多さに「何を選んだらいいか分からない……」という方は多いのではないでしょうか。
「コーヒーの銘柄を見てもどんな味がするか分からない」
「キリマンジャロやグアテマラといった文字を見ても、どんな違いがあるのか謎」
「コーヒー豆の値段が高くても、価値を感じられない」
という方向けに今回は、粕谷 哲著の著書『図解 コーヒー一年生』から、コーヒー豆の種類や産地、三大原種、焙煎について解説をします。本書は、身近なようで実はよく分からないコーヒーを、なんとなく分かった気になれる入門書です。好きなコーヒー豆を見つけたい、コーヒーの基礎知識を身に着けたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
コーヒー豆の種類の基礎知識
コーヒー豆は現在60か国以上で生産されています。その生産国の多くは、赤道をはさんで北緯25度から南緯25度以内のエリアに集中しており、平均気温20度以上の熱帯・亜熱帯地域です。このエリアをコーヒーベルトと呼びます。
またコーヒー豆は、「コーヒーノキ」という植物の実の中にある種のことで、実から種を取り出して焙煎したもが、私たちがよく見る茶色の豆になります。マメ知識として覚えておきましょう。
コーヒー豆の三大原種
流通しているコーヒー豆は「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」があります。
これらを「コーヒー豆の三大原種」と呼び特徴が異なります。
アラビカ種|後味すっきり
原産地はアフリカのエチオピア。アラビカ種に属するコーヒー豆は200種類以上もあると言われており、コーヒー生産量の65~70%を占めます。
味が繊細で、ほどよい苦さや酸味があり、香りに奥行きがある美味しい豆は、すべてアラビカ種に分類されます。高品質なレギュラーコーヒーとして提供されているものの、乾燥・霧・害虫には弱く、標高900m以上の高地で栽培されています。
ロブスタ種|苦味や渋味が残る
原産地はアフリカのコンゴ。生産量はアラビカ種に次いで、全体の30~35%を占めます。
ロブスタ種は独特の雑味があり、香りが少ないのですが、味がしっかりとしています。コーヒーの味はするけど、あまりおいしいものではないので、価格が安めです。インスタントコーヒーや、缶コーヒーによく使用されています。
ロブスタ種の世界最大の生産国であるベトナムでも、そのまま飲むことはせず、コンデンスミルクを混ぜて飲んでいます。
リベリカ種|ほとんど流通していない
原産地はアフリカのリベリカ共和国。リベリカ種の生産量はとても少なく、全体の1%以下です。
豆の形が不揃いで、苦味が強いのが特徴です。味と香り共に質が高いとは言えません。低地で栽培できて、高温多湿に強いため、栽培条件は厳しくないのですが、アラビカ種やロブスタ種よりも味が劣るため、生産量は低めです。
ヨーロッパや自国での消費がほとんどなので、日本で見かけることはほとんどありません。
コーヒー豆の種類と産地
代表的なコーヒー豆の種類と産地を紹介します。
- キリマンジャロ
- ブルーマウンテン
- モカ
- グアテマラ
- ブラジル
- コロンビア
- マンデリン
- トラジャ
- コナ
キリマンジャロ:産地タンザニア
タンザニアが産地のキリマンジャロ。浅煎りならワイルドな酸味で、深煎りならどっしりとした苦味と甘みが特徴です。
「ブルーマウンテン」「コナ」とともに日本では三大コーヒーと言われており、昔ならではの喫茶店で出されていることが多いです。標高の高さからくる軽くて爽やかな酸味が魅力です。
ブルーマウンテン:産地ジャマイカ
ジャマイカが産地のブルーマウンテンは、日本三大コーヒーのひとつです。ブルーマウンテンの山の限られた標高で作られた豆だけが「ブルーマウンテン」と名乗ることが許されています。
味や香りなどすべてのバランスが取れており、贅沢コーヒーとされています。日本でのブランド化に成功した銘柄で、輸出の9割以上が日本なので、世界ではほとんど知られていません。贈り物としても人気の銘柄です。
モカ:産地イエメン・エチオピア
イエメンとエチオピアが産地のモカは、酸味系コーヒーの代表です。レモンティーのようなクリアさと、フルーツのような独特な酸味が魅力です。
エチオピアは、「コーヒーの始まりの地」と言われています。モカやモカブレンドは、イエメンやエチオピアの豆が入っているという意味になります。
グアテマラ:産地グアテマラ共和国
グアテマラ共和国が産地のグアテマラ。甘い香り豊かなチョコレート感と、カラメル感が特徴です。飽きにくい安定の味をしており、みんなから愛されているコーヒー豆です。
浅煎りでも深煎りでもコクが豊かなので、他の豆とブレンドして使われることも多いです。
ブラジル:産地ブラジル
ブラジルは生産量、輸出量ともに世界最大の産地です。口当たりがしっかりとしており、苦味・酸味・風味ともに世界ど真ん中の味わいです。初心者にうってつけの豆と言えるでしょう。
アラビカ種7割、ロブスタ種3割で、おいしい豆、大量生産する豆、なんでも揃っています。ナッツ&チョコレートの風味が豊かで、まさにコーヒーの王道です。
コロンビア:産地コロンビア
コロンビアはマイルドさが魅力です。バター、キャラメル、ヨーグルトのようなコクと酸味があり、口当たりがなめらかとも感じます。
標高や気候はコーヒーの産地としてばっちりなのですが、山の傾斜がきつく、農地は広げられません。そのため、高品質のアラビカ種しか作らないのも特徴です。
マンデリン:産地インドネシア
インドネシアが産地のマンデリンは、スマトラ島のアラビカ種を使った銘柄です。普通は生豆に殻がついた状態で乾燥させますが、マンデリンは「スマトラ式」と言って、生豆の状態にして、種を乾燥させます。
独特な生産処理をするので、土、草、革のような唯一無二の味がします。スパイシーさと重厚な味わいが魅力で、ハマる人はハマります。
トラジャ:産地インドネシア
トラジャは、インドネシアのスラウェシ島で生産されています。第二次世界大戦の影響で一度は流通が途絶えましたが、日本企業の支援により再興し、「幻のコーヒー」と呼ばれるようになりました。
酸味がとても軽やかで、力強い苦味とコクを楽しめます。
コナ:産地ハワイ
ハワイが産地のコナは、日本三大コーヒーのひとつで非常に人気があります。ハワイ島のコナ地区で作られる高級コーヒーで、世界的なブランドなので、100%コナはとても希少です。
コナのコーヒー豆を10%以上ブレンドすれば、コナブレンドと名乗れるので、バニラやマカダミアナッツで香り付けしたフレーバーコーヒーをよく見かけます。軽い酸味が特徴です。
コーヒー豆の焙煎の種類
コーヒー豆の味は、焙煎度で大きく変わります。焙煎とは、コーヒーの味や香りを引き出すために、コーヒー生豆に熱を加えて、煎ることです。
- 浅煎り
- 深煎り
- 中煎り
の3種類で分類されているので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
浅煎り|酸味に魅了された人向け
浅煎りは酸味が強くなる傾向にありますが、フルーティーでフルーツ由来の甘味も感じられます。コーヒーの独特な苦味が苦手な人は、浅煎りを試してみましょう。
浅煎りは「ライトロースト」「シナモンロースト」とパッケージに表示されています。品質が高い豆は、浅煎り~深煎りのどれでも美味しいですが、酸味が好きなら、浅煎りにしてみてください。豆本来の味を楽しめます。
深煎り|苦味をガツンと感じたい人向け
深煎りは苦味とボディ感がしっかりしていて、焙煎由来のカラメルっぽい甘みがします。コーヒーの酸味が苦手で、香ばしさが好きな人は深煎りが気に入るはずです。
深煎りは「フルシティロースト」「フレンチロースト」「イタリアンロースト」とパッケージに表示されています。飲みごたえがあり、苦味をガツンと感じたい人は深煎りがおすすめです。
中煎り|一般的な選択範囲
中煎りは、浅煎りと深煎りの中間です。味とコクのバランスが取れていて、一般的にもっともおすすめです。焙煎度合いに迷ったときは、好みが見つかるまで中煎りを選んでみてください。
中煎りは「ミディアムロースト」「ハイロースト」「シティロースト」とパッケージに表示されています。スーパーで購入するような安い豆は、なるべくミディアムロースト以上を選びましょう。どんな豆でも焙煎度合いが高いほど、そこそこ安定の味にしてくれるからです。
コーヒー豆の種類を知ってお気に入りを見つけよう
今回は、コーヒー豆の三大原種、豆の種類と産地、焙煎について解説しました。粕谷 哲氏の著書『図解 コーヒー一年生』では、下町の人気バリスタが、コーヒーについて分かりやすく解説をしています。コーヒーの違いを楽しみたい、味を理解してブレンド以外を選びたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。本書を読めば、産地を見ただけでなんとなく味の想像がついたり、パッケージを見てなんとなくコーヒーを選べるようになるはずです。