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群れない、ブレない、逃げない。テレビ界の鬼才・マッコイ斉藤の「勝負学」

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山形の農業高校から手ぶらで上京。
コネなし・経験なし・学歴なしにもかかわらず、ビートたけしさんに強い憧れを抱きテレビ業界に飛び込んだマッコイ斉藤さん。

ルールギリギリのやり方でエリートたちと真っ向勝負しながら、極楽とんぼやおぎやはぎなどの人気芸人たちと深夜番組を次々とヒットさせ、日本中の誰もが知るゴールデン番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』の「総合演出(トップ)」を勝ち取りました。
YouTubeでは『貴ちゃんねるず』『TOKYO BB returns』、AbemaTVでは『芦澤竜誠と行く ぶらり喧嘩旅』『格闘代理戦争』などを演出。

なぜマッコイ斉藤さんは、一流の著名人たちと心を通わせ、ともに「常識」と戦うことができるのか。
そんなマッコイさんのマインドを著書『非エリートの勝負学』よりご紹介します。

仮面を使い分ける

俺はふだん、マッコイ斉藤(仕事ができる俺)と、斉藤誠(山形の田舎者)という2つのスイッチを切り替えてます。
「マッコイ斉藤」がやるべきことは、笑いと数字を徹底的に追求することだけ
個人的な感情はわきに置きます。誰に嫌われたってかまいません。
いつも殺気立っているために人は寄りつかなくなりますが、孤独というのは慣れるものだし、むしろいろんな立場の人が行き交う現場でも、判断がブレずに済むので都合がいいです。
もうひとつのスイッチである「斉藤誠」は、山形の田舎者で本当にダメなヤツです。
人としてのプライドの欠片もなく、なにを話しても間違いだらけで、こっ恥ずかしいことばかりやっています。
そんな俺を見ていると、周りの人たちは「こいつはやっぱりダメなヤツだな」と考えを改めるようです。
そのおかげか、周りの人たちは俺のことを心配して支えてくれてます。

不安なら、あえて勝負する。

現状に満足できていない。将来に不安を感じている。
そういうヤツは、今まで勝負してこなかった、あるいは今勝負していない人間なんだと俺
は思います。
自分が望むものを手に入れるためには、この商売に賭けるか、この人間に賭けるか、この技術に賭けるか。なんらかの「投資」が欠かせないからです。
お金やポジションや信頼というものは、背負ったリスクに比例して大きくなる。
なんの勝負もせずに、ただ人に雇われて、毎月決まったお金をもらって、そのお金を好きに使っているということは、普通の人より悩んだり工夫したりせず、ぼーっと生きてきたわけです。
現状に満足できないというのは、そのサボってきたただのツケにすぎないでしょう。
1億円を損する人は、1億円を稼げる人でもある。大負けしている分、すぐさまホームラン一発で逆転できるような能力があります。
失敗を乗り越えないと、成功はないです。仮に成功できなくても、それは経験という財産になります。
なにもせず老後の負担を軽くしたいなんて愚の骨頂。ぶつくさ言ってる暇があったら、マグロ漁船にでも乗ってこいよと思います。

緊張は自分で殺す

重要な仕事には、緊張がつきものです。特に偉い人と会うときは、誰でも緊張するでしょう。
俺もそうでした。昔は甘いものを食べて心を落ち着かせたものです。
でも今はそんなことはしません。
相手も同じ人間だし、俺も「どうせ自分以上のことはできないから」と思えるようになっ
たからです。ごく一部ですが、番宣でバラエティ番組に出演する俳優の中には、妙に苛つ
いてみせて、周りを緊張させる人がいました。出たくもない番組に出ている、という態度なのは明らかです。
昔は気を使った。でも今は気を使わない。テレビに出たくても出られない人だって大勢いるんだから、そんなに嫌なら来るなよと思います。
だからごく普通に接するし、それで相手の機嫌を損ねても、俺のせいじゃない。
こちらに嘘やごまかしがないなら、堂々としていればいい。急にあわてたところで、どうせふだんの自分以上の人間にはなれませんから、そうやって開き直ると、余計な緊張感に巻き込まれなくて済みます。
ちなみに緊張が止まらないときはまず挨拶、それから雑談
あとは屋内よりも、外に出るといいです。俺の経験上、スタジオよりもロケの方が緊張しません。

ルールを破っても礼儀は守る

お笑いの世界では、非常識なことをやって笑いを取ります。
でも不思議なもので、プライベートが非常識な人間は、非常識なことをやっても面白くなりません。
お葬式のコントもそうですが、「常識的にはこう振る舞う」というフリがあってこそ、その後の非常識な振る舞いが笑いを生むわけです。
現実も同じで、「常識人」だからこそ常識を壊して、本当に面白いものを生み出すことが
できるみたいです。常識というのはなんでしょう。
それは一つひとつの行動を丁寧にするということです。
人に会ったら挨拶をする。ゴミが落ちていたら拾う。お年寄りに優しくする。小さい子供
を助けてあげる。遅刻をしない。初対面の人に対しては目下の人でも、お店の人でも敬語で話す。
そういったごく当たり前のこと。でも偉大な人ほど、そういう当たり前のことを徹底しています。
ビートたけしさんは、初対面のときから丁重な敬語で話しかけてくれました。
ホリケンは、仲間の挑戦を応援してくれるし、絶対に人の悪口を言いません。
いくら毒を吐いていても、無茶苦茶なことをしても、「あの人はふだんすごくちゃんとしている人」だと周囲はわかっています。
地道に常識を積み重ねているからこそ、とんでもない無茶苦茶をしたとき、「とんでもなく面白い」ものになるんです。

 


周りと衝突せず合わせることを求められる現代に喝を入れてくれる一冊です。


非エリートの勝負学 マッコイ斉藤(著)

非エリートの勝負学

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あいつらにできないことを、徹底的にやるんです。
伝説的テレビ番組の「総合演出」まで登りつめたディレクターによる、型破りな仕事の哲学!