あなたが何気なく選んでいる色が、あなたの心や行動に深い影響を与えている――心理学と配色の専門家、やのがく&はいしょくせんせいによるコラボレーションセミナーで、自分のパーソナルマインドにあったカラーパレットの見つけ方を知り、人生を変える方法を学びます。
目次
色彩のもつチカラ
色が見えるのはなぜ?
(やのがく)
では、始めましょう。はいしょくせんせい、これだけたくさんの人が目の前にいると、なんかちょっとドキドキしてきますね。どうですか?
(はいしょくせんせい)
うまく喋れなくて、ドキドキしています。
(やのがく)
喋れない、ドキドキしちゃった。そんなときにはどうしましょう。はいしょくせんせい、携帯を見てください。その携帯を見てみるとどうなりますか。
(はいしょくせんせい)
心が落ち着いてきて、なんか自分らしくいられるような気がします。
(やのがく)
はいしょくせんせいの携帯の中には、あるカードが入っています。このカードには「ナチュラル」という、はいしょくせんせいが心を落ち着かせるために必要な色が書いてあります。初めてのセミナーでドキドキしてしまったときに、これを見て心を落ち着かせました。今の気持ちはどうですか?
(はいしょくせんせい)
今はなんだか、心がほっとして、お一人お一人の顔が見えるような気分です。
(やのがく)
カードにある色を見て、心が落ち着いた。そんなふうに日常のいろんな場面で使っていくことができる色をみなさん自身で見つけていくセミナーを行っていきます。
(はいしょくせんせい)
今、みなさんの手元や身の周りにある色が見えるのはなぜでしょうか。実は太陽を含めた光源、つまり光のもとから出た光が、対象物に当たり反射した光が眼の網膜に入って色を認識しています。ですから、電気を全部パチンと消して、外からの光を遮断すると色は見えません。つまり、色は光であるということになります。
光を受け取った眼は網膜の中で光の情報を電気信号に変換して脳へ伝達します。その途中で様々な脳内組織を刺激して無条件にホルモンを分泌させます。とにかく「色が脳に届くと、ホルモンが出ちゃう」と覚えてください。
6つの色彩とホルモン
(はいしょくせんせい)
色が身体に及ぼす影響について、具体的な色を今日は6つ挙げて紹介します。
赤色を見ると人間はアドレナリンが出ます。出ないという方はいません。なので、赤を見ると血流がアップして興奮したり闘争心とか高揚感が湧いてきたりします。
黄色を見るとエンドルフィンが出て、安心や笑いを感じやすいです。黄色い洋服を着ている人は声をかけられやすいと言われています。
緑はアセチルコリンが出ます。緑色を見ると癒されるとよく言われます。認知症予防の効果もあるので、医療関係施設や老人ホームなどでは壁紙を緑の薄い色にするなど、さまざまな場所に植物を置くのが非常に有効だったりします。
青はセロトニンが出て、ドーパミンやアドレナリンを調整してくれます。つまり赤を見たときに出るような興奮作用を、青は制御してくれる効果があります。
紫は、ノルアドレナリンが出ます。覚醒と睡眠や、不安と恐怖と鎮静という、両方の作用が入ってくるのが紫です。なぜかというと、色相環をみてみると赤が9時の位置なら青は5時くらいの位置にあります。その間の7時くらいにあるのが紫です。紫は赤と青の中間に値する色なので割と脳が揺らぐようです。脳で判別がつかないので、緩やかに眠くなっていくという作用も期待できます。紫にミステリアスなイメージがあるのもこのためです。
ピンクはエストロゲンが出ます。若返りたい、アンチエイジングをしたいという方は、ピンクのものを多く持っていると効果が期待できます。
人の色の捉え方
(はいしょくせんせい)
次に、人の色の捉え方の話です。人の色の捉え方は大きく分けて3つです。一番大きいところが、根源的色彩感情です。こちらは世界共通で人種や性別、老若男女関係なく誰もが持っている色のイメージです。赤は熱い火とか、青は冷たい水など、そういうものは先ほどお伝えした色のイメージのとおり、脳にホルモンの作用を受けているから感じるものです。人間だれしも脳には逆らえない。根源的な色彩の感情です。
2つ目は、文化的色彩象徴です。こちらは時代や国によって変わるものです。みなさん、昔ご自身が持っていたランドセルの色を思い出してください。黒か赤の方が多いのではないでしょうか? でも今は色とりどりのランドセルが販売されています。男の子だから、女の子だからこの色を選ぼうということもなくなってきている。その色の価値観がここ30年ぐらいで変化しています。そういったことが、文化的色彩象徴で、時代や国によって変わるものです。
最後に、図の端っこのところに小さく個人体験と書いてあります。すごく範囲が小さいです。個人体験は一人一人の体験による色のイメージです。心の中にある色とその人のエピソードです。
例えば、自分が小さい頃に近所のおばあちゃんから優しくしてもらっていた。いつも自分が学校から帰ってきたらお菓子をくれたりして、ほっとした時間を過ごしていた。そのおばあちゃんが水色のセーターを着ていた。だから自分は水色から優しさとかぬくもりとか愛情すごく感じるんだという人も中にはいるかもしれない。先ほどの根源的色彩感情のイメージにあてはめると、水色・青は冷静になったり冷たく感じられたりするものですが、個人体験と色は、このように根源的色彩感情とか文化的色彩象徴とはまた別の意味を結びつけて個別に持っているものになります。
色を見た刺激で、熱く感じたり冷たく感じたりすることは全ての人に共通します。また時代や地域によっても色の意味や捉え方が変わります。そして、優しかったおばあちゃんのセーターに重ねて水色からぬくもりを感じるような、ご自身の体験に由来する色のイメージというものが誰の心にも絶対に存在します。本日のセミナーでは、みなさん個人の体験に対する色のイメージを、過去の体験を振り返るワークなどを通じて発見していきたいと思います。
8つのカラーパレットを手に入れる
最小単位でマインドを整える
(やのがく)
はいしょくせんせいありがとうございます。それでは、今から「自分のパフォーマンスを最大化するための8つのカラーパレット」を手に入れるというのをやっていきます。
このカラーパレットは、自分のマインドや心、振る舞いを整えたりするときに使います。そもそも、マインドを整えるにはどうしたらいいのか。まずは実際に動く、行動する、というのが大事です。環境を変える、自分の居場所を変えるというのも有効的ですが、すぐには変えられないことが多いと思います。そういうときに色を使います。色は手っ取り早く最小単位でマインドを整えることができます。これがこのカラーパレットの特徴です。
8つの場面で使用するカード
(やのがく)
カラーパレットでは、自分の内面にある「心理」や「行動」に働きかける色を使います。自分の目標や目的を達成するために、色に機能を持たせて場面ごとに8つのカラーパレットを使い分けます。常に、カラーパレットが並んだ8枚のカードを持っている感じです。ここぞというときにこのカードを出します。
この8つの場面について、ご紹介します。
それぞれのカラーパレットのカードの意味を見ていきましょう。1番目の「アクセラレート」と2番目の「エンカレッジ」です。 1番目のアクセラレートは実際に行動を始めていて、それをさらに加速させるイメージです。一方で、行動を始める前の段階で1歩踏み出すのになかなかパワーや勇気が出てこなくて踏みとどまっている、そんな自分の背中を押してくれるのが2番目の「エンカレッジ」です。3番目は「ポジティブ」 ポジティブというと、すごく広い概念ですが、ここは人間関係や人とのコミュニケーション、あるいは自分自身との向き合い方について、ポジティブな姿勢をとるために使います。4番目の「ナチュラル」というカードは、本日のセミナーの冒頭で、はいしょくせんせいが使ったものです。場面としては、緊張が高まったときや、頭が真っ白になってしまったとき。心を落ち着かせて、流れを自分に引き寄せたいときに、このカラーパレットを使っていただきます。
5番目が「コンシダー」。アンテナを立てて五感を研ぎ澄ませながら、情報を整理し、深く思考して判断する場面で使用します。6番目が「コンセントレート」集中力を働かせるというものです。コンシダーはさまざまな情報に向けてアンテナをめいいっぱいに張り巡らせて情報処理をしている感じですが、コンセントレートは、そこからさらに集中している状態です。状況や周りからの情報を遮断して、しっかり自分に向き合うとか、雑念や余計な思考をいったん手放して集中させるイメージです。7番目が「ディフェンド」盾のイメージです。自分を守り防御する。人とのかかわりの中で、何げない一言でうろたえてしまったり、人の言葉を受け取りすぎて、他人軸で判断してしまったりすることもあると思います。それをいったん防御して、傷つかない心、へっちゃらな自分を手に入れます。
最後、8番目が「リセット」です。あらゆる状況から心と体をリセットする色です。4番目のカラーパレット「ナチュラル」よりも深いレベルで、湧いた感情や、心の中にたまったモヤモヤを洗い流したい。いったんリセットさせたいときにつかいます。よく好きな歌手の歌とか、元気が湧きそうな歌とかを聞いて気持ちを切り替える方も多いですが、仕事中だと、なかなか音楽も聞けなかったりします。日常生活の中でリセットのタイミングって意外に少ないので、そういうときにこのカラーパレットを使います。感情が大きく振れたとき、素早く切り替えが必要なときも「リセット」です。
以上、この8枚のカラーパレットカードを使っていきます。
自分の色をみつける
ライフチャートを使って選ぶ
(やのがく)
このカラーパレットを手に入れるためのワークを今からやっていきます。まずは、ライフチャートとパレットマップを使いながらワークとして色を選んでいく方法です。ライフチャートは、自分の人生を振り返って、出来事や、自分の状態の浮き沈みを可視化したものです。過去の出来事を可視化しながら、カラーパレットカードにある8つの場面をチャートから見つけていきます。それぞれの場面を象徴する色、たとえば、自分史上最高に行動的だった時に、好んで来ていた服の色や、記憶に残っている物や空間の色でもいいですし、実際には存在しなくても、心の状態を表す抽象的な色でも構いません。8つの場面に相応しい色、しっくりくる色を選んでください。
そして、色を選ぶ方法は他にもいくつかあります。フィーリングでパッと思いついた色を採用してもOKですし、落ち着いた状態で、瞑想し、それぞれの場面をイメージしながら、自分に最適な色を選んでもOKです。
ライフチャートの書き方について説明をします。縦横の軸を紙に書いてみてください。横軸の左端が0歳で、生まれてから右に進んで右端が現在を表す時間軸とします。縦軸は上から嬉しい・最高、下側は、悲しい、最悪の状態。このセミナーでは、アクセラレータとエンカレッジ、ポジティブとナチュラルという4つをチャートをつかって見つけていきましょう。
まずはチャート側に誕生0歳と書いてあるので、右側にご自身の現在の年齢を書いてください。そして、その年齢を2分の1した数が横軸の真ん中に入ります。
最初にアクセラレートの部分、人生の中でめちゃくちゃ行動を加速させてきた場面を書き入れます。受験とか、資格取得とか転職のタイミングとか。寝る間も惜しんで頑張った、そういうところに印を打っていきます。
書き入れたら、そのときのことをイメージしてみてください。その場面にはどんな色がありましたか。あるいは、どんな色で自分が行動することができましたか。いったん目を閉じてもらっても大丈夫です。そのポイントで、パレットマップを見てください。それに当てはまる色、あるいは近い色など自分の人生の中で行動が加速できそうな色を見つけ、その番号を書いていきます。
自分の人生のチャートを書くには時間かかりますが、じっくりと書いてみてください。エンカレッジ、勇気をもって取り組んだことは何でしょう。例えば、プロポーズ。これは勇気がいりますよね。ポジティブに人と関わったタイミングは、どんなときでしょうか。ナチュラルは、例えば家に帰ったときなど、割と日常的な場面でもあると思いますので、ひょっとするとこのチャートの中には出てこないかもしれません。毎日自分がリラックスできる空間やリラックスできる色、場所などのイメージを探していきます。
自分のライフチャートを書いてみると、個人の体験の中に色が結構隠されています。そういう色は、自分の体験に紐づいたものなので、すごく説得力があります。自分の体験の中から、あなたの色を見つけてください。
8つのカラーパレットを取り入れる
(やのがく)
8つの場面で使うカードのカラーパレットは、配色のパターンがすごくしっくりくるようにできていますので、その色に基づいてファッションやインテリアに取り入れていくことができます。また、冒頭ではいしょくせんせいがやったように、携帯の中にこのカードを入れて、普段日常の中で何かあったときにこれをすぐ見ることもできます。
このときの使い方をお伝えします。携帯にあるカードを使うときは、カードの画面をまずよく見ます。3秒見ると、自分が選んだ色が視覚に入ります。視覚に入るとどうなりますか? 脳を刺激して「ホルモンが出ちゃう」。心と体に作用します。なので、自分が選んだ色を3秒まず見て目を閉じます。目を閉じると色の残像が残っています。その残像が残っている状態で大きく息を吸うと、自分の体の中に入ってくる、そんなイメージです。そういう風に使うと色のチカラを取り入れやすくなります。
まとめ
色は 視覚から 脳に伝わり、自分の心や体に作用します。そして色には様々な意味が紐づけられていますが、 それらは「生理的な反応」「 根源的な色彩感情」「 文化的な 象徴」と「個人的体験」に分類できます。
大事にしていただきたいのは個人的体験に基づく色の意味です。自分のパフォーマンスを上げるには 個人的体験に紐づく意味を持たせることが とても重要です。
視覚から自分を整える「8つのカラーパレット」を日常に取り入れて、どんどん自分のパフォーマンスを最大限に発揮していただき たいと思います。
やのがくさん、はいしょくせんせいのイベント動画が視聴できます。
https://note.com/sanctuary_event/n/n7d6a6b4c5b41
やのがく 1968年生まれ 20代で出会った心理学をつかったワークショップ、セミナーに参加。自分自身のうまくいかなかった思考、感情、行動のパターンを知ることで、自分の成長に役に立つ行動の仕方を学ぶ。その後、さらに学びを深めて、自らもトレーナーとして参加。 30代で大きな挑戦と挫折、メンタルダウンからの立ち直りを経験し、深い学びと立ち直りの実践方法を手に入れる。 現在は不動産会社に勤務し、管理、システム 2部門の部長を兼任 HSS型HSP、ADHD、マルチポテンシャライトの気質を併せもつ。 Twitterアカウント/https://twitter.com/yano_mktg はいしょくせんせい 女子美術大学芸術学部卒業/幼い頃から、デザイナーの母から色彩や配色に関して学ぶ。大学は、ファッションデザインを専攻。在学中から書籍関連のイラストを手がける。卒業後は、DTPオペレーター、アパレル関連を経て独立。百貨店や大手アパレルブランドの店舗のディスプレイデザイン、塗装に携わる。Twitterアカウント/https://twitter.com/haisyoku_sensei