私が著者になるまで

一家に一冊、膣バイブルを! 膣ケアの先駆者「ちつ姉」が抱く切実な思い 山口明美

#私が著者になるまで

お肌や髪のケアには気をつけていても、膣(ちつ)のケアまで実践できている女性はまだ少ないのでは? マンガで膣ケアを学べる『なんとなくずっと不調なんですが 膣ケアで健康になれるって本当ですか?』(サンクチュアリ出版)の著者、ちつ姉こと山口明美さんは、あらゆる婦人科系の不調から回復した自身の経験をいかして膣ケア・膣トレの伝道師に! 膣にまつわる山口さんの壮絶な実体験と、膣プランナーとしての切実な思いに迫ります。

つらい産後を救ってくれた骨盤底筋トレーニング

聞き手
マンガで描かれている“ツヤツヤ”“キラキラ”な山口さんのイメージどおり、とてもおキレイな方でびっくりです。
あはは、ありがとうございます!
山口さん
聞き手
お子さんがお二人いらっしゃるんですよね。
はい、二人の娘をもつ47歳です。
山口さん
聞き手
マンガでも描かれていましたが、山口さんが「膣トレ」に出会ったのは、お二人目の出産がきっかけだったとか。
はい、18年前のことです。次女は大きめで肩幅がかなり広い赤ちゃんで、出産に20時間かかったんですが、最後出すときに肩が引っかかってしまって。無理やり出したら、膣から肛門の向こうまで裂けてしまったんです。
山口さん
聞き手
ひぃぃぃぃぃ! 聞いているだけで痛い……。
会陰(えいん)裂傷というのですが、それで14針縫いました。一人目のときは通常の会陰切開で2cm程度切っただけだったので、そんなことが起こるなんて全然知らなくて……。産後は座るのも痛くて、ベッドにうつ伏せで過ごしました。筋繊維がやられて、さらに妊娠で24kg太って骨盤底筋もやられていたので、トイレが我慢できずオムツ生活。授乳すると子宮収縮して痛いので、おっぱいもあげられませんでした。
山口さん
聞き手
日常生活にも支障があるほどだったんですね。
もう産後うつ状態でした。そんななか私を救ってくれたのが、助産院でやっていた「膣トレ」。当時は「尿もれ体操」と呼ばれていましたが、骨盤の底にある筋肉「骨盤底筋」を鍛えるトレーニングでした。それを藁にもすがる思いで地道に続けた結果、3か月で尿もれが改善されたんです。デリケートゾーンを洗うソープや洗い方にも気をつけて丁寧にケアしていったところ、傷口は治癒。さらに半年で26kgも痩せて、肌のシミや肝斑がなくなり、生理痛もなくなりました。
山口さん
聞き手
尿もれ体操とケアであらゆる不調が治る……そんなことってあるんですね!?
私もびっくり。私は長年エステティシャンの仕事をしていたので、ダイエットや美容のメカニズムは熟知していましたが、運動もせず膣を動かすだけで痩せたりキレイになったりするなんて思ってもみませんでした。興味が湧いて調べていくうちに、海外ではこうした産後ケアや膣ケアがすでに常識で、保険適用になっている国も多いと知りました。
山口さん
聞き手
それを世の中に発信し始めたのはいつごろですか?
3年ほど前、娘たちが高校生になってからです。それまでは子育てと仕事で手一杯でしたし、そもそも産後のつらい体験は誰にも話せていませんでした。友だちにも娘にも。
山口さん
聞き手
発信しようと決めたのには、なにかきっかけがあったんですか?
娘たちが言ってくれたんです。「私たちはもう自分でアルバイトして生活できるから、ママも自由に好きなことをして。その代わり、私たちのことももう自由にして」って。私はそのとき美容メーカーの役員として全国を忙しく飛びまわっていたので、そんな私の姿を見て思うところがあったんでしょうね。
山口さん
聞き手
頼もしくて優しい娘さんたちですね。膣ケア・膣トレに関わる活動をしたいという思いは、そのときお二人にも伝えたんですか?
はい。次女の出産時のことを初めて話して、「ママは膣の先生になって世の中の誰かの役に立ちたいんだけど、『あなたのお母さん恥ずかしい』と言われる可能性もあるよ?」と言ったら、「いいじゃん! やってみたら」と背中を押してくれました。インターネット音痴の私にSNSのやり方も教えてくれて、それでまずはInstagramを始めたんです。
山口さん